妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします!分割版   作:tom200

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これにて九校戦完結です。


九校戦編⑱

 

 

さて、これから恐怖のストレス確定の合同コンパ…じゃなかった。後夜祭合同パーティーである。

制服で参加するのでその分気は楽だけど、囲まれるのは必至。

 

「人目がなければ兄さんに前借りするのに」

「俺はいつでも構わないんだがな。ほら、するか?」

 

お兄様が両手を広げてウエルカムしてくれるけど見て、周囲の目。

いちゃつくんじゃねーよって空気がすごい。

ハグしてストレス軽減を前借りしたいだけなのに。

 

「…やめとく」

「先輩方。深雪が委縮するのであまり圧を掛けないでいただけますか?」

「達也くん。ここは公共の場よ。人の目を気にして頂戴」

 

おお。七草会長頑張ってる!ありがとう常識。

お兄様は肩をすくめて手を下ろす。

私が振った話題がいけなかったね。つい口からぽろりと。

 

「それなら私とハグする?」

「雫!」

 

雫ちゃんが立候補してくれたので私は感謝を込めて抱きついた。

途端男子の堪えきれない声が漏れ聞こえたが構ってられない。

っていうかその声が一瞬で収まったのは、もしかして背後でお兄様が威圧したせいです?

 

「大変だけどこれを乗り切ったら祝勝会だからがんばろ」

「そうね」

「安心してください。慣れない貴女を一人にはしませんから」

 

そう言ってくれたのは市原先輩。かっこいい。惚れちゃう。

 

「リンちゃんが一緒なら大丈夫ね。じゃ、皆会場に乗り込むわよ!」

 

会長の号令で会場に入る。

すでにたくさんの大人たちが商品を品定めするように目を走らせている。

…ああ、やだなぁ。

お兄様がぽん、と肩を叩いてくれたのでそれを勇気に戦場に足を踏み入れた。

 

 

 

しんどいです。

おじ様おじ様お姉さまおじ様おじい様おじ様のほぼおじ様ラッシュ。

遠巻きには他校の男子生徒たち。

深雪ちゃんのパーフェクトボディに備わっていた耐久性高いはずの笑顔の仮面が今は剥がれ落ちそうです。

この程度軽く乗り越えねば、とわかってはいるんですけどね。

なんか言質取られないように、にこやかに交わすって結構疲労が蓄積されてくんですよ。

言葉巧みに息子を勧めてくるのやめて。知らないアイドル俳優並べないで。芸能界興味ないです。

そしてスパッと切りこんでくれる市原先輩のカッコよさ。

これは惚れるしかない。

今度学校始まったらお礼に何か作っていこう。先輩何が好きかな。甘いもの好きだったらいいんだけど。あとでチェックしよう。

多分会場中のおじ様と会話したんじゃないかっていうくらいすごかった。

終わって今見渡すとそんなにおじ様が見当たらないのは私に挨拶して用件済んだとか?いや、きっとどこかにいるよ。雉打ちとかで席外してるだけだよ。

そして怒涛のおじ様ラッシュを抜ければ今度は他校の男子生徒たちだ。

ミラージバットすごかったよ、綺麗だった、他に目がいかないエトセトラ。ピラーズブレイクも神秘的だった、あのCADは、とかとにかく話題が尽きない。

市原先輩が飲み物をくれるタイミングが絶妙です。将来は美人秘書ですか?研究者になりたい?もったいないけど夢を追う先輩かっこいいです。応援しています。

…守ってくれる市原先輩がかっこよすぎてかっこいいbotになってしまった。かっこいい。

にこやかに対応し続けているとちょっと目を引くオーラの持ち主がやってきた。

その奥では女の子たちが残念そうな表情で見守っている。

一条くん高校生一年生ながらすでにファンクラブでもあるのかな。あ、愛梨ちゃんもいる。可愛い!あ、目が合った!けど逸らされた…。三高の方は、私と目を合わせてはならないというルールでもあるのだろうか。

ってちがうちがう。一条くんがそろそろ目の前に。

まあかっこよくて家柄もよくて更に強ければモテないわけはないのか。

 

(…この条件ならお兄様も余裕でモテるな。家柄ばらしてなくてもあの状態なんだから)

 

ちらっと見ればお兄様もモテモテだ。

企業からのあいさつの後は女子に男子に囲まれているのが窺えた。

一高生徒からも遠巻きになんてされてない。

ふと途切れた雑音に、ようやく管楽器のBGMが聞こえた。どうやらダンスが始まっているらしい。だから男子に囲まれていたのか。

見渡せばダンスを踊っている人もちらほらいた。

 

「司波さん、あ、あの」

「一条さん、ですよね。試合を拝見しました。圧倒的な試合運び、素晴らしかったです」

 

一度すれ違いはしたけれど正式に挨拶はしていないので。

今も交わす名前は名字だけ。

お兄様はフルネームで交わしてたけどね。

試合見たよ、すごかったねと述べれば、一条くんは顔を真っ赤にしてうろたえていた。

いやその見かけで純情とかどうなってるんだろうね。やっぱり十師族意識して遊んでこなかったのかな。十文字先輩もそんなイメージないし。

 

「し、司波さんも、ミラージバット決勝は特に綺麗で、あ、じゃなくて圧巻でした!」

 

私が敬語だったせいかつられて敬語で話す一条くん。同級生なんだしもっと気楽に話してくれてもいいんだけど。

そんなことを思っていたら人の垣根などものともせず颯爽とお兄様が現れた!

 

「久しぶりだな一条将輝」

「むっ、司波達也か」

 

むっ、とは。十文字先輩は似合うけど一条くんはちょっと、まだ貫禄不足?

お兄様たちが挨拶を交わしている間にジュースをひとくち。

ちょっと魔法で冷やしたので冷たさが心地よい。

気が付けば市原先輩がいなくなっていた。え、先輩はくのいちだった!?設定盛り過ぎでは⁇また一つ先輩の魅力に気づいてしまった。

しかしどうも目の前のお兄様たちの会話は何というか…食って掛かる一条くんに反応の薄いお兄様の構図。好きな人は好きよね。私?嫌いじゃないよ。

美月ちゃんを見渡せば――あ、こっちに気付かず吉田くんたちと美味しいもの食べてるね。いっぱいお食べ。

 

「深雪、疲れたんじゃないか?何か持ってこようか?」

「大丈夫、ありがとう兄さん」

「…ん?兄さん!?!?」

 

あら、おっきいお声。

会場に響いたので全員がこちらを見ている。

元々注目度高かったけどね。

 

「お前に兄さんと呼ばれる筋合いはない」

 

お兄様、呼んだわけじゃないよ。わかってて言ってるだろうけど。

しかしその声は一条くんには届いてないのか大混乱を起こしている。

っていうか周囲もざわめきだしたね。

ちょっと前から兄妹モードだったのに気づかない人結構いたんだね。

 

「し、しば…親戚で婚約者じゃなかったのか?!」

「そんな噂になってたのか?」

「ふふ、恋人を通り越して婚約者ですって兄さん」

「どうりで思った以上の虫よけ効果が発揮されていたわけだ」

 

お兄様の虫よけ発言で周囲は何やら活気づいたが、お兄様を超えないと私にはたどり着けないぞ?わかっているか君たち。

 

「そんなに驚かれるなんて。私たちそんなに兄妹に見えなかったのね」

「どこにでもいる普通の兄妹なのにな」

 

それはない、とツッコミが各所から上がった。

一高生徒かな?と思ったけどそうでもない?目の前の一条くんも同じ声を上げた。

 

「ふ、普通の兄妹があんな肩抱いたり、耳元で囁き合ったりするものか!」

 

確か一条家には下に二人妹がいたはずだ。つまり自分の兄妹と比べているのか。

 

「そうなの?」

「他所は他所、うちはうちというヤツだな」

「絶対違う!」

 

珍しい。うちの学校はもうツッコミに疲れてこのような反応を目の前で見せてくれる人はいない。…遠くではいるだろうし、心の中では更にいっぱいいるんだろうけどね。

 

「一条さんは面白いですね」

 

そう笑うとまた真っ赤になって固まってしまう一条くん。これ将来十師族として大丈夫?次期当主だよね。ハニトラが心配になるけど。

 

「いつまでもここで固まってるのもなんだし、深雪、一条と踊ってきたらどうだ?」

 

お兄様も心配になったのかな。これは訓練させないとまずいって?

そして一条くんのオーバーリアクションがですね、バレバレだけどいいのかなぁ。

一途ってことならいいのかもだけど、ちょっとおもしろくて笑ってしまった。

 

「よろしければ一曲お願いできますか?」

 

手を差し出せば流石一条家の御曹司、すっと手を取る姿は様になる。顔はまだ赤いけど。

っていうかごめんね。私の方から声を掛けてしまったよ。普通男性の方からなのに。

 

「よろしくお願いします」

 

男女逆転してしまったけど、リードはうまかった。

こういうところはちゃんと教育が行き届いているのだろう。

体は少し離れ気味だけど、そこまで気にするほど踊りづらくもない。

 

「あの…本当に兄妹、なんです、よね」

「そうですよ。私の自慢の兄です」

 

強かったでしょう、と自慢げに言えばばつの悪い顔になる。

 

「そうだな。強かった」

「あの試合の対策方法はもう浮かびましたか?」

「…あのあとジョージと、あ、吉祥寺っていう俺の相棒なんだけど」

「知ってます。同じチームメイトでしたね」

 

っていうか傍でダンス見守ってくれてるよ。頑張れって握りこぶしまで見える。いいお友達だね。

 

「彼といくつもシミュレートしたよ。あんな真正面からぶつかることはなかった」

「そうですか。一条さんはもう前に進めているのですね。安心しました」

 

そう微笑みかけると一条くんは体が一気に緊張し、強張ったのがわかった。

まだ赤って上があるんだね。こうなると最高値を調べたくなるけどそれはしてはだめだ。いくら深雪ちゃんが魔性だからって弄ぶのはよくない。

 

「次こそは!必ず倒してみせます!!」

 

それ多分お兄様大好きな妹に言っちゃいけないことだと思うけど、こういう真直ぐさは嫌いじゃない。

 

「頑張ってください」

 

来年お兄様が出場する予定は無いですけれど。とは言ってはいけない。凄腕エンジニアだからね。おそらく来年も原作通りにいけば技術スタッフです。

 

「期待に応えてみせます!」

 

…なんか面白い具合に変換されてるね。いったい彼にはただの頑張ってがどう聞こえたのか。

 

「ふふ、一条さんは面白いですね」

 

もう一度同じ言葉を口にして笑っていると――!お兄様がほのかちゃんとダンスしてる!

ほのかちゃん顔赤いね!頑張ったんだね!嬉しくて笑みが深くなる。

 

「あ、あああの!深雪さんとお呼びしてもいいですか?!」

 

おっと、しまった。一瞬ラブコメ見て一条くんのことを忘れてた。

お兄様、もうちょっと楽しそうにダンス踊ってあげてください、とかそんなこと考えてる場合じゃなかった。失礼。

 

「それは…あそこにいらっしゃる三高の一条さんのファンに悪いですわ」

 

ずっとやきもきして見てる女の子たちの一団に目を向ければ、気づいていなかったのか一条くんも視線を向けてびっくりしてる。

 

「私から誘ってしまったのもよろしくなかったのでしょうね。はしたなく思われたかしら?」

「そ、そんな!それは俺が誘うのが遅かっただけで」

「フォローしてくださってありがとうございます。せっかくのダンスパーティーですもの。一条さんも楽しんでくださいね」

 

その言葉を合図に曲は終わり、手を放す。

ちょっと大げさに一礼をして見せて意味を含ませて微笑みかければ、一条くんは意味を理解したのか惜しむように空中で手を泳がせてから、踊ってくれてありがとう、と返してくれた。

それからたくさんの男子が殺到したが、一条くんの後はなかなか声を掛け辛いみたいで、お兄様はこれも計画していたのかなと勘ぐってしまう。

でもこれ一応踊らないと終わらないよね、と勇気を出して声を掛けてくれた男子の手を取りダンスホールに戻る。

選んだ男子がよかったのか、はたまた気を使える男子だったのか。

深い会話も押し付けることもせず、踊ってくれた。

お礼を述べると、その人はやっぱりこちらに気を使ってくれてたらしい。顔は真っ赤になったけど記念に踊れて嬉しかったと返された。

うん、彼はいい男になる。

それを見習った他の男子たちもこぞってそれを真似てくれたおかげで、ダンスだけを楽しむことができとても気が楽だった。

まあ、一条くんほど上手い人はいなかったけれど。そこは高校生ですからね。

踊った回数がもう両手を超え少し経ったころ、流石に足に疲労が来た。

断りを入れてウェイターからグラスを受け取ってこっそり抜け出し涼みに行く。

目立つ私がこっそり、とは本来難しいことだが、ここは魔法のある世界。

閣下の精神干渉魔法をまねてこっそり展開。

誰もこんなところで魔法を使うなど思っていないだろうから、気づかれることもなく会場を抜け出せた。

 

 

――

 

 

「お疲れ」

「お兄様も」

 

ベンチに腰かけていたお兄様もドリンクを飲んで休憩していたので、グラスを軽くぶつけて互いに労い合った。

 

「いろんな人と踊っていたね」

「お兄様こそ。七草会長とのはちょっぴり笑ってしまいました」

「…いいおもちゃにされただけだ」

「可愛い後輩認定されたということですね」

 

そう答えるとむっとした顔になる。

 

「弟、だそうだ」

「弟?つまり私のお姉さまになるってことですか?」

「それはない」

 

スパッと切り捨てるお兄様。切れ味が鋭い。

しかしお兄様を弟扱いとは。素直に認められない複雑な乙女心ってやつですかね。

順当にラブコメフラグは発生しているみたいです。

 

「一条とはどうだった?」

「一条さん、ですか?」

 

突然話題が飛んだので思考が一旦中断。再読み込みをして…一条くん?

 

「ファンがついてて凄い?」

「…なんだそれは」

 

なんでしょう。たぶん最後の方の印象が残ってるんでしょうね。

 

「来年お兄様にリベンジするそうですよ」

「来年選手になることなんてないだろう」

 

どう俺と戦う気だ?と頭をひねるお兄様。でも今回だって戦うはずないのに戦ってましたからね。二度あることは三度ある?かも?

そんなことを思っていたら会場から十文字先輩の姿が真直ぐこちらに向かってくる。

私が傍にいたことに驚いているということは、お兄様に用事があったのか。

お兄様が立ち上がるので私も続き、グラスを受け取ってその場で一礼。引き止めそうなお兄様の空気に気付かぬふりをしてその場を引いた。

おそらく十文字先輩はあの提案をしに来たのだろう。なら妹は邪魔なはずだ。

グラスもちょうど空になったし片付けるタイミングとしてもちょうどいい。

会場入り口まで行ってグラスを置き、ゆっくりと中庭に戻る。

そんなに話は長くないはず。十文字先輩も雑談に興じるタイプじゃないし。

空には眩い月が星々の輝きを霞ませていた。

空気は澄んでいるけれど、ここに光を届けるにはいたらなかったようだ。

ライトにも照らされている庭園はきちんと整備されていて、軍の設備でもこういった細やかな気遣いはあるのだな、と失礼なことを考えながら戻れば、十文字先輩とすれ違う。

 

「気を遣わせたな」

「グラスが空でしたので」

 

にっこり笑えば先輩はちょっと虚を突かれてから口角を上げてそうか、と言って戻っていく。

 

「深雪」

「お話はお済みのようですね」

「――どうやら先輩は俺を十師族にしたいらしい」

「お兄様の実力を知ればそうなるでしょうね」

「…俺には魔法力がないんだが」

「豊富なサイオン量と魔法力を補えるだけの戦闘力はありますから」

 

十文字先輩方はまだすべてを知らないけれど。

するとお兄様から鋭い視線が。

 

「おかしいだろう」

「おかしいことなどありませんとも」

 

お兄様は認めないけど、彼には十分十師族を名乗れるだけの力、魔法がある。

他の追随を許さぬほど強力な奇跡の魔法。

たった二つしか使えない?神のごとき力が揮えるのだ。それが二つもあれば十分だろう。

本人が嫌がろうとも、周囲が隠そうとも、お兄様の力を考えれば世界屈指の十師族といえど相手になどならない。

 

「いえ、おかしなことはありましたね」

 

結婚などせずともお兄様は十師族だ。

いずれ叔母様がまかり通る理由をつけて発表する。

だから婚約者を無理にあてがわれる必要はないのだ。

 

「お兄様が望んでそうなるならまだしも、押し付けられて、というのはおかしな話です」

 

お兄様には自由恋愛推奨派です。押しかけ押し付けお断り。

 

「望むことなどない」

「それは、どうでしょう。選択肢はあるに越したことはありません。ある日急に権力が必要になる時とか」

「…あるか?そんな日」

 

あるんですよね、そんな日。

お兄様は眉間に皺をよせ、いやいやなお顔。

権力にいい思い出無いですものね。…普通ないか。

 

「あ!お兄様、ラストダンスの曲ですよ」

「…精いっぱい相手を務めさせてもらおう。――一曲踊っていただけますか」

「はい、喜んで」

 

芝を踏みながら踊るダンスは先ほどまでと違い、安定しないが身を寄せ合って踊る分には問題ない。

背に手を回すお兄様に引き寄せられて密着してくるりと回れば安定感は抜群で、誰よりも踊りやすかった。

雫ちゃんが確か原作でダンスマシーンと踊ってるみたい、と評していたけど、ステップをリードしてくれるお兄様の動きは洗練された動きのように――思えたけど、時々ちょっとぎこちない?

 

「…やっぱり見ただけで身に付けるのは無理だな」

「…もしや一条さんのダンスを見て…?」

「アレが一番手本になると思ったからな」

 

お兄様、見稽古して踊っているというのですか!?どこまでチートなの?!

 

「お前の前では格好つけたかったんだ」

 

そう恥ずかし気のない顔で言われても信じがたいと思うけど――密着した体が教えてくれる。お兄様の心音はいつもより早い。

 

「…十分かっこいいです。お兄様は私の中でいつまでもかっこいいお兄様です」

 

だからきっと私の早鐘を打つ心音も聞こえているだろう。

お互いポーカーフェイスを保ちながら。

くるくる、くるくると回って。

 

「このまま二人で戻らないか?」

 

この場合、戻るは会場ではなくホテルだろうな、と見当がついた。

お兄様はきっと居心地が悪いのだろう。

人に受け入れられる環境というのに慣れていないから。

だからこそ、私は心を鬼にする。

 

「祝賀会に出ませんと、先輩方のメンツを潰すことになりますから」

 

そう言えばお兄様は残念そうに、でもわかっていたといわんばかりに苦笑してくるり、と私を回す。

 

「どう思われてもかまわないが、お前が悪く言われるのはよくないな」

 

どう思われてもいいのなら好意ある視線も問題ないですね。

音楽が鳴りやむ。

すっと離れてお互いお辞儀をして。

 

「それでは戻るか」

「はい。戻りましょう」

 

その後の祝勝会も大いに盛り上がり、九校戦は幕を閉じた。

 

 

九校戦編 END

 

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