よし、経験値サンドバッグになろう。   作:訥々

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寄生、あるいは同居③/さよなら。

シリアス「やっほー」

 

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「『隊式格闘術2式──発破!』」

「ぐっ···!いいぞ、ますます上手くなってる!足運びも完璧だ!」

 

最終審査から一ヶ月。

第三部隊のグラウンドの隅をお借りして、私は非番のカフカさんと鍛錬をしていた。

 

 

 

なぜ私がカフカさんと鍛錬できる仲なのかというと······ノーカットで話せば長くなるから、ざっくりと説明しよう(私は誰に説明しているんだ?)。

 

私がヒルデちゃんと出会った(そして寄生された)後、なんやかんや大騒ぎになった。そりゃそうか。

それで、被·寄生の先輩たるカフカさんに“制御”や“対話”のコツを教わったりして。

私も防衛隊員を目指していることを伝えたら、「じゃあ非番の日は鍛えてやるよ!」というありがたい申し出を受け、そのまま2年以上鍛えてもらって今に至る。

以上。(ざつ)

怪獣を宿す者同士、惹かれ合ったということよ。(厨二)

 

 

 

「よし、今日はこのへんで終わりにしよう」

「ありがとうございました、カフカさん」

 

ハードな鍛錬で流した汗をタオルで拭きながら、少しの間お喋りを楽しむ。

 

「···そうだ、そろそろ正式に通達されるだろうが、入隊試験合格したぞヨル!おめでとう!」

「わ、随分と唐突ですね···。でも良かった、合格できたんですね」

 

「結構リアクション薄いな。意外だわ」

「自分で言うのもなんですが、かなり手応えはありましたからね」

 

「······ヨルって、自信家なのかそうじゃないのか、よく分かんねーな」

「基本的にはビビりですよ、私。今回はそれ以上に自信があっただけです」

 

「そっか。···それともう一つ、言っておきたい事がある。こっちの方が重大」

「······何でしょう」

 

カフカさんが、いつになく真剣な表情になった。

私も気を引き締める。

 

「識別怪獣兵器、って知ってるか?」

「ええ、もちろん。ナンバーズとも呼ばれてる、すごい兵器なんですよね?勉強しました」

 

「ざっくりだな···まあそうだ。そのナンバーズは現在、14号まで作られてるんだが、9号と11〜14号が適合者不在なんだ。*1だから来週あたり、適合試験に来てほしい」

「また試験!?嫌ぁ!」

 

『“試験”という言葉に過敏すぎる···』

「期末テストのトラウマが···うっ頭が頭痛で痛い*2

 

「ああ、卒業前のやつか···あれは酷かったな」

「やめて下さいカフカさんマジで」

 

『一次試験の時は良かったのに······』

「あの時だけは勉強しまくったからね」

 

 

◆◆

 

 

カフカさんと別れて家*3に帰った後、ヒルデちゃんに聞いてみた。

 

「······ねえヨルちゃん、適合試験行く?」

 

ヒルデちゃんのパパ(9号)はいい人···人というか、怪獣だったらしい。

いつもヒトのことを考えてて···群発災害も、長期的に見れば人類の糧となる経験だって···パパは信じてたんだって。ヒルデちゃんのことも、パパなりに大切に想ってくれてたんだって。

 

そんな“ひと”が“兵器”になっているところを見て···ヒルデちゃんは大丈夫なのだろうか。

 

『行くよ。最期のお別れをしてないもん』

「······ん。おっけ」

 

 

◆◆

 

 

1週間後。

11、12、13、14号の適合試験を終えた私達は、いよいよ最後の──識別怪獣兵器9号を腕部のみ装着した。

それだけで感じる、前の4体よりも遥かに強い“圧”。

 

 

 

 

 

 

 

 

圧────やばい、引きずり込まれる──······

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬、意識とんでた······。

ここはどこだろう······洞窟?

 

『深海底洞窟だね。多分、パパと暮らしてた場所』

「前に話してくれたところね」

 

「で、奥にいるのが······あれホントにパパ?()()()()()()()()()()()()

『うん······パパの前世の姿なんだって』

 

来たのか······ヒルデ

『お別れを言いに来たよ、パパ』

 

眼鏡を掛けてスーツを着た、至って平凡な男性。

あえて特徴を挙げるなら、少し気弱そうなことか······とにかく、私の思う“怪獣9号”のイメージからはかけ離れている。

 

そうか、無事に“寄生”出来たんだね

『“寄生”って言い方どうにかならない?今の私達は、対等な親友なの』

 

対等···怪獣と人間が?

『そうだよ』

 

9号の“前世”についても気になるけど、その前にこれだけは伝えておかないといけない···気がする。

だから私も、会話に割り込ませてもらう。

 

「私もそう思います。知性を持った怪獣と人間は、共存出来るんです!」

 

ヒルデちゃんやカフカさんと出会って得た実感だ。

元が人間だったなら、尚更可能だったはず。

 

『でも···でも、パパはその可能性を捨てたの!』

···ッ

 

『私はパパに生きてて欲しかった!今すぐ消えちゃいそうな“思念体”の状態じゃなくて······誰かと“同居”することも出来たんだよ、パパ······』

 

 

 

 

 

でも、もう······終わったんだよ。全部。これが僕の“終わり”だ

『知ってる。······だからあの時に言えなかったことだけ、言いに来たの』

 

───私を産んで、育ててくれてありがとう。

───大好きだったよ······パパ。

 

さよなら。

 

 

 

◆◆

 

 

 

私達は結局、どのナンバーズとも適合できなかった、ということになった。

 

家に帰った後、ヒルデちゃんが9号の“前世”についてぽつぽつと話してくれた。

 

彼は、こことは違う“日本”からやって来たこと。

 

その“日本”には、怪獣が存在しないこと。

 

彼は······ただの人間だったこと。

 

 

 

 

 

(怪獣9号 完)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんの為に生きているのか、

 

分からない頃もあったけど。

 

私はもう一人じゃない。

 

それだけで、生きる理由になる。

 

「見ててね、パパ」

 

私、頑張るから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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シリアス「ばいばーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ヨルの鍛錬初日〜

 

カフカ「よし、取りあえず今日は初日だから〜」

ヨル「(取りあえず今日は簡単で、あんまりキツくないメニューだよねきっと。気楽に楽しもう。ワクワク)」

 

カフカ「ウォーミングアップはストレッチと外周10周!それが終わったら、隊式格闘術の基本歩行4種の反復動作を100×10セットずつ!合間にストレッチを挟みつつ、階段ダッシュ30本なんかもやろう!」

ヨル「」

 

カフカ「頑張ろうヨル!つえー防衛隊員になるためには基礎が肝心なんだ!」

ヨル「が、頑張ります······」

 

カフカ「練習はこれからもっとキツくなるけど、頑張ろうな!!」

ヨル「頑張ります······(泣)」

ヒルデ『やっぱり防衛隊員ってすごい』

 

 

◯日比野カフカ

“対話”や治療により、怪獣化によって人に戻れなくなる···ということが無くなった。

それでも怪獣化は負荷が大きいため、普段は部分変身で戦っている。

「解放戦力10%!二桁いったぜよっしゃー!!」

 

 

*ギャグ回はチラシの裏に移植しました。。。

 

*1
ぐちゃぐちゃになった肉片を選り分けて頑張って作ったのに、全部適合者不在っていうね···。関係者たちは泣いていい。

*2
酷い日本語

*3
仮設住宅

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