TCG世界と元現代人は価値観が噛み合わない 作:クロマ・グロ
カードバトルのシーン細かく書くとどうしても長くなりますねこれ……
小学校初日
最初はやはり当然のように入学式……校長先生の
クラスについてからは少しだけ休憩時間とのことらしいがおそらくは交流の場としての意味合いもあるのだろう
だがまぁどいつもこいつも初対面ばかりで幼稚園で見たことある顔ぶれも何人かはいるがこっちを見たら目を反らすくらいだ
幼稚園に入ってから2年くらいして知ったのだがどうやら俺は目付きがかなり鋭い方らしく、あまり第一印象は良くないらしい
正直な所この世界で黒使いを目指す事になってしまった以上今更感はあるがまた孤立する理由が出来てしまった
案の定休み時間の間俺は誰とも話さずに今日から始まる授業の内容を先読みする
まぁといってもどれもこれも小学一年レベルなのもあって別に難しくはない
ただ……社会の教科書のあちこちにカード関連の歴史が入ってるからそこだけはマジで注意しないとヤバイなこれ……前世での知識が確実に脚を引っ張りかねない
そんなこんなで軽く勉強しながら過ごしているとチャイムが鳴り響き、先程去った先生がやってくる。
「さぁ、皆席に着いてくれ。」
「「「はーい!」」」
俺は既に着いているので一先ず出していた教科書を仕舞った
「まずは自己紹介といこうか、俺の名前は"赤城 哲也"
チャンピオンズの授業で赤属性の授業を担当しているぞ!
それとこのクラスの担任だから何かあったら遠慮なく俺に言ってくれよ?」
「「「はーい!」」」
また名は体を表すような名前だなぁ……割とこの世界じゃ普通なのか?
「皆はまだ他の子の名前もどんな人なのかも知らないだろうしまずはお互いに自己紹介をしようか!
じゃあ先生が皆の名前を一人ずつ呼んでいくから呼ばれた子は前に立って名前と好きな食べ物、それから自分が使いたいチャンピオンズの属性を紹介してくれ!」
自己紹介にまでカード事情が付きまとうのかよ……
「それじゃ出席番号1番……」
それからしばらく自己紹介が続いて俺の番になる。
「出席番号22番!不死宮クロト君!」
「はい」
俺は呼ばれたので前に出てさっきまで自己紹介していた子と交代する
「不死宮 クロトです。
好きな食べ物は漬物、使いたい……というか今使ってるチャンピオンズの属性は"黒"です。
よろしくお願いします」
「「「ッ!!」」」
黒と言ったとたんに先生含め周囲がざわついた
やはり黒属性はあまり良くないと親からも言われている者も多いらしい
だが先生だけはすぐに冷静になって手を叩いて皆を静かにするように伝える
「皆落ち着いて静かにー!
別に黒属性だからって悪い人っていうのは間違いだぞ!
黒属性使いにだってちゃんとした人はいっぱいいるんだ
だから間違った認識で傷付けるんじゃないぞー!
それにしても好きな食べ物が漬物って君中々渋いね……」
自覚はしてる
だがどうやらここの先生は特に黒属性への偏見自体はないらしい
ただまぁあの様子だと確実に俺への偏見は取り除ききれてはなさそうだな
それからしばらく自己紹介が続くが周囲からの視線が鬱陶しいことこの上ない
早く授業が終わることを願おう
「これで皆の自己紹介が終わったね。
今日の所は授業といっても自己紹介やその授業でどんなお勉強をするのかをみんなに説明するくらいだろうから本格的な授業は明日からになるはずだよ」
周囲が先生の話し中にまた話し始めている
どうやら休み時間の間に既に友人を作った者も多いらしく、友人同士や周囲の者同士ど会話をしているようだ
「こらこらー、まだ先生の話は終わってないぞー!」
まぁこうなるわな
「それじゃ余った時間はそうだな……デッキとバトルマシンを持ってきている子はいるかい?」
「「「はーい!」」」
クラスのなかで俺を含めた数人が手を挙げる
まぁマシン自体は高いからまだ買えてないという人も居るんだろうな
「お、意外と居るね!
ならそうだな、ここはお互いの交流もかねてバトルマシンを持ってる子同士で一回バトルしてみよっか!」
あぁ……やっぱりそうなるのね……
バトルマシンを持ってるのは30人中俺を含めて16人……ざっと半分ってとこか
「それじゃここにくじがあるからえーとこれで16本!
一人ずつ引いていって!」
準備が良すぎないか?ってか元から想定していたんだろうな
俺の番号は……7番か
赤城先生は黒板に番号を書きながら誰が誰と戦うかを答えていく。
「こんな感じで1番の子は2番の子と、3番の子は4番の子って具合に戦っていこう!
バトル出きるように皆は席をこんな感じに寄せておいて!」
「「「はーい!」」」
先生の書いた黒板と同じように席を合わせていき、4つの席を合わせたスペースが8つ出来上がる
「じゃあこっちの席に1番と2番の子、その隣に……」
先生の誘導に従って俺は自分の戦うテーブルへと移動してランドセルから取り出して置いたバトルマシンをテーブルの上に置いて起動する
俺の対面に立っているやたらと元気そうな女の子……確か名前は……
するとバトルマシン同士が収納されていたスペースなどを引き出し、ホログラムが浮かび上がる
ホログラムの誘導に従って俺は自分のデッキケースをバトルマシンにセットする
すると俺の背後に髑髏に狼が噛みついているようなマークの入った黒い旗のホログラムが出現する
これは俺の使うデッキの色と入っているコンセプトカードの種類を表している
俺の場合は『復讐』の効果を持つ不死者の髑髏と『犠牲』の効果を持つ捕食者の狼のマークだ
対する相手の子は黄色の旗に天使の翼のマークの入った盾……これは『天使』の中でも守りに秀でた『守護天使』系統のカードがメインになっているようだ
このゲームのルールは結構複雑ではあるが中々にバランスが良い
お互いのプレイヤーはライフを『30』持っており、ユニットによる攻撃や使った時に効果を発揮する『マジックカード』等で相手を先に全損させた方が勝利する
それに加えて山札30枚を全損した状態で手札を使いきって場に何も無くなるのも敗北条件になる
ユニットは出したターンは攻撃する事は出来ずに相手の攻撃の防御だけは可能
カードは大きく分けて『ユニット』と『マジック』の二種類に分かれ、毎ターン5ずつ配られるコストを使用して召喚したり使用する
マジックカードを使用した際にはアクションフェーズというものに移行して一時的に相手に出番が周り、アクションフェーズ中お互いのプレイヤーは『マジックカード』のみを出すことができる。
そして相手が『マジックカード』を返してきた場合こちらにアクションフェーズが回ってきてまた『マジックカード』を出せる
そしてこのアクションフェーズの面白い所はカードを出せなくなった際に終了して最初にカードを出したプレイヤーの番となり、後から出した『マジックカード』の効果が優先されるという点にある
まあ早い話が後出しじゃんけんだ
ついでにアクションフェーズ中のみお互いのプレイヤーのコストが特別に2増加してカードを使わなかった場合は増加したコストはアクションフェーズ終了後に元に戻る
そして手札は常に5枚で固定されており、消費した際はすぐさま山札から引くので手札を使えば使う程山札が減っていく仕様になる
まぁ他にも細かいルールやら機能はいくつかあるが基本的なのはこのくらいだ
俺はこのゲームを見た際に前世でCAPC○Mが出していたあるハイスピードカード?バトルを思い出したが突っ込んだら敗けだろう
「「チャンピオンズ起動!!」」
俺達二人の声に反応してお互いのバトルマシンのフィールドが変化する
俺のエリアは墓場のような空間になり、対する高坂のエリアは神殿のようなエリアになった
「不死宮君……本当に黒使いなんだ」
「なんか怖い……」
周囲が何か言ってるが聞く耳持たん
フィールド中央にコインのようなホログラムが現れて上に弾かれ、落ちてくると高坂の旗のマークの書かれた面が上になっていた
どうやら高坂が先攻のようだ
「へへーん!黒属性なんかあたしが倒してあげるんだから!」
ずいぶんと自信たっぷりなことで……
にしてもこっちは手札が比較的重かったり条件付きのが多いな
「それじゃいくよー!『ガードエンジェル』*1召喚してターンエンド!」
《高坂 光希》HP30 残りコスト2
『ガードエンジェル』2/6
ガードエンジェル……効果はなにも持ってないがHPがそれなりに多くて硬いな
のこりコスト2で終わらせてる『マジックカード』を使ってアクションフェーズに移行したらコスト4までは使えるわけか
ここはあえてなにもしないでおこう
「俺はなにもせずエンド、コストを持ち越す」
なにもしないというのはそれなりにリスクが伴うがコストをまるごと次のターンに持ち越せるため序盤の準備としては結構アリだ
それに比較的黒のカードはコストが重いものが多いからな……様子見しておくに超したことはない
「よーし!アタシのターンよ!
じゃあマジックカード『天使の守り』*2を使ってアクションフェーズよ!
なにか出すなら出してね!」
シールドか……若干めんどくさいなそれ
「マジックカード『
俺は自分のHPを減らすデメリットがある代わりに効果が強力なマジックカードを使ってガードエンジェルを強制的に破壊する。
ダメージ効果と違って『HP増加』や『シールド』なんかじゃ防げないのがこのカードの強みだ
『犠牲』のカードはこういうのが多いから強い
「嘘!?え、えーっと!防げないよぉ!アクションエンド!」
彼女のアクションエンドという宣言に反応してお互いのフィールドに重ねられたカードのホログラムが上から順番に効果を発揮していく
《不死宮 クロト》HP30→HP27 残りコスト5
《高坂 光希》HP30 残りコスト5
『ガードエンジェル』→破壊
『天使の守り』→発動条件未達成の為不発→墓地へ
「うううー!『守護天使像』*4召喚してエンド!」
《高坂 光希》HP30 残りコスト1
『守護天使像』1/7《シールド》
「俺のターン『デッドオーガ』*5を召喚してエンド」
「へへーん!そんなの私の『守護天使像』で簡単に倒せるじゃん!
私のターン!『スナイプエンジェル』*6を召喚してマジックカード『天使の守り』を発動!」
「アクションフェーズ移行ね
マジックカード『暴力的な破壊』*7発動。
二体とも破壊ね。」
「なによそれ!?ううう!またアクションエンド!してターンエンド!」
これ結構強力だけど犠牲が痛いんだよなぁ
涙目になってるがTCGはこういうものだし俺のデッキコンセプトがひたすら破壊だからな……
《高坂光希》HP30 残りコスト1
『守護天使像』→破壊
『スナイプエンジェル』→破壊
《不死宮クロト》HP27→22 残りコスト1
『デッドオーガ』→破壊
「さてと……『復讐の操り人形』*8を召喚して効果発動。
選ばれるのは必然的に一体しか居ないからデッドオーガを《復讐》状態で召喚する。
ターンエンド。」
《不死宮クロト》HP22→19 残りコスト3
『復讐の操り人形』1/1
『デッドオーガ』8/4
周囲の反応がざわついた。
いきなり死んだ奴を即復活させて攻撃力8の化物が出てきたからな
「嘘!?どうしよどうしよ……『守護天使像』を召喚してエンド!」
《高坂光希》HP30 残りコスト2
『守護天使像』1/7《シールド》
「俺のターン。」
俺はここで大型のユニットを出すことにした。
「『復讐の堕天使』ルシファー*9を召喚。」
「黒と黄色の二色!?」
《高坂光希》HP30 残りコスト2
『守護天使像』→破壊
そう、このカードゲームにはまれに二色の属性を持っているカードが存在している
俺が出したのはそのカードのひとつなんだが……そもそも持ってるのが数万人に一人な上に複数の属性適性が無いとそもそも引けないし黒属性に寄りすぎてるんだよなこのカード
とりあえずコストはすっからかんだし攻撃だな
「『デッドオーガ』と『復讐の操り人形』でダイレクトアタック」
「なんなのよそれ!こっちが出してもすぐに破壊されるじゃん!」
いやそういうコンセプトだからこれ……
《高坂光希》HP30→21 残りコスト2
《不死宮クロト》HP19 残りコスト0
『復讐の操り人形』1/1
『デッドオーガ』8/4
『復讐の堕天使ルシファー』6/7
「私のターン!えーっと……えーっと……」
まぁさすがにここまで盤面完成してしまえばあとは詰め将棋みたいなものだ
特にこっちにダメージを与える類いのカードが少ない守護天使型のデッキならなおさら捲る手段は少ないだろう
「あ!『守護天使セラフ』*10を召喚してエンド!」
《高坂光希》HP21《シールド》 残りコスト1
『守護天使セラフ』4/6《シールド》
だる……
「俺のターン……『特攻ゾンビ』*11召喚。」
さすがにこの状況なら《犠牲》によるダメージは無視して良いだろう
とはいえダメージ回復系のも一応デッキには組み込んでるがなかなか引けてない……後でデッキ構築見直すか
それにしても特攻ゾンビの能力を見て高坂泣きかけてるな……こりゃトドメ刺したら泣きそう……容赦する気ないけど
《不死宮クロト》HP19→17 残りコスト1
『復讐の操り人形』1/1
『デッドオーガ』8/4
『復讐の堕天使ルシファー』6/7
『特攻ゾンビ』2/2
「『復讐の操り人形』で『守護天使セラフ』を攻撃。」
『復讐の操り人形』→破壊
『守護天使セラフ』4/6《シールド》→《シールド》消失
「『復讐の堕天使ルシファー』で『守護天使セラフ』を攻撃、その後『特攻ゾンビ』でシールドを割って『デッドオーガ』でダイレクトアタック。」
『守護天使セラフ』→破壊
『復讐の堕天使ルシファー』6/7→6/3
《高坂光希》HP21→13《シールド》→《シールド》消失 残りコスト1
「ターンエンド。」
「えっとえーっと……こんなの勝てないよ!!」
「降参ってことでいい?」
「降参!もういや!」
《WINNER》不死宮クロト
「うわぁぁぁあん!」
やっぱり泣き出したか
俺は正直付き合ってられないので部屋の端に移動して周囲のバトルが終わるのを待つことにした
そもそも《シールド》重視のデッキは赤とか他の属性には強いが黒みたいな即死や紫の絡め手とか相手だとすこぶる相性悪いからな
どのみちどっかしらのタイミングで泣きを見ていただろう
それ以前にカードゲームの勝ち負けでそこまで悔しがるというのがやはり俺には理解できない。
ただのゲームの勝ち負けが決まっただけで特になにかを賭けてたりしてる訳でも負けられない理由があるとかでもないしな
はぁ……さっさと授業が終わってくれないだろうか