妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします!分割版   作:tom200

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四葉継承編⑬

 

 

頭の中が真っ白に漂白されたように思考が停止した。

それでも優秀な脳と体はお兄様の言葉を聞き逃すことはない。

 

「気づいたのは叔母上と話している時だった。と言うよりアレは気付かされたのだろうな。焚きつけられたとでも言うのか。だが、叔母上に言われたからじゃない。俺はずっと前からお前を愛していたんだ」

 

「兄妹愛だと思っていた。それしか残されていない俺にとって唯一愛することができるのがお前だったから。血の繋がった妹だから大事で、これからも一生繋がったままでいられるから愛しているのだと」

 

「何度も勘違いを正す機会はあったんだ。普通、兄は妹をあんなにべたべたと触らない。抱きしめても抱き足りないなんて思うわけがない。ましてやキスをしたい等、妹に抱く感情ではなかった」

 

「周囲にもあんなに醜く嫉妬していたのに、俺はそれを子供染みた独占欲だと思っていた」

 

「俺の大事な妹に近づくな、と。――妹であるならば、深雪の立場であればいずれ誰かと結婚することなんてわかっていたはずなのに。俺はお前を外敵から守るという名目で近寄るモノを遠ざけようとしていた。それだけでなく、お前にどう思っているかなど確認までしていたな」

 

 

並べられていく、お兄様の想いに、ようやく理解が追いついて咀嚼するのだけれど今度は飲み込むのが追いつかない。

けれど、お兄様が私を好いてくださっている、と伝えたいのだということは理解できた。

理解できたけど、混乱を極めるというもので。

 

「わ、たしは…あの、…お兄様と…そのような、えっと」

「うん」

「か、考えたことが無くて」

 

真っ赤になって俯く私に、お兄様から優しい声が掛けられる。

 

「だろうな」

 

それが当たり前だ、と掛けられる声に、落ち込んだ様子が一切ないのが気にかかった。

この状況はまるで深雪ちゃんの立場にお兄様が成り代わったようではないか。

告白する側が入れ替わってしまっている。

だけどもし、原作の深雪ちゃんとただ逆転してしまったのだとしたら、お兄様は私の返答にそれとなくショックを受け、それでも愛を否定されなかったことに安堵する――という流れになるのではないのだろうか。

深雪ちゃんはそうして、お兄様から否定されることがなく安堵しながらお兄様の横で眠るのだ。

愛せるように努力する、というお兄様の言葉に希望を抱いて。もし愛されなかったとしても自分の愛を貫く覚悟をもって。

けれど、現状はどうだろう。

このお兄様は深雪ちゃんのように取り乱しもしていなければ、拒絶されることが無いという自信まであるように見える。

 

「なあ、深雪」

「は、はい!」

「お前は俺をそんな対象として見たことが無いのだったね。当たり前だよ。普通兄に恋をすることなんてあり得ないのだから」

「……はい」

 

一般的にはそうだろう。兄妹は恋愛対象にならない。本能と環境が避けるように教える。

原作を知っている私にはこの体がそれを飛び越えられるものであることを知ってはいたのだけど、お兄様がその対象になかったのは――

 

(お兄様に兄妹という事実を乗り越えるほどの魅力が無いというわけではなく、お兄様相手に恋心を抱くなんて恐れ多いという心境なのですけれど)

 

何せ前世からのファンだ。幸せになってほしい、幸せにしてあげたいとは思えどその愛にリア恋が挟まれる余地など無かった。

 

「だが、お前は俺を愛してくれた。慈しんでくれた。それは間違いない」

「はい」

 

おっしゃる通り。私は自身の差し出せる限りありったけの愛情をお兄様に渡してきたつもりだ。

 

「俺も、そのつもりだった。妹としてお前を愛していたつもりになっていた」

 

自身もそのはずだった、と語るお兄様の表情には自嘲が浮かんでいて気配が徐々に変化していく。…雲行きが怪しくなってまいりましたね?

お兄様の醸される空気に怖気づく様に、座っているのに腰が引けて体が勝手に後方に下がろうとしていた。

 

「――試してみないか?」

「試す、ですか?」

「お前が俺を異性として意識できないか否か」

 

………それは初めから負け確定のゲームです?いや、そのゲームが一体どんなものかわからないけれど。

流石に私だって分かっている。

妹は幾ら素敵なお兄様だからといってあんなにドキドキしない。

もちろんキスしたいとか、だ、抱かれたいとかそんな大それたことは思ってもないけれど、異性として意識してないかと聞かれればそれは、まあ、しないわけはなく。

 

(だって、お兄様だよ!?前世云々ももちろんだけど、自分だけを大事にしてくれて、特別な女の子として扱われてときめかないでいられる?)

 

たとえ妹だろうと関係ない。あそこまでされて揺れないでいられるわけがない。

普通血が濃ければ本能的に忌避するのが自然だ。一緒に洗濯したくないという年頃の現象は本能として当然のこと。家族は恋愛対象外だと、身体が本能的に嫌煙し拒絶反応を起こすのだ。もしくはそこまで強い反応を示さなくとも、無意識に避けるのが正常である。

そのはず、なのだけど…お兄様に対してそのような拒絶や忌避を覚えたことは一度もない。

お兄様が近くに寄って胸に抱く思いは心臓が痛くなるほどのときめきと遠慮だ。…そう、遠慮はともかくときめきを抱いている時点で私は――

 

「深雪が嫌がったなら止める。それを確認するために、お前に触れさせてもらいたい」

 

…そんなことされたら、今度こそ心肺停止してしまう。

拒まなければならない。そんなことしなくていいと、お兄様をお止めしたいのに口は縫い留められたように開かず、首を横に振りたくともピクリとも動かない。

体が石化したかのようにお兄様から視線をずらすこともできずに固まっていた。

お兄様はそんな私の異変にきっと気付いているはずなのに、彼の口を吐くのは衝撃を与える追撃で。

 

「このまま婚約をして、結婚となったら次に求められるのは子作りだ」

 

……お兄様の口から聞くとインパクトが凄い。顔が熱を持ったのがすぐに分かった。

淑女教育などもうとっくに役に立っていない。叔母様との圧迫面談で使い切った。余力などもう残っているはずもなかった。

ここでようやくお兄様が苦笑する。これしきの事で赤くなるなんて、と思われているのかもしれない。

お兄様としては、気を弛めるためのジョークだったのかもしれないけれど――動揺するよ?!無理だよ!!

あの、あのお兄様の口からこ、ここ子作りなんて!ほのかちゃんだったらとっくに意識を保てていない。

お兄様は苦笑で下がった眉をさらに下げて、申し訳なさそうに、けれど揺るがない瞳のまま真直ぐと私を見つめて言う。

 

「俺はもうお前を手放す気はない。お前の言う一時的な婚約でなんか終わらせない。お前と堂々と結婚できる権利なんてこの先あるわけがないからな。だが、だからと言って一方的に求めるつもりも無いんだ。できることならお前にも、俺を愛してもらいたい」

 

っ!!!

…お兄様が殺しにかかってきた。

変な声が漏れなかったことが奇跡に思えた。

心の中の、遠くの方でオタクが叫ぶ。愛してるよー!!とっくに落ちてるよー!!と。

でも黙って。その愛を受けるのは私なのだ。お、お兄様のあ、あ、愛を…受け取るの?私が⁇

 

(妹としてなら、受け取れる。というかこれまでずっとそう信じてきたから恥ずかしながらも受け止めてきたつもりだ。でも…それが違っていた……?お兄様が妹である『私』と、結婚を望むだなんて……⁇もっかい言うけど何がどうしてこうなった?)

 

一度飲み込んだはずの疑問が噴出したら、頭の中が一気に騒がしくなった。

 

(ここで『結ばれたい』と望むのは妹の深雪ちゃんだ。…つまりお兄様が深雪ちゃんに⁇私が成り代わったせいでお兄様に深雪ちゃん成分が?)

 

いやいやいや!と脳内で頭を高速で振って否定する。

 

(私が『深雪ちゃん』を正しく行わなかったから、お兄様に役割が振られた、ということか?原作崩壊を免れるために⁇)

 

神が送った電波をお兄様が受信して?…それだったならもっと序盤で改変すべきだ。結構前からお兄様の言動は原作から離れていた。

 

(というか神がそういうふうに介入できるなら速攻で私を排除するよね)

 

もしくは洗脳まがいで意識を改変しちゃえばいい。

……いや、されたいわけではないけれど。

とりあえずここまで改変しても何もされてこなかったのだから、てっきり神様は不介入の世界で、原作強制力だけが働く原作から分離した並行世界のようなものだと解釈していた。

お兄様を幸せにするため好き勝手やろう、とそう活動してきたのに――

 

(その結果が、お兄様による『告白』になってしまった…?)

 

頭の中が混沌渦巻く中、お兄様が不意に立ち上がって近づいていることに動くこともできず見つめていたらあっという間に抱き上げられていた。

肩に腕を回されて、腿を腕に支えられる形で。

見つめていたはずなのに何が起きたかさっぱりわからない。

え、いつの間に机を飛び越えられました?普通に横を回ってきた⁇自己加速でも使ったのではないかと言うほどの素早さ。

魔法を使われていないことはわかっているのに疑いたくなるほどの素早い動きに、身も心も翻弄されっぱなしだ。

 

「お、お兄様?!」

「ここでは具合が悪いだろう」

 

そう言ってお兄様が向かわれたのはふすまの向こう。――あの一組しかない布団の上で。

 

「え」

 

そっと下ろされて。

わあ。意外とふかふかなお布団ですね。

 

「震えているね。俺が怖いか」

 

お兄様から怖いか?と問われて虚を突かれて首を捻った。

お兄様が怖いわけではない。

この状況にひたすら混乱はしているけれど、恐怖を抱いていないのは未だ状況が理解できていないことと、この先の展開を考える余裕も無いから。

もしかしたら心の中でお兄様はこんな時でも絶対に私の嫌がることをしないと信じているからかもしれない。

また口が開かなくなって、代わりに首を横に振る。

お兄様はそれを責めるわけでもなくそうか、と頭を撫で、髪を梳き、背を撫でて落ち着かせようとしてくれた。

いつもの、お兄様の優しい手に、徐々に震えは止まっていく。

次第に強張っていた体も力が抜けてきた。

それを合図にお兄様の手が止まる。

 

「深雪、嫌だったら抵抗をしてくれ」

 

そう言って、もう一度頭から手を滑らせる。

今度は、そっとなぞるように。

 

「本当に磨き上げられてきたな。いつもより滑らかだ」

 

するり、と撫でるお兄様の表情は柔らかい笑みの中に真剣な眼差しが覗いていて、そこでふと気づいた。

お兄様からは揶揄うような雰囲気も、あの色気溢れるオーラも漂ってはいない。

こんな密着する場面、いつもならそうやって困らされてもおかしくないのに。

今の言葉も、甘く語り掛けるというよりは確認作業をしているかのように結果を述べていた。

…本当にチェックすることだけを目的にここへ連れてきた、ということ?言動は怪しいけれど、雰囲気に妖しさはない。

まるで地下の調整室みたいに、――この布団は計測台で、私が不快に思うか項目を一つ一つ確認するような…研究対象?

頬に触れ、上向きに角度を調整されてじっと見つめ合う。

 

「頬もいつもより温かく感じる。――うん、手先も温かい。全身の血の巡りが良くなっているのか」

 

気になったのか、胸の前でずっと握りしめていた右手を取られ、両手で包み込むようにしてから強張って力んでいたこぶしを丁寧に解かれた。

手の甲に添える左手と、手のひらを撫でるように触れる右手。くすぐったく動くその手が指の方に滑っていくと、軽く持ち上げるような手つきで止まり、いつもより冷えていないことを確認したと思ったらひっくり返されて指を絡めるように握られた。

その指の動き一つ一つにぞくぞくっと背筋に走る感覚がして身震いしてしまうが、お兄様は構わず右手を自身に引き寄せて。

 

「爪が輝いて見えたが、特にコーティングもされていないんだな。綺麗な桜色だ」

 

じっくりと指先を観察するお兄様は真剣な表情で、やっぱりそういった色が見えない。

恥ずかしがる私がおかしいということ、なのだろうか?

いやでも普段の測定の時だって恥ずかしい私だ。顔に出さないように必死なだけで。何年経っても慣れない。

ただの計測とわかっていてそれなんだから、この状況でも羞恥を覚えたって…そもそもこの状況ってどういう状況だ?

お兄様は何のために私の前でこんな真剣に確認をしているんだっけ。

確か異性として意識できるかの確認、だったと思う。

 

(でもそれってどう確認するつもりなんだろう?)

 

お兄様の動きに注視しながらまたも思考の海に潜る。

 

(というか、お兄様を異性として意識?してなかったらそもそも赤面なんてしないわけで)

 

ただ、結婚相手として考えてこなかったということだけ。

だって、原作では深雪ちゃんがお兄様をそういった対象としても愛してしまっていたから、献身的な愛を捧げられてお兄様は揺れ動いて――妹をそういう対象として愛していくのだ。

だけど原作でも自覚する前のお兄様は妹を異性として意識しないよう、しそうになるたびに自制を掛けて愛する妹を大事に慈しんでいたのだから、お兄様自身にもその素質は持ち合わせていたということになる。

そうならなかったのは偏に彼の中の常識が引き留めていたに過ぎない。

兄と妹が結ばれることなどあってはならないはずだ、と。

感情をある程度コントロールしたり、理性で心を切り離して考えられるお兄様にとって、いくら愛情を掛けられる対象が妹しかいなかったからと言っても妹からの告白が無ければ、お兄様が妹を女性として愛することなどまずありえなかったはずなのだ。

たとえ相手が自分のために用意された完全調整体で、兄妹であろうと問題なく子を成せると言われようとも、それなら問題ないな、とはならないのである。

常識的に、ということももちろんだが、もしそうなってしまったら四葉の思惑に乗せられるということでもあり、四葉からいつでも離れられるよう準備していたお兄様にとって不都合でしかないわけだから。

 

――そう、お兄様にとってこの婚約自体不都合であったはずなのに。

 

「…深雪、何を考えている?」

 

お兄様は心の機微に疎いけれど、妹のこうした些細な気落ちにすぐ気づいてくれる。

それが嬉しいと思う反面、だからこそ申し訳なくも思う。

 

「この婚約は、お兄様を四葉に縛り付けるものです。自立しようとなさるお兄様を、引き留めようとする楔」

「……」

 

お兄様の視線が私の顔から繋がれた手に戻る。

 

「お兄様が、愛してくださるとおっしゃってくださったこと、とても嬉しく思います。ですがこのまま叔母様の策略にお兄様が乗ることは無いのです」

「…策略、か」

「先ほどお兄様はおっしゃいました。叔母様と話して認識をした、と。それは叔母様からの誘導があったということ。叔母様に精神干渉の適正は無いはずですが、魔法だけが勘違いを引き起こす要因ではないことは七宝さんの件でも証明されたはずです」

 

彼は非魔法師の誘導により私たちを誤解し、警戒していた。魔法などなくても人は惑わされるのだ。

人心掌握に長けている叔母様なら特に、そういった手練手管は豊富だろう。

再び視線が絡み合う。

 

「深雪は、俺が騙されていると」

「お兄様の愛を疑うことはありません」

 

騙されているとは思っていない。お兄様は確かに私を愛してくださっている。それは間違いないことくらい私にもわかる。ただ――

 

「ならばなぜ」

「血が繋がっている相手でも、肉欲を覚えることはあることです。その後嫌厭するか常識的に無いと判断するか、どちらにせよその先を躊躇い無かったことにする。――お兄様も今までそうしてきたはずです」

 

特に深雪ちゃんは一目見ただけでも人を魅了する魔性の美少女。

そしてお兄様は激しい感情の動き、衝動が皆無であっても七草先輩たちに健全な反応をしないわけではない。ただ理性をコントロールしているだけに過ぎない。

感情の枷が無い私に対して彼女たち以上に性欲が動くことは何もおかしなことではない――のかもしれない。

私たちは血の繋がっている兄妹ではあるが、遺伝子が叔母様よりも離れているという。本能が子を成せることを理解しているのかもしれなかった。

 

「俺の想いはあくまで兄妹愛の延長である、と」

 

呟くお兄様の声と表情から感情が消えた。

でも、それに返す答えを私は見つけられずにいた。

そもそも愛というものを分類すること自体難しい。

家族愛、兄妹愛、友愛、恋愛etc.。

大まかに愛と呼んでも種類がたくさんある上に、愛し方にも種類がある。

直接的なモノから間接的なモノまで表現もそれぞれ。

「愛」というのは幅広く曖昧で境界線を引けないものだ。

今世ではお兄様を中心に狭い世界の範囲で愛を注いでいたので、愛を語るには材料が足りないだろうと前世を思い返してみる。

とは言っても前世で大した恋も愛も経験のない私が浮かべられるのは推し活くらいで。

オタクの愛は千変万化。推しによって変わる。

時に恋だったり友愛だったり、母性愛だったり敬愛だったり。そこに萌えが加わるとさらに複雑化が増し、様々な愛が複雑に絡み合ったりもする。

この愛が一体どんな種類の愛なのか明確に言葉にするのは難しい。

だが、この愛が現実と違う点が一点。

そのキャラに対して愛してるー!と叫べるけれど、素直になれるのは実体が無いからだ。キャラだからこそ愛を叫べる。

返ってくることなど初めから期待などしていないが、否定されることも無いからこそ大胆になれるのだ。

アイドルを推している人たちとは次元に違いはあるけれど、偶像を崇拝していることになるのだから似通ったところはあると思う。

2次元でも2.5次元でも現実にありえない、という壁があるから熱狂ができる。一方的な愛だから押し付けられる。そこに非現実という分厚く高い壁があるから。

見返りは本人に求めない。せいぜいグッズ化して貢がせてほしい、と思うくらい。

彼らを養っている一部に自分がいると思うだけで幸せ。

推しよ、健やかであれ。

滑稽に思えるかもしれないが、これだって十分愛のカタチ。

勘違いだろうと、誤魔化しだろうと愛は愛。

そもそも現実の恋だって勘違いから生まれたりするじゃないか。

吊り橋効果なんて正にその代表だ。

そこから愛をどう育むかであり、それで一緒になりたいと思うから結婚をする。

私たちは兄妹であったから一緒になりたいと思う以前に一緒にいるのが自然だった。

それがたとえ中学のあの日からだとしても、家族愛として、兄妹愛として愛し愛され、ここまで来た。

だが、兄妹はいずれ生活を分ける時が来る。

特に私の立場は次期当主。四葉の為に婚約者が据えられることは決定事項だった。

お兄様もそのことは承知していたはずだ。先ほどもそのような発言があったし、原作でも深雪ちゃんの相手に関して想像する場面があった。そしてお兄様自身も妹が結婚するならひっそりどこか離れた地で見守るつもりだとあったはずだ。

私の計画ではひっそりではなく、お兄様も愛する人と結婚をして幸せに暮らしてもらうつもりでいたから、別れて暮らすのは当たり前だと思っていた。

そう、覚悟していたはずなのに、何時からだろう。お兄様が傍に居ない景色が浮かばなくなったのは。

このままではまずい、至急兄離れをしなくては、とお兄様の関心を私から遠ざけ、周囲に向くように促してきたのに。

 

(兄妹なら、この先もずっと繋がりはあるけれど一緒に暮らすなんて、ありえないのでしょう…?)

 

深雪である私が、お兄様に恋情を抱かなければ――告白をしなければ、私たちの関係は兄妹でいられたはずでしょう…?

なのに、どうして――

 

「なら、それも含めて確かめ合おうか」

 

どこで、間違えたのだろう…?

 

 

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