にじファンにいたころは星光の殲滅者という名前で書かせていただいてました
ストックがある限りは毎日投稿していきたいです
受験生のため更新速度は遅めですがそこはご容赦ください
~北海道~
寛SIDE
今日は俺が生まれ育った北海道を旅立つ日だ
中学の卒業式が終わってまだ数日しかたっていないけど引っ越し先での入試があるからゆっくりしていることも出来ない
クラスメイトの中でも本当に仲の良かった数人が見送りに来ている
「寛!!麻雀はやめるなよ。全国大会で会おう」
「全国大会で会おうって青春物の漫画か何かかよ。そもそも俺の行く学校に麻雀部があるかも分からねえんだからあんまり期待はするなよ。…でも麻雀は絶対にやめない。いつかプロになる予定の男だからな」
全国大会云々言っているのは俺の親友で最も熱い男で名前は後藤孝だ
中学では麻雀部の中堅を務めていた
先鋒が崩れたりしたときに持ち前の熱血でチームに活を入れてくれたいわばチームの支柱だ
「それでこそ俺の親友だ。元気でやれよ」
孝と俺は熱い握手を交わして別れた
「………ヒロ、達者でな」
無口なこいつは麻雀部の次鋒だった男だ
普段からかなり物静かで人と最低限のコミュニケーション以外を取ろうとしない変わり者だ
「ああ、お前も元気でやれよ」
次は先鋒だった男だ
「寛君、君ならどこに行ってもうまくやれると思うよ。目標が己の毎日に息吹を与える。高い目標を持ち常に己を磨き続けろ。ってどこかの偉人が言っていた気がする。プロの麻雀打ちになるっていう君の夢を僕は心の底から応援しているよ。頑張ってね」
どこから引っ張って来たかもわからない偉人の言葉を使うのが特徴だ
「寛、俺は非常に寂しいぞ!!幼稚園から一緒のお前がこの北海道を去ってしまうのは半身を引き裂かれる思いだ。しかし、友の新たな門出を祝おうではないか。壮健にな親友よ!!」
麻雀部の副将だった俺の幼馴染の福島健人
しゃべり方も変だがそれ以上に孝並みの暑苦しさが特徴の一つだ
物心ついたころには隣にいていつも一緒だったこいつと離れるのは正直つらいものがある
それは互いに同じだと思うしだからこそこの場に涙は必要ない
「じゃあなみんな。また何処かで会おうぜ!!」
俺は涙を見せないように振り返らず飛行機に向かっていった
そもそも神奈川って麻雀流行ってるのか?
~神奈川~
俺が受験するのは神奈川の県立川崎東高校だ
事前に調べたところ麻雀部は存在はしているものの現在は部員数がゼロつまり今年部員が一人も入らなかった場合廃部になるらしい
…どのみち部員が居るだけで全国目指せるほど麻雀は甘くないから俺は最初から個人で狙ってたけど
環境は予想以上に悪いな
自分で打てる場所探しておかないと勘が鈍っちまうしな
第一に目の前の受験を終わらせて受かることが一番大切なんだけどな
正直レベル的にはちょうどのところを選んでいるから馬鹿みたいに勉強をする必要もなく気が向いたら赤本と向き合って気分転換に一人でツモ切りの練習をしたりしているうちに受験は終了した
そして今日は合格発表の日だ
「368か……あったあった。よし帰るか」
母の仕事は雑誌の記者だから今日は取材で遅くなるらしい
合格したってことだけを伝えて俺は家に帰る道中に雀荘を探していた
一人でも打つことができてノーレートの雀荘はなかなか見つからなかったが
家から600mほどのところに麻雀喫茶というものを見つけた
一品の料理と飲み物の注文をすれば満席になるまで打たせ続けてくれるっていうかなり良心的な店だった
毎日通うわけにはいかないから俺の小遣いとこれからするであろうバイトでなんとか来れるときはこようと思った
高校入学から一月たったが俺ってコミュニケーション能力が乏しかったみたいで結構クラスでは孤立している
考えてみれば当たり前っちゃ当たり前かもしれないけどな
この学校は対して頭がいいわけでもないのに教師も生徒も進学校を気取ってるからな
麻雀部なんてものに所属している奴と話すやつも余りいない
たぶん心の中で馬鹿にしてるんだろな、麻雀なんて運のゲームだろとか所詮麻雀だとか
まあそんな奴らとなれ合う気もないからいいんだけどな
バイト先は偶然にも麻雀喫茶で打ってる時に店長と意気投合
働かせてもらえることになった
勘を鈍らせることなくさらに金までもらえてしまうっていうかなりお得な状況になっている
さらに余った料理を家に持って帰らせてもらっているおかげで母が仕事でいないときも飯には困らない
ひたすら麻雀だけに打ち込める環境に偶然なった
全国大会の予選まではまだ一か月はあるからなこの地区の強豪について調べてみたけど全国区の化け物じみた奴はいなかった
どんぐりの背比べって所だな
しいて言うなら神奈川東高校にいる荒川真治は神奈川でも一人群を抜いていた
神奈川からの全国の切符は二枚
確実に俺は荒川に勝たないといけない。そのために今は打ち続ける
まあここは店だからお客さんを飛ばしたりしないように気を付けて打たなくちゃいけないからその分さらに難易度が上がる
素人から玄人までいる打ち手の手配を読んで直撃を敢えてもらったり軽い役で上がったりと点数の調整が肝心になってくる
おかげでかなり器用なうち回しができるようになった
この麻雀喫茶で働いていて感じたことの一つだ
後、麻雀部にもしっかりと部費が宛がわれていることが分かった
部員一人だから大した額ではないが俺が全国に行ったと仮定した時の宿泊滞在費には十分すぎる額だった
顧問に使い道を聞かれたとき俺が全国大会の旅費にしますと言ったら顧問は目を輝かせて応援してくれた
麻雀部の顧問は若い教師で熱血な男だったみたいだ
この進学校気取りの学校でついつい浮きがちで面倒な麻雀部を押し付けられたらしい
麻雀も学生時代に大学の先輩と打っていたからただの運だけのゲームとは思っていないみたいでかなりやりやすい
俺が学校で話をするのは顧問くらいだな
…ホントに俺って友達居ないんだな
これでも北海道にいたときは結構いたんだけどな
主に麻雀つながりだったけど
「今日は全国大会だな。俺はお前なら全国に行けると思うぞ。」
顧問に激励の言葉をもらって俺はエントリーしていた個人戦の予選会場に向かった
結果からいうと予選は2位で突破した
神奈川のレベルはやはり全国でもかなり低いと思う
点数計算がギリギリできる程度の奴もいればビリなのにオーラスをタンヤオだけで上がったりと雑魚ばかりだった
直撃は一度もなかったがそういう奴らの所為で荒川に少し点数で負けている
決勝は半荘5回の総得点で決まる
その中に一度くらい荒川との直接対決もあるはずだ
そこで叩き落とすしかないな
~決勝第一局~
俺の卓にいるのは予選25、16、5の奴らだ
5位の奴は一回見たが細かい役で何度も上がって点数を稼ぐタイプだ
ただ、一度崩れるとなかなか復帰できないタイプにも見える
「立直!!」
『予選2位の藤原選手先制立直ぃ!!』
待ちは中の地獄単騎だ
もし5位の奴が持っていて振り込んだとしたら立ち直るのに結構時間がかかるんじゃねえのか?
予想通り安牌とタカをくくって中を切った
「ロン!!立直一発一気通貫ドラ…裏が乗って4、16000だ」
『倍満!!先制立直は倍満、これは痛い!!』
絶望的な顔してるな
そりゃそうだ、安牌と信じたのが倍満なんだからな
これでたぶんこいつはもうこの半荘は立ち直らないだろ
結局立ち直れなかったようで結果は東4局で俺の親満直撃のぶっ飛びで終了した
『圧倒的!!藤原選手、この半荘を+34で終了しています』
今日は絶好調だな
この調子で一気に全国決めちまいたいところだ
…それにしても神奈川じゃ弱すぎて俺は満足できないな
もっと化け物とかとやりあいたいんだけどな
それは全国の楽しみにしておくか
~決勝戦第五局~
『男子個人戦神奈川大会もいよいよ大詰め!!この卓を囲むのは1位~4位の選手です。つまりこの局の結果次第で全国への切符をつかむものが決まります。現在1位はここまで圧倒的な強さで勝ってきた藤原選手。2位は荒川選手、3位は山中選手、4位に田中選手となっています。尚藤原選手はほぼ全国が確定していると言っても過言ではありません。ここまでの4回の半荘で+152。2位以下と50程の差が開いています。しかしまだ勝負は分からない。最後の半荘が始まります。起家は田中選手からです』
ここまでは予定通りだ。後はこの半荘を上がりきるだけだ
荒川はやっぱりこの地区では一人飛び抜けているようだ
団体戦でも全国を決めていたし、チーム全体のレベルも悪くはない
ただ、個人の優勝は譲れないな
最小の失点で最大の得点をたたき出させてもらう
この半荘を最後までやるつもりは無いからな
東一局は荒川のタンヤオドラ2のツモで上がられた
この半荘の結果がどうなろうとたぶん俺と荒川が全国に行くことはほぼ確定だな
~南三局~
俺の親番だここまで俺が一回満貫を山中に直撃させて後はツモだ
点数は
俺…40000
荒川…36000
山中…13000
田中…14000
つまりこの局で俺が18000を荒川以外に直撃させればこの大会は終了する
配牌は…ドラ3のタンヤオトイトイ狙いってところで十分か
余り手配をさらしたくないし2福露までだな
「ポン」
俺は四索をポンして聴牌に持って行った
後は雀頭の単騎だが直撃狙いで行くなら残り牌の多いのにするべきなんだろうな
待ちは2萬、河にはまだ一枚も出ていない
荒川が一枚切ったがここはスルーだ
安牌と思ったのかその3順後に田中が出した
「ロン!!タンヤオトイトイドラ3、18000だ」
『完全決着!!神奈川県男子個人戦は圧倒的な強さで藤原選手の優勝、2位は荒川選手です。』
「神奈川に君のような打ち手が居たとはね。全国でもともに頑張ろう」
「俺は去年まで北海道にいましたから。荒川さんとはまた打ちたいですね。俺の名前は藤原寛って言います。今後ともよろしくお願いします」
俺は荒川と握手をした
「よしてくれよ。勝者は君だ。俺は麻雀に年齢は関係ないと思ってるから敬語はやめてくれ。俺は荒川真治だ。気軽に真治とでも呼んでくれ。俺も寛って呼ぶからさ。」
「分かった。全国でまた会おうぜ真治。」
「ああ。寛も負けるなよ。」
全国で再び戦う約束をして俺たちは控室に戻っていった
「やったな藤原!!おめでとう」
控室に戻ると顧問が心からの賛辞を贈ってくれた
昔なら今ここに戻ってきたのは大将戦の後で迎えてくれたのはチームメイトだったんだけどな
個人戦もいいけどいつかはもう一回行きたいな団体で全国に…
~一か月後~
「本当に引率で行かなくてもいいのか?」
全国大会の直前になって顧問が心配し始めた
「東京ですよ?今時中学生でもひとりで行けますよ。電車ですぐじゃないですか。」
「学校側としてはだな、何か問題があった時に一人で行かせたというのはまずいんだよ。」
確かにそれは一理あるな
事故にでも巻き込まれたとしたら責任問題だからな
「じゃあ取り合えず俺は抽せん日までに現地に向かいますから先生は試合開始日に合わせてこっちにくる。俺は少し先に一人で旅行に向かってそのまま現地で先生と合流したってことにすれば全く問題はないでしょ?」
「よくそこまで頭が回るな。…まあそれでいいなら許可しよう。ホテル等は予算の範囲内で決まったら連絡してくれ。」
まあ流石にそこは絶対にしなくちゃいけないだろう
母さんに頼んでホテルはできるだけ会場に近い場所を取ってもらった
万が一寝坊したとしても問題ない
…まあ個人戦は全部午後からになってるから遅刻はありえないけどな
出発は明後日になっている
俺が全国大会に出ることを知ってる学校の奴はたぶん校長と顧問とあと少しの教師くらいだろう
校長も昔は雀荘でガンガン打ってたタイプらしくて応援してくれた
すでに決まっている全国大会の出場者にさすがにあいつらの名前は無かった
予想通りっちゃ予想通りだけどな
流石に一年目でそんな約束が達成されるとは微塵も思っていない
俺はともかく個人の力量であいつらが全国にくるのは難しいからな
ただ…今はだから来年、再来年は全くわからない
俺はただ優勝を目指して136個の牌と駆け引きをするだけだ
感想お待ちしています