艦娘可愛いです。   作:銀匙

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【その21】

 

「そういえば決めたよ!」

「いきなりなんだい鈴谷」

「先日のご褒美の件だよ!」

「あ、覚えてたかぁ・・」

「なんで目ぇ逸らすの」

 

海外艦隊を歓待した数日後、執務室でのやり取りである。

秘書艦が鈴谷だったから必然ともいえるのだけど。

 

「提督言ったじゃん、デートとかエッチとかいつでもどこでもなんでもシテ良いって」

「そこまで言ってないけどな」

「だけど鈴谷達はご褒美が欲しい訳です」

「ぐいぐい来るね」

「だから皆で決めました」

「ほう」

「コクってください!」

「は?」

「だから、この前A勝利した私達に、告白してくださいっ」

「・・・告白、か」

「そー」

 

私は背筋をピンと伸ばすと、鈴谷に向き直り、帽子を取って深々と頭を下げた。

 

「えっなに提督?」

「・・鈴谷」

「うっうん」

「3日前にお前のブルーベリーヨーグルトを食べたのは、私なんだ」

 

 

-----

 

 

「そんな告白要らないよバカ!なんならそれ懺悔だよ!」

「ちょっとお茶目なジョーク言っただけなのに平手打ちする事はないだろう?」

「一瞬何のことか分かんなくて分かったら無意識に手が出たんだよ!」

「生粋の関西人か」

「大体演習のご褒美で懺悔してくださいって頼むバカ居ないよ!」

「それはそう」

「もー・・ちゃんと言って」

「うん・・皆集まって?一人ずつ個別?」

「当然個別っしょ」

「じゃあ鈴谷はこの場でも良い?」

「えっもう言えるの?」

「もちろん」

「えっ・・あっ・・あちょ・・ちょっと待つ!タンマ!タイム!ハウス!」

「いいけど」

顔を赤くしてわちゃわちゃしてる鈴谷、可愛いなあ。

自分でも何してるか良く分かってないんだろうな。

 

 

-----

 

 

「よ、よっし!どんとこい提督!」

「なんで柔道みたいに腰落として構えてるの。始められないよ?」

「はっ、始めるのに姿勢が決まってるの?」

「普通に立ってよ普通に」

「う、うん」

 

鈴谷が不承不承構えを解いてゆっくり直立したので、私は鈴谷の頬に左手を添えた。

右手は彼女の腰に回して引き寄せる。

「ひゃあうっ!?」

「可愛い鈴谷、もっと近くでよく顔を見せて?透き通るように綺麗な髪だね」

「はっはひ」

「吸い込まれそうに深い瞳の色、宝石のようにキラキラしているね」

「うあ・・あわわわ」

「こんなにすべすべした肌、通りの良い鼻、愛らしい小さな唇」

「あひぃ」

私は右手をもう片方の頬へと移した。

「あ、ああ、あああああ」

「好きだよ。鈴谷。これまでも、これからも、ずっと傍に居てね」

 

ちゅっ

 

「あはは、ちょっとキザ過ぎかな・・って鈴谷?鈴谷!?ダメだ目を回してる」

 

ええとどうしよう、とりあえずソファに寝かせるか。

他の子にはもう少し減らさないとダメか。気持ちが溢れすぎた。

 

 

-----

 

 

「はかいりょくが たかすぎる」

「どうした鈴谷?アホの子みたいだぞ」

「酷すぎる!」

「だって告白しろっていうから」

「あんなクサい台詞良く思いつくよね!」

「普段から思ってるから」

「・・・んにゃあああああああっ!」

「猫の雄叫びみたいだな」

「思ってる事と普段言ってる事が違いすぎる!」

「普段から思ってる事を口にした方が良いかい天使ちゃん?」

「そんなの提督じゃないから」

「それはそれで酷くない?」

「酷くない」

「・・えっと、じゃあと5人か」

「えっ」

「だって、これがご褒美なんでしょ?皆にも言わないと」

「そ、そそそそそれはそうなんだけど・・皆にもそれぞれ言えるの?」

「普通に言えるけど?」

「タンマ。ちょっとだけタンマ。死人が出るから今日1日で良いからタンマ!」

「別に皆の都合で良いけど・・死人?」

「ちょっと鈴谷行ってきます!」

「あっ・・秘書艦なのになぁ・・まぁ、仕事するかぁ」

 

その日は撮影時間以外、妙に訪問者も居なくて静かだったので実に仕事がはかどったよ。

 

 

その頃。

鈴谷、翔鶴への説明中。

「もうマジ死ぬかと思ったさ。破壊力高すぎるよ戦艦の徹甲弾なんてもんじゃないよ」

「そっ、それは・・すごく楽しみですね」

「あのさ翔鶴、執務室でマジでイったらダメなんだよ?耐えられる?」

「なるほど・・じゃあ場所を変えてもらえば良さそうですね」

「ばしょ?」

「私の部屋で語って頂いたらそのまま何度イっても問題無いですし」

「提督の前でマジイキするのは良いの?」

「いずれ夫婦になったら何度もお見せすることになりますし」

「すげぇ正規空母の肝っ玉据わり過ぎてるよ」

 

鈴谷、夕張への説明中。

「そんなにすごいの?あの提督が?」

「普段全然そんなそぶり見せないっしょ?ほんと凄いんだよ!」

「本当ならキザ過ぎて笑っちゃうかもねえ」

「そんな生易しいものじゃないんだって」

「はいはい、まぁ褒めて欲しいのはやまやまだし、楽しみにしておくわっ」

「これ返り討ちにあう奴だわ。鈴谷知~らないっと」

 

こうして鈴谷は浜風、伊19、伊26と説明して回ったが、今一つ手ごたえが無かった。

微妙に信じてもらえてない歯がゆさを感じつつ、鈴谷は肩を落とし、夕陽を背に寮へと帰ったのである。

なお秘書艦の件は完全に忘れた模様。

 

 

-----

 

 

翌朝。

「提督、おはようございます」

「あぁ翔鶴、おはよう。今日は翔鶴が秘書艦かな?」

「はい。誠心誠意務めます」

「よろしくお願いします」

 

良かった。昨日の鈴谷と同じ感じかなと思ったけど、さすが翔鶴さん。

きっちりした姿勢で書類にペンを走らせてくれてるよ。

内心ほっとしつつ、私は書類を書き始めた。

 

そして迎えた日没。

 

「・・っと、この書類で最後かな?」

とんとんと紙の束を整えた翔鶴が中をぺらぺらとめくり、ややあって頷いた。

「はい。本日の書類は以上です。お疲れさまでした」

「・・あー終わったああああ」

「ふふ、お疲れさまでした。お茶淹れますね」

「翔鶴も休んで良いからね~」

 

 

「お茶をどうぞ、提督」

「ありがとう・・やぁ終わったなあ」

「ところで提督」

「うん」

「私には自室でお願いしたいのですが」

「・・・何の件かな」

「こ・く・は・く・です」

「あ、ああ、えーと、夕食後で良い?」

「もちろんです。何でしたらお泊りになりますか?」

「絶対手を出しちゃうのですがそれは」

「おくちでしたら構いませんが」

「止まれる自信が無いので帰ります・・おくちはその時の雰囲気次第って事でお願いします」

「はい。それではフタマルマルマルにお越しください」

「解りました」

 

そして20:00。

私は酒保の明石から散々からかわれながらも花束を手に翔鶴の部屋へと向かった。

普段思ってる事でも口に出すには勇気がいる。

おくちに出すのはとてもきもちいいですが!

というわけで、この花は勇気のブースター!頑張るぞ!

 

トントントン。

 

「今開けまーす」

 

がらりと扉が開くと、うっすら頬を染めた翔鶴がそこに居た。

花束を渡すと翔鶴はにっこり笑いながらこう言った。

 

「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」

 

毎回この挨拶を聞いてお水な店を思い出すのはどうにかしたい。

翔鶴は全くそんなつもり無いのだろうけど、花道とかナンバーワンとかいう単語が頭をよぎる。

「う、うん。お邪魔するよ」

私が部屋に入ると、いつも翔鶴はそっと扉を閉じ、鍵をかけるんだ。

 

覚悟を決めた私は軽く息を吸うと、口を開いた。

「じゃあ翔鶴。告白、して良いかな?」

「・・・はい。お願いいたします」

 

私は右手で翔鶴の髪の毛を梳きながら口を開いた。

「美しい銀の髪の中に聡明さを秘める翔鶴は、まさに戦乙女と呼ぶにふさわしい」

「はい」

左腕でそっと翔鶴の背中を引き寄せる。

「抱きしめると母性を感じさせる温かさと柔らかさ、けれどしっかりと芯を持つ素敵な女の子」

ぴくりぴくりと翔鶴が小刻みに震えている。

「はい・・あはっ」

「私の全てをさり気なく支えてくれる。そんな心配りに感謝しているよ」

「はっはい・・あはっ」

右手を頬に添え、ゆっくりと撫でる。心なしか震えが速くなったような?

「願わくばこの果実のようにみずみずしい唇にキスしたいのだけど、許してもらえるかな?」

「どっどうぞ・・あっ」

「ありがとう翔鶴。永遠に一緒に居ようね」

「もちろんです・・・あなた」

 

うーわー・・「あなた」って単語がこれほど強烈なインパクト持つって人生で初めて知ったよ。

あーいかん、これはいけません。

離した唇を追うように、とろんとした目で見上げてくる翔鶴が魅力的すぎる。

「あ、あの、翔鶴」

「はい」

「今日もよろしくお願いします」

「では、そのまま」

するするとしゃがんでいく翔鶴、なすがままにされる私。

立場は完全に逆転しまして、しぽーんと頭の中で良い音がするくらいヌかれました。

まさに瓶ビールの心境です。

じゃあアレは栓抜きと呼ぶ?

確かにヌくしその後は空っぽだけどさ。

 

「あー・・」

 

そんなくだらないこと考えないとやってられないくらい、寮から自室へと続く道が長い。

なにせ数歩ずつヨタヨタしか歩けないんだよ。

翔鶴が上手くなるの早すぎます。

こっちまで改にならなくて良いんだよ?

いや良いんだけどそのうち精魂全部吸い取られそうな勢いなんだ・・

 

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