「というわけででしゅね、こう、あれ、あれですよ!あんましエロくない方向に舵を切ろうかにゃと!」
「提督ぅ意義あーり!」
「なんでしょうか足柄しゃん!」
「せめて1巡するまでは現状維持してほしいでーす!」
「なんでや?」
「エロエロタイム体験してみたいからに決まってんでしょ!」
「ひゃー足柄さんあけすけー!」
「イエーイ♪」
鳳翔は洗い場で皿を洗いながら苦笑していた。
提督はイイ感じに酔っぱらってるし、足柄達も酒が進む一方である。
その中での今後どうしたら再発防止になるかという議論である。
議論どころか酔っぱらい同士の堂々巡り論にしか聞こえないのだが。
「でも提督ってなんでそんなにエロ魔人なの?」
「それがね足柄さん」
「うん」
「男女比1:1で女性が貞操を守る世界ではですよ?」
「ふんふん」
「男はエロい生き物なんでしゅよ」
「ほーう!」
「そりゃエロくても、例えば足柄みたいなイイオンナとイタせるかは別でしゅよ?」
「きゃー抱いてー!」
「でも妄想して自家発電するくらいは自由なんでしゅよ!」
「ちなみにその、自分が望むお相手とイタせる可能性ってどれくらいなの?」
「・・それを聞く?」
「聞く」
「顔次第」
「顔?」
「こっちがイケメンなら割と可能性はあるけど、逆に全然好みと違う子も言い寄ってくる」
「おぉう」
「こっちが出来が悪いと、好みと違う子も寄ってこないけど好みの子は逃げていくの!」
「キビシーイ!!」
「だからどうなんでしょ・・ちょっとイケメン的な普通が一番?」
「微妙に好みじゃない子だけ言い寄ってくる可能性は?」
「のおおおおおおおお」
「あはははー」
「でもでしゅよ足柄しゃん」
「んー?」
「足柄みたいな美人さんがイタせないってことは、よっぽどでない限り無い訳でしゅ」
「よっぽどってなによー?」
「・・性格的に極めてアレとかでしゅ」
「打ち消すほどってことね」
「でも私の奥さんたる足柄しゃんは性格もイイオンナ!ナイスバディ!バッチリ!」
「イエーイ!カンパーイ!」
「カンパーイ!」
他の客は提督とやや盛り上がり過ぎる足柄に苦笑しつつも聞き耳を立てていた。
「提督はさ、今と元の世界とどっちがいいわけ?」
「こっちに決まってるでしょ!鳳翔や足柄とか居るんだもん!」
「提督大好きよー」
「いえーす!」
「じゃあ、私達が居なかったら?」
「あ、それは向こうです。圧倒的に」
「急に真顔になったわね」
「壊れすぎだよこの世界」
「そうよねえ」
「でもそれを押しのけて余りあるほど、私の奥さん達は可愛いのでしゅ!」
「よし提督よく言ったぁ!ちくわチーズあげる!」
「ごちそうさまでっしゅ!」
ふと、鳳翔は包丁の手を止めた。
提督はエロエロだから息を吐くように私達を惑わせるのかと思ったけれど。
「本当に好きだから、ということですか?」
それはそれで顔から火が出そうだと、鳳翔は苦笑しながら包丁捌きを再開した。
「たらいまぁ!」
「ど、どうしたんですかご主人様!足柄さん、何があったんです?」
「大丈夫よ、鳳翔とは普通に会話してたから。ただ飲みすぎただけ」
「すみません。送って頂いてありがとうございました」
「提督も落としどころに悩んでるみたいだけど、もうなるようにしかならないわよ。じゃーね!」
「おやすみなさい」
「うー・・」
「ご主人様、お風呂入りませんか?」
「入る」
「では用意してきますね」
「ありがと」
私は酷く酔ってはいたが、意識が飛んでるわけではなかった。
大淀や鳳翔が噛み砕いて説明してくれた元の世界との相違はかなりのもので。
元の世界ならそこに男が居ても“だから何”で済むことが大騒ぎになってしまう。
その事実が割と重くて、ちょっと逃避したくてお酒飲んじゃった。
「でも、皆に心配かけるわけにはいかないわ」
お酒に逃げるのは今夜だけにしようと、大淀を待ちながら思った。
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どうにか翌朝には酒は抜けてくれたらしく、しっかり朝食を食べて職場に行くことが出来た。
大淀や長門と楽しく会話しながら仕事を進め、時はすっかり夕方という頃。
執務室のドアを開けたのは陸奥だった。
「失礼するわね。提督居るかしら?」
「なんだ陸奥?提督なら居るぞ。ほら」
そして陸奥は私の方にまっすぐ歩いてくると、
「ねぇ提督」
「およ、もうすぐ仕事終わるから待ってて」
「今夜から再開じゃなくても良いわよ?大丈夫なの?」
私は帰り支度の手を止め、しっかり陸奥の方を向いた。
陸奥の目の奥にはハッキリと心配の色が浮かんでいたから、私は頷いたんだ。
「うん、ほんとに世界の違いが大きくてうんざりしてるけど、望みは変わらないんだ」
「・・」
「皆と仲良く、幸せになりたい。それだけなんだよ」
「・・」
「失敗ばかりだけど、皆に教えてもらいながらこっちの世界に少しずつ馴染めてると思いたいし」
「・・」
「いつか、いつかは良い塩梅で仲良く暮らせると信じてる」
「・・」
「一体どこまで抑えたら皆がひっくり返らないのかと正直困るけど、一人で頭抱えたって解決出来ないしね」
「・・」
「だからその、私が慣れるまで付き合ってくれないかな」
「私は、いいえ、私達は構わないけど、提督はそれで擦り減らない?」
「減ったとしても、そうするしか私の最終目標に届かないからさ」
「無理はしないでね?」
「むしろ耐えさせてごめんね?」
「いきなりクリティカルヒットしてくるからねぇ・・」
「シザーハンズの気分だよ」
「・・なるほどね」
「でも諦めないよ!こんな美人の奥さんを泣かせたくないからね!どうにか妥協点を探し出してみせるよ!」
「・・しょうがないわね」
「うん?」
「なるべく、出来るだけ、可能な限り理性で耐えてあげるから、好きにやったらいいわ」
「そんな事にならないように精一杯考えてみます」
「まぁ金剛や霧島とはうまく行ったんだし、出来ない事はなさそうだしね」
「じゃああの路線でしばらく様子見してみようかな」
「どんな路線なの?」
「野球拳かリバーシです」
「は?」
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そんなわけで、自室で夕食を頂いたあと。
「ふうん、そういうルールなんだ」
「まぁじゃんけんでイカサマが成立しないんだったら普通にじゃんけんでやればいいんだけどね」
「でも折角だからこっちでやりましょうよ」
「よしきた」
「選んだ?」
「選んだわ!」
「3・2・1」
「「Go!」」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「ちょww提督いくらなんでも弱すぎよwww」
「なんで!なんで陸奥に1つも勝てずにっ!」
「良いわよ、パンツ脱がなくて」
「もう1試合!もう1試合お願いします!」
「しょうがないわね」
「選んだ?」
「選んだわ!」
「3・2・1」
「「Go!」」
「うぉおぉぉぉぉおおお」
「あら、2連続で負けちゃった。ねぇ提督」
「なに?」
「さっき1回手加減してあげたじゃない?」
「・・・まさか」
「手加減してほしいなー」
「くっ!じゃあこれで貸し借りなしな!」
「良いわよそれで!次行くわよ次!」