TCG世界と元現代人は価値観が噛み合わない   作:クロマ・グロ

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最近ハーメルンでこの手のカードゲーム系の小説を読んでて面白いなと思ったので衝動的に書きましたw

こっちも気まぐれで投稿になります(やるとしても、今メインで執筆している小説の片方が終わってからまともの投稿開始)


TCG至上世界は常識がおかしいと思う

 

 

トレーディングカードゲーム

 

略してTCGは俺の居た世界においてはそれなりの人気がある程度の認識だった

 

世界大会なんかも無い訳じゃないんだが世間一般的にはマイナーな部類であり、基本的に趣味でやる人が過半数を越えており、ガチでやるような人は珍しい部類だ

 

そんな中俺は……カードゲーム至上主義の現代とかいうふざけた世界に転生していた

 

それも前の世界の記憶を持ったままの状態でだ

 

 

 

最初の頃は同じような現代系世界、もしくは過去か未来の世界に生まれ変わったのかと思っていた

 

赤子の頃に見た設備は何もかもが現代で良く見るような光景だったからだ

 

時折やたらと厨二病チックな叫びが聞こえたがそれもそういうやつが近くに居るのだろうと思っていただけだった

 

1歳になった頃、ようやくまともに歩いて家の中を動き回れるくらいにまで成長した頃、たまたま母さんが見ていたニュースに注目した時俺は自分の目を疑った

 

何故ならそのニュースの内容はカードゲームの新しいパックの発売情報やカードゲームのバトル施設、カードショップ……何もかもがカードに関わるものばかりだったからだ

 

改めて家を探索してみると良く見れば玩具か何かかと思っていたそれがガチのカードゲーム用のマシンだったり大量のカードやケース等があったからだ

 

この時の衝撃はなかなかのものだった

 

 

 

3歳になった頃、俺は幼稚園に通わされる事になり、同じくらいの年齢の子供達と一緒の生活となった

 

ただまぁ元々前世で30代後半……アラフォーまであとちょっとだった俺の精神は赤子に戻っても身体に影響されるようなことは無く、正直な所周りの子達と馴染むのは無理な話だった

 

結果としては俺は孤立して周りの大人達からもどこか大人びた様子のとても大人しい子という印象だったらしい

 

幼稚園に入ってからしばらくすると母さんと父さんと共にとあるカードショップへと連れていかれた

 

何故こんな年齢の子供にカードショップ?と思わなくもなかったがよく考えればこの世界はカードゲーム至上主義……まぁある意味英才教育なのだろう

 

そして何故かカードショップの奥に連れていかれ、良く分からない装置のような物に触れさせて貰うとその装置が謎の黒い輝きを放つと共に赤、青、黄、緑、紫の五色に少しだけ光った

 

一体なんだったのだろうと考えていると後ろに居た両親の顔が大きく強張っていた

 

するとショップの店員はこう答えた。

 

「残念ですがお子さんは黒の適性が高過ぎます。

全ての色に対する適性はあるようですが……おそらく黒のカードから離れる事は難しいでしょう」

 

黒?適性?

 

最初は全く意味が分からなかった

 

だがしばらくして両親から教わった時に全てが分かってしまった

 

同時に理解してしまった……この世界がどれ程歪んでいるのかを

 

 

 

この世界における唯一のカードゲームであり、社会の基盤となっているゲーム……チャンピオンズ

 

この世界においてはあらゆる物事がこれに関わるものばかりであり、犯罪なんかに関してもこのゲームが関わっていた

 

中には法律に至ってもこのゲームは適応されており、犯罪者の逮捕なんかにもゲームが関わるらしい

 

最初にこの話を聞かされた俺としては心底呆れるとしか言いようがなかった

 

理屈的に考えてしまえばゲームに負けてしまえば犯罪者をいとも容易く取り逃がしてしまうからだ

 

そしてこのチャンピオンズというカードゲームにはカード適性というものが存在しており、それぞれ赤、青、黄、緑、紫、黒の六つの属性の適性が人々には存在する

 

なんでも実際のカードのモンスター達などが住まう別世界がマジで存在し、カード自身が己の持ち主となるべき人間を見定めるらしい

 

カードパックを引いた際に出てくるカードは最初はまっさらなブランクカードと呼ばれる物らしいのだがそのカードを手にした時にそれぞれの適性に合わせたランダムなカードへと変異するらしい

 

中でも一部のカードなんかは自我を持っており、現実世界への実体化なんてのもあるらしいがそんなカードは数万人に一人しか引けないらしく、持っている人がかなり珍しい部類なのだそうだ

 

そして俺の適性を見た両親が何故顔を強張らせたのかはそのカードの属性による特徴とこの世界における価値観の問題だった

 

 

 

この世界におけるカードの属性……これらにはある一定の特徴のようなものが存在する

 

赤属性……これは『正義』や『熱血』、『闘争』などといったコンセプトのカードが多く、比較的暑苦しい印象がある。

カード効果の特徴としてはとにかく『攻撃力』を増やしたり出てきた瞬間に相手に『ダメージ』を与えるとか敵を倒すと効果を発揮するものが多いそうだ

 

青属性……これは『守護』や『氷』、『静寂』などといったコンセプトのカードが多く、大人しい印象だ。

カード効果としても

一度だけ攻撃を防ぐ『シールド』効果の付与

『HP』の増加、『回復』効果、相手の効果を『封印』する

等があり、とにかく守りきる事に重点を置いたカードが多いらしい

 

黄属性……これは『機械』や『天使』といった聖なる物やマシン等といったカードが多く、思ったよりもまとまっていない印象だ。

カード効果としては大きく分けて二種類あり

一部のカードに対する『特効』のような効果やユニットの『復活』等の効果を持つ『天使』

複数のカードを合わせる事で強力なユニットを出す『機械』

の二種類に分かれる

 

緑属性……これは『野生』や『植物』、『癒し』などいった自然をコンセプトにしたカードが多く、弱肉強食のイメージがある。

カード効果としては

カードデッキに入っていないカードを召喚する『増殖』

複数の同じ系統のカードが揃うことで発動する『群れ』

その他には『回復』等がメインとなっているようだ

 

紫属性……こっちは『罠』や『隠密』などの忍者やスパイ的なコンセプトのカードが多く、若干厄介な印象がある。

カード効果としては

相手が特定の条件を達成した時に発動する『トラップ』

相手の効果の対象に直接指定出来ない『隠密』

という効果を持ったカードがある

 

 

 

そして問題なのは黒属性とこの世界の価値観だった

 

 

 

黒属性……『死』や『犠牲』、『闇』や『不死者』に『悪役』等といったコンセプトのカードが多く、かなり幅広い範囲のカードが存在する。

ただこの世界は実際のカードの世界やカードの中のユニットが生きていたり、自我があったりする影響によりこの黒属性のコンセプトである『犠牲』や『死』という物の印象があまりにも悪いのだ

 

カード効果としても

条件に合う相手のカードを強制的に破壊する『死』

自分のカードやプレイヤーのHPを減らすデメリットがある『犠牲』

自分のユニットを殺す代わりに強力な効果を発揮する『生贄』

死んでも墓地へと送られずにデッキに戻って強化される『復讐』

 

これらの効果があまりにもこの世界の価値観と噛み合わないのだ

 

だが俺としてはこの黒デッキのカード効果自体は別にゲームとして見るならそこまで珍しい物でもないと思っている

 

前の世界にあったカードゲームじゃこれと似たようなカードは多く存在したしな

 

だがカードゲーム至上主義のこの世界じゃ犯罪者等が黒属性中心のデッキを使う事が多く、社会に出る際にも結構黒適性の大きい人はそれらの影響で印象が悪くなりやすいらしい

 

風評被害にしても中々に酷すぎやしないだろうか?

 

家族が顔を強張らせたのも俺の将来が暗いのが分かってしまったからだろう

 

そうなると俺がこの世界で普通に生きるのはまず無理だ

まともに生きるためには自分が犯罪等をしないという信念と周囲を力ずくで黙らせる事が出来るほどの強さがいる

 

両親以外に信用できる人はいない……そう確信してしまったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クロトー!ご飯よー!」

「はーい!」

 

そんなこんなでこの俺、不死宮クロトは今日小学一年生となった

 

もう名前からしてやたらと黒属性寄りなのが分かってしまう辺りが若干嫌だがこの辺は仕方ない

 

結局両親の話を聞いたりして自分で色々考えたがやはり他の属性のカードはパックをいくつか開けてもそんなに出なかったのもあり、せいぜい作れても黒一色、もしくは別の属性のカードを混ぜた複合デッキが限界だったのもあり、俺はこの黒属性をメインに使っていくことを両親に伝えた

 

両親は困ったような顔をしていたが俺の説得をちゃんと聞いて理解してくれており、俺としてはとても感謝している

 

問題は他の人達だがその辺はもう諦めた

 

世間一般的なイメージというものは覆すのが難しく、俺一人でどうにか出来るような問題ではないからだ

 

「クロト、今日から小学校だけど……その……大丈夫?」

「問題ないよお母さん」

「なら良いのだけど……」

「お父さんはお前に友達が出来ないんじゃないか心配だ……幼稚園でも結局馴染めずにずっと一人にさせてしまっていたからな……」

「別に気にしてないから良いよ。

俺はお父さんとお母さんが居るし」

 

両親はやはり心配性になっていた

俺が大人しくし過ぎていたせいか何か育て方を間違えたんじゃないかとそわそわする時もあったりするがその辺の原因は俺の方にあるからたまに申し訳なくなる

 

前世の記憶があるなんてそう簡単に話せることでもないしな

 

「ご馳走さま。

それじゃお父さん、お母さん……行ってくるよ」

「あぁ、頑張ってな」

「お友達……出来ると良いわね」

「そんなに心配しないでよ、俺なら大丈夫だから。

行ってきまーす!」

 

俺は両親の心配を他所にそのまま学校までの通学路へと向かっていった

 

そのランドセルの横にチャンピオンズのバトルシステム付きの召喚台とデッキケースとかいう重いものを背負った状態で……

 

…………うん、小学1年に持たせるような重さじゃないと思うわこれ

 

バトル装置自体は無くても別に学校に貸出用のがあるらしいが無かったら無かったで結構困ることが多いらしいのでうちの両親から持たされた

 

まぁまずはとりあえず出来るだけ早い段階で何度か勝負してデッキの調整をしておきたい所だ

 

どのみち腕がなければ話しにならないしな

 

 

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