聖戦士ダンバイン聖戦士伝説「アルダム開発秘話」   作:早起き三文

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第2話「機械を造る館」

 

 オーラマシンというのは、大国「ア」の地方領主であるドレイク・ルフトによって庇護されている、地上人ショット・ウェポン。

 

「ええい!!」

 

 厳密に言えば、シュンジ・イザワと同じ経緯を経て、この「中世ファンタジー世界」である。

 

「よるな、フェラリオ!!」

「これは、シュンジさんの機体です、ガラリアさん!!」

「元はアの国の物だ!!」

 

 バイストン・ウェルに「異世界転生」した、いやされた地上人、すなわち。

 

「しっかし、全く!!」

 

 地球人の事である。

 

「シュンジ王め、よくここまでゲドをモンスターにしてくれる!!」

「失礼です、ガラリアさん!!」

「よるなと言っている、イテッ!!」

 

 もっとも地球人は、この転生した世界の人間とは、ほとんどと言っていいほど、差異は無いが。

 

「叩いたな、フェラリオが!?」

「殴って何が悪いのですか!?」

「二度も殴った!!」

 

 ただし、この世界は地球の中世、および近世とは、決定的に違う箇所がある。

 

「父上にすら、殴られた事ないのにな!!」

「ほら、早くシュンジさんのオーラバトラーから離れて!!」

 

 この、女騎士をポカスカ叩いている少女、文字通り。

 

 シャ、ラァ……

 

 人の顔面くらいの身長しかなく、その背中には昆虫の翅、いわゆる。

 

「フン、全くフェラリオという奴は!!」

 

 フェアリー、この世界ではフェラリオという、いわゆる妖精や。

 

「こう、どこの強獣の素材やもしれぬ、謎の組み立て方をされれば、呆れるのも当然だろう、羽虫め!!」

「なっ、羽虫ですって!?」

 

 オーラマシンの素材に使われている生体部品、それの元となる強獣、いわゆるモンスターなどの謎の生物や植物が、闊歩している事だろう。

 

「シュ、シュンジさんに言いつけてやりますからね、ガラリアさん!!」

「フン、他国の王を恐れる者に、騎士など勤まらんわ!!」

 

 無論、このオーラで動く機械「オーラマシン」もこの世界にしかないが、これはつい最近に、くだんのショット・ウェポンの手によって発明、開発された品だ。

 

「おい、ガラリア……」

「ん?」

 

 と、それらオーラマシンの中で、特に人型をしている物、すなわち二足ロボットである「オーラバトラー」の前で、無意味な言い争いをしている女騎士と妖精、その二人に向かって。

 

「なんだ、バーンか」

「なんだではない、ここは他国であるぞ?」

「バーンよ、お前は」

 

 ピグシー、非戦闘用である移動オーラマシンに乗ってここまで来た、バーン・バニングスからの、呆れた声がかけられる。

 

「機械を世界にもたらした国、その騎士としての誇りは無いのか?」

「……えーと」

 

 そして、もちろん。

 

「確か、騎士ガラリアさん、でしたよね?」

「ん……?」

 

 騎士バーンの隣には、この国の若き新王の姿もある。

 

「おお、シュンジ王か!!」

「一度お会いしただけですが、元気そうでなりよりです」

「いやはや、こちらこそ」

 

 先程まで、散々この若王の専用機をバカにしていた素振りなどおくびにも出さず、アの国の女性騎士の中で。

 

「即位、御祝い申し上げます、シュンジ王!!」

 

 いや「ア」に仕える騎士全員の中で、一番気性が激しいと陰口を叩かれている、ガラリア・ニャムヒーは、ニカと笑いつつ、リの王シュンジに向けて、一礼をしてみせる。

 

「シュンジ、さーん!!」

「ん、何だよフィナ?」

 

 シャ、ラァ……

 

「この人が、シュンジさんのゲドを!!」

 

 その背の、二対の翅から燐粉のような光を放ちつつ、ガラリアと言い争いをしていたフェラリオ。

 

「ゲドに、勝手に乗り込もうと!!」

「あー、危ないですよ、ガラリア殿」

 

 フィナ・エスティナ、半ベソをかきつつ、彼女に背中へと抱きつかれたシュンジは、フィナの小さな頭を軽く後ろ手で撫で、そしてもう片方の腕で。

 

 スゥ……

 

 その指先で、自分の愛機を指差す。

 

「このゲド、相当に手を入れてありますからね、騎士ガラリア」

「私が機械の扱いを誤ると申すか、シュンジ王よ?」

 

 クゥ……!!

 

 そのように、形の良い唇の端を歪めては嘲る、そう、仮にも一国の王たるシュンジに向かって嘲る事が出来る、この女傑ガラリアの気質には、シュンジも笑うしかない。

 

「ガラリア、他国の王の御前ぞ、少し言葉に気を付けろ」

「真面目な事だな、バーン」

 

 だが、その言葉を放ったバーンは、シュンジ達三人には顔を向けていない、そっぽを向いたまま、声だけを投げつけている。

 

「……フム」

 

 その彼バーンは、リの機械の館に入ってからは、館のあちらこちらへと、せわしなく、その涼やかな双眸を向けている。

 

「……ここまで設備が整っていれば、確かにゲドやドロ程度なら、しかるべき物資、知識があれば」

「……あの、シュンジさん」

 

 バーンのその、ぼそり、ぼそりとした言葉、それを耳聡く聴いた、シュンジの背中に張り付いていたままである少女妖精が。

 

「やっぱり、バーンさんは、単にガイコーと言うのだけで、リの国に来たわけではなく……」

「解っている事さ、フィナ」

 

 小さくこぼしたその言葉に、シュンジは軽く片目を瞬かせ、それで答えてみせる。

 

 

 

////////////////

 

 

 

「よく、ここまで改造してくれましたね、シュンジ王……」

 

 バーンのその声には感嘆もあるが、同時に呆れ果てたニュアンスも強い。

 

「地上人であるシュンジ王に合わせた、ゲドでありますか……」

「無理な改造ではあり、メリットとデメリットの両方があります」

「いや、しかしこの不格好な外見では……」

 

 確かに、バーンが不格好と言うのも無理がないほど、原型のゲドとは大きく姿形が異なった、調整中であるこの、聖戦士専用ゲド。

 

「見た限りでは、機動性は悪くなっていそうですな?」

「まあでも、この機器、コイツらは……」

 

 そのゲドの背部オーラコンバーター、オーラバトラーの推進装置には、リの国独自開発の装置が増設され、乗っかり、そして四肢の各関節には、何やら不気味な色をしたコード状の物がまとわりついている事に、バーンが顔をしかめている、のを横目にシュンジは。

 

「全て、オーラ反応を向上させる為ですよ、バーン殿」

「話によると、シュンジ王以外では操る事が出来ないと……」

「ええ、まあ……」

 

 リ国の他の騎士では、運用すること自体が出来なくなった機体を見上げつつ、バーンに向けて、言葉を続ける。

 

「コイツのオーラエンジンを起動させるだけで、俺にしても、常に疲労感を感じていましたよ、戦役の時に」

「確かに工夫の形跡はありますが、ね」

 

 まあ、オーラマシンについては、本家であるアの国ラース・ワウの「機械の館」で、さんざんマシンのテストパイロットをやらされていたと噂されるバーンの方が、シュンジよりも詳しいのかもしれない。

 

「ショット様ならば、これが良い改造なのか、機体を使い潰す悪手なのか、解ると思います、シュンジ王」

「俺も地上では、オーラマシンどころか、戦闘機や戦車にすら触れた事が無いからな……」

「して、シュンジ王」

「ん、何です?」

「先程述べた、リの機械化軍団とは?」

「ああ……」

 

 

 

////////////////

 

 

 

「機械の館の離れ、この空き地も色々」

 

 このシュンジとバーン、二人についてきたフィナが。

 

 シュ……

 

 茜色の空へ軽く飛翔し、そのまま背中の翅から。

 

「品物が増えて来ましたね、シュンジさん」

「ああ……」

 

 シャ、ア……

 

 翅からの燐の光を、天から降り注ぐ夕陽の光に重ねつつ、このフェラリオは微かな上空から「マシン」達をじっと眺めている。

 

「バーン殿、これは貸与品ではなく、ドレイク殿から、ちゃんと購入」

「フム?」

「そして、リの国が独自開発した物だけで、編成されている物」

「軍団、いや部隊ですか、シュンジ王?」

 

 別にバーンは、あからさまに皮肉を言った訳ではない。

 

「私は世辞は言いたくないので、ありましてね、シュンジ王……」

「誠実、まさに騎士道ですね」

「王の方が、嫌な言い方を肩代わりしてくれるとは……」

 

「マシン軍団」は合計して十機にも満たない、無理矢理に小型の大砲を取り付けた、武装化ピグシーも含めてだ。

 

「まあ、しかし……」

 

 だが、バーンはその内の数機、リの国独自に開発したオーラ・ボムに指差し。

 

「リの国は、アルダムにしろ」

 

 シャ……!!

 

「良く、考えている……」

 

 夕焼けの光に輝いている、その小型オーラ・ボム、海だか川だかの甲殻類を思わせる、楕円形の機体、その前方付近にクラゲを思わせる触手が二対、あたかもハサミの代わりに付いている、そのマシンに対して。

 

「この、ドロの半分程のサイズである、機体の名前は、シュンジ王?」

 

 その人差し指を振りつつ、かなり本気の色が混じった感嘆、それを含んだ疑問を、シュンジに向ける。

 

 

 

 

 

 

 

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