~翌日~
寛SIDE
制服に着替えた俺は歩いて会場を目指していた
午前は女子の部の抽選があるから男子は午後に集合らしい
今の時間は11時半だから昨日歩いた感覚ではジャストの時間のはずだ
「何度見てもここは綺麗だな。神奈川もこんなの作らねえかな」
麻雀がほかの特に比べるとなぜかそこまで盛んじゃない神奈川には絶対にこんなの作れないだろな
つ~か部員がほしいわ
このままじゃ来年は同好会に格下げになりそうなんだが…
全国優勝って成績があったら交渉できたりすんのか?
ま、とりあえずは初めてみんことには何もわかんねえしやってみるか
~抽選会場~
「女子の抽選結果はどうなってんだ?白糸台……あったあった。Bブロック四試合目ってことは明日が試合か。見に来てもいいんだけど観戦室は女ばっかっぽいしホテルのテレビで見るとするか」
『間もなく男子の部の個人戦の抽選を行いますので選手の方は観戦室にお集まりください』
放送の指示通り観戦室に入ると抽選が始まろうとしていた
『35番神奈川代表藤原選手』
俺が呼ばれた
今のところどのブロックも穴だらけだからどのブロックに振られるかは全くわからない
どうせならAブロックの初戦がいいけどな
一番目立つし
普通なら警戒されたり研究されたりするのを嫌ってできるだけ最後がいいと思うんだろうが俺は研究してもあんまり意味ないからな
俺の麻雀は勘が4割経験6割だ
うち筋は癖を作らないようにしているしこだわっている役もない
勝てるように打つ、これが俺のモットーだからな
そもそも一年の俺は過去の牌譜が存在しない
神奈川の時も半荘をやりきっていないからデータもしっかり集まらない
データを元に打ってる奴らからしたら一番厄介なタイプだろな
警戒もされるかもしれない。でもそれでいい
今回の大会は俺にとって初めての大きな大会だ
今後プロになっていくならこの程度のプレッシャーでつぶれるわけにはいかない
敢えて敵に警戒させてそれでも勝てるくらいの圧倒的な力を手に入れないとな
「初戦の対戦相手は富山の山根と鹿児島の権藤んで佐賀の川村か。どれも聞いたことない名前だな。…相手にとって俺も同じか。とりあえず白糸台の試合もないみたいだしホテルに戻るとすっかな」
俺は来た時よりも少し足早にホテルに帰った
理由は気温の上昇だ
つい最近まで北海道にいた俺には東京はちょっと暑すぎる
「ホテルは涼しいな~。とっとと部屋に戻るか。」
このまま東京散策に出かけてもいいんだが如何せん暑すぎる
今日はホテルで軽く対戦相手の研究だけしておこう
油断なんかは絶対にしない
運の要素がからんでくる以上100パーセントはありえない
だから少しでも勝率を上げるためにやれることは全部やっておこう
飯は…ルームサービスにするか
下まで行くのが面倒だし時間ももったいない
その日俺は部屋から出ずにひたすら対戦相手の研究をしていた
~翌日~
白糸台の試合時間になった俺はテレビの前に座っていた
「…圧倒的だな」
一回戦だからなのかそれとも白糸台の実力が段違いなのかはまだわからないが一回戦は圧倒的なものとなっていた
特に宮永だ
連続和了で圧倒的に点数を重ねて最後まで和了り続けた
「宮永は予想通り全国区の選手だな。」
個人なら確実に全国の決勝まで行くだろうな
『以上で本日の対局はすべて終了です。明日からは二回戦。ついにシード校が入ってきます。明日行われるのはAブロック二回戦とBブロック二回戦です。解説プロは小鍛治プロです。』
「こりゃ明日の視聴率アップは間違いないな」
小鍛冶プロは史上最年少プロ八冠とリオデジャネイロ東風フリースタイル銀メダルの経歴を持つが最近は地元のクラブに所属してランキング戦等にはあまり出ていないらしいけど老若男女問わずかなりの人気を持っている
「ホテルの売店にでも遊びに行くか」
このホテルの売店には他じゃあまり見ない珍しいものもいくつかある
まずノンアルコールカクテルを大量に揃えている
本来なら年齢確認される所だがいつものサングラスにアロハシャツで行けばまず間違いなく買えてしまう
ま、高校生には見えないしな
俺は売店に行って適当につまみとアルコールは流石にばれるとまずいからノンアルコールの奴を3本買って部屋に戻ろうとしていた
「ちょっと待って」
後ろから声をかけられた
聞いたことのある声に俺は振り返るとそこにいたのは予想通り宮永だった
「おっす。一回戦突破おめでとう。なんか用事か?」
「なんか用事かじゃないでしょ!!なんでカクテル買ってるのよ!!」
「なんで俺の買ったもの知ってるんだよ。ノンアルコールってのが先に着くけどな」
ただのアルコールとノンアルコールは全然違う
「…まあいいわ。ところで藤原君今時間ある?」
「今から部屋でこれを食べるんだけど。」
買ったつまみを見せる
「じゃ、じゃあ部屋でいいから少し話さない?今自由時間でみんな外出していて暇なのよ」
少し焦った声で俺に言ってくる宮永
知り合って間もない男の部屋に来るって最近の女子高生はどうなってんだ?
俺は別にやましい気持ちなんて微塵もないから気にしないけどな
「別に宮永「照でいいわよ」…照がいいなら構わねえけど。とりあえず部屋行くか」
俺は照を引き連れて部屋に戻って行った
「コーヒーと紅茶どっちがいい?」
流石に女の子がいる前でノンアルコールといえどもカクテルとつまみを食べる気にはならないから部屋に備え付けの物を出すことにした
「紅茶で」
「了解」
俺はコーヒーを自分のカップに淹れて照に出すカップに紅茶を注いで持って行った
「ありがとう。それにしても意外と勉強熱心なのね。これ初戦の相手の牌譜でしょ?」
片づけないで部屋を出たから乱雑に置かれたままの牌譜を見て照が聞いてきた
「俺の初戦の対戦相手知ってたのか。まあ特別な癖とかないみたいだし見る意味はそこまでなかったかもな」
「そうみたいね。藤原君は団体戦は出なかったの?」
「寛でいいぞ。俺も照って呼んでるし。俺の学校麻雀流行ってないからな。俺以外の部員は一人もいないんだよ。まあおかげで部費全部つぎ込んでこんな高級ホテルでやりたい放題だけどな」
「…寛って学校でもそんな感じなの?」
「どんな感じなのかはわからないけど俺はこんな感じだ。ま、そのおかげで友達は居ねえけどな。俺の学校にいる奴らは麻雀を馬鹿にしてるからな。そんな奴らと居るくらいなら転校か三年間独り身を選ぶってことだ」
「ふ~ん。じゃあ私が最初の友達になってあげるわ。今年の全国大会で優勝できたら。」
どんな条件なんだよ
普通の人間だったら諦めるんだろうな
でも…友達ほしいしな。
しかも女で麻雀もわかるなんて最高じゃねえか
「じゃあもう友達だな。だって俺は今年の大会優勝するためだけにここにきているんだからな」
俺たちはそのあと1時間ほど今までどんなことをしていたかとかを話して部屋から出るところを見られないように照を帰した
流石に男の部屋から出てきたとかなると都合が悪いだろう
友達候補のこれからも案じての事だ
幸い誰にも見つからなかったけどな
その後は暇な時間をぼ~っとつぶしながら晩飯はバイキングで軽めに取って寝た