伊19の頭をしばらく撫で、一息ついて皆の方を向くと、伊26がいつの間にか立っていたんだ。
けれど・・・
「えっと、ニム?」
「はいっ!」
「どうしてこれから告白するのに、構えてるのかな?」
CQCかな?
「ニム、皆から聞きました!」
「うん」
「油断してるとあっという間に意識を刈り取られるとか」
「うん」
「わずか数秒で頭真っ白になって何にも考えられなくなったとか」
「うん」
「だから身構えてますっ!」
「じゃあ、えっと、言って良い?」
「どーぞですっ!」
私は頬を少しカリカリと掻いた後、背筋を伸ばして一歩近づいた。
「ニム。いつも元気を分けてくれてありがと。何度も助けられたよ」
「ふにゃ」
「視線がどうしても体の方に行っちゃってごめんね。あまりに魅力的でつい見とれちゃうんだ」
「みぃ」
私はそっと、掌でニムの頭を撫でた。
「これからの長い時、ずっと一緒に居るから、今度は君の支えになれたら良いな」
「にゃあ」
「抱きしめて良い?」
「にゃん」
そっと引き寄せると、構えを崩し、すっぽりと腕の中に納まってくれる伊26。
私は目を瞑り、きゅっと抱きしめる力を強め、伊26の後ろ頭を撫でる。
「温かくて柔らかくてハリがあって、ほんとにいつまでも抱きしめていたいよ」
「・・」
「お互いに元気を分け合って、支えあっていこうね・・ニム?あれ?ニム!?」
ふと見ると彼女は全身真っ赤で、頭から湯気が出ていたんだ。
「えー・・」
「えーじゃないでち」
ふと見ると伊58と伊8がジト目で睨み、呂500と伊168が顔を真っ赤にしてそっぽを向いている。
伊19はにっこにこの笑顔で私を見てる。癒されます。
「ど、どうしようかゴーヤさん?」
「膝枕してあげるでち」
なるほど。
そーっとラグの上に伊26を寝かせ、私が正座したタイミングで伊26の頭をのせる。
オーバーヒートというか茹蛸というか、全身真っ赤だね。
熱中症かな?ひらがなでゆっくり言ったらだめだよ?
「てーとくはそのまま頭撫でてあげるでち」
「はい」
それから10分ほどして、ようやく伊26が目を覚ました。
「あ・・れ・・ニム・・ふにゃあああああっ!」
ゴン!
勢いよく起き上がった伊26の額が私の顎に直撃。
二人仲良く朝まで気を失いましたとさ。
「しょーがないのね。でもだあい好きなのね」
「悪い人ではありませんが、まだまだですね」
「でっちは提督さん好きですって!」
「勝手に決めつけないで欲しいでち!」
「じゃあ嫌い?」
「・・からかってこなければ、嫌いじゃないでち」
「私は別に普通かな」
「イムヤ、夜中に良く提督の名前呟いてるのね!」
「へっ!?」
「あんあん言いながら竜二ダメとかなんとか」
「わあああああああああ」
「イムヤが壊れたでちー!」
今夜も潜水艦部屋は賑やかである。
-----
「ロリコンですか?」
「いきなりなんでしょうか?」
朝イチの仕事のピークが一段落したころ、今日の秘書艦である高雄がおずおずと聞いてきた。
その割にはドストレートで濃ゆい中身なんだけどさ。
「あ、あの、告白のお話を伺いまして」
「ああはい、えっでも」
「はい、確かに翔鶴さんと鈴谷さんはロリではありません」
「えっ他はロリなんですか?」
「つまり、告白対象6名のうち4名がロリです」
「かなり広くないですかロリの定義」
「それだけではありません」
「へ?」
「一番の御寵愛を受けてるのが陽炎さん」
「あー、最初期から居てくれてる子なので」
「次が川内さんですよね」
「あ、はい。初の建造で来てくれた子なので」
「ロリです」
「確定なんですか。え?鈴谷はロリじゃないんですよね」
「ロリではありません」
「夕張と川内がロリの理由は?」
「お胸のサイズ感ですわ」
「それ絶対二人に言っちゃだめですよ。ていうかそれなら伊19とか」
「彼女達は背丈がロリなので」
「はあ」
「というわけで改めてお聞きしたいのですけど、ロリコン、なんでしょうか?」
「・・・その心といいますか、聞かれた理由はなんでしょうか?」
「ええと」
高雄が頬を染めてうつむいてしまった。
まさか同志よとか言い出すんじゃあるまいな。
「わっ、私は背もあるし、胸も大きいのでストライクゾーンから外れてるのかなってひゃあああ!」
「とんでもないですよ高雄さん」
私は瞬時に移動し、無意識に高雄の黒手袋に包まれた両手をその上から包み込んだ。
「あわっ、あっあの」
「おとなの おっきい おんなのひとは だいすきです」
「おっきい・・と、いいますと」
「おむねです」
「へうっ」
「おむねには ゆめが つまってるんですよ!」
「ゆめ?」
「そんなにも立派なお胸をお持ちなのに、私が嫌うはずが無いでしょう!」
「あ、ええと、つまり私はお胸だけ・・」
「良いですか高雄さん、イ級に高雄さんのおむねがついてたって一切たちません」
「たつ」
「美しい立ち居振る舞い、素敵な笑顔、慎み深い性格、そのうえでのご立派なおむねさま!」
「おむねさま」
「高雄さんについてるからこそ、そのお胸様に意味があるのです!」
高雄が一瞬笑顔になったが、すぐにうつむいてしまう。
「どうしたのです?」
「私には正直、この胸が邪魔で仕方ないのです」
「なんと」
「足元が見えない、重くて肩が凝る、走ると千切れそうになって痛いんです」
「おぉ」
「なのに何であるのでしょう?お胸様と崇められるような意味があるのでしょうか?」
「男には、あります」
「どのような?」
「まず眼福です」
「がんぷく」
「揺れるさまはいつでもとてもエロくて悩殺されます」
「のうさつ」
「触ると精神が癒されます」
「せいしんが」
「遠い過去に思いを馳せ、遠くへ来たものだと悲しみつつも、あの頃を思い出させてくれる存在に感謝する訳です」
「はあ」
「小さな突起も愛らしい。撫でまわした時に悩ましい声を奏でて頂ければまさに重畳」
「へっ!?」
「私の指が沈み込み、その事によって高雄さんがあんあん言ってくれたら何物にも代えがたい幸せが得られます」
「しあわせ」
「お胸様は単体で意味があるのではありません。高雄さんのお胸様だからこそ意味があるのです」
「・・・」
高雄は両手で自らの胸を支え、しばらく目を落とした後、くいと顔を上げた。
「提督」
「はい」
「揉んでください」
「なんですって?」
「あんあん言ってみたいです!」
「今は深夜じゃないんですがそれは」
「この!胸が!あって良かったと・・思いたいんです」
「・・・」
「でも今は本当に邪魔でしかなくて・・」
私は辺りを見回した。
当然の事ながら、高雄と二人きりの執務室である。
遠くで小鳥がさえずり、窓からは実に爽やかな午前の日差しが入ってきている。
演習や資源探訪の艦隊は全て送り出したし、午前中の書類は終わったし、昼まで間があるけれど。
こっ、こんな真昼間から・・美女の胸を揉んでくださいと懇願されるって・・
やっぱりどこかにドッキリの看板持った人居ない?
あるいは美人局の怖い二ィちゃんとかさあ・・
私は片手で目を覆った。
正直に言おう。既におっきしています。
不意打ち、ドストレート、超美人、潤んだ目、エッチなお願い、きょにゅうで跳満ですよ!
りせいが もたないよ!
「高雄、上半身脱いで」
「よろしいのですか?ああ」
30分後。
シュッシュッとティッシュを2枚ずつ取って、渡す。
破れちゃうからね。定番だよね。
「考え直して頂けましたか?お胸様の事」
高雄は自分の胸全体を受け取ったティッシュで拭きながら、とろんとした目で答えた。
「ええ。今はこの胸が愛おしくなりました」
「それはなによりです」
「私も気持ちよくなりながら貴方様の猛りを鎮められるなんて、さすがお胸様ですね」
「信じられない位ふわっふわの素晴らしい感触でした」
翔鶴のおくちは素晴らしいけど、高雄山に抱かれるのは別の次元で好きです。
「あの、また、お願いしても良いですか?」
一瞬で私は高雄の両手を包んだ。
「むしろこちらからお願いしたいです」
「ああ、貴方様はお優しいのですね」
「いや、ただのスケベです」
今回に関してはどうしようもないほど単細胞で獣的な行為です。言い訳出来ません。
完全に高雄の悩みに付け込んで変態チックな行為に及びましたっ!
あー、部屋を換気しないと、濃厚な「コトの後」感が・・・
ガチャッ!
「艦隊旗艦、鈴谷きかん・・した・・・よ?」
鈴谷、戻って来るの早くない?