ストーリーは良かったのですが、最後がアレか――と、そこまでコードギアステイスト入れなくてもと。
最後のサクヤの絶叫が悲痛すぎて痛々しく、今回勢いで書いてしまいました。
あの場面で助けられるのは、『彼女』しかいない! と今回の話を書きました。
以下の点をご確認の上、お読みください。
・映画のネタバレあり
・超オリ設定
・映画のシーン一部に捏造あり
「おい、なにか妙なことになってるぞ」
緑の髪を持つ女性、C.C.が眉を顰めながら背後にいる男に声を掛ける。その問い掛けに、男は表情を同じようにむっつりと顰める。
「ああ―――『あの男』の仕業か。まったく、ロクでもない事しかしていないのか」
呆れた面持ちで毒づく男―――L.L.はこの事態を引き起こした要因を思い出し、思考を巡らせる。
「どうするつもりだ? 私達が干渉するわけにもいかないだろ?」
「ああ――今の俺達は、世界と関わるべきではない。だが、現状は明らかに合衆国と黒の騎士団に不利だろう」
「お前が『ギアス』を与えたあの娘は?」
不意に漏らした言葉に、L.L.の顔が曇ったのをC.C.は見逃さなかった。
「『視えた』のか?」
その問い掛けにL.L.は無言で返し、それが『答え』だと悟る。
「『ギアス』の力は孤独を呼ぶ――お前なら、言わなくても分かるはずだ。なのに、お前はあの娘に『ギアス』を与えた。今更、その責任を感じているのか?」
「―――身内の起こした問題だからこそ、だ。だからこそ、『あいつ』に行ってもらった」
その言葉にC.C.の表情が、初めて驚愕に変わる。そして、すぐに大仰な溜め息をついた。
「それで、か―――まったく、『あいつ』も大変だな。お前の不始末に毎度付き合わされて」
咎めるような口調と視線に、L.L.は苦笑で返すのみだった。
突如、世界中に出現した謎の殺戮機『ロキ』。
人間のみを狙い、そしてどこまでも追いかけ、確実に『死』を招く機械の群れは、各地に鮮血の装飾を巻き散らしていた。
黒の騎士団を中心とした各地の防衛隊は、ナイトメアを駆使し、なんとか進攻に対処していたが、いくら倒しても途切れることなく現れる敵に、徐々に戦力をすり減らされていく。
戦力の不足しているところは、旧式のナイトメアで出撃しなければならないほどだが、それも無駄な足掻きでしかない。
「隊長! このままでは――!」
あるエリアで、黒の騎士団のナイトメア達が必死にロキに抵抗していたが、戦力差に押しつぶされようとしていた。
「これまでなの――!?」
基地を背に抗戦するナイトメア部隊の隊長である女性が、悔しさに歯噛みする。
既に多くの民間人、そして騎士団員達が犠牲になった。本部に増援を要請したが、世界各地で同じ状況が発生しており、増援は回せないという絶望的なものだった。
ロキの群れが眼前に迫り、これまでかと覚悟した瞬間、突如上空より無数の光が降り注ぎ、ロキを次々と破壊していく。
「な、何だ――!?」
他の面々も突然のことに眼を瞬く。刹那、上空より一体のナイトメアが舞い降りる。
背部に巨大な蒼い光の翼を広げ、純白のボディに施された『蒼』――そのナイトメアが両手に2本のMVSを構え、強固なロキの装甲を容易く両断し、ラウンドスピナーを駆使し、地上を疾走する。
瞬く間に基地に迫っていたロキが一掃され、全滅を覚悟していた黒の騎士団は茫然となる。周囲一帯のロキが沈黙したのを見届けると、蒼いナイトメアは現れた時と同じく、翼を羽ばたかせ、戦場を去っていた。
「蒼穹の騎士―――」
その姿に、まるで『神』を視たかのように呟いた。
「成る程、『アレ』の特性は理解した。だけど、このまま対処していてもジリ貧――なら、大元を叩く」
空を飛ぶ蒼いナイトメアのコックピットで、黒髪を靡かせる女性が機体内に表示される様々なデータを一瞥し、すぐさま己の行動を決める。
既にL.L.より大まかなデータは受け取っていた。
一目散に目標を目指し、加速するナイトメアは時を置かず、海上のあるポイントに辿り着く。海上には、数隻の黒の騎士団の洋上艦が航行していた。
彼らの目標は、海中に潜むロキを移送していると思しき巨大な潜水艦だった。潜水艦内部には無数のロキが積載されており、それらが海中で展開し、盾となって潜水艦を守っており、致命傷を与えられずにいた。
その海域へと到着したナイトメアは、眼下の海中を見据える。
「アレか――目標は海中、しかも周囲には無数のロキ。遠距離攻撃は難しい――なら、これしかない!」
瞬時に状況を把握し、彼女は機体の兵装を交換する。
「リボルバーチェンジ! エアアームズ、ルミナスフィールド展開!」
ナイトメアの両腕が回転し、別の腕が現われ、ナイトメアを光が覆う。
「V-マキシマム、いっけぇぇぇぇぇ!!」
光が加速装置となり、ナイトメアをロケットのように打ち出し、真っ直ぐに進む。ナイトメアの接近に気づいたロキが反応し、阻もうと海中より飛び出し、襲い掛かるが、光に覆われたナイトメアに届くことなく、弾き飛ばされていく。
ナイトメアはそのまま海中へと突撃し、潜水艦に向けて機体を突撃させた。
光の質量が潜水艦の装甲を穿ち、そしてそのまま突き抜ける。海中で反転したナイトメアは、そのまま浮上し、装備していたロケットランチャーからありったけのミサイルを空いた亀裂目掛けて叩き込んだ。
結果を確認することなく、潜水艦を過ぎり、空中へと飛び出すナイトメアの背後で、水中より巨大な爆発とそれに伴う水柱が上がる。
「目標破壊。最後は―――」
彼女の眼は、遥か上空の先に向けられていた。急上昇するなか、彼女の眼に、『ソレ』は映った。
人類を駆除しようとした男――ノーランド・フォン・リューネベルクの駆るファウルバウトを、打ち込んだハーケンを引き寄せ、その頭上を取り、Zi-アポロの両腕のブレードでファウルバウトのコックピットを深く貫いた。
それによって、ノーランドは絶命し、それに伴い、主と同じく機能を失ったファウルバウト。その光景に、Zi-アルテミスのコックピットで、皇サクヤは実感を持てずにいた。
勝てるかどうかも分からないほどの強敵だった――思考が纏まらないなか、突如Zi-アポロがアルテミスとのドッキングを解除し、支えを失ったファウルバウトと共に、Zi-アポロが地上へ落下していく。
「アッシュ―――!?」
突然の事態にサクヤは混乱する。そんなサクヤに、アッシュの声が通信越しに聞こえた。
《このままエナジーをシェアすると、地上まで保たない。あなたには、まだやる事がある――》
その内容を一瞬理解できず、サクヤは悲痛な声を上げる。
アッシュの言う通り、ファウルバウトとの戦いでエナジーを大量に消費し、2機分の重量を地上まで降ろすことは難しかった。
だが、こんなことは、サクヤも望んでいなかった。
《ノーランドはきっと、自分の痕跡ごと、消し去るはずだ。だから、これが考えうる限り、ベストな選択なんだ》
既に覚悟を決めたようなアッシュの言葉が、胸を刺す。サクヤの眼から涙が溢れ出す。
《――今、俺にはあの時の重護さんの気持ちが痛いほど分かる。自分が死ぬことは怖くない。だが――君ともう会えなくなるのは辛い》
「アッシュ――!」
サクヤの叫びも空しく、Zi-アポロとファウルバウトは、どんどん離れていく。それが、手の届かない『距離』に感じられ、サクヤの胸を締め付ける。
痛い――傷たい―――イタイ――――イタイ――――
心が軋む。サクヤの心が果てしない絶望に染められていく。
(誰か――誰か、彼を―――アッシュを助けて―――――!)
サクヤは縋るように叫んだ。
「生きるのを―――諦めるな!」
その時、通信から初めて聞く女性の声が響いた。
「っ!? アレは――――!」
落下するZi-アポロのコックピットで、アッシュがハッと視線を地上へと向けると、自分達のいる空中目掛けて急上昇する蒼いナイトメアが見えた。
蒼いナイトメアがMVSを構え、すれ違いざまにZi-アポロのコックピットブロックを本体から斬り離し、空中に放り投げられたコックピットで、アッシュは振動に呻く。
そのコックピットブロックを旋回した蒼いナイトメアが受け止め、アッシュを救う。やがて、落下するなか、ファウルバウトが爆発し、閃光がホッカイドウの夜空に輝く。
哀れな生を受けた男の――狂った望みと共に――――――
あの後、サクヤはアッシュを救った謎の蒼いナイトメアと共に、地上へと降下した。アッシュが助かったことに安堵したが、それでも別離を味わうような痛みだったのだ。
早く顔を見たかった。
着陸したアルテミスのコックピットハッチを開き、逸るように飛び出す。やがて、降ろされたコックピットブロックのハッチが開かれ、その中から会いたかった顔が現われた。
「アッシュ――!」
なりふり構わず抱き着き、サクヤは嗚咽を漏らす。
「サクヤ、さん……」
「よかった、よかった―――」
戸惑うアッシュにサクヤは歓喜の涙を零した。
「もう、あんな事二度と言わないでください!」
悲しみが弱まり、次に沸き上がってきたのは怒りだった。咎めるサクヤにアッシュは、バツが悪そうに顔を逸らす。
「すまない――だが、あの機体は……」
謝罪と同時に、自身を助けた相手にサクヤも気に掛かり、視線を向けると、ナイトメアから相手が降りてきた。
(キレイな人―――)
相手を見た、サクヤが最初に感じたのはそんな印象だった。
サクヤと同じ黒髪を靡かせ、その瞳は確固たる強い意志を宿すのを感じさせる。凛とした雰囲気の女性が歩み寄り、サクヤは慌てて頭を下げる。
「あ、ありがとうございました! アッシュを助けてもらって――」
「気にしないで。私も、頼まれただけだから」
「え――?」
女性が発した言葉に、困惑する。
誰に――という疑問に答えるように、口を開いた。
「あなたにその
その言葉に驚愕する。
「あなたは、『あの人』の――?」
「ええ――――例の殺戮マシンも、これで終わる。私の仕事はここまで。後は、あなた達の仕事――」
背を向け、再びナイトメアに向かう女性の背中に、サクヤは思わず声を掛けた。
「あの! あなたの名前は―――?」
その問い掛けに、女性は歩みを止め、暫し逡巡した後―――振り返って、名を告げた。
「私は――――『マーヤ』」
ノーランドの死と共に、世界で活動していたロキは一斉に活動を停止。人類の駆除を目的とした殺戮劇は、終わりを迎えた。
世界で多くの命が失われたが、それでも人は『明日』を生きていかねばならない。
ネオ・ブリタニアが実質消滅したことで、ホッカイドウブロックは、皇帝であった『皇サクヤ』がそのまま指導者となり、復興を進めた。
やがて、ホッカイドウブロックは合衆国日本へ再び帰属するだろう。
そんな皇サクヤの傍には、専任騎士となった『アッシュ・フェニックス』がいた。他にも、春柳宮サクラやナタリア・ルクセンブルグらが補佐官として彼女を支えている。
かつての政庁で、サクヤの解放と宣言が行われているのを、政庁が一望できる丘で見る黒髪の女性が表情を和らげる。
「これで、あなたからのミッションは終了ね」
女性――マーヤが背後に声を掛けると、そこにはL.L.が佇んでいた。
「ああ――すまなかったな。面倒を頼んで」
「気にしないで――私も、あんな事を見ていられなかったから」
労うL.L.にマーヤは肩を竦める。その答えにフッと笑みを浮かべ、身を翻す。
「さて、あまり放っておくとC.C.が煩いからな。いくぞ、マーヤ―――」
「イエス、ユアマジェスティ」
一つの物語を見届けた彼らは、再び旅立っていく――――――
※超絶設定
・マーヤ
復活後、L.L.、C.C.と共にギアスの欠片を捜索する旅に同行。かつての名をすべて捨て、ただの『マーヤ』として世界を回っている。
・ペンデュラム改二
アルビオンのエナジーウイングを含め、強化換装した機体。