聖戦士ダンバイン聖戦士伝説「アルダム開発秘話」 作:早起き三文
が、その時、悪魔の出来損ないのようなオーラバトラーが、意外にも身軽な機動で。
グゥウ!!
「くそ、ガロウ・ランが!!」
レンのアルダムによる斬撃を、寸前でかわし、そして。
ボフゥ……
「……!?」
その手に握る謎の品物、そこから勢いよく、煙と。
「た、大砲か、それともフレイ・ボム!?」
レンのコクピット内までに響く爆発音、それと共に、黒光りする物がレン機に向かい、発射される。
「くっ、わっ!?」
レンがコクピット内でその身を大きくよじるのと同じように、アルダムの身体も大きく捻られ、あわてて身をかわすレン機のかたわらを。
ヒュウ、ア……!!
砲弾が、通り抜ける。
「……とならば!!」
僅かに機体を引いたレンの見やった、その不明機が持つ「大砲」らしき物、それのサイズからして、あと数発は砲弾が残っているとレンは推測し、そして彼のアルダムには、飛び道具が無いのであれば。
「これで!!」
ギィ、ン!!
――ヅエッ!!――
その相対する「悪魔もどき」のコクピットから聴こえた、くぐもった呻き声と共に。
「でぇ、い!!」
アルダムの剣と合したガロウ・ラン機の剣、同じような形状である、相手の片刃の刃が。
グ、ギィ……!!
折れた、いや。
イィ、ン……
衝撃により捻り斬られた、おそらく「悪魔もどき」の剣は鍛造ではなく、鋳型を使った鋳造の剣、それも粗悪な品なのだろう。
「よし、所詮はガロウ・ラン!!」
と言っても、アルダムの片刃剣も鋳型で作られた剣ではある、アの国のゲドのように、鍛え上げられた鋼鉄剣ではない。
「そのけったいな砲より先に、機体そのものを!!」
シュンジ王のゲドが持っていた剣のみは、ちゃんとした鍛造の鋼鉄剣である、そのリ国の総力、そしてアの国の技師や鍛治師が力を貸してくれて、ようやく造られた剣、日本刀じみた外見をした剣は、かつてのガロウ・ランの頭領であった。
「叩き斬る、シュンジ王の腕前のように!!」
討たれたギィ・グッガ、彼が駆る最強の強獣たる「ドラゴ・ブラー」の、強靭な外皮さえも、貫いた程である。
ジャ……!!
だが、その気合いを込めたレン機の斬撃は、またしても空を斬り。
「ちょこざいなガロウ・ラン!!」
――ジェッ、ドゥ!!――
「何!?」
アルダムの二太刀目、それを「悪魔もどき」はあえて、折れた剣を持ったままの腕を差し出し、楯とし、そして。
ゴゥ、ン!!
「う、うわぁ!?」
その片腕のみとなったガロウ・ラン機から放たれた砲弾、それが隙を作ってしまったアルダムの片脚に直撃、ドゥ!!
「コ、コンバーターが!?」
――このアルダムは、なんとしてもオーラコンバーターへの直撃だけは、避けてくれ――
と、リの国機械の館の責任者である男に、そう言われた事をレンは思い出した。
「し、しかし!!」
直撃ではなく、脚への被弾だ、それにも関わらず、アルダムの背に装着されているコンバーター、何故か位置が離れているそのオーラバトラーの、ジェットエンジンとも言うべき推進機器が、火と煙を吹き始める。
「プ、プロトタイプと同じだ!!」
かつて彼が搭乗したアルダム試作機、それの脆弱性を完全に克服していないのだろう、機体速度、そして燃料を示すタコメーターの針が、一気にゼロの数字まで振り切れた、レンの額にどっぷりと吹き出る汗油。
「……なっ!!」
そして、その宙にふらついたアルダムに向けて、悪魔もどきの口から、なんと火焔が噴き出された。
「フレイ・ボムまであったのか!?」
グゥ!!
咄嗟の判断で、この落下を始めたアルダムを放棄してレンは離脱しようとし、コクピットを開けようとしたが。
「くそ、ここもかよ!?」
強獣の甲殻を利用した、内側からだけ見えるマジックミラーのような仕組みである、そのコクピット・ドアは開かず、そして。
ジャ、ア!!
「う、うわぁあー!?」
飛行手段を失ったレン機アルダムを「悪魔もどき」の口から吹き出た炎が包み込み、悲鳴を上げたレンが、自分の死を覚悟した。
ボゥ、ウン!!
その時。
「……ガロウ・ランが、自壊!?」
アルダムに止めを刺そうとしたガロウ・ラン機が、突如として猛火に包まれる。
「……レンさん、大丈夫ですか!?」
「……フィナ!?」
彼のかすんだ目の前で、全ての計器が停止を始めたコクピット、その中でどうやら未だ生きていたらしい鉱石無線器から、微かに響いた少女の声、それが油汗にまみれたレンの顔に、生気を取り戻させ、そして。
スゥオ、ムゥ……
オーラバトラー「アルダム」とは少し違う、オーラマシンのアイドリング音。
「……まさか、スジャータ!?」
「よお、レン!!」
「えっ、父上!?」
火によって焦げたコクピット・ミラー、そこにレンが目を這わすと、その前には、リの機体。
「レンさん、大丈夫ですか!?」
微かに見える軽量オーラボム「スジャータ」の姿と共に、先のフィナ・エスティナの声と一緒に。
「レン、何情けない戦い方をしてんのよ!?」
「エフアの奴も……!!」
レンの幼馴染みである、騎士見習いの少女の声が、空中で停止したアルダム、そのコクピット内に。
「……停止している、壊れた、このアルダムが宙に?」
「オーラ・ボムのフレキシブル・アームには、こんな使い方もあるってか、バカ息子よぉ?」
「ハ、ハハ……」
彼レン・ブラスが良く見知った、計三人の声、それが若き騎士の耳に響く。