妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします!分割版   作:tom200

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入学編⑬

『ハッピー学園ライフ?』

 

 

お兄様のモテモテ高校ライフは始まった。

登校すれば周囲からきゃーきゃーと声が上がり、視線は独り占めだ。

体育の授業はまるで大会のごとく声援が起こって、お昼を食堂で取ればお兄様と同じものをと注文が殺到する。

…すごい、漫画の世界だ。

だがこれは女子だけの反応じゃない。

男子たちもお兄様に熱い視線を向ける。

しかしその意味合いは女子とは違い――

 

「司波、うちの部にぜひ入ってくれ!」

 

そう、クラブの勧誘合戦だ。

ブランシュ云々は学校に影を落としたが、のど元過ぎれば、ではないが目の前の問題には些末なことだったようで、新入生獲得に動く部活動の前には跡形もなく消えてしまうらしい。

特にお兄様はホープだ。

あれだけの身体能力を見た運動部は特に獲得に熱を入れている。

時折隣にいる私に、

 

「カッコいいお兄ちゃんを見たいよな!」

 

と期待する目で見てくる先輩がいるけれど、残念ですが。

 

「兄さんはどんな姿もカッコイイので大丈夫です」

 

この言葉で撃沈させてもらってます。

お兄様は研究に忙しいのです。部活動での青春はお呼びじゃない。

憧れはしますけどね!だってお兄様だもの!!部活に勤しむお兄様なんて最高にかっこいいだろう。当然応援したい!はちみつレモンの差し入れとか憧れだよね!

でも妄想だけで十分です。これ以上お兄様をお忙しくさせるわけにはいかない。

だけどお誘いは運動部だけではなく文化部もだ。

だってお兄様が入ったらその他諸々もついてくるだろうからね。廃部は避けられる。

だけどその廃部の危機もない演劇部も誘いに来たのはすごかった。

突然食堂でフラッシュモブが始まったと思ったら部活の勧誘だって。

…お兄様も唖然としてましたよ。すごいね、お兄様が外でこんなになるなんて、なかなかレアですよ。

 

「…これは予想してませんでした。私のせいでお兄様には大変なご迷惑を」

「深雪のせいじゃないよ」

 

そうは言ってくれますが、アレが原因ですからね。しょうがない。

でもおかしいな。女の子たちきゃあきゃあ言っているわりに告白には踏み込まない。

ううん、憧れではあるけれど近寄るにはまだ早い、かな?

女友達しかいない状態で聞いてみたけれど。

 

「それは…」

「しょうがないんじゃないかな」

「どうして?皆気後れしてるとか?兄さん目つきは怖いかもしれないけど優しいし」

「優しい、ねぇ」

「その、深雪さんとのらぶ…仲良しぶりの方に遠慮しているのではないでしょうか」

 

上からほのかちゃん、雫ちゃん、私、エリカちゃん、美月ちゃんの順である。

っていうか美月ちゃん、私たちそんなに学校でラブラブなんてしてないですよ。べたべただってあれ以来はしてないんだから。

でもそう映ってるっていうなら問題よね。

 

「私、離れた方がいい?」

「「「「それはやめて」」」たほうがいいと思います」

 

強い否定。だめですか。

でもそうしないとお兄様いつまで経っても恋愛始められなくない?

そう伝えるとみんなが驚いたようにこちらを凝視していた。

え、何??

 

「深雪、達也くんに恋人作ってほしいの?」

「え、ええ。いてもいいと思ってるんだけど、そんなにおかしなこと?前に生徒会長にもそんなこと言われたけど」

 

七草会長にも私の独占欲疑われたけどそんなブラコン重症に見える⁇

そんなに困惑されると私が間違っているような気になってくるのだけど。

 

「ま、まあ兄貴の恋人事情に口を出すのはどうかって言うのはあるんだけど、さ」

 

エリカちゃんが気まずそうなのは渡辺先輩とお兄さんの件ですね?棚に上げづらいですか。

 

「別に兄さんには兄さんの幸せがあるでしょ。そこに私が出しゃばるのもおかしい話じゃない?」

「うーん、正論。正論なんだけど…」

「なんていうかお二人の場合その正論が合わないと言いますか」

 

なぜ論外なの?

友達と意識が共有できないことが悲しい。

 

「ええっと、達也さんに恋人ができない理由だったよね?」

 

ほのかちゃんが軌道修正に入ったことでみんなはっとして思い出したようだ。

そうだね。その話だった。

 

「達也さん、私たちといると普通の男子生徒って感じなんですけど、深雪さんといるととっても甘々というか、二人の世界というか…入り込もうとする勇気ある人はなかなかいないんじゃないか、と」

 

わかる~、という空気が満ちる。

…それは当事者だけど、うん。わかる気がします。

お兄様はいつでも私を甘やかすから。

 

「見てる分にはいいんだけどね」

「なんていうか、少女漫画より少女漫画してますよね。兄妹ですけど」

「あんなカップル現実にいるはずない」

 

カップルではないですけど、現実にはあり得ない発言されました。

私たちは架空の生物らしいですよお兄様。なんだろ?ツチノコかな?

 

「だからいつも達也さんを見ている女子の人は漫画の主人公を見ているような憧れ方と言いますか、理想のヒーローを眺めていたいって気持ちなんだと思いますよ」

「…現実の彼氏としてはありえない、てこと?」

「というより相手は自分じゃないって感じ?」

「不思議と深雪に並んでも見劣りしない」

「あ、わかるー。深雪の浮世離れした容姿に並べる人なんて、って思ってたけど達也くんが横にいてもおかしくないっていうか」

「でもそれはうちの学校の生徒限定かもしれませんね。お二人の仲を知っている私たちだからこそ、達也さんが隣に立つべき人だと思っているから自然ですけど」

「ああ、二人の関係性を知らなければって?確かにフィルターはかかってるかもねー」

 

皆楽しそうね。

ずるい。私もそっち側で楽しみたい。

 

「そもそも達也さん、深雪以外に目がいってないから興味自体無さそう」

「そうね、生徒会長とかがちょっかいかけても何の反応もしてなかったし」

「…そもそも女性に興味がない、とかではないですよね?」

 

あら美月さんそちらにもご興味が?

残念ですがお兄様ちゃんと女性が好きですよ。…あれ?原作ではそうだけどここでは違うかもしれない可能性が…?

 

「…それってどう検証すればわかるかしら」

「えええ、ちょっと深雪!?何を疑ってるの?!」

「愛のカタチって様々だから」

「いやだからってそれは…」

「私はお兄様が幸せならそれもありかな、って」

 

お兄様が幸せであればいいじゃない。

何の問題もない。

 

「深雪ぃ、目を覚まして。なんで美月まで!こっちにもどってこーい!」

 

 

 

目が覚めたらお兄様がいました。

あれ?本当に寝てました?

 

「深雪、何がどうしてそんな話になったか知らないが、俺はノーマルだ」

 

半眼のお兄様がとんでもない発言をしている。いや、させてしまったの?

…なんか、ごめんなさい?

 

 

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おまけ

『この話は大変短いお話ですね。まさに番外編。今回は話が話ですので深雪ちゃんのみゲストです』
「…お兄様に聞かせたら最後、とても恐ろしいことが待ち受けていそうで…」
『でしょうね。監禁待ったなし』
「ひっ」
『だって、お兄様に彼女、または彼氏を作ってほしいなんて話をしたら――』
「誰です!お兄様にヤンデレ要素を加えたのは!」
『Sの気も公式ですし、『閉じ込めたい』発言も公式です』
「ぐっ…要素は…揃ってます、ね」
『それにどっぷり愛情に漬け込んだのは深雪ちゃんでしょうに』
「うぅ…自業自得…まさか、お兄様幸せ計画が裏目に出ていたなんて…」
『でも、前回も話にありましたがそもそもの話、衝動が妹にしか向かない時点で可能性は限りなく低かったかと』
「…それでもお兄様の常識が食い止めると思ったのです…。妹と結婚しない理由の為にも、自分が良い人と思える相手とお付き合いしてくれたら、と」
『まあ、好意を抱くことも女性を抱くこともできる、みたいな話はありましたからね。他人と連れ添うこともできなくもなかったのは事実でしょうが…』
「『私』からアプローチが無ければお兄様が妹を恋人にすることは無いはずだったんです…」
『原作通りなら、そうなっておかしくはなかったでしょうね。そして、深雪ちゃんからの好意が無ければ、ですが』
「たとえお兄様が妹に異性としても意識していたとしても、妹の幸せを見守ろうとしたはずです」
『まあ、その場合お兄様不幸になってますけどね』
「…だから、気付かぬうちであればそれも勘違いして兄妹と離れることがつらい、で済むはずだったんです…。後は恋人に癒してもらえれば」
『上手くいくはずだった、と。無くはない案だったかと思いますが』
「でしょう!」
『どのみち妹愛が突き抜けちゃいましたから』
「うぅ…」
『作戦ミスです。諦めてください。というか見て下さいよ。まだ一月も経っていないのに彼女たちだって『何無謀なことを』って顔してるじゃないですか』
「これは劇のせいです!」
『それだけじゃないでしょう。お兄様の態度だって重度のシスコンヤベェ、でしょう』
「…一応シスコン判定なんですね」
『そりゃあ兄妹ですもの。この時は誰もが兄妹の恋愛なんてフィクションだと思ってましたよ』
「やはり、シスコンがネックに…」
『かといってこの通り離れていったとしたら――バッドエンドしか待っていませんが』
「なぜ!?」
『なぜも何も…何故学ばないのです?ヒント『お兄様のトラウマ』』
「…あ」
『ま、答えですが』
「ああ…ってことは中学生より前に記憶を戻さなければならなかった…?」
『どうなんでしょうねぇ(兄妹愛しか残されなかった時点で深雪ちゃんルート以外無いと思うんですけど…)まあ、今更どうしようもないですから。やっちゃったもんはしょうがないです』
「お兄様の別ルート…」
『だからって彼氏を考えるのは流石にお兄様も呆れを妹に見せてましたね』
「お兄様が幸せなら有りでは?」
『目を輝かせないでください元腐女子さん』
「腐女子ではなく雑食で百合ももぐもぐしてましたが」
『深雪ちゃんの容姿でその発言はお気を付け下さい』
「…失礼しました」
『まあ、このかなり先の話になりますが光宣君と清水寺に行った時に、同性の視線に対し厳しい場面を見る限りお兄様にそっちの気は無いでしょうね』
「…お兄様、同性で嫌な思いをされた過去がお有りってこと…」
『そこは深堀しない方向で行きましょう。その穴は覗いては行けません。深淵に繋がっています…』
「お兄様のモテモテ高校生ライフが…」
『まあ、頼られるお兄様って言うのも新鮮で良いですね。ちょっとは青春出来ていそう。これは確実にあなたの功績です』
「計画の全てが無駄になったわけではないのですね」
『というよりお兄様にとってはこれ以上ない幸せへ続く道かと思いますがね。で、いつ頃返事をされるんです?』
「!///知りません!」
『(…ってことはすでに落ちかけているのを自覚しているんだな。もう少しってところか)あまり焦らしすぎるとお兄様が仕掛けてきますよ?』
「っ……どうすれば…」
『あ、お兄様』
「!!」


――深雪が退出しました――

『呼んでないのですから来られないのですがねぇ…もう一押し、ですかね』


――

この頃はまだ番外編を書こうとも思っていなかったのでエピローグ集として纏めて本編として挙げていましたが、今思えば分けても良かったですね。今さらですが。
妹による学校生活のプランをどうすべきか悩んでいるところですね。
あと妹が兄の恋を推奨しているってことを印象付けようとしたのですが…まだ入学して一月なのにすでに認識が『あのシスコンに恋愛なんて無理だろ』に。皆、慧眼。…というより一目瞭然ですよね、知ってた。
お兄様モテモテで浮かれているようですが、誰も恋心を向けてないことに疑問符を浮かべている辺り現実が見えているのに見ていないというか。
だからちょっと血迷った考えに行きました――ら、お兄様がそれだけは無い、と否定されてましたね。
お兄様的にその誤解だけは解かなければ、と思ったのでしょう。
妹にはそういう邪心()を抱いて欲しくなかったのかもしれません…お兄様、妹に綺麗なモノ以外見せたくないって習性ありますよね。この時代にジェンダーフリーなんて思想ないので。
妹はもっと心から謝罪すべきだと思います。

お粗末様でした。
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