聖戦士ダンバイン聖戦士伝説「アルダム開発秘話」   作:早起き三文

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第4話「アルダム、翔ぶ」

 飛竜、という戦力がある。

 

「……よし!!」

 

 オーラマシンが開発、そして生産される前の時代に、この「バイストン・ウェル」の戦士たちによって運用されていた、飛行兵科である。

 

「一匹、撃墜!!」

「ライフルの弾が尽きそうだ、ラージャ!!」

「こちらもだ、やむを得ん!!」

 

 元々は、今まさにこの戦を交えているガロウ・ラン達、地の底に棲むという蛮族たちの技術であるが、それをコモン達が。

 

「一時撤退するぞ、ドラグーン隊!!」

「おう、地上も優勢になってきているようだしな!!」

「よし!!」

 

 このバイストン・ウェルの主たる住人である「コモン」達が取り入れた、戦力である。

 

「ハイヨー、パンツァー!!」

――グルゥ、ウ!!――

 

 理論的には、ガロウ・ランが使役する強獣の全てを、コモン人も扱う事が出来るらしいが、その強獣のエサに人肉が含まれていたり、飼育する環境などによって、コモンが扱える強獣には、かなりの制限があるらしい。

 

「ズガスーンだ、砲撃隊!!」

「そんなに無線器に怒鳴らなくても、聴こえているよ!!」

「だったら早くしろっての!!」

「ピグシー砲ジャッキ下ろしオーケー、牽引馬車砲と共に、一斉に!!」

 

 ボゥウ、ウゥ!!

 

 ただ、時代の流れ的には、もはや飛竜を含めた強獣と呼ばれる、いわゆるモンスター達が戦の主力ではない。

 

「くそ、ピグシーや馬車の砲では、上手く当たらん!!」

「こちらレン・ブラス機、支援する!!」

「おう、落としてやれ!!」

 

 この若き騎士見習い、いや近々正式に騎士へと昇格する事が決まった、レン・ブラスの駆るアルダムなどのオーラマシンが、あきらかに次世代の主力となりつつある。

 

「まだ、ズガスーンの突撃が終わってねーんだ!!」

「……一発限り、か!!」

 

 そして、その巨人騎士アルダムが、小脇に抱えた大砲を。

 

「……今だ!!」

 

 ドゥ、ン!!

 

 上空から俯瞰し、この広々とした荒れ地に展開しているガロウ・ランの強獣の群れ、トリケラトプスに良く似た、角を持った強獣達の中心を狙って放ち。

 

 ボフゥ、ウ!!

 

「……よし、ド真ん中で炸裂した!!」

 

 ズゥ……

 

 そして、そのまま彼レンは、単発である抱え大砲を、無造作に地面に落とす。

 

「むっ、ハバリーが来た!!」

「気を付けろよ、レン!!」

「了解、ラージャ殿!!」

 

 とはいえ、未だにオーラマシンは貴重品、数は少なく、今対峙しているガロウ・ラン残党へは、やはり。

 

「横からアマゴローンだ!!」

「怯むなよ、パイク槍で援護しろ!!」

「りょ、了解だ、騎士ナラシ!!」

「この強獣なら柔らかい、私の馬上鉄砲でも倒せる!!」

 

 ユニコンという騎馬を駆る騎士、それを支援する二、三人の従者という、まさしく中世の「小隊」そのものである、戦闘ユニットも現役である。

 

「……フム」

 

 もちろん、強獣やらオーラマシンの存在の為に、三次元的な戦いが行われるのは、地球で飛行機が登場後の戦術を、すでに先取りしているとも、言えなくはない。

 

「王、望遠鏡を貸して頂けませんか?」

「ああ、しかし、レンは」

 

 その、寒々とした荒野での戦いの様子を、小高い丘の本陣から、このリの国軍総大将である「シュンジ・イザワ」が、じっと見つめていた。

 

「よくやってくれる……」

「ですな」

「ほら、望遠鏡」

 

 レン・ブラス、シュンジ王がこの世界に召喚された時は、単なる一人の騎士見習いであった少年。

 

「父親であるザン騎士団長も、お喜びでしょう」

「オーラマシンは、レンにとっては天祐だったのかもな、騎士バラフ」

「フフ……」

 

 そのオーラマシンに対する適性が、リ国の対ガロウ・ラン戦役で開花し、そのガロウ・ランと交えた最後の大決戦の時には、最新型のプロトタイプ・アルダムを任された程である。

 

「確かにね、シュンジ王」

「バラフ、戦場の観察は任せた」

「ハッ!!」

「……しかし」

 

 先程、この本陣にガロウ・ランの精鋭部隊が奇襲を仕掛けた時、彼シュンジは自らの愛機を起動させ、即座に抜き打ちで、大型の巨人騎士用のクロスボウを放ったが。

 

「このゲド、もう限界だな……」

 

 そうぼやいた彼の真横に鎮座する「聖戦士用ゲド」は、改造をほどこし過ぎて、機体寿命が間近であるこのマシンは、王ともどもに、予備兵力として参戦している。

 

「飛ばずに腕だけを上げた、それのみで計器が乱れ、機体が止まるとは……」

 

 ただ、もともと王というものの戦力としての値打ちは、敵を撃破する能力ではない。

 

「シュンジ王、こちらの死者は二名です」

「さすがに上手く仕掛けられた……」

「王、先程は火縄銃で私を助けて頂き、ありがとうございます」

「なんの、それよりも俺の予備の剣を」

「ハッ!!」

 

 このように、奇襲とはいえ本陣まで攻め込まれれば、王自らも剣を取る必要があるが、戦陣での王の役目は死なない事、後方で指揮執る事である。

 

「……む?」

 

 その時、望遠鏡を任された、騎士バラフの目に入ったそれは。

 

「どうした、騎士バラフ?」

「……あれは」

 

 敵か味方か、どちらかの砲撃による煙が晴れた時に、拡がる荒野に彼が見た物は。

 

「……オーラバトラー!?」

「何?」

 

 そして、そのマシンは、確実にリ国のマシンではない。

 

「……レンのアルダムではないな?」

「あんな、不気味なシルエットのオーラバトラーなど!!」

「そうか」

 

 僅かに狼狽気味であるバラフに、冷静な声で答えたシュンジの目は先程、飛竜と牽引大砲のまぐれ当たりで仕留めた、ガロウ・ランのオーラマシン。

 

「……やはり」

 

 きゃつらガロウ・ランが何処からか手に入れたらしきマシン、撃墜され、この距離からでも、未だに煙を上げているのが見える「ドロ」の残骸の方角へ向けられた。

 

「スジャータ、それも持ってくるべきだったかもな……」

 

 シュンジにしても、ここまで残党の数が多く、そして強力だとは、思わなかったのだ。

 

「留守居のザン団長と協議し、そして推測されたガロウ・ランの数の、五割増しの兵は連れてきたが……」

 

偵察を行ったリのドロによれば、この戦場は見晴らしが良く、シュンジも最初は正面からの真っ向勝負になると、戦場に着いた時も自分の目で見て、そう思っていたのだが。

 

「想像していたより、地形に起伏があり、ガロウ・ランもしぶとい……」

 

 

 

////////////////

 

 

 

「……ガロウ・ランが独自開発、まさかな!!」

 

 ただ、レン・ブラスの記憶では、確かにガロウ・ランがオーラマシンを運用するのは、これが初めてではない。

 

「……そういえば」

 

 その、レンのアルダムに面を向ける、悪魔のような顔と姿形をした、異形のオーラバトラー

 

「僕が、オーラバトラーで、同じオーラバトラーを相手にするのは、これが初めてだな……」

 

 と、言っては悪魔に失礼かもしれない、その謎の機体の外見は、悪魔は悪魔でも、貧相な使い魔、とでも言うべき、弱々しい形状をしているオーラバトラーだ。

 

「……くるか、悪魔の出来損ないの顔をしたオーラバトラー!?」

 

 そして、その敵機はよたよた動きつつ、いびつな手には剣、そして逆の手には、なにやら得体の知れない物を保持して、レン機アルダムへ向かって飛翔。

 

「見た所、剣は持っているが、あの妙な物を片手に持っている為に、動きが……」

 

 そう、飛ぶというより、カトンボのような頼りない、翅を震わせての浮遊、そのまま上空までどうにか昇り、迫ろうとするガロウ・ランのオーラバトラーに対し、レン・ブラスは。

 

「……まあいい、飛び道具かも知れないだろうが、何だろうが!!」

 

 ジャ、ギィ!!

 

 レン機アルダムが今、その敵機に向けた剣は、アの国製の機体が持つ両刃剣ではなく、片刃の剣である。

 

「レン・ブラス参る!!」

 

 片刃、と言っても日本刀や、地球の中東で使われたような曲刀ではない、むしろ中世ヨーロッパで使用されたファルシオン、先端が重い剣だ。

 

「一気に、距離を詰め!!」

 

 シャア……!!

 

 これは何か考えがあって剣の形を変えたのではなく、単に本家アの国ほど、巨人騎士の剣を製造する技術が、リの国には無かっただけの話である。

 

「袈裟斬りにする!!」

 

 この片刃の剣では、突きは直剣ほど上手くは出来ない、バランスが崩れ、相手に隙を見せてしまう。

 

 ギュイ、イィ!!

 

「たあ!!」

 

 そして、一気にレンのアルダムは相手の上を取り、そのまま大上段に、オーラだんびらを叩きつけようとした。

 

 

 

 

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