死なないからといって銃弾を受けて痛くないとかそう言う訳じゃない。 作:俺は死にましぇん!
ここはキヴォトス。超銃社会のバイオレンスな学園都市。何かあるなら直ぐに銃を取り出して実力行使、そんな場所だ。
そんな場所なのに、死人はキヴォトスでは滅多に現れない。何故か?それは、この学園都市に通う生徒達が挙ってヘイローと神秘を持っているからだ。
それによって彼女たちは驚異的な身体能力と耐久力を得る。そんな世界、ヘイローのない普通の人間がいたら即刻お陀仏になりそうな世界で、ヘイローのない人間が
彼には、ヘイローが無い。驚異的な耐久力も無い。にも関わらず、このキヴォトスで今日の今日まで生きてきたラッキーボーイだ。
いや、基本後方支援で指揮をやっていて、ヘイローない人に容赦なく銃をぶっ放すイカれた生徒もキヴォトスには少ないからラッキーとはまた違うのだが。
それでも
そんな彼ともう一人ヘイローのない人間が居る……その人について語る前に、そのヘイローのない大人の先生の現在の状況について説明しよう。
先生はその日、気分を変えて少し遠く──と言っても徒歩5分程度だが──とのコンビニでご飯を買って帰ろうとしていた所だ。
「う〜ん、最近デスクワークのし過ぎかな?5分歩くのも辛くなるなぁ。」
独り言を渋谷に呟く彼……彼こそが、シャーレの顧問先生だ。先生は首を回しながら静かに人気の少ないビル街を歩く。
……すると、突然先生の目の前に
先生は、その何かが何なのか、直ぐに理解することができた……それは
先生は、その姿を見た瞬間凄まじい吐き気が胸の底から込み上げてきた……人が落ちて、血を浮かべて、倒れたまま動かない。
……目の前の人間が死、もしくはその間際にいるのは想像に難くない。いくら先生でも、コンビニ帰りにこんな光景を見せられたら動揺するし、吐き気の一つも催す。
「うっ……うっあ……!?」
先生は、何時もの冷静な先生とは打って変わって情けない。目の前の現象を拒絶するような声を上げる……しかし、ここで吐くわけにもいかない。
……兎に角、誰かに連絡しなければ……しかし、こんな人の死の直面して一体何処に連絡をかければいいのか?兎に角救急車を呼ぶべきだろうと、先生は心の中で回答を得ると、スマホを取りだす。
……次の瞬間だ。
「いっでぇぇぇ!死ぬかと思ったわ、テラワロス!!」
「……えっ?」
倒れていたその少年は血みどろになりながらケロッとした表情で起き上がり、ケラケラと嘲笑う。先生はその光景を見て思わず唖然となり、スマホを落としてしまう。
少年は立ち上がり、服についた血を払う。
「うわぁ……痛えし血でびしょ濡れだし。やっぱ【初心者がビルの屋上でパルクールやってみた!】の動画の撮影は辞めるか。登るのがだるいんだよなぁ。」
色々とツッコミどころのある発言を繰り返す少年。少年は川で水遊びした後のように、服を絞って血を抜き出す。
すると、少年は首を傾げながらつぶやく。
「つか何か歩きにくいな……」
そう言いながら、少年が自身の足元を見るとその訳がわかった……左足の足首から先がないのだ。
「やっべ、足先ロストしてんじゃん……何処いった?」
少年はキョロキョロと辺りを見回すと、そう遠くない場所に足があるのを発見する。少年はケンケンしながら移動して、足を手にする。
「こんなところにあったのか俺の足。よいしょっと!」
そう言って少年は自身の足先を脚の欠損した先へとくっつける。すると、傷口はみるみる内に足先と接合されていき、最終的には人間のあるべき形へと戻った。
少年は腰に手を当てて、しばらく天を仰ぐと……そっと後ろを振り向く。……そこで、ようやく先生と少年の目があった。
「おっとそこのカックイイお兄さん……悪いんだけど服貸してくんね?血で汚れちゃって」
「……?…?」
先生はひたすらに困惑していた……目の前の存在が、あまりにも先生の理解の範疇を超えていたのだ。
このキヴォトスにきて、自身の常識が通用しないなんて嫌になるほどあったし、それにも慣れてきたつもりだった。
にも関わらず、目の前の少年は先生の理解の範疇から消えてしまったのだ。
「あのぉ……もしもぉし?すみませェん?お時間ちょっとよろしいですか?服を……ね?」
先生の気を知らず声をかけまくる少年。
キャパオーバーしていた先生が、唯一絞り出すことのできた声。それは……
「あっ……はい。」
……そんな、腑抜けた一言だった。
そしてこれが、先生と同じくヘイローの無いもう一人の少年……名前をナギ、朧ナギ。馬鹿みたいな再生能力を持つ、絹ごし豆腐並みに柔らかい男と先生の出会いだ。
朧ナギ:スプラッタ人間。血をそこら辺に撒き散らす清掃員泣かせな男。
先生:いきなり死亡シーンを見せられてSAN値減少した人。かわいそう。