聖戦士ダンバイン聖戦士伝説「アルダム開発秘話」   作:早起き三文

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第5話「剣士アルダム」

 が、その時、悪魔の出来損ないのようなオーラバトラーが、意外にも身軽な機動で。

 

 グゥウ!!

 

「くそ、ガロウ・ランが!!」

 

 レンのアルダムによる斬撃を、寸前でかわし、そして。

 

 ボフゥ……

 

「……!?」

 

 その手に握る謎の品物、そこから勢いよく、煙と。

 

「た、大砲か、それともフレイ・ボム!?」

 

 レンのコクピット内までに響く爆発音、それと共に、黒光りする物がレン機に向かい、発射される。

 

「くっ、わっ!?」

 

 レンがコクピット内でその身を大きくよじるのと同じように、アルダムの身体も大きく捻られ、あわてて身をかわすレン機のかたわらを。

 

 ヒュウ、ア……!!

 

 砲弾が、通り抜ける。

 

「……とならば!!」

 

 僅かに機体を引いたレンの見やった、その不明機が持つ「大砲」らしき物、それのサイズからして、あと数発は砲弾が残っているとレンは推測し、そして彼のアルダムには、飛び道具が無いのであれば。

 

「これで!!」

 

 ギィ、ン!!

 

――ヅエッ!!――

 

 その相対する「悪魔もどき」のコクピットから聴こえた、くぐもった呻き声と共に。

 

「でぇ、い!!」

 

 アルダムの剣と合したガロウ・ラン機の剣、同じような形状である、相手の片刃の刃が。

 

 グ、ギィ……!!

 

 折れた、いや。

 

 イィ、ン……

 

 衝撃により捻り斬られた、おそらく「悪魔もどき」の剣は鍛造ではなく、鋳型を使った鋳造の剣、それも粗悪な品なのだろう。

 

「よし、所詮はガロウ・ラン!!」

 

 と言っても、アルダムの片刃剣も鋳型で作られた剣ではある、アの国のゲドのように、鍛え上げられた鋼鉄剣ではない。

 

「そのけったいな砲より先に、機体そのものを!!」

 

 シュンジ王のゲドが持っていた剣のみは、ちゃんとした鍛造の鋼鉄剣である、そのリ国の総力、そしてアの国の技師や鍛治師が力を貸してくれて、ようやく造られた剣、日本刀じみた外見をした剣は、かつてのガロウ・ランの頭領であった。

 

「叩き斬る、シュンジ王の腕前のように!!」

 

 討たれたギィ・グッガ、彼が駆る最強の強獣たる「ドラゴ・ブラー」の、強靭な外皮さえも、貫いた程である。

 

 ジャ……!!

 

 だが、その気合いを込めたレン機の斬撃は、またしても空を斬り。

 

「ちょこざいなガロウ・ラン!!」

――ジェッ、ドゥ!!――

「何!?」

 

 アルダムの二太刀目、それを「悪魔もどき」はあえて、折れた剣を持ったままの腕を差し出し、楯とし、そして。

 

 ゴゥ、ン!!

 

「う、うわぁ!?」

 

 その片腕のみとなったガロウ・ラン機から放たれた砲弾、それが隙を作ってしまったアルダムの片脚に直撃、ドゥ!!

 

「コ、コンバーターが!?」

 

――このアルダムは、なんとしてもオーラコンバーターへの直撃だけは、避けてくれ――

 

 と、リの国機械の館の責任者である男に、そう言われた事をレンは思い出した。

 

「し、しかし!!」

 

 直撃ではなく、脚への被弾だ、それにも関わらず、アルダムの背に装着されているコンバーター、何故か位置が離れているそのオーラバトラーの、ジェットエンジンとも言うべき推進機器が、火と煙を吹き始める。

 

「プ、プロトタイプと同じだ!!」

 

 かつて彼が搭乗したアルダム試作機、それの脆弱性を完全に克服していないのだろう、機体速度、そして燃料を示すタコメーターの針が、一気にゼロの数字まで振り切れた、レンの額にどっぷりと吹き出る汗油。

 

「……なっ!!」

 

 そして、その宙にふらついたアルダムに向けて、悪魔もどきの口から、なんと火焔が噴き出された。

 

「フレイ・ボムまであったのか!?」

 

 グゥ!!

 

 咄嗟の判断で、この落下を始めたアルダムを放棄してレンは離脱しようとし、コクピットを開けようとしたが。

 

「くそ、ここもかよ!?」

 

 強獣の甲殻を利用した、内側からだけ見えるマジックミラーのような仕組みである、そのコクピット・ドアは開かず、そして。

 

 ジャ、ア!!

 

「う、うわぁあー!?」

 

 飛行手段を失ったレン機アルダムを「悪魔もどき」の口から吹き出た炎が包み込み、悲鳴を上げたレンが、自分の死を覚悟した。

 

 ボゥ、ウン!!

 

 その時。

 

「……ガロウ・ランが、自壊!?」

 

 アルダムに止めを刺そうとしたガロウ・ラン機が、突如として猛火に包まれる。

 

「……レンさん、大丈夫ですか!?」

「……フィナ!?」

 

 彼のかすんだ目の前で、全ての計器が停止を始めたコクピット、その中でどうやら未だ生きていたらしい鉱石無線器から、微かに響いた少女の声、それが油汗にまみれたレンの顔に、生気を取り戻させ、そして。

 

 スゥオ、ムゥ……

 

 オーラバトラー「アルダム」とは少し違う、オーラマシンのアイドリング音。

 

「……まさか、スジャータ!?」

「よお、レン!!」

「えっ、父上!?」

 

 火によって焦げたコクピット・ミラー、そこにレンが目を這わすと、その前には、リの機体。

 

「レンさん、大丈夫ですか!?」

 

 微かに見える軽量オーラボム「スジャータ」の姿と共に、先のフィナ・エスティナの声と一緒に。

 

「レン、何情けない戦い方をしてんのよ!?」

「エフアの奴も……!!」

 

 レンの幼馴染みである、騎士見習いの少女の声が、空中で停止したアルダム、そのコクピット内に。

 

「……停止している、壊れた、このアルダムが宙に?」

「オーラ・ボムのフレキシブル・アームには、こんな使い方もあるってか、バカ息子よぉ?」

「ハ、ハハ……」

 

彼レン・ブラスが良く見知った、計三人の声、それが若き騎士の耳に響く。

 

 

 

 

 

 

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