ユニ様に仕えます   作:Mr.♟️

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ほうれん草

 

『お前の感じた視線ってのは、アルコバレーノだろうな。アリアが言うには、凄腕のヒットマンがⅩ世の家庭教師として派遣されたって話だ』

 

『γと比べたらどのくらい凄腕ですか?月とスッポンくらい?』

 

少なくとも風さんじゃないな。あの人、ヒットマンじゃないし

 

『γさんだ、クソガキ。そんな化物と比べるんじゃねぇよ』

 

アルコバレーノまで派遣するなんて、Ⅸ世はよほどⅩ世にご熱心と見える。最後の候補だから当然と言えば当然か

 

『それで、もう1人の方は?』

 

アルコバレーノとは関わらない。下手に探って火傷するのはごめんだ

 

『調べてやったよ。スモーキンボムって言えばわかるか?割と有名なやつだから、お前も知ってるだろ』

 

『いましたっけ、そんな有名人?ちょっと記憶にないですね。格下は覚えないタチなもんで。ところで、あなたは誰ですか?』

 

まあ、記憶にないってことは警戒するほどの相手じゃないってことだ。よかったよかった

 

『誰が格下だ、クソガキ。念を押しておくが、ボンゴレとは絶対に揉めるんじゃねぇぞ』

 

『僕が仕事嫌いなの知ってるでしょ。りょーかいです』

 

『分かったならいい。いいか?くれぐれも、問題を起こすなよ』

 

『しつこい男はアリアさんに嫌われますよ』

 

『死にてぇのか、クソガキ』

 

γとの電話を切る。誰が好き好んで、プレイボーイ風純情おじさんと長電話をするもんか。最後に物騒なことを言われたような気もするけど気にしない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼブル、今日は予定があるので出かけます。ついてこなくていいですからね」

 

「どこに行くんですか?」

 

珍しい。日本に知り合いはいないだろうし、僕についてくるなと言うのも珍しい。まあ、護衛だからこっそりついて行くんだけど

 

「秘密です」

 

「え、秘密ですか?」

 

珍しいどころか、初めてだ。姫様が隠し事?いや、年相応といえば年相応か。姫様の存在は秘匿されているし、1日くらいだったら問題ないか。いざとなればGPSで場所はわかる。過保護すぎて息を詰まらせるのもアレだし、駆けつけられる場所で待機しておくか

 

「そのうち教えてあげます」

 

「別に無理やり聞こうとは思いませんよ。何かあればすぐに電話してください」

 

学校?風紀委員に目をつけられてるみたいだから、ほとぼりが冷めるまで休む。これは僕がサボりたいからではなく、休まざるをえないからだ。あー、ガッコウニイキタカッタ

 


 

「てめぇが、リボーンさんが言ってたゼブルって野郎か」

 

神様嫌い。姫様の呼び出しにすぐにでも応じれるように、近くの公園で待機していたら絡まれた。それも、今朝γから聞いた『スモーキンボム』だ。神様大っ嫌い

 

「リボーンさんってのが誰かは知らないけど、スモーキンボムが僕に何の用?ボンゴレとジッリョネロファミリーに争う理由はないはずだけど」

 

敵意マシマシ、ダイナマイトまで取り出してやる気満々みたいだ。なんで?同盟を結んでいるわけではないけど、少なくとも争うような関係では無い。とりあえず、ダイナマイトはしまってほしい

 

「ボンゴレ10代目を監視するなんざ、それだけで敵対行動だ。果てな」

 

「マジぃ?」

 

問答無用と言わんばかりに、ダイナマイトを投げてくる。あーあ、こんなことして僕は知らないよ?

 

「あ、待てや!逃げんな!」

 

「逃げるに決まってるだろ。ボンゴレと揉めるなって念押されてんだから。こんなところで殺すわけにもいかねぇし」

 

三十六計逃げるに如かず。ボンゴレとの戦争とか勘弁。アリアさんに死ぬほど怒られる。いや、怒られるとかそういう問題でもない

 

「待て!!」

 

「待たないって」

 

公園内を縦横無尽に逃げ続ける。え、公園から出ないのかって?姫様から呼び出しがあったら困るからね。それに、スモーキンボムはあんまり強くなさそうだし

 

『2倍ボム!』

 

ダイナマイトを倍増して投げたところで無意味。手から離れるまでの動きでボムがどこに行くか予測するのは容易い。更にそこから爆発するまでの時間を含めれば、僕にあたることはない

 

「1回落ち着いて話し合うぞ。ボンゴレの守護者とやり合うつもりはない」

 

災難だ。もう少し理性的なやつはいないのか。僕と今争ってなんになる

 

戦争でも望んでいるのか?戦争とか絶対に嫌だ。ボンゴレと争えば、その傘下までこぞって参加してくる。キャバッローネファミリーみたいなバカでかい組織とまで争わないといけない

 

そうなれば、ジッリョネロファミリーはすり潰されるだけ。ここは穏便に話し合いで終わらせたいところだけど、スモーキンボムは冷静なタイプじゃなさそうだ

 

『果てろ!3倍ボム!』

 

物量で僕は潰せない。それがまだわからないのか。そろそろ面倒になってきた。殺──じゃない、じゃない。どうしたら穏便に帰ってもらえるか考えないと

 

 

 

スモーキンボムがダイナマイトを撒き散らし、僕がそれをかわし続ける。矛を収めてもらう方法は全く思いつかない。ダイナマイトが尽きるまで逃げ切るしかないのか

 

「んにゃろう、ちょこまかと逃げやがって」

 

「調子に乗るな。ボンゴレ関係者じゃなかったら殺してるぞ」

 

ダイナマイトを闇雲に投げても通じないと理解したのかスモーキンボムはその場で止まっている。対する僕も反撃ができるわけでもなく、動きを止める。根負けするのを待つしか対処法がない。とてもめんどくさい。1人くらい殺ってもバレないんじゃないか?きっとそう、僕は運がいいからバレない気がしてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワオ、楽しそうなことをやってるね」

 

こんな真昼間に風紀委員が学校サボったらダメだろ。なんなの?神様僕の事嫌いすぎない?

 

「雲雀っ...!」

 

スモーキンボムも同じく雲雀の登場は歓迎していないようだ。

 

「どきなよ、小動物。そっちのは、僕が先に目をつけていたんだ」

 

「言われてるぞ、小動物。小動物の意地を見せろ。小動物だって、肉食動物に勝てるんだ」

 

「っせぇ!何回小動物ってんだ!」

 

面倒なことになった。姫様は用事が終わるのが12時頃って言っていた。今は11時30分、あと30分もここでこいつらと戯れないといけない

 

「どっちからでもいい。かかってきなよ」

 


 

はい、残念なことにスモーキンボムは果てました。日本の風紀委員長って全員こんなに強いの?一応のされたやつ、マフィア界隈では有名人らしいんだけど

 

「君は逃げてばかりだね」

 

「僕には姫様の子守りってミッションがあるからな。なにより、ケガをしたら怒られる」

 

「そんな心配しなくていいよ。しばらくは病院生活になるだろうから」

 

信じられるか?この会話、互いに走りながらしてるんだぞ。割と全力で走ってるのにピッタリとついてくる。へんたいふしんしゃさんめ

 

「風紀委員が学校サボったらダメだろ」

 

「仮病で休んでいる君に言われたくない。僕はいいんだ、風紀委員長だからね」

 

逆だろ

 

なんて、心の中で突っ込んでいるとトンファーが服を掠めた。雲雀恭弥、本当に強い。γや幻騎士といい勝負をしそうなくらいには強い

 

このまま逃げててもそのうちボコられそうだし、なら──もう我慢しなくてよくね?殺られそうだから殺る。これってもう正当防衛だろ

 

「──しーらねっ」

 

砂場の砂を思いっきり蹴り上げ、雲雀の視界を潰す。砂をかわすために後退した雲雀に追撃する。僕は悪くない、しつこいお前が悪い

 

「やる気になったみたいだ」

 

「お陰様で」

 

トンファーを構える雲雀、対して僕は徒手で構える。正直な話、素手で戦うの嫌いなんだよね。返り血浴びたくないし

 

「ワオ、いいね。来なよ」

 

「格下から来るもんだろ。お前が来いよ、雲雀恭弥」

 

楽しげな笑みを浮かべる雲雀、僕も笑みを浮かべている。風紀委員長を殺ったら並盛で暮らしにくくなるかもしれない。そのくらい我慢しよう。最悪隣町とかに引越してもボンゴレの観察は出来る

 

一般人はあんまり殺りたくないが、こいつは例外。恨むなら勝手に恨め。お前が死んでも、自己責任だからな

 

 

 

 

 

『咬み殺す』

『逝かせてやる』

「えっ、ちょ、ちょっと!なんで雲雀さんとゼブルさんが!?」

 

横槍が入り、僕と雲雀は互いに動き出そうとした体を止める。今日は厄日だ。神は死んだ

 

「小動物、あの赤ん坊はいるのかい」

「ボンゴレⅩ世。先に言っておくが、スモーキンボムをやったのは僕じゃない。雲雀だ」

 

このタイミングでボンゴレⅩ世。そして雲雀恭弥の口から出た赤ん坊、やっぱり今回の画を描いたのはアルコバレーノか。スモーキンボムが言っていた『リボーン』さん。恐らくはそいつがアルコバレーノ

 

それはそれとして、ボンゴレとの抗争はアリアさんに怒られる。それに、スモーキンボムをやったのは本当に僕じゃない。勘違いされる前に言っとかないとな

 

「ひっ、!?」

 

「...いないみたいだ。失せなよ、それとも君が相手をしてくれるのかな」

 

 

狼狽える沢田綱吉を見ていると、余計わからなくなる。血の繋がっている継承者がこいつしかいないからといって、沢田をボスにしたらボンゴレが迎えるのは破滅。まあ、僕が考えることではないが

 

雲雀は興味がないとばかりに沢田から目を離し、僕へと構える。横槍が入って僕としては興を削がれた。なにより、姫様のGPSが家に向かっているのを確認した。ここで戯れる理由はもうない

 

「僕とお前は今日この場で戦う運命ではないみたいだ」

 

ノビてるスモーキンボムから拝借したダイナマイトを爆破させ、土埃が待っている間に逃げた。姫様の護衛も楽じゃない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....責任を取って、君が相手をしなよ」

 

「ええっ!!?無理ですって!俺が雲雀さんに勝てるわけないじゃないですか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アリアのファミリーならボンゴレに勧誘するわけにはいかねーな。ユニも懐いてるみたいだしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついてこなくていいと言ったのに、ついてきてたんですね。ゼブルが仕事熱心なようで嬉しいです」

 

「え?まさか、姫様が秘密の密会を楽しんでる間は家でダラダラしてましたよ」

 

「『撃っていいのは撃たれる覚悟のある人だけ。』この言葉を知っていますか?」

 

「クイズですか?知ってますよ。どの世界でもそうですからね」

 

「ところで、私にGPSをつけていますよね?」

 

「当たり前じゃないですか。護衛のために必要な──待った。なぜ、今その話題を?」

 

「頭のいいゼブルならわかると思いますが...」

 

「分かりたくないんですよ。察してください。誰の影響ですか?人にGPSを付けるなんて。聞くまでもなくこの陰湿さは幻騎士ですね。幻騎士の影響ですね」

 

「なぜ毎回私が会ったことの無い守護者に責任を擦り付けているんですか?行動には責任が伴うものですよ、ゼブル」

 

 

 

 

 

『おい、何のつもりだ』

 

『そっちこそ、何のつもりですか。嫌いな相手からのモーニングコールでテンションガタ落ちですよ』

 

『嫌いな奴以外いないだろ。なんでほうれん草送ってきやがった。なんかやらかしたんだろ』

 

ほうれん草を徹底しろっていうからほうれん草を送ったのに、めんどくさい。あれやれこれやれって指示しておいて、実際にやったら怒るなんて守護者の風上にもおけない

 

『別に何もやらかしてない。ただ、スモーキンボムが一般人にボコられるのを傍観してただけ。あ、1ヶ月くらい前なんで最近の話じゃないですね』

 

『──スゥッ──ハーーッ』

 

『深呼吸なんてどうしたんですか?あ、ストレスとか?年齢の割に老け顔なのが悩みなんでしょ?』

 

『あんまり調子乗ってるとぶっ殺すぞ。あ?死にてぇのか?』

 

『なーに怒ってるんですか。一般人に一方的にボコされたなんて、どうせ誰にも言えませんよ。メンツで生きてるマフィアならね』

 

よって、僕の傍観が罪になることはない

 

『悪知恵だけは1丁前だな、あんまり調子に乗るなよ』

 

『ハハハ、調子に乗ってるのが僕かあんたか、1回分からせましょうか?』

 

γからの鬱陶しい電話に対応していると、部屋のドアがゆっくりと開かれる。姫様、ノックはしないとダメですよ

 

「おはようございます、姫様」

 

「おはようございます。起こしに来たんですが、先を越されたみたいですね」

 

その手に持ってるクラッカーなんですか?パァンって鳴らそうとしてたとか?いやいや、中々に嫌な目覚め方ですよ?構いませんけど

 

『あーあ、γのせいで姫様が落ち込んじゃった。あーあ、γのせいで姫様がシュンッてしちゃった。あーあー、アリアさんに言ってやろー』

 

『お前、ボスの娘に起こしてもらってんのかよ。それこそアリアにチクってやろうか?』

 

「姫様、γが僕の事を脅すんです。僕が姫様のことを小間使いにしてるってアリアさんに報告するって。あと、ほうれん草の鮮度が悪いって言ってます」

 

『誇張するな。電話越しでしか話したことねぇのに、俺の前評判悪すぎんだろ』

 

ヒメサマが話したそうに電話をミテイル。ケイタイをヒメサマに渡した

 

『私です。ほうれん草は届きましたか?』

 

『ゼブルの言葉は忘れてください。もしかして、あのほうれん草は姫様からですか?えぇ、新鮮で美味そうなのが届きましたよ』

 

『私とゼブルからです。ゼブルがγにほうれん草を送りたいと言い出したので』

 

『ありがとうございます。野菜不足だったんで、ちょうど良かったです。折角なんで、姫様が先週作ってたほうれん草入りのスープカレーでも作ってみようかな、なんて守護者で話してました』

 

『?どうして、γが先週の夜ご飯を知ってるんですか?』

 

『ゼブルのやつが画像やら動画やら、姫様がやることなすこと送ってくるもんですからね。お陰で守護者一同姫の可愛さに骨抜きですよ』

 

『なるほど。これがゼブルの言っていた、百戦錬磨のγ式口説き術と言うやつなんですね』

 

『マジで何吹き込んでるんですかね!アイツは!?』

 

 

 

あ、なんか話が終わったぽい。姫様、意外とお茶目だからなぁ。γは朝から無駄に精神を削られただろう。ざまぁみろ

 

 

 


 

 

姫様に家を追い出された。休んでばかりではなく、学校に行けと追い出された。ボンゴレの監視はおまけで、姫様の護衛が僕の任務なんですけど。あ、あと、勉強を教えたりも。たまに学校に行かないと中学校の範囲がわからなくなる。そういった面では定期的に登校しないといけない。姫様勉強好きだからなぁ

 

「おかしい、そろそろ学校についてるはずなんだけど」

 

普段と同じ道を歩いているはずなのに、違和感がある。なんというか、学校に近づいている気がしない

 

試しに思いっきり学校へと走ってみる。遠くに見える学校が更に遠くの風景になっていく。近づいているはずなのに、遠ざかっている。この明らかな矛盾

 

「まさか、術士?」

 

だとしても、なんのために僕に仕掛けてきたかわからない。わざわざ日本にいる僕を狙う奇特な人間がいるとは思えない。存在を秘匿されてる姫様も同じだ

 

「何か面倒ごとに巻き込まれたのか?」

 

姫様を守るために家に戻ろうにも、既に僕は自分がどこにいるかわからない。目に見える自宅だろうが、それが本当とは限らない。これだから術士相手は嫌いなんだ

 

『術士に襲撃?されてるみたいです。なにがあっても、姫様は家から出ないでください』

 

『分かりました。なぜあなたが襲撃されてるかは分かりませんが、無事に帰ってきてください』

 

これで姫様のGPSの位置は動かない。万が一動いたなら、それは姫様も襲撃されたということになる。状況に応じて僕が取れる行動も変わってくる

 

 

 

「術士、喧嘩を売った相手が悪かったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クフフフ、今はまだあなたとやるつもりはありませんからね。()()()()()()()()。いずれ相見えることでしょう、()()()()()()()。あなたが死ぬ時に」

 

 

 

 

 

 

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