寛SIDE
神奈川東高校の最寄駅から20分ほどで横浜の繁華街に到着した
「ここってすごい人ね」
始めてきたのか繁華街の人の多さに照が驚いている
休日の夕方ならこのくらいはいつも居る
「じゃあはぐれないように手でもつなぐか」
そういって俺は照の手を握って歩き始めた
「まずは定番の肉まん辺りからいってみるか」
手近にある肉まん屋に俺と照は歩いて行った
「これ、すごくおいしい」
店の椅子に座って肉まんを食べている照
「それはよかったな。ただ…食べ過ぎると太るぞ?」
「…これくらいなら大丈夫、大丈夫よ」
自分に言い聞かせるようにして残り半分くらいまで食べたところで
「はい。」
肉まんを俺に渡してきた
なるほど、他のも食べたいけど全部食べると太るって俺が行ったから半分食べたら俺に食べさせるつもりか
まあいいけどな
二人で一つなら金も余りかからなくて済むし
「確かにここの肉まんうまいな」
今度からここで買うことにしよう
それから二人で繁華街を回った
ラーメンやら水餃子やらを食べて俺も照も腹がいっぱいになった
「そろそろ帰るとするか。どうする?家まで送っていこうか?」
時間はもう8時だ。正直、照を一人では返したくない
危険だからな
「わざわざ送ってくれるの?」
「そりゃ夜に女の子一人で歩かせるのは危険だし、大切な彼女だからな。送っていった方がいいだろ」
ここから照の家までは大体40分くらいで着く
往復でも大した時間にはならないし問題ないだろう
「それじゃあ、お願いしようかしら」
電車に乗って東京まで戻ってきていつもの公園に来ている
「ここでいいか?」
「ええ、ありがとう」
公園から出て互いに家に帰ろうとした時、後ろから声をかけられた
「ねえ寛、よかったら家でコーヒーでも飲んでいかない?」
「もしかして親いたりするか?」
「居るんじゃないかしら」
「こんな時間に行って迷惑じゃないのか?」
もう大体9時くらいだけど寝るのが早い人なら寝るかもしれない
俺は絶対にこの時間には寝てないけどな
「大丈夫よ、お母さんだけだし」
そういえば照の口から家族の話って聞いたことなかったな
俺もしたことないけど
お母さんだけってのは親父さんは家に居ないのかそれとも離婚もしくは別居中なのかのどっちかになるけど聞かない方がよさそうだな
「じゃあお邪魔するか」
どうせ母さんは今日も仕事で帰ってこなさそうだしな
「ただいま」
「お邪魔します」
照の家は公園の近くのマンションの一室だった
3LDKくらいか?
「お帰り照。あら?珍しいわね、照が友達、それもボーイフレンドを連れてくるなんて初めてじゃない?」
「紹介するね、藤原寛、一応私の彼氏です」
一応ってなんだ?一応って
「藤原寛です。照さんとお付き合いさせてもらっています」
「あらあらご丁寧にどうも。私は宮永華です。そういえば、あなたは男子の部のインターハイの優勝者よね?」
「知ってたんですか?」
女子の部と違って男子の部はメディア的にはそこまで注目されてないんだけどな
まあ娘がチャンピオンだしどこかから優勝者の名前くらい入ってくるか
「お母さん、もういいからコーヒー二つ部屋に持ってきてくれる?」
「はいはい。お邪魔虫は退散します。」
そういうと照のお母さんはリビングに歩いて行った
「部屋はこっちだから」
照に言われて部屋に入った
部屋の中は予想通りかなりシンプルでかわいいぬいぐるみとかは全く見当たらなかった
ただいい匂いがする
「適当にっていうかそこの床だけど座ってね」
そういわれて俺はテーブルの近くの床に腰かけた
「それにしても照の部屋はシンプルだな」
「そう?まあ別に可愛いものとかには興味ないから必要なものだけ買ってるし。白糸台の友達はみんなこんな感じよ?」
白糸台は女の子らしさが足りないんじゃないのか?
「ふ~ん。そういえばなんで今日は家に呼んだんだ?こんな遅い時間じゃなくても他の日にしてもよかったんじゃないのか?」
別に今日以外会えないわけじゃないし
昼とかに呼んでくれたら全然問題ないんだけどな
「特に理由は無いんだけど…しいて言うならもうちょっと寛といたかったからかな」
「うふふ。ラブラブね」
ドアの向こうから照の母さんの声が聞こえた
「ちょっ!!お母さん!!なんで聞いてたのよ!!」
「コーヒーを持ってきたら偶然聞こえちゃったのよ」
「もう!!」
「藤原君も時間は気にせずゆっくりしていってね」
ゆっくりしていってもいいけど終電の時間があるんですけど
まあまだまだ電車はあるから大丈夫か
照のお母さんはそういうとコーヒーを置いて出ていった
「面白いお母さんだな」
「そうね」
「今度は家に遊びに来るか?家の母さんは居るかいないかわかんねえけどそこそこ面白いぞ?」
今日も取材でどこか行ってるみたいだしここの所あんまりあっていない気がする
「寛のお母さんって何の仕事してるの?」
「雑誌の記者だな。北海道から引っ越してきたのも転勤が原因だし、もしかしたらまたどっかに転勤ってこと
もあり得るしな」
「そうなったら寛はどうするの?」
「転校するぞ?今の学校には友達もないし、麻雀部のある学校なら個人でだったらどこからだって全国を狙うことはできるしな。照に会いたかったら会いに来ればいいだけだし。全然問題ない」
会社が関東を中心だから関東地方から出ても関西まで行くことは無いと思う
静岡とか新潟くらいなら月に1回くらいで会いに来ても大丈夫だと思うしそのためにバイトでもすればいい
「そっか。まあお母さんの転勤があったらの話よね」
「まあな。つーかもうこんな時間か」
時計の針は11時を指していた
楽しいときってのは時間が過ぎるのが早く感じるな
「そろそろ帰るか。一応明日は平日だしな」
「それじゃあ」
「おう。次は何時かわかんねえけどまたな。お邪魔しました」
照のお母さんに挨拶をして俺は家に帰っていった