聖戦士ダンバイン聖戦士伝説「アルダム開発秘話」   作:早起き三文

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第1話「聖戦士王即位」

「シュンジ王、御即位お祝い申し上げ致します」

 

 と、全くにその豪奢な王衣が似合わぬ、若き王、成人ともなっていないような若者である、その若き王。

 

「それと、共に」

 

 リの国新王「シュンジ・イザワ」の目前で、あたかも主君に向ける程の「礼」を表している、他国の騎士。

 

「先王ゴート王の崩御、心より御悔やみ致します」

 

 バーン・バニングスが、一点の非が無い、完全な礼儀作法と共に、その下げてある頭を、さらに下げ。

 

 ファサ……

 

 彼の総髪、よく手入れがされた、朝の日にさらされた、その艶やかな髪が、軽く揺れる。

 

「御苦労です、アの国の勇猛なる騎士、豪胆にして賢知を誇るバーン殿」

「ハッ……?」

 

 その時、その「中世風」の感謝の礼を、他国の騎士バーンに述べた時、彼シュンジ王の側近である、大臣オウエンと騎士団長であるザンが。

 

「……?」

 

 連れている部下に、引き出物をシュンジの前に出させようとさせているバーン、隣国「ア」の名高き騎士である彼と。

 

「こ、これは我が主、アの国ラース・ワウが領主、ドレイク・ルフトからの気持ちでございます、シュンジ王」

「は、はい、大変喜ばしいです、バーン殿」

 

 その精緻な彫金が施された、まばゆい黄金の鞘を纏った剣が、バーンの両手から差し出された時。

 

「……何だ?」

 

 シャ……

 

 王城天窓からの朝日を浴びた、鞘の黄金の光にその目を細めたシュンジ王、彼は。

 

「……何か」

 

 先の自国大臣に自国の騎士団長、騎士バーン、そして。

 

「……俺は、対応がまずかったかな?」

 

 この謁見の場にいる全員が、怪訝な顔をしている事に対し、その細めた目で、捉えていた。

 

 

 

////////////////

 

 

 

 パァン、パパァン!!

 

――新王万歳!!――

 

「祝賀ムード、ではありますな」

「はい、バーン殿」

 

 バイストン・ウェルでは、各列強の国に挟まれるようにして点在する小さな国、その小国の一つである「リ」の城下では。

 

「ゴート王の大葬も終えましたので……」

「惜しい方でありました、シュンジ王」

「俺にとってもですよ、バーン殿」

 

 約三日前までは先王に対する喪、それに服していたのだが、今はその雰囲気は一転し。

 

――新王、リの聖戦士王、万歳!!――

 

 と、シュンジの乗る機械馬「ピグシー」がその「脚」を踏み鳴らす度に、民からの歓声が挙がる。

 

――悪しきガロウ・ランからの救世主、シュンジ王万歳!!――

 

 パァ、パァン!!

 

 何か、通行人の一人がクラッカーのような物、ここ数年で、ある大国に降り立った「異人」がもたらした科学技術の一端を使った「オモチャ」が、けたたましく鳴り響く。

 

「普通の馬なら、この火薬の音で怯えてしまうものを……」

 

 と、そのクラッカーを放った酔っ払いに苦笑いを浮かべつつ「リ」の隣国「ア」の地方領主に仕える騎士バーンは、やや前方のピグシー、シュンジの乗る飾り立てた、その王に相応しい「馬」の主に向かって。

 

「この機械の馬、これなら何という事も無い、ですかな、シュンジ王……?」

「ハハッ……」

 

 笑みを浮かべつつ、気安い様子で、語りかける。

 

「……さて、バーン殿」

「はい、シュンジ王」

「戦時に、ドレイク殿より貸与されていた、ゲドとドロの返却ですが」

「それについては、御館様は」

 

 ヒュウゥ……!!

 

「破損が激しければ、それなりの代金と引き換えに、リの物とされてもよいと」

 

 その、今まさしくバーンが話した「ゲド」と「ドロ」というオーラマシン、それらがリの国の国旗を掲げつつ、上空を飛行している最中に、空を飛翔する二機のマシンを見上げつつ話すバーンに向かい、シュンジが顔を振り向け、そして。

 

「ドレイク殿が?」

「はい」

 

 そのシュンジの顔に、バーンは少し嫌らしく、ニタリとした笑みを浮かべた。

 

「フム……」

 

 タッ、タァ……

 

 そのまま二人のピグシーは無言で走り、そして。

 

「これを、バーン殿」

 

 キィ……

 

 ある、広々とした地点で立ち止まる。

 

「ホウ、このオーラバトラーが……」

 

 偶然の一致ではあるが、この即位パレードと、先王ゴート死去の葬儀を両立させ、それらをとり行う直前に、リの国独自のオーラバトラー「アルダム」の第一号機がロールアウトし、今その機体は。

 

「確か、ゲドの発展型、名前は……」

「アルダムです、バーン殿」

「そう、アルダムと私も聴いております」

 

 リの王城トルール城下の中央広場、今まさにシュンジ達の目前において。

 

 チュン、チィチ……

 

 屋台か何かからの食べかす、それにつられた鳥達に囲まれ、空の光をさんさんと浴び、展示されている。

 

「なるほど、シュンジ王……」

 

 そして、その巨人騎士「アルダム」の足元には、先王ゴートの業績を讃えた石碑、そして。

 

――ガロウ・ランとの戦いへの戦没者に、安らかな眠りを――

 

 と記された碑もまた、人型マシンであるオーラバトラー「アルダム」の足元に鎮座している。

 

「……外見だけは、ちゃんと巨人騎士っぽいですな、王?」

「一応動きますよ、バーン殿?」

「いやなに、試作機と言えば」

 

 と、言いつつ、バーンは自分のピグシーをその手で軽くポンと叩きつつ、その端正な顔に笑みを浮かべながら。

 

「アの国、ギブン家という家も、ゲドを参考に独自のオーラバトラーを造り上げたそうですが」

 

 スゥ……

 

 そのまま、少し雲間に入り、チラチラと瞬くような日の光に、バーンはその目を細めつつ、僅かに皮肉っぽく、片頬を歪めつつ、言葉を続ける。

 

「ショット様の言葉によれば、まさしくゲドのデッド・コピーらしいマシンなようです」

「密偵を使いましたか?」

「まあ、そうですな……」

 

 ピグシーにまたがった二人の青年、彼らに向けて、少し離れた場所から、女性の矯声が聴こえてきたようだ。

 

「空だけ飛べる、木偶の坊だと、ね」

「まあ、確かにこのアルダムの試作機も、あまり出来が良いとは言えませんでしたがね、バーン殿」

「ガロウ・ランとの決戦の時に、投入された見知らぬアレですな?」

「そうです、空色の俺達の機体……」

 

 試作タイプのアルダムはすでに、リの国の先王「ゴート王」が存命していた時に製作され、そしてガロウ・ランとの最終決戦では、リの国新鋭である、若手の騎士見習いに預けられていた。

 

「……遠目で見た所、悪くはない動きでしたよ、シュンジ王」

「まあ、帰還したときに、いきなりコンバーターが爆発しまして、そして脚が折れ……」

「と言っても、ゴート王が負傷された最中、気にする者もいなかったでしょうに?」

「ハハッ、バーン殿その通りですよ」

 

 ただ、王となる前のシュンジ、地上からの聖戦士として、希望の星であった彼が、一回だけ乗ってみた感じでは。

 

「装甲も脆弱、さすがにいきなり完成品、とはいきません」

「なるほどね……」

「とは、言え」

 

 いくら問題点が多くとも、初期型のゲド、そしてリの国で独自に、その貸与マシンを改造した、シュンジ王専用ゲドより、機体のレスポンスが良かった気がする。

 

「ああそうだ、バーン殿」

「何か、シュンジ王?」

「これから、リの機械の館に行きますが」

「もしかして、ドレイク様のゲドとドロも、そこですか?」

「無論、そして……」

 

 ブオゥ……

 

 ちょうど、と言うべきか、上空を飛行し、祝賀の良い「出し物」であった、ゲドとドロがその機械の館、すなわち。

 

「我が国の機械化兵団も、ご覧になられますか?」

 

「リ」のオーラマシン開発本部、及び生産工場に向けて、その翅を向け始めた様子だ。

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