「ビールのおつまみ作ってきたんだけど、食後にはちょっと重かったかしら?」
「ソーセージとポテトフライじゃん最高!」
「え?大丈夫?気に入ってくれる?」
「飲もう飲もう!ほら足柄も!」
そんなわけで。
「ほんっと提督って気遣いの人よねえ」
「私からすれば足柄の心配りには毎度感謝してるんだよ。ちょくちょく助けてくれるじゃない」
「そう?」
「最初の説明の時に和ませてくれたのも、初めて居酒屋鳳翔に連れてってくれたのも足柄じゃん」
「・・覚えててくれたのね」
「うん。だから改めて。いつもありがとう、足柄」
「どういたしまして」
「そんな足柄にお礼の意味を込めて、リクエスト聞いちゃうよ?」
「リクエスト?」
「軽いのから重いの、爽やかなのからじっとりまで」
「え、ちょっとズレてたら嫌だから、例えばどんなこと?」
「軽くて爽やかだと、手を繋いで頭を撫でる?」
「・・お、重くてじっとりだと?」
「後ろから下から上からそれはもうガンガンに」
「・・おせっせ?」
「YES」
「ま、真ん中くらいは?」
「野球拳?膝枕でなでなで?一緒にお風呂?」
「え、えええええ・・・」
足柄が真っ赤な顔で頭を抱え込んでいる。選択肢広すぎたかな。
しばらく唸っていた足柄だったけど、大きく頷いて私の方を向いた。
「あのね提督!」
「うん」
「い、一緒に寝るって、あり?」
「それはつまりベッドで並んで寝る感じ?」
「そ、その先どうするかはその」
「成り行きでってことだね。良いよ。先にお風呂入るでしょ」
「え、ええ。言っといてなんだけど、良いの?」
「どの段階から始めたいかだって人それぞれで良いと思うから」
「・・ありがとう。嬉しいわ」
「じゃあ風呂にお湯張ってくるね」
「え、良いわよ私するから」
「良いの良いの。待ってて」
「・・ええ」
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こうして二人別々にお風呂に入りまして。
「好きな男の人と一緒にベッドに入るなんて生涯あり得ないと思ってたわ」
「そっか。大好きな足柄と一緒に横になれて幸せ一杯だよ?」
「私も。好きな人と一緒に寝るってこんなにドキドキワクワクするのね」
「あったかいドキドキだよね」
「あ、解る。敵艦と戦うようなドキドキではないの」
「じゃあこういうのはアリ?」
私は右手で足柄の左手をそっと包み込んだ。
「ひゃん!すごくドキドキするわ」
「じゃあ・・」
包み込むような握り方から、指を絡めるような握り方へと。
「あっ!ゆっくり握られるのっ」
「いや?」
「すっごいえっち!気持ちいい!」
私は足柄の1本1本の指をそっと撫でていった。
「あっ!見え・・ないからっ・・すごく・・イイ」
「それじゃ寝よっか」
「・・・意地悪ね」
「足柄の口から聞きたいな」
「・・横に並ぶだけじゃ寂しいから、つながりましょ?」
「もちろん良いよ」
少しずつ少しずつ。順を追って。日を置いて。
そんなつもりで始めたのに。
いつの間にか凄いことになっていて。止められなくて。
くんずほぐれつな夜になってしまいました。
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「あ・・」
「おはよ、足柄」
「おはよう・・いつの間にかぐっすり寝ちゃったわ」
「寝顔可愛かった」
「や」
「照れた足柄さん可愛いです。一級新妻艦と呼びたい」
「うふ。なにそれ」
「ええっとね、足柄。真面目な話」
「ええ」
「大丈夫?なんかその、心身に不調はない?」
「不調?元気一杯よ?」
「や、その、同じような事をしてもさ、長門や陸奥のように平気な人も居れば榛名や鳳翔みたいに、その」
「あぁ、目がぐるぐるで頭の中がおせっせ一色になってないかってこと?」
「うん」
「この後普通に哨戒とか遠征の仕事が入っても平気よ?多分変わってないと思うわ」
「そ・・そっか。もうちょっと手前で止まろうと思ってたのに止まれなかったからさ」
「止まれなかったのは、私がイケイケだったからでしょ?」
「私だってノリノリだったよ」
「だったらいいじゃない。別に榛名だってキチンと仕事はこなしてるんだし」
「そうなの?」
「いくら提督との時間が心地良くても月に1回しか来ないのは皆解ってるから、それ以外の時間は仕事してるわよ?」
「そっか」
「むしろちゃんと仕事して成果上げて褒めてもらおうって頑張ってるくらいよ」
「日常生活も危ういのかと思ってた」
「んーまぁ、手持無沙汰の時間にちょっと思い出してニヤニヤするくらい認めてあげてね?」
「全然問題ないよ」
「じゃあそんなものよ。あそっか、先日の鳳翔さんは翌朝まで残っちゃったんだっけ」
「長門が突撃してくるまでがっちりホールドされました」
「ちょっと聞いてるけど、デロデロに甘やかさなければ大丈夫じゃない?」
「うん。あの夜は確かにとことん甘やかした自覚がある」
「それなら限界の見極めが出来たってことじゃない。皆違うんだし、失敗しながら覚えればいいのよ」
「うちの足柄さんカッコイイ!いよっイイオンナ!」
「イエーイ!ってことで起きましょ、提督」
「そうだね」
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「おや?派手だった割には普通だな、提督、足柄」
足柄と共に執務室に入った直後の長門のコメントがこれである。
私は苦笑した。
「あー、やっぱり派手だった?」
「久しぶりにエロらしいエロだった、とも言えるか」
「どういうこと?」
「パンツパンツ叫んだり、やれお代官様だのなんだのという変態要素が無かったなと」
「グハッ」
足柄は肩をすくめた。
「野球拳を選んでたらそうなったかもねぇ」
「足柄には特に変化も感じられないな」
「でしょうね。スッキリした分、ちょっと体が軽いかしら」
「では今日の遠征は問題ないか?タンカー護衛だが」
「大丈夫よ。敵さん来たらド突きまわしてあげるわっ!」
「タンカーから離れすぎるなよ。じゃあ資料はこっちだ。誰と一緒に行く?」
「那智で!」
「・・ああ、問題ない。では気をつけてな」
「提督!」
「うん」
「あんまりあれこれ気にしないで好きにやりなさい!じゃあね!」
足柄はそういうと、パチンとウインクして執務室を出ていった。
「ねぇ長門」
「なんだ」
「妙高型ってヅカなの?」
「ヅカとはなんだ?」
「あー、えっと、カッコ良くキメる女?」
「なんだ、提督はああいうのに惚れるのか?」
「ああいうのも良いねえ。長門も別のカッコ良さがあって大好きだけど」
「ふっ。褒めても何も出さんぞ。さぁ仕事だ仕事」
長門はそんなこと言ったけど、その日一日見るからに機嫌がよさそうだったよ。