艦娘可愛いです。   作:銀匙

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【その33】

 

 

「はい提督、あーん」

「せ、川内?今日こそ普通に食べられうむむぐっ」

「おいしい?あーん」

「お、美味しいけど連ぞむぐぐぐっ」

 

おはようございます。私こと提督です。

あれから島に残った資材で私が乗れる小舟を作り、皆で帰還しました。

鎮守府の皆も喜んで迎えてくれたんだけど、ずっと川内が離れません。

今も自室で寝てたら朝食持って帰ってきた川内がそのままベッドにまた入ってきました。

両目いっぱいにハートマークが見えるんだけど。

 

「ぷはっ、あ、あのね川内」

「なーに?朝から夜戦するの?良いよぉ」

「さ、昨夜あれだけ夜戦したんだし今は朝なんだから夜戦とは言わないって脱がない!私のも脱がさないで!」

「あは♪てーとくの咥えちゃおー」

「やっ止め・・あ・・」

 

もうサキュバスも真っ青な勢いでスキあらば結合され残らず吸い取られます。

あの日以前はなんかさっぱりした感じの子だったのに一体どうしたの?

燃えずに帰って来たよ?大丈夫だよ?

何度も伝えてるんだけどダメみたいで。

 

とりあえずなすがままです。

陽炎からも

 

「多分川内が凄い事になるけど大目に見てあげて」

「すごいこと?」

「すごいこと。多分1週間くらい続くから」

 

とか言われたし。

もしかして、過去にもこういう事があったのかな。

 

「ぷはっ♪次は私が上だったよねー」

「えっ」

「おっきくなったからすぐ入れられるね!」

「えっ」

 

そんな1週間が過ぎまして。

 

「あー・・・」

「あははは・・凄い1週間だったみたいね」

「よく打ち止めにならなかったなって思うよ・・」

「打ち止めって?」

「ヤりすぎると赤い玉が出てそれから一切おせっせ出来なくなる状態」

「・・・えっ?」

「いやなってないから真顔にならないで」

「はー良かった。でもなんか悟り啓いた人みたいよ?司令」

「軽く1つ2つ啓いたかもしれない」

「えー」

 

たれぱんだよろしく執務席に突っ伏す私。

秘書席には陽炎である。

 

「その割には書類積みあがってないね」

「出撃も資源探訪もお休みしてるもの」

「まぁあれだけの大戦闘したらね」

「それもあるし、一時停止のお達しが出てるの」

「どこから?」

「本営から大淀さん経由で直接」

「なんで?」

「状況聞きたいって。毎日電話かかってきたわ」

「出られなくてごめんね?」

「いーのいーの、私しか知らないことも多かったし」

「そっかー」

 

話しながら陽炎はたははと冷や汗をかいていた。

まさか伊19が資源取りに行ってたのが本営指定の中でも最大最悪の敵基地だったとは思わなかった。

後で考えるとまぁまぁ敵も多かったし。

勝てたからどうでも良いんだけど。

そして基地を壊滅させて以降、ぱったりと日本沿岸への深海棲艦襲来が無くなったらしい。

 

まぁ、と陽炎は思う。

過去にも深海棲艦の大きめの拠点を叩くとしばらくは大人しくなることはあった。

でも未だに戦争は続いてるわけで、どうせまた復活するのよね、と。

 

「あ、陽炎」

「なーに司令?」

「悪いけど一服して良い?」

「好きにしていいわよ。灰皿とかある?」

「あ、うん。あるよ」

 

私はそう言って執務机の上に、妖精さんのくれたライター、タバコ、灰皿を置く。

 

「じゃ、コーヒー淹れてくるわね」

「あ、嬉しい。ありがとう陽炎」

「いーえー」

 

陽炎を見送りながら煙草を口に咥え、火をつける。

紫煙を吸い込みながら、ふと煙草の箱を見た。

 

「あれ、空だ。吸いきっちゃったんだなあ」

 

くしゃりと箱を握りつぶし、屑籠に入れる。

 

思えば浜辺に立ってから、色々あったなあ。

七條司令官の所も随分行ってないし、たまには手土産持って挨拶行かないと。

川内と一緒に行こうかな、神通居るし。

 

紫煙を吸い込み、吐くのを繰り返す。

少しずつタバコの火が指に向けて寄ってくる。

 

「妖精さんに貰ったけど、禁煙しようかなあ。今が頃合いなのかもね」

 

傍の壁を見ると、撮影した艦娘達の写真がかかっている。

どの顔も笑顔で、幸せそうで。

 

「写真撮って良かったなあ・・」

私が撮ってるから私は写ってないけれど。

 

吸いきった煙草を灰皿に押し付けながら、最後の紫煙を吐く。

 

ふと、紫煙越しに見える景色に、違和感を覚えた。

「うん?どこに違和感を覚えるんだろ?」

 

あれ?

ここは、どこだっけ・・・・

 

 

-----

 

 

「司令、コーヒー・・・」

 

陽炎は執務室に入って、ぞくりとした。

今までそこに提督が居た気配がある。灰皿の灰はまだ残り火がある。

部屋はそのまま、机もそのまま、椅子も座っていた時の位置のまま。

 

司令だけ、居ない。

 

陽炎は左右をババっと見渡した。

嫌な予感はどんどん大きくなり、心臓は早鐘を打つ。

 

「まさか、また・・」

 

陽炎は指笛を吹いた。

強く強く、吹いた。

 

程なく集まった艦娘達はくまなく鎮守府を、その内外を隅々まで探したが、居なかった。

 

そして、1週間後。

陽炎はうんざりした顔で食堂に集まった面々に話しかけた。

 

「えー、司令は間違いなく、また神隠しにあったみたいです」

食堂内は動揺する艦娘達と、そうでない艦娘達に分かれた。

静かなのはもちろん、付き従ってきた子達で。

 

「司令は短期間では帰って来ないのでこの鎮守府は閉鎖します。司令を追う人だけ残って。解散!」

 

ざわめく場の中、翔鶴がジト目で川内を見た。

「川内が1週間も独占して酷使したからでは無いのですか?」

川内は肩をすくめた。

「1週間は経った後だもん。それに過去を考えれば無関係だし」

「んー」

陽炎がパンパンと手を打った。

「今回は稀に見る短期間だったのは間違いないけど、前例がない訳でもないわ」

集まる視線を感じながら、陽炎は続けた。

「待ちましょ。司令がまた来てくれるその日を」

川内が口を開いた

「サバサバしてるじゃん、陽炎」

「泣いて現れるなら何年でも泣くけど、無理だったでしょ」

「ま、まぁ陽炎は昔マジで1年泣きっぱなしだったね」

「同じ失敗はしないわ。ってことで荷物まとめといて。資源は一部移送準備をしておいてね」

 

パタン。

 

陽炎は食堂から執務室に移動し、ドアを閉めると後ろ手に鍵をかけた。

 

壁には自分も含めた艦娘達の笑顔の写真が並んでいる。

その1つの額縁に近寄り、指を這わす。自分の笑顔だ。

「しれーの、ばか」

 

上を向いてないと、瞳から涙がこぼれるから。

でも、この一瞬だけ。

 

「うっ・・しれーの、ばかぁ・・なんでまた行っちゃうのよぉ」

「一体何が引き金なのよぉ、しれー」

「早く戻ってきてくれないと、もどって・・きてよぉ」

 

ひとしきり泣き続けた陽炎は、深く深く息を吸い込むと、吐き出した。

 

「よっし。泣いた。もう泣かない。次に司令と会える、その日まで!」

 

陽炎はくるりと背を向け、一瞬立ち止まり、もう1度振り返ると自分の額縁を外した。

 

「思い出は持っていけるものね。待っててね司令。必ず探し出すから!」

 

陽炎は今度こそ振り向くことなく、執務室を後にした。

 

 






 そ し て 1 話 に 戻 る

(実は違うんですけど)

完結です。

この話を書くきっかけは、頂いた感想で何周もしてるよとコメントされた方が居らした事でした。
だから章の最終と最初の話が繋がったら面白いかなと。
で、ヒロインは着任時の台詞が設定にぴったりだったので陽炎に決定でした。

色々あると思うのですが、私は何の為の男女比異常と貞操逆転かと言われたらお色気の為と即答します(キッパリ)
で、以前から私は2つモヤモヤしたものがあったんです。

1つはエロ小説で性行為を事細かに描写されてると最初盛り上がるんですが、その後作者との嗜好の差で萎えるんです。なので事前事後の描写を多くして行為描写は削り、読者があれこれ想像に耽る自由のある小説。
そしてエロ小説である以上、なぜか相手の好意にだけ鈍感って展開は無し。
ちゃんと今までと現状の違いに気づかせ考えさせる。
そんなヤツを書いて広く問うてみたかったんです。
広く問うためには事実上の禁書扱いになるR18タグは致命的に邪魔だったので懸命にR15というより全年齢からPG12にハミ出さないよう線引きを守ろうと設計したんです。
なのでR15すら念の為だったので、あれは本当に寝耳に水で・・
あ、ちなみにR18タグ付けてた時期も実はシナリオも表現加減も変えてないです。

2つ目はこの貞操逆転や男女比異常系の小説って私の好物なんですがエタる率がとても高い。私の気に入った作品できちんと完結してるの今まで1作品しか見たことない。
書いてみれば難しさは分かるのですが、それでもエタらせないぞと頑張りました。
何度でも読んで頂いて良いんですよ?(笑)

最後に、技量不足を常に自覚してるのが私を含めた作者という生き物です。
なので、読みたい作品には肯定的なコメントを書いてあげてください。
肯定に長短や言葉の技巧なんていりません。
「良いぞもっとやれ」その一言だけで充分です。


何を長々と書いてんだって感じなんで締めに入ります。
久方ぶりの33話に渡った物語を無事終わりまで運べました。
どなたかの琴線に触れたらほんと嬉しいです。

それと、ペンネームCBさん。
貴方の校正は私にとって完璧なものでした。
玄人仕事のような無駄の無さと的確さ、迅速さに本当に助けられました。
ありがとうございました。

この作品に高評価をつけてくれた全ての人に、おかえりといってくれた昔からの読者の方に沢山の幸あれと祈りつつ。

ほんとうに、ありがとう。


















さて、小説のあとがきのこんな後の方まで読もうなんて奇特な方はそう居ないと踏んでの小さなお知らせです。

ええ、第2章を始めますってだけです。

ただし正直まだ2章は完結まで構想しきれてないので見切り発車です。
あくまで一章で単独完結したので完結には違いない。いや知りませんけど。
ちょっと家族が倒れたりしてリアルがドタバタなんですよ。
2章の結末はまだ見えていません。
未舗装路でも良いという方だけのExtendedです。

形式は問いたかった方式のまま引き継ぎますので、2章になってもAVとかのノリではありません。あくまで読んで頂きたいのはストーリーです。
ただ、全年齢とPG12の境界線から一部PG12とR15の境界線に主戦場を移します。
2章と1章の違いを比べると全年齢ベースとPG12ベースの違いが体験出来る、かも、しれません(責任は持たないスタイル)

ますます午前6時の爽やかな朝に掲載するのどうなのよって内容ですが、一般新聞の朝刊だって結構エロい小説載ってますし(あれ誰が読むかわからないので全年齢対象です)
かつて駅で朝から売っていたスポーツ紙には濃ゆいR18クラスが堂々と載ってましたけど、あれはどういう根拠だったんだろ・・

ではこれらをふまえてお付き合い頂ける方だけ、2章でお会いしましょう。
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