「・・と、いうわけでこれを渡しておくね」
「・・」
「こ、こっちが紅茶で、あ、こっちはお土産のクッキーね」
「・・」
「えっ、えっと、特に悪戯とかするつもりないから機嫌直して欲しいんだけど・・」
「・・」
そう。
その後金剛の部屋の入口で説明したんだけど、最初金剛はフンフン言いながら聞いてくれてたんだ。
でも鳳翔がLV1000超とかの辺りからどんどん雲行きが怪しくなってきたんだ。
なぜだ?
「テートク」
「はいっ!」
「・・今は、紅茶を手配してくれた事には、御礼を言いマース」
「うん」
「・・今日はティータイムの日では無いので、部屋には入らないでくだサーイ・・」
「あっ、うん、解った。ごめんね。それじゃあね」
「・・・」
提督と長門が寮の部屋の前から去っていくのをじっと見る金剛に、廊下から来た比叡が話しかけた。
「誰かいらしてたんですか?」
「比叡」
「はい、なんでしょうかお姉さま!」
「ちょっと、相談させてほしいネ」
「もちろんです!」
金剛はにこりと笑うと、比叡と共に自室に入った。
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「提督は私達全員に結婚の意思確認をするそうデース」
「聞き及んでおります」
「比叡は、受けますカ?」
金剛がそっと振り向くと、眉をひそめて腕組みして悩んでいる比叡が居た。
「んー・・今はあまり印象が良くないのでなんとも」
「私は時々、今のテートクが現実に居ると思えない事がありマース」
「変わり果てたからですか?」
「理想だから、ダヨ」
比叡は眉をひそめた。
「へっ!?あれが理想なんですかお姉さま?」
「比叡」
「はい」
「男をラリアットした女は?」
「次の瞬間には通報されて刑務所行きでしょう」
「でも私は今ここに居マース」
「あ、そっか。執務室で思わずやっちゃったって言ってましたね」
「Yes。次の質問デース」
「はい」
「男が女の飲み物を一緒に飲むからと、それを先回りして手配してくれる可能性は?」
「ゼロですね・・・あれっお姉さま、その紅茶の缶は・・」
「デース。テートクは今まさに贈ってくれました」
「な、なるほど・・ちょっとイメージアップですね」
「今のテートクは私達と同じ目線で会話をしてくれマース」
「それはそうなんですけど、おふざけが酷くないですか?」
「それについては可能性が1つありマース」
「可能性、ですか?」
「テートクは鎮守府に来た日、次の日、その次の日とだんだんわきまえてきてマース」
比叡は首を傾げた。
「そうですか?」
「デース。はしゃいでるのが収まってきたとも言えマース」
「司令をよくご覧になっているのですね」
「テートクが落ち着いたら、その時のテートクを基に判断してあげてくださいね?」
比叡は肩をすくめた。
「最初のイメージで判断するなってことですね。わかりましたお姉さま」
「比叡はかしこいネー」
「あ、紅茶があるのならお茶会のペース上げますか?」
「Yes!週1から週2に出来マース!」
比叡は微笑んだ。金剛お姉さま嬉しそう。
だが金剛が急にしゅんとなったので、比叡は驚いた。
「ど、どうしたんですか金剛姉さま?」
「・・テートクは、鳳翔にもコーヒーを渡したそうデース」
「はあ」
「そしてプロポーズしたそうデース」
「本当にわきまえてますかね?手が早くないですか?」
「いえ、テートクは全所属艦娘と結婚すると最初に公言してマース」
「あっ、そうでした」
「偽装目的でもありませんし、プロポーズそのものは・・良いのですが・・」
「お姉さまを差し置いてコーヒー派の鳳翔さんに先にプロポーズするなんて!」
「それについても、そうとも、言えないのデース」
「?」
「前回のお茶会を思い出してくだサーイ」
「何かありましたっけ?」
「テートクは、私が第1夫人に収まるのが良いかと聞いてくれました」
「・・・あ」
「ですから一応というか、結婚へのお誘いは頂いているのデース」
「なるほど。あれっ?でも」
「Yes。あの時のテートクはゲームの私で判断していたので」
「ええ。ですからお姉さまが」
「そうデース。だからこそ次回からお茶会に参加することになりましタ」
「なるほど。複雑ですね。でも金剛お姉さま」
「ハーイ?」
「今、プロポーズを受けたいですか?」
「ここにいる私を、もう少し知ってからにしてほしいデース」
「ですよね。それはおかしくない気持ちだと思いますよ?」
「でも鳳翔は即座にプロポーズを受けたそうデス。つまり私もあの時受けていたら・・」
「あー」
「私は、考えすぎなのでしょうカ・・」
「司令も金剛姉さまの意見を受け入れたからこそお茶会に交ざる事になったのですから良いのではないでしょうか?」
「・・あと」
「?」
「だっ、第1夫人はWelcomeなのですが、そっ、それなら、テートクと1番に結ばれたいデース・・」
「・・お姉さま、それは」
「わっ解ってマース!自分で言ってる事が矛盾してるって。でも、でも・・」
「それなら次回のお茶会の時、司令に正直に相談した方が良いですよ」
「うー」
「それまでに誰かと結ばれないと良いのですけど・・」
「じゃっ、じゃあ、あまり先にも」
「出来ないですね」
「NOoooooo!」
「ですがお姉さま」
「?」
「もし先を越されたら第1夫人を断るのですか?それとも結婚そのものまで断るのですか?」
「そっそれは・・それは・・」
「それは?」
「・・結婚は、もちろんしたいデース」
「じゃあ」
「第1夫人に選ばれたら、とても嬉しいデース」
「・・えっそれじゃあ」
「No!違いマース!Excellentは全て揃えばって事で、その、BetterでもGoodでも・・・」
「まとめるとですよ?」
「ハイ」
「司令と一番早くエッチなことしてゴールインしたいと」
「まとめすぎデス!」
比叡は顔を真っ赤にした金剛からポカポカ叩かれながら思った。
金剛お姉さまなんて可愛いんだろう、と。
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一方、日が傾き始めた寮の裏手では、この二人が頭を抱えていた。
「あのさあ長門」
「なんだ?」
「金剛、なんであんなに機嫌悪くなったんだろ?」
長門が肩をすくめた。
「さぁな。あ、そういう機微について私に聞いてくれるな。日向にもな」
「どうして?」
「我々もまた、金剛や足柄等から気が利かぬ、機微に疎いと散々言われているからだ」
「・・正直、私は長門と話す方が気楽でいいよ」
「お前も随分変わり者だな。普通の男は金剛のようなタイプの方が気が楽だというんだが」
貞操逆転してるから男が女っぽいのかな。元の基準で言うと。
「私は私だから、諦めてよ」
「諦めてなどいない。親しく話してくれるなら歓迎するだけだ」
「でも金剛の件は」
「妹の陸奥に聞いてみると良い。今の時間は部屋にいるはずだ。一緒に行こう」