妹転生?!ファンとしてお兄様を幸せにします!分割版   作:tom200

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来訪者編⑥

 

ひとりで(着物の着付けが)できるもん!

というわけであっという間に年末通り過ぎて元旦です。

日が昇る前から習慣のストレッチ等を熟してからはお出かけの準備をしつつ、お兄様と初日の出を見て新年の挨拶を交わしてから大急ぎで着替えております。

新年の挨拶は午前零時と共に済ませているけれど、日の出を見たらもう一回言っちゃうよね。

軽く食べた朝食を閉じ込めるように帯を締め、鏡の前でチェック。

髪も自分でまとめ上げているのでちょっと心配なのだけど、うん。おかしなところは無さそう。

項の後れ毛が白い項と相まってとってもセクシー。これが15歳の醸す色気かね?

和装なのにくびれが見える摩訶不思議なボディですね。

昨年よりも育ってますからメリハリが出てしまうのも仕方のないことなのかもしれないけれども、胸元も足首までも布で覆われているのにね、何でこう…婀娜っぽくなってしまうのか。

深雪ちゃんってもっとこう、清純に見えなかった?清楚とか。大和撫子の美しさだったと思うのだけど。

いえ、この姿なら楚々とした大和撫子に見えなくない。見えなくないのだけど…オタクの目線がよくないの?

腰からヒップラインにかけての曲線とか首元から僅かに覗く白い肌とか、そういうところに目をやってしまうのがよくないのか?

…ジャッジはお兄様に任せよう。私の目は濁っている。

というわけで出る前に紅を差して、もう一度鏡で確認をしてからお兄様の待っているだろう玄関へ向かうと、すでにスタンバイしているお兄様がいたのだけど――、

 

「…お兄様、素敵です。かっこいい。お似合いです」

 

思わず見とれてしまう格好良さ。ヤバいね。

羽織袴を着こなす上、袂に手を入れて組んでる姿を生で見ると一種の感動すら覚えるものですね。

時代劇大好きだったから余計に心に響く。萌えポイント高いです。現代ではほとんど無いんですよ、時代劇。残念。っと話が逸れた。でもね、逸らさないとお兄様から意識を逸らせないので。

口元を覆ったのは、ポロリ予防です。

今年の目標は粗相をしないこと。つまり口からポロリを無くそう、です。

昨年はそれでえらい目に遭いましたからね。気を付けていきたいと思います。

ちなみに先ほどのは感想であってポロリじゃないです。ちゃんと自分の意思です。

一部乱れがあっても、自分の意思です。…結果的に最後で帳尻合わせれば何とかなると信じてる。

でも、口は動いても体はまだ動けずにいた。お兄様から視線が外せず、見惚れて硬直したまま。

それをお兄様は苦笑して私の元までやってきて、

 

「その言葉が聞けるなら、こんな恰好もしてみるものだな」

 

目の前に立つと手を差し出される。

条件反射のようにその手に重ねると、優しく掴んでお兄様の元へ引き寄せられる。

 

「深雪も、あまりにも綺麗で見惚れてしまった。5秒間も動けなくなるなんて、ガーディアンとして失格と言われてしまうな」

 

…お兄様が5秒も…?それは凄いことだと思うけど、つまり私はそれ以上お兄様に見惚れて動けなかったということですね。恥ずかしい…。

 

「ああ、着物の色が映ったのか化粧でもしているのかと思ったが、赤く染まっていたのは俺のせいかい?だとしたら嬉しいね」

 

あああ…新年早々お兄様の色男モードが発動してしまった。

心臓に負荷のかかる言動はお控え下さい。ポーカーフェイスの仮面の替えが間に合わない!すぐに剥がれ落ちるか割れてしまう。

 

「その紅も艶やかで、サクランボのようだ。食べてしまいたくなる」

 

ぐっ…アウト!その発言はいくらお兄様でもだめですよ。

相手が妹だから耐えられた!でもこれがほのかちゃんや美月ちゃん、おそらくエリカちゃんだって耐えられるわけがない。

前者は溶けるか気を失うかだし、エリカちゃんの場合混乱して斬りかかってきそう。照れ隠しも命懸け、みたいな。勝手な妄想だけど。

 

「…もう、お兄様ったら」

 

なんとか言葉を絞り出すも、更に熱くなる顔はもう隠せない。

 

「恥じらう深雪も可愛いが、その姿だとまた違って見えるね。困ったな…レオ達に断りを入れようか」

「っお兄様!」

「…冗談、でもないんだが、仕方ないか」

 

そこは冗談だ、でしょう。お兄様は新年早々絶好調だね。

なんですかその、人には見せたくない発言は。お友達との予定を変更しようとしないでください。

ちょっと強めの視線を送って呼べば、お兄様は仕方ない、と肩を落としてエスコートしてくれた。

手を引かれるままに家を出れば、門のところにコミューターが。

中からは手を振る先生がいらっしゃった。奥の女性は小野先生ですね。

 

「明けましておめでとうございます、師匠」

「明けましておめでとうございます、九重先生。本年もよろしくお願いいたします」

 

親し気なお兄様の挨拶に続いて頭を深く下げると、先生は軽やかな口調でこの姿を褒めて下さった。

流石先生。流れるように誉め言葉が出るけれど、先生のは表面上言葉だけの下心とわかるので安心して聞いていられる。

オタクの賛辞と一緒。yesロリショタ!noタッチ!理論ですね。お兄様の視線は厳しいですけれど、先生なら安心でしょうに。

 

「しっかし、達也くん何言ったんだい?深雪くんの表情は僕の言葉で落ち着いていったけど、あのまま外出なんてしようものなら大変なことになってもおかしくないよ?」

 

…思い出させないでください先生。せっかく落ち着いてきたのに。

お兄様はさあ?ととぼけていますが、口角が上がってますね。上機嫌ですか。何よりですが反対に私が困っているのを忘れないでほしい。

そして小野先生もげんなり?呆れ気味ですね。

挨拶もそこそこに、お兄様が自分たちと一緒に行動して問題ないのか訊ねています。

そうなんだよね。小野先生、本当に何でこちらに?お兄様も疑問に思ったようだけれど、うまい具合にはぐらかされてなあなあに。

でも若干嫌々そうでもあるから先生に連れてこられたのかな。そのまま同乗させてもらうことになった。

いえ、乗ろうと提案したの私だけどね。いつまでもあの場で立ち話もなんでしたから。

それから軽く、この状況がおかしくない程度の設定を作り、キャビネットへ移動する待ち時間。

とても視線を感じますね。男女関係なく見られているのがわかる。さりげなくお兄様が視線を遮ってくれるけどあまり効果はない。

電車はすぐ来たし時間としては長くないはずなんだけどね。遠慮のない視線が多くてちょっと疲れる。

そして目的の駅に到着してから目的地までの間の視線の多さよ。仕方ないと割り切るしかないけれどね。

深雪ちゃんが着飾っているんだもの。見ないわけがない。見惚れないわけがないのだ。

よって周りは大渋滞。人流は滞り、立ち止まって惚けている間を私たちはすり抜けて歩く。

 

「…すごいわね」

「…申し訳ありません」

 

新年の挨拶以外で初めて交わした会話がこちらです。対面したの初めてでした。私たちA組は自主的にカウンセリングに行かない限り関わりないから。

 

「深雪が謝ることは何もないよ」

「そうそう。君が目立つのは必然だからね」

 

先生の言葉って本当、裏が無いように思えないんだよねぇ。

私の出自含め全て知ってる上で言ってるよね、多分。

でもこちらを想って言ってくれているのもわかっている。

 

「ありがとうございます」

 

二人の慰めの言葉に感謝しつつ、待ち合わせ場所に。

皆すでに揃ってました。遅れてはないけれど時間はギリギリ。待たせてごめんね。

さっそく新年の挨拶を、と思ったら美月ちゃんが感激したように声を上げた。

 

「わっ!深雪さん、いつにも増してキレイですねぇ!」

 

お目目輝かせてる美月ちゃんも可愛いよ。ロングワンピースにファー付きのケープコート。ケープコートって大きいと間が開くんだねー。

何がとは言わないけれど、前が開いて寒そう。今度ブローチでもプレゼントしようかな。

…はじけ飛ぶ映像が浮かんだ。やめたほうがよさそうだ。

 

「美月も大人っぽいわね。素敵だわ」

 

手を取って褒めると美月ちゃんが真っ赤に。可愛いね。

でも結構待たせちゃったのかな。おてて冷たい。あっためてあげないと。

その間お兄様はほのかちゃんや西城くんに姿を褒められていました。

…褒められてたよね?若頭って誉め言葉に思うのはオタクだけ?意外と少女漫画では人気の部類ですよね若頭。女子高生の組み合わせも好きだけど幼女も好き。

先生も参戦して、同心か与力って言ってるけどそっちもわかる~。十手持ってほしい。腰に差していて欲しい。

手に美月ちゃんの手を持ったまま口元へ。でないとポロリしちゃう!との防衛策だったんだけど美月ちゃんがパニックを起こしてしまう。あ、これそういった意図はなくてですね。

 

「深雪」

 

お兄様からの忠告の声。パッと手を離します。

 

「ごめんなさい美月。ついうっかり」

 

ついうっかり、てなんだろうね?でも本当それしか言いようがないの、困らせてごめんね。

美月ちゃんがオットセイになってしまい、ほのかちゃんが介助に入りながら境内に向かう。

小野先生の存在に気付いたり、八雲先生の話に美月ちゃんがびっくりして正気を取り戻したりする場面もあったけど、何よりも西城くんが博識だったことにお兄様は驚いていた。普通知らない知識ですもんね。

ほのかちゃんは美月ちゃんが元気になったことでお兄様の横へ。ほのかちゃんも振り袖姿可愛い。自分で着付けたのかな?

そう訊ねたらそもそも着物はレンタルだそう。着付けもしてもらったらしい。…そうだった。普通家に着物はない。

 

「ほのかもよく似合ってるわね。可愛いわ」

「あ、ありがとう。み、深雪もすっごく綺麗!近くで見れない!」

 

そう言ってお兄様の腕を掴んで隠れちゃいました。…寂しい。

ほのかちゃん、そろそろ一年近い付き合いなのだから見慣れてくれてもいいのに。

美月ちゃんはもう順応してるよ。はわはわはしてるけど手繋いでくれる。

その奥では西城くんが苦笑してるけど。今日はエリカちゃんも吉田くんもお家の手伝いで不在なので居心地悪くないかな、と思ってたけど、付き合いがいいね。

頼れる兄貴ポジション。まだ仮、が付くけれど、将来はそんな感じになりそうな有望な男の子です。

 

 

――

 

 

参拝への道中、いい香りが漂う露店がずらりと並ぶ。日本の原風景だよね。お祭りはこう!みたいな。

視線だけきょろきょろしていると、ひときわ目立つ金髪の少女を発見!ぺろっ。これは美少女の気配!!

チラリと見ればビンゴです。

リーナちゃんです。顔ちっちゃいね。可愛い。そしてアニマル柄の帽子にショート丈のスカートもタイツもブーツも今の時代からは浮いているけれど、コスプレとしてはありありの有りです。有効。可愛い。

 

「ねぇ、美月。あの子――」

「ひゃい!あ、あの深雪さん、耳元でしゃべられるのはちょっと…」

 

大きい声だとまずいと思って耳元に手を当ててこそこそ話をしようとしたら美月ちゃんからストップが。

お顔真っ赤に縮こまられてしまった。ご、ごめんなさい?

お兄様の方からも鋭い視線が。離れているのによく気づかれましたね。私のやらかしに敏感なお兄様です。

落ち着いた美月ちゃんに改めまして。

 

「ねえ、美月。見て」

 

指した先に美月ちゃんが視線を向ければ思わず目を剥く可愛らしさ。いいリアクションです。

 

「すごい…。深雪さんとはまた違う華やかさのある方ですねぇ!…ですがあの恰好は、ちょっと別の意味でも目立っちゃってますよね」

 

どうしてあんな恰好なのでしょう?と美月ちゃん。そうね。なんででしょうね。

でも。

 

「とっても綺麗よね!なんというか、純真そう、というか。あの恰好のせいかしらね?庇護欲を掻き立てられるような可愛さっていうのかしら?それもあって一人で歩いているのが不安になるわ。誰か一緒に来ている人はいないのかしら?」

「…深雪さんって綺麗だったり可愛いモノお好きですよね」

 

興奮気味に語ったらなぜかリーナちゃんよりも私の話に。…視線も私に向けられていて、なんだかうっとりされてます⁇

 

「そうね。好きだわ。――だから美月も大好き」

 

なのでちょっぴりいたずら心を出して、また手を取って美月ちゃんを見て告白したらボンっと音を立てて真っ赤になった。

可愛い。

 

「…おーい、そこのお二人さん。あんまりいちゃついてっと目立つから移動するぞー」

 

おおっと。西城くんから忠告が。

周囲を見れば皆ちらちら見ちゃいけないものをこそっと見ようとしているような雰囲気。

私たちは別に指定の入るような関係性ではないよ。清く正しく友人です。

西城くんの言葉に従ってこそこそ後に続きます。

その際ちらりと見たらお兄様を見つめるリーナちゃんの姿。そしてお兄様も気づいて先生たちとこそりとお話しています。

視線はほとんど向けないで大人たちと対等におしゃべりしているお兄様。かっこいい。…じゃなかった。自然過ぎて違和感ない。

リーナちゃんも見られたことに気付いただろうけど、まさかすでに正体を疑問視されているとは思わないだろうな。

ただの運命的出会いを演出しようとしただけだものね。

…この運命が恋の始まりでもいいのでは?リーナちゃんならどんな時でもお兄様に並び立てそうよね。背中を任せられる関係性も素敵。

手を離したら美月ちゃんがほのかちゃんの元に行ってしまった。…逃げられたんじゃないと信じたい。

ほのかちゃんはちょっと前から頬を冷ますように手で顔を仰いでいたので、お兄様が何か言ったんでしょうね。

小野先生のお兄様を見る目が胡乱気です。多分ほのかちゃんと離れるため何かしらの言動を取ったんだろうけど…いったい何を言ったんだろう?

 

「…兄さん、いったい何を見てるの?」

「ん?お前が見惚れていた女の子だよ」

 

わぁお。ばれてらっしゃる。

ここって確か深雪ちゃんお兄様の浮気を疑う、じゃないけど目移りしているのを、目くじらを立ててお兄様に宥められるシーンだったはずなのに、私が浮気を疑われている気分です。

 

「あの子、綺麗なのに可愛らしくて目立つものね」

 

もう一度見る。うん。綺麗だなぁ。キラキラして目が奪われてしまう。

 

「深雪」

 

見惚れていてもお兄様の呼び声には反応できます。お兄様に視線を戻せば…本当に浮気を疑われているような視線が向けられている!?そんなバカな。

内心あわあわしていたらお兄様の動きに反応が遅れた。

頬に手を添えられてお兄様の方に顔を向けさせられる。

 

「あまり俺以外を見られると寂しくなる…」

 

そう言ったお兄様の表情は寂しそうに眉を下げていて。

 

(私は!なんてことを!!)

 

よそ見ばかりして一番大切にしたい人を蔑ろにするなんて、なんと愚かしいことをしてしまったのだろう!

でもね、一つ言わせてほしい。今日のお兄様は私にとって劇物なのだ。非常にかっこいい。いつもカッコいいよ。だけど着物なんです。

和装のお兄様なんて目にしたら他に視線が行かなくなってしまう。それほど魅力的なのだ。

だから今は皆とわいわい楽しむためにもよそ見をしていないといけないのに…それがお兄様を寂しくさせていたなんて。

 

「兄さん…、ごめんね」

 

お兄様の手に触れている頬を押し当てる形で謝罪すると、お兄様はうん、と頷いて手を引いた。

…まだ何か言いたげだったけれど、ここは外だと思い出してくれたのかな。

切なげな表情の上に和装のコンボに胸が苦しいくらいに騒ぐけど、必死にここは外、ここは外!と言い聞かせる。

人目がある場所でお兄様にときめいて倒れるなんて失態を犯せない。

 

「深雪が綺麗なモノや可愛いモノが好きだと知っているから、余所に目が行ってしまうことは仕方のないことだとわかっているんだが…」

 

うう…趣味嗜好も駄々洩れです。恥ずかしい。

あ、でもそれだとリーナが可愛いとか綺麗だとか、お兄様も思っているということよね。

 

「綺麗な子ですよね」

 

ちょっと嬉しくなって賛同を得ようとしたのだけれど、お兄様はもう一度リーナちゃんに視線を向けてから私に戻って、

 

「お前ほどではないけどな」

 

バッサリ切り捨てた。あれ?原作と同じセリフだと思うんだけど、ニュアンスが違くない⁇

 

「え…と…、」

 

なんだろう?誤魔化されたというよりも戸惑いの方が大きい回答を返された気がします。

 

「俺にとって深雪ほど美しいモノを他に知らない」

 

更に追い打ちがかかる。お兄様ちょっとストップしましょうか。私の心臓がね?

顔はまだ視線を逸らすくらいで済んでいるのだけど、顔を赤くしないようにするので精いっぱいでして。

 

「…気になったのではないのですか、彼女が」

 

本筋の話に戻そうとするのだけど、

 

「気になる、ね。あの不審な恰好も気にはなるが、深雪が目を奪われていたことの方が重大だな」

 

…しまった。彼女の運命を捻じ曲げてしまったらしい。

いや、違う。そうじゃなくて、これは先にじろじろ見られていたリーナちゃんの視線に気づいて不審に思った、というのをお兄様なりに誤魔化している、という場面だ。

ここは誤魔化されるべきなのか、突くべきなのか?

 

「達也くんは自重をしなくなった上で誤魔化そうとする、なんて高等技術を身に付けたのかい?」

 

そこに先生が揶揄い口調で参加してきた。ニュアンスとしてからかい半分、呆れ半分、かな。先生も器用。

そしてはっきり誤魔化したと言うとは。

お兄様は何のことやら、とすっとぼけたけれど、小野先生からの視線が胡乱気から不審者を見る冷たい目に変わってる。いったい何を思ってそうなったのか。

置いてけぼりをくらっている間も話は進み、ついに運命の邂逅を果たすべく、リーナちゃんが横を素通りしようと動き出す。

近くで見ると輝きが違うね。本当、綺麗な子だ。

チラリとお兄様に視線を向けたのも見逃しません。自然でありながら完璧な流し目!今日のお兄様はいつもよりもカッコいいので目が行ってもおかしくないしね。印象に残るよ。お互いに。

…通り過ぎた後にいい匂いがした。わざわざ香水までつけてくれたんだね。

ここまで頑張って潜入捜査に力を入れていたとは。…なんでポンコツ要素を入れたの神様。ただのできる美少女でもよかったはずなのに。

可愛いポイントを更に重ねたかったのか。設定もりもり大好きの神様だからなぁ。私も大好き。

この後、おみくじを引いて最後に甘酒を飲もうというお誘いにお兄様からのストップがかかった。

 

「悪いが深雪に甘酒はNGだ」

 

敏腕マネージャーのように隙のない断り方。

 

「兄さん、だめなの?」

 

でもせっかく皆に誘ってもらったし、私自身も好きなので飲みたいのだけど、お兄様は頑なに飲ませてはくれない。

 

「アルコールの無いモノもありますよ?」

「ちょっとくらいいいんじゃないですか?」

 

美月ちゃん、ほのかちゃんの援護射撃もあったが、それでも首を縦に振らないお兄様。

 

「皆は飲んでもいいが、深雪は体質的に合わないからな。…どうしても飲みたければ家で飲みなさい」

 

袖を掴んでいた私の手をそっと外しながらの妥協点を提示するお兄様は、どうしてもここで飲むことの許可をくれないらしい。

お兄様は私に付き合って飲まなかったけれど、皆はあったまるためにも一杯飲んで解散となった。

帰りのキャビネットの中で、どうしても諦められなかった私は少量の酒粕を注文して帰った。

 

 

 

 

久しぶりに飲んだ甘酒は大変美味しかった。

やっぱりお正月には甘酒だよね。

 

「深雪、そろそろその辺で――」

「…もうちょっとだけ、だめ?」

「……もう一口だけだぞ」

「わぁい。ありがとうおにいさまー」

 

甘くておいしくてふわふわする甘酒サイコー!

 

 

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