寛SIDE
春季大会も終わり、俺たちは2年にに進級した。
部員に関しては予想通り誰一人はいってこなかった。
まぁ、いくら全国春夏制覇してるからって個人戦の結果だしな。
麻雀を真剣にやるやつは全員っていうか大抵は神奈川東に進学するみたいだ。
だから俺は相変わらずバイト先の麻雀喫茶で客と打ったりしてるくらいだ。
今は、ゴールデンウィークを利用してこの前から約束していた大阪案内を康平と隆司にしてもらうために俺と修平で大阪まで来ている。
「大阪に来るのは初めてだな。」
「俺もだ。なんつ〜かあれだな、東京よりも面白そうだな。あ、そういえばさ、照さんは今日は呼んでないのか?」
「一応誘ったんだけどな。なんか白糸台は毎年恒例の合宿があって無理なんだとさ。」
修平も秋季大会が終わってからリア充爆死しろとは言わなくなった。
飽きたのかもしれないな。
「強豪校は大変なのな。」
お前の通ってる西峰も十分に強豪なんだけどな。
大阪の駅前でこれから何をするか考えていると後ろから声をかけられた。
「寛?もしかしてお前寛か?何やってんだこんなところで?」
なぜか神奈川にいる筈の真治が立っていた。
「俺はあれだ。明日友達が大阪案内をしてくれるって言うから一日早く現地入りって感じだな。」
約束は明日だが、せっかくの連休でする事もないし暇つぶしには持って来いだからな。
「俺は従妹が大阪に住んでいて遊びに来ていたんだけどその従妹がお前のファンでな。時間あったら会ってやってくれないか?」
「俺にファン?んな奴居るのか?変わり者だな。」
俺より素さえ知らなかったら横に居る修平の方がビジュアル的に上だと思うんだけどな。
「まあ、高校生で麻雀をやっていたらお前の名前を知らない奴の方が珍しいんじゃないのか?全国大会春夏制覇で両大会のMVPなんだからな。ファンの一人や二人居てもおかしくないだろ。」
「飲み物くれるなら行ってもいいぞ。」
「なんでお前が返事してんだよ。」
真治に俺の代わりに返事していた修平の頭を軽く叩いた。
「よし、交渉成立だな。ついてきてくれ。」
俺の承諾なしに交渉が纏まっていたことに疑問を感じるがとりあえず真治の後について行った。
真治としてはサプライズ的な事がしたいらしくて俺たちは玄関先で合図を待っている。
「ただいま。」
「おかえり〜。真治兄アイスこうてきてくれた?」
「アイスよりお前が喜びそうなもの持ってきたぞ。」
「え〜なになに〜?」
真治から合図が出たから俺と修平は家の中に入っていった。
「えっ!!ふ、藤原寛さん!!なんで?」
真治の従妹は少し頭が混乱してるみたいだな
「なんか大阪に遊びに来ていたみたいで、駅で偶然会ったからそのまま連れてきたんだ。」
「まあそういう事だ。よろしく、え〜なんて名前なんだ?」
先に真治に聞いといたら良かったかもな
「ウ、ウチは三筒牧高校の1年で荒川憩って言います。」
「憩か、俺は知ってると思うけど藤原寛でこいつが朝井修平だ。真治とは神奈川大会で知り合って以来の仲だ。」
互いに自己紹介が終わって真治が約束通り飲み物を持ってきた時に修平がしゃべり始めた
「誰もさっきから突っ込まないから言わせてもらうぞ!!なんでナース服なんだ?」
それは俺も最初から不思議に思っていたけどあまりにも違和感がなさ過ぎて放っておいた
「コスプレが趣味なんよ」
「ナース服限定のか!!」
修平がここまで取り乱してるのは珍しいな
まあ趣味がコスプレでしかもナース服限定の人は初めて見たけどな
照も着てくれねえかな?
絶対着なさそうだけどな
「まあ気にするな」
「いや!!気にしろよ!!」
それから憩の話をいろいろと聞かせてもらった
女子の部ってのは基本的に興味がないから情報が少ない
三筒牧は毎年、千里山にやられているから今年こそは勝ちたいらしい
憩自身は既にレギュラーで今年の夏の大会にも出るらしい
「じゃあ俺たちは帰るから、憩は夏頑張れよ」
「あ、最後に携帯の番号教えてもろてええ?」
憩も最初は敬語だったが今はかなり砕けてしゃべれている
俺は赤外線でアドレスと番号を交換して真治の家を出た
その後俺たちは漫画喫茶に泊まって明日の約束に備えることにした
〜翌日〜
「待たせたな」
駅に向かうとそこにはすでに康平と隆司が来ていた
「俺らも今着いたばっかやから大丈夫やで。ん?今日は照ちゃん連れ取らんのか?」
「ペットみたいに言うんじゃねえよ。あいつは部活の合宿だ。お前らの所はねえのか?」
観音寺と高原は中堅より少し上くらいの高校だ
個人で全国ベスト4に居る選手を擁していながら全国に駒を進めれないのはチームの意識の問題だと思うけどな
「ここに居る4人がどういう奴かよう考えてみ?」
「部のはみ出し者の変わり者ばっかやな」
「俺の場合は部員が足りないだけだ」
春夏ベスト4の俺たちは個人戦にしか出場していない
理由は
俺…人数不足
修平…そもそも部活動に参加していない
康平…主将と殴り合いのけんかをして部からハミられている
隆司…部員及び顧問との対立
俺はともかくこいつら全国で結果残してなかったら絶対部活追い出されてるなって奴ばっかりだ
「康平と隆司はともかく修平みたいなのは団体戦に入れにくいんじゃないのか?」
役満を狙い続けたりとかたまにふざけているからな
「それを言うなら寛みたいなやつが団体戦に居たら団体戦が個人戦に変わりそうだぞ?」
「二回の半荘で十万の持ち点飛ばせるほど俺は化け物じみた能力はないぞ」
「俺らも全国でいろんな奴とたたかってきた。そん中にたまに異常な確率で特定の役で上がる能力?みたいなもんもっとる奴も居ったけど寛はそれの上をいっとるわ」
「確かにな。やたらと索子だけ集める奴とか居ったけど逆にやりやすかったしな」
「能力ありきの麻雀やのうて能力に依存しとるから全然怖くないねん。でもお前はちゃう。実力で今の場所に居るわけや。しかもここ一番での勝負強さと直感が人一倍強いから手ごわいわ。ま、今年こそは王座をもらう予定やけどな」
俺の事をそこまで評価してくれてたのか
確かに全国には沢山いるな
槓したらそれに確実にドラが乗る奴とか居たしな
「康平には悪いけど、俺は今年が最後や。花道を飾らせてもらうで」
「俺も今回こそ寛に役満を直撃させてやんよ」
「「「お前は無理だろ」」」
役満に振り込むほど俺はあほじゃない
しかも宣言してるやつなら特にな
「じゃあ万が一俺たち全員が決勝に揃わんかったら出てこれんかった奴が隆司の引退旅行で晩飯一回おごりやで」
隆司は1つ上の学年だからこの夏で引退する
だから俺たち親友としてどこかに旅行にいく約束をしている
照は連れて行かないけどな
「言いだしっぺが負けるフラグか?」
「修平が負けた時は寿司にしたっからな!!」
「ひでぇ!!…腹減ってきたな。そろそろ飯にしようぜ」
相変わらず会話の腰を折るのがうまいやつだな
「ここや!!ここの豚玉がめっちゃ安くてうまいねん。」
「ほ〜」
「ここに幼馴染となんかい来た?」
隆司はさっきからずっと幼馴染とのことを聞いている
そんなに興味あるのか?
まあないと言えばうそになるけどな
「数えられんな〜。家族ぐるみで付き合いあったから家族で何回も来とるし」
「その子はまだ入院中なのか?」
「そうやねん。まあ結構ようなってるみたいやし今年の夏くらいには退院できそうやって言うとったわ」
店主が運んできた豚玉を切り分けながら康平がうれしそうに話す
「そういえばお前ら二人はそういう子居ないのか?」
隆司と修平はいつも俺と康平をからかってばかりでそういう話を一切しない
「俺は居ないぞ。くそ!!可愛い彼女と幼馴染の居る奴に俺の気持ちがわかるかよ!!な、康平?」
「わりぃ、俺は幼馴染居るねん。」
「神は言っている…おかしいと!!」
修平が完全に壊れてしまったから無視して会話を進めることにした
「んで、どんな子なんや?隠すのは無しやで?」
「一つ下の子でな。地元の高校の麻雀部と茶道部に入ってる」
「麻雀と茶道って不思議な組み合わせだな」
日本文化と中国の文化の融合か?
「茶道しとる横で麻雀でもするんか?結構なお手前で…ロン!!とか言うたら面白いな」
一人芝居を始めた康平を横目に会話を進める
「まあ細かい話はまたしたる、食い終わったんやしそろそろ店出んかったら間に合わんのちゃうんか?」
「確かにな。おい修平行くぞ。」
この後、公開プロ戦を見に行く予定だ
注目は最近「捲りの女王」と呼ばれている元実業団の藤田プロだ
俺としては小鍛冶プロ…通称すこやんの試合が見たかったがあの人は地元のそこまで強くない実業団に所属してるからあんまり大きな試合に出てこない
「やっぱプロはいい試合するな」
「一打一打になんかあるわ」
「そういえばお前らは卒業したら進路どうするんや?」
「隆司はもう決めてんのか?俺はプロか実業団を目指すけど」
俺はもう進路は決めている
麻雀で食っていける選手になる、それだけだ
実業団に入る可能性もあるけど、やるならプロでやりたい
「俺は進学してそのあとはそれから考えるな」
隆司は進学か
まあ高原は元々偏差値が高い学校だしな
学校で普段勉強しとけばそこそこの場所には行けると思う
「俺も寛と同じやな。普段の授業も受けてないから勉強は何もわからんし」
俺も授業は受けてないようなものだから正直勉強はまったくわからない
「俺は…」
「「「ニート!!」」」
「なんか今日俺集中放火されてないか?」
いつもうるさいからな
その報いでも受けてるんじゃねえのか?
「照ちゃんによろしく言うといてや」
「俺からもな」
新幹線の時間になって康平と隆司が見送りにきている
「今度は東京に来いよっていうか夏は決まってるんだったな。東京で遊ぼうぜ」
春季のシードで今年は予選が免除になった
そのおかげでここに居る4人は既に全国大会出場が決まっている
「今度は康平の幼馴染紹介してくれよ」
「元気になってたらな」
それから少し話をしているとすぐに時間になり新幹線は東京に向けて走り出した
新幹線が出てすぐに修平は眠り俺は一人本を読んでいた
4人ともシードってことは今年の夏も春みたいになる可能性があるってことだよな
正直飽きたぞ
あいつ等より強い選手は出てこないのか?
誰か負けてくんねえかな
主に食費の為に
そんなくだらないことを考えながら俺は家に帰った
修平は夜行バスに乗りかえて長野に向かっていった
照への土産は一応たこ焼きストラップなんだけどこれあいつつけるのか?
あいつなんか俺と居る時以外基本クールな無口キャラ貫いてるし
マスコミとかの前だと輝かんばかりの営業スマイルを使ってるからな
携帯くらいならつけるのか?
まあ付けさせればいいか
ペアリングはなんだかんだで未だに普段もつけてるみたいだし普通につけてくれるかもしれないな
ストラップを机にしまって俺は布団にもぐりこんだ
旅行の疲労とかですぐに眠りに就けた
感想お待ちしていますm(__)m