妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします!分割版   作:tom200

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原作に無いオリジナル回です。


幕間
ツケと清算①


 

ハロウィンも終わって11月。恐怖の圧迫面接まで一週間を切りました。

それまでに袖の下を、とお兄様に隠れて、部屋でちくちくしているわけですが。

 

(お兄様、忙しすぎない?)

 

怒涛の横浜騒乱編が終わり、落ち着くと思っていたけれど後片付けが色々とあるようで。

学校での論文コンペの後始末から、第三ラボでの一件でセキュリティ強化についてだったり、軍は…大人たちが忙しそうなので、お兄様はノータッチかと思いきや、今回の戦闘でムーバルスーツの改善点やらいろいろ思うところがあったらしく改善点などを洗い出していた。

コーヒーを差し入れに行くと、お礼より先にハグを要求されました。

ビッグイベントが終了したというのに疲れが全く取れないどころか、蓄積してやいませんかね?

どうしよう。このままではお兄様、四葉家訪問なんてしようものなら、ストレスで爆発しちゃうのではないだろうか?

なにかストレス発散になるものを、と思うのだけど…そもそもお兄様のストレス発散法って何だろう?

ハグとか妹構い倒したり?それは私の体に良くない発散の仕方ですね。

後は体を動かす?お寺で先生とハードな運動を毎日のようにやっているわけだから、それ以上のものなんてないだろうし。

リラックスできるコーヒーブレイクは毎晩している。

あとは、ゆっくり入浴とか?でもお兄様烏の行水なんて入り方じゃなく、ちゃんと湯船であったまってるから、一般男性の平均は上回ってると思う。

うーん、リラックスできるアロマ?でもいつ出動があるかわからないのに、香りが付くものはちょっと良くないと思うわけで。

アニマルセラピーなんて、魔法師は動物に大抵逃げられるから撫でるどころじゃないね。

前世であれば猫カフェとか動物と触れ合う場が身近にあったけれど、実はこの世界、動物を飼うことはセレブのステータス。庶民がペットを持つなど到底できない、裕福なご家庭の象徴と化していた。

どうりで街中に野良猫も犬の散歩も見かけないわけである。

そもそも先も述べた通り動物と魔法師の相性もあまりよろしくない。魔法を使っている状態の魔法師には特に近寄らない。本能が分かっているんだろう。隠ぺい系を使っているなら別なんだろうけど。

深雪ちゃんの容姿で歌でも歌えば小鳥が近寄ってきそうなものなのにね。制御を完璧にできていない状態では姿すら見せてもらえない。残念。映像で我慢します。

…一瞬、イヌ耳つけて私が撫でられればワンチャン?とか頭を過ったけど、疲れてるのよ、私も。

何かストレスを無くす、良い方法ないかしら。

 

 

 

「え、ストレス発散法?運動以外で?」

「読書とかどうです?秋ですし」

「それなら食べることだってストレス発散だね。太るけど」

「やめて雫!怖いこと言わないで」

 

男子が昼食を取りに行っている間、女子に聞いたらこの答え。

ほのかちゃん、太るなんて心配いらないわ。きっとそのお肉別のところに吸収されるから。

 

「読書もいいわね。でも兄さんが読むのって専門書だから、休むことになるかしら?食べる、にしても食欲はそこまで強くないのよね」

 

知識欲ならかなり強い方だと思うお兄様だけど、食欲はそうでもないかもしれない。

お菓子を作っても自分で食べるより、私に食べさせる方が嬉しそうだ。甘いもの苦手ってわけではないんだけどね。

なら逆に辛いものいってみる?辛いのを食べてストレス発散する方法もあったし、お兄様辛いの苦手じゃなかった気がする。

 

「激辛料理に挑戦してみようかしら」

「それストレス発散じゃなくて罰ゲームなんじゃない?」

 

はっ!そうだ。つい前世の激辛ブームに引っ張られてしまったけど、あんな苦しんで食べさせるのは逆にストレスになっておかしくない。

徐々に慣らしていくことも考えたけど今は最短でできる方法が望ましい。

 

「同じ発汗するなら、薬膳なんてどうでしょう」

 

ありがとう美月ちゃん。いいアドバイス!薬膳だったら辛味で痛みを感じることも無い。

 

「発汗…」

 

でもほのかちゃんに変なスイッチが。赤くなって頬を押さえてます。

一体何を想像しているんでしょうね、この思春期ガールは。ちらちらこっちを見ない!妄想に私を巻き込まないでください。危険な香りがします。

 

「ほのか、だめよ。可愛い女の子がそんな隙だらけで。――私が食べちゃうわよ」

 

がたがたんっ、と周囲でとんでもない音がしますねこの食堂。床やテーブル汚れてませんか?

もちろん食べちゃうのはほのかちゃんのご飯ですよ?

だからそんなにお顔真っ赤にしないで。

確かに意識してそんな雰囲気も醸してみた。美少女を戸惑わせたくてちょっかい掛けたくなる時ってあるよね。

内輪だけのノリのつもりだったけど周囲にもばっちり聞かれてた。開けた場所だからね。しょうがない。

皆固唾をのんで見守っている気配が。期待されてる?女子高生の頬に触れるくらいならセーフだろうか。

なんて、次のアクションどうしようと考えていたら――

 

「深雪、何をした」

 

おっと、お兄様ご帰還です。

そして私が何かしたと断定しておりますね。素晴らしい慧眼をお持ちのようで。

 

「ほのかが食べないので、私が食べてあげようか、と」

「み、みみみゆ、みゆき!」

 

はいはい、貴女の友達深雪はここですよ。落ち着いてくださいほのかちゃん。

 

「悪女な深雪も素敵」

「ありがとう雫」

 

雫ちゃんは私に優しい判定。すき。

 

「…なんか絨毯爆撃でもくらったんか?ってくらい酷い有様だな」

「あ~うん。食らったんでしょうね」

 

エリカちゃんが疲れたように返してます。その横で美月ちゃんは周囲と一緒に爆撃を受けて声も出ない状況ですね。

すまない。ちょっとしたお茶目だった。

すると私の横に黒い影。そしてす、と頬を撫でる手が。

 

「俺がいないところで悪の華を咲かせたのかい?悪い子だね」

 

ガッシャーン、と派手な音。確実に落とした人がいますね。

そして周囲で顔が見える人が誰一人としていなくなりました。

皆顔を覆うか、突っ伏すか、天を仰ぐか…そこでしゃがみこんでいるのは演劇部部長かな。

…そういう私もぷるぷる震えていますけどね。内心ガタガタ、だから相当抑え込めている方だと思う。誰か褒めて。

あと、お兄様。あまりそういうセリフ、外で言わない方がいいと思いますよ。

出来れば家でも止めてもらいたいけれど。平静を装っていてもいつだって心臓は不整脈起こしてます。

 

「…兄さん、いったいどんな本を読んでるの?そんなセリフ、普通出てこないわ」

「俺の読む本にそんなセリフが描かれる本はないが、深雪といると自然と出てくるんだよ」

 

私のせいにされた!

違うよ!絶対お兄様の素質の問題だよ!!

 

「すぐそうやって私のせいにする」

「それだけお前が魅力的だということだ」

 

もうやめて!ライフなんてとっくにゼロだから。

私も皆みたいに顔を覆いたい!突っ伏したい!!

そろそろ私のポーカーフェイスもひびが入りそう、というところでばあん、と大きな音と共に花音先輩が現れた!

 

「ここで風紀を乱す問題が発生したって聞いたんだけど!」

 

私と啓の大事な昼を邪魔したのは誰!?と顔に書いてありますね。

平然としているのはお兄様と、取り繕っている私のみ。

 

「あんたら、逮捕ね」

 

罪状は何でしょうね。兄妹べたべたしすぎ罪とかかな。

 

「迷惑防止条例違反よ」

 

一般的な罪状でした。

この場は注意だけで済んだけど、次やったら許さないから!と花音先輩はぷりぷり怒って帰っていった。

 

「妹と話しているだけで迷惑防止条例違反とは?」

「達也は一般常識から身に付けよう」

「…私は反省しています」

「深雪って常識持っているように見えて時折やらかすよね」

 

…すみません、オタクの性分なんです。

 

「で、結局何話してたんだよ」

 

お昼ご飯再開しました。

周囲も何事もなかったかのように戻った。一部片づけしてる生徒もいるけど。

 

「えーと、なんだったっけ?」

「激辛料理?」

「ち、ちがうよ!発汗作用のある料理の」

「…つまり飯の話か?」

「ストレス発散について皆に話を聞いてたの」

 

皆そうだった!って顔してるね。脱線させたの私だけど。

 

「ストレス発散~?ああ、それで汗かく料理ってか?運動でいいんじゃね?」

「適度な運動なら十分なので、それ以外に何かあれば、と」

「それは俺の話か?」

 

まあ、気づくよね。私の話なら自身のことかお兄様の話なわけだから。

そして話はお兄様についてになった。

 

「達也のストレス発散法…?」

「普通ならカラオケとか、どっかぶらつくとかあるけど、お前じゃそれもねぇか」

「カラオケは興味ないな。散策も移動で十分だ」

「インドア派か」

「別にそんなつもりはないが。今度深雪とツーリングの約束もしているし」

 

その発言にほのかちゃんが荒ぶったけど、雫ちゃんナイスアシストで抑え込んだ。素早い。

これ以上騒いだら食堂出禁になるかもしれないからね。

 

「お、バイク乗んのか」

 

男の子たちはいつの時代も乗り物が好きなのか、吉田くんも目を輝かせましたね。

そっちの話で盛り上がり始めた三人に、エリカちゃん達は男の子だねー、と笑った。

お昼休みは短くて、結局発散法のいいアイデアは浮かばずに終わった。

 

 

――

 

 

「ストレス発散法、ですか?私なら好きなものを眺めるとかかな」

 

中条会長にも聞いてみた。

好きなものを浮かべているのか斜め上を見てうっとりしてます。おそらくだけど、選挙で勝ち抜いた時の戦利品ですかね。

でも好きなもの、か。お兄様の好きなものって何だろう?

 

「私は音楽を聴くのをお勧めしようかしら?」

 

そしてたまたま遊びに…顔を出しに来てくれた七草先輩と、

 

「話を聞いてもらうってだけでも、結構ストレス発散になるぞ」

 

その電話のお相手絶対彼氏さんですね?な、渡辺先輩。

良いのですか受験勉強。息抜き?生徒会室なら余計な視線もなく邪魔が入らないですからね。お茶もありますし。

 

「でも達也くんがストレスをため込んでいるとはねー」

「九校戦辺りから兄は忙しくしていましたから」

「ぐっ…それを言われると痛いわね」

 

理解していただけました?お兄様をこの学校の勝利の為、利用してましたものね。

渡辺先輩は我関せずと横を向いて口笛吹いてますが、モノリスコード出ることになったのだって、元はと言えば先輩の怪我のせいですよ。

新人戦とはいえモノリスコードのポイントは大きかったので。

 

「確かに達也さん、忙しそうだった」

 

雫ちゃんの追撃、先輩は10度傾いた。

 

「論文コンペではいろんな騒動にも巻き込まれてましたもんね」

 

ほのかちゃんの攻撃、クリティカルヒット!先輩たちは頭を抱えた!

悪気のない責めが一番の攻撃だよね。

 

「なんで、今年に限ってこんなに事件が多いの!?4月だって!あんな事件、深雪さんたちがいなかったらとんでもないことになっていたかもしれないのよ?!」

「九校戦に至っては情報が伏せられていたが、あれは故意の事故、事件だったんだろ?」

 

取り押さえられた男の話は、大会が終わった直後から漏れていたからね。学生にいくら口止めしたからって不正現場にいた子たちが、いつまでもしゃべらないでいられるわけがない。

しかも狙われていた学校が優勝したのではケチもつけようもない。

 

「兄さんはどちらも、出る予定のない出来事でしたから」

 

九校戦に限って言えば、元より私の調整だけはするつもりだったけど、選手としての出場なんて以ての外だった。

まあ、エンジニアとなるからには他のメンバーの調整くらいは頼まれたらするだろうけどね。お兄様調整自体好きだろうし。

論文コンペに至っては、繰り上げではなく推薦だったこともあり余計な軋轢も生んだ。

 

「…高校に入学して環境が変わるのは、それだけでも十分ストレスになるから、カウンセラーが常駐しているのだけど」

 

カウンセラーの先生にはよくお会いしているみたいですけどね。目的?用途が違う。

 

「トラブルメーカーではないのだろうが、トラブルには巻き込まれ体質のようだな」

 

ついでにトラブルシューターを任されてしまいますからね、必然です。

こう考えると高校入ったことって、果たしてお兄様の体にとっていいのか考えてしまう。

体は壊さなくても心は疲れるから。心の疲れは体にも響く。いくら修復できるからって傷つけば疲労は蓄積する。

…どうしよう、本当に急務に思えてきた。お兄様のストレス改善。

 

「み、深雪?!そんな落ち込まないで!!」

「達也さん呼ぶ?」

「いえ、大丈夫よ」

 

こんなことでお兄様呼んでたら休まるものも休まらない。

 

「達也さんストレス溜まるとそんなに困ったことになる?」

 

溜めること自体よくないことだけど、と雫ちゃんが聞いてくるけども皆実感したよね?

 

「今日の昼、被害に遭ったでしょう?」

「へ?」

 

おや?心当たりがない⁇そんなバカな。

 

「言動おかしかったでしょう?いくら皆の前で気が抜けていたからって、食堂であんな発言するなんて兄さんらしくないわ。いつもより過激な発言だったでしょう?」

「か、過激って、達也くんお昼に何言ったのよ!?」

 

ほのかちゃんは思い出してはわわわ!となってしまい、先輩たちはつられて赤くなった。雫ちゃん?ああ~、て納得してたよ。

 

「食堂中の生徒が突っ伏して動けなくなるくらいの発言、とだけお伝えします」

 

破壊力抜群だった。皆死屍累々。そんなに大きな声でしゃべってるわけでも、食堂が静かだったわけでもないのにね。

でもお兄様にも困ったものだ。意識して態とやっているなら注意すれば抑えられるけど、無意識だもんなぁ。

無意識に甘い言葉をまき散らしては死体の山を築き上げる…災害かな?

…あ。

 

「…もし、今の兄さんと二人きりにでもなったら大変なことになるでしょうね」

「え…?」

「どういうこと?」

 

食いついたのはほのかちゃんと七草先輩。

わーい、フラグフラグー。

 

「おそらくですけど兄さんのあれ、無差別ですよ。誰彼構わず二人きりになってお話でもしたら、自然とそういうお話になるでしょうね」

 

多分二人きりで会話したら、あんなことやそんなこと言われると思う。

確か七草先輩はそんな場面有りましたよね。コンペの回で。

本当にあったかは知らないけれど…、うん。これはあったね。先輩顔真っ赤。

お兄様は順調にイベントを熟しているようです。流石。

その場面を見ることができないのは残念だけど、無事イベントは発生しているようでなによりです。

…だけどどうも、私が知らない、原作にないイベントも発生してるっぽいんだよねぇ。

だって風紀委員じゃないから。本来そこで熟すべきイベントが別の場所で発生しているというか。

気になる。どうして私はエレメンタル・サイトを持っていないのか。マルチスコープでもいい。

…だめだ。お兄様にバレる気しかしない。というより、そういう目的で魔法使っちゃダメ、絶対。

 

 

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