「えっと、加賀さん?」
「・・・・」
「あのぅ、そろそろ、お昼だよ?」
「・・・」
「い、一旦離れない?嫌かあ・・」
加賀さんとチューチューさわさわした結果。
押し倒されて寝たまま全身さわさわに移行するまでは予想の範囲内だったんだけど。
そこから服脱がされたあげく加賀さんまで全裸になり、抱き着いて離れてくれません。
がっちり両腕両足で抱きしめられてます。
元の世界で言うだいしゅきホールドですね。
今は顔をぐりぐり私の耳辺りに擦り付けてる。マーキングかな?
一言もしゃべらないので意思表示は頷くか頭を左右に振るだけ。
ちなみにちょっとさわさわすると耳元に熱い吐息がかかります。
絶対おっきしてるの気づかれてるよね・・
この体勢うっかりぬるりと入っちゃいそうで危ないんだよなあ・・
あ、とりあえず確認しないと。
「えっと、男がおっぱい好きなのは解ってもらえた?」
・・コク。
「結婚するとこういう事するんだけど、嫌?」
ふるふるふる。
「気持ちよかった?」
コクコク。
「ご飯食べに行かない?」
・・・・コク。
「じゃあ手をつないでいこうよ」
「なんですって?」
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「何がどうなってるんだ加賀?提督と手を繋ぐなんて」
やっとのことで加賀さんと寮を出て、向かった先は居酒屋鳳翔。
そう、ランチタイムだからである。
私はまだ間宮さんの食堂行けないんです。また間宮さんが倒れるからね!
そしてカウンター席で料理を待っていた日向が二度見して放った一言がこれである。
狼狽えぶりがすごいです。
「ダーリンとさわさわチューチューして幸せいっぱいよ」
「すまん加賀、何を言ってるのか全然わからん」
「ふっ」
「・・・何だか解らないのに敗北した気がするな」
その時、店の奥から鳳翔が出てきた。
「あ、鳳翔、すまないけどランチを貰えるかい?」
「あらあなた、おかえりなさ・・・」
鳳翔の 視線が 繋がれた手に ロックオンされたよ!
「・・・加賀、さん?」
たった一言で加賀が手を離して直立不動の姿勢に!?
「あなたはそちらに。加賀さんは奥へ。日向さん、料理は少しお待ちくださいね」
「「「はいっ!」」」
私と日向はドナドナされていく加賀を見送る事しか出来なかったよ。
二人が奥に行った後、ゆっくりと日向が私の方を向いた。
「提督」
「うん」
「し、心臓に悪いから、他の艦娘と手を繋いで入ってくるのは金輪際やめてくれないか」
「もちろんだよ日向。私は今生きてることに感謝してるんだ」
「鳳翔がひと睨みすると姫級すら震えあがって敵陣が総崩れになるんだ」
「そこまでなの?」
「今のはだいぶ手加減していたぞ?解っているな?」
「次は無いってことだね」
「ああ」
加賀が戻ってくるまでの20分間、私と日向はじっとカウンター席で座っていたよ。
互いに冷水を汲みあって、ちょっとずつ飲むしかする事無くて。
誰か来てと必死に願ったんだけど、何故かその日は他の客は皆無でさ。
ただただ柱時計のコチコチ音が店内を支配していたよ。
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「あなた、お話があります」
私はドナドナされる子牛の気持ちが分かった気がした。あるいはまな板の上のコイの気持ち。
きゅうっと心臓が縮こまる。
震えを懸命に抑えながら鳳翔を見ると、
「こちらへ」
穏やかに手招きされたんだけど、ちょうど幽霊みたいに青白くなった加賀さんがカウンター席に帰ってきて。
私もああなるんだろうなと諦めたよ。
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奥座敷で鳳翔はきちんと正座したので、私も正座しました。
ここで胡坐をかける肝っ玉は持ってない。
「提督」
「はい」
「チューチューさわさわとは、なんでしょうか?」
「はい?」
「どうもそれが加賀さんが浮かれ過ぎた原因のようですので、ご説明頂こうと」
私は一生懸命説明した。
それは誠実に、事細かに、開始から終了までナニをしたか。
いやただ単に私主観のスケベな行為ですけどね。
鳳翔はじっと聞き入っていたが、説明が終わると同時にこういった。
「それは私にもできますか?」
「許してくれるなら」
「ならさっそく」
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鳳翔ってすごく着痩せするんだね。
サラシ巻いてたとは知りませんでした。
確かに軽空母で巻いてる子居たけども。
「続けてください。もっと。加賀さんにしたように」
「最後まででしょうか?」
「最後までです」
私は日向の昼食が遅れる事を心で詫びながら、誠心誠意励みました。
あ、もちろんうっかりぬるっととかしてないです。
あくまでも加賀さんにしたところまで。
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そして40分後。
「なっ・・なる・・ほど・・・なるほ・・ど・・」
二人で息を切らしつつ、息を整えながら鳳翔さんはつぶやくように繰り返した。
そして頭だけ私の方を向いた。
「これは・・とんでもないですね。こんなにあっさり涅槃が見られるとは」
「あー、えっと、金輪際やらない方が良い?」
「逆です」
「は?」
「結婚後の生活をイメージするのに大変相応しいかと思います」
「そう?」
「ぜひ積極的に・・何度も・・行ってください」
「あー、うん」
鳳翔がふと、私の目を覗き込んだ。
「あの、もしかして、あなたの心の負担になっていますか?」
私としては願ったり叶ったりだからいいんだけど、それを性欲の部分を外してどう説明しろと?
こんな性欲100%いやーんな行為・・・あっ!
「とんでもない。素敵な奥さんに愛を具体的に示す行為だから嬉しいよ」
「そうですか。では私には今後もして頂けますか?」
「いいんですか?」
「もちろんです」
私は安堵と疲労が一気に来てしまって、
「ありがと。うん、少し、寝る・・」
そう言って目を瞑ってしまったんだ。
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「日向さん、加賀さん。お待たせしました。ランチを作りますね」
日向は奥から戻って来た鳳翔を2度見した。
「ほ、鳳翔・・」
「なんでしょう?あ、鳥南蛮の方で良いですか?」
「あ、ああ、それで良いが・・テラテラしてないか?」
隣に座る加賀もこくこくと頷いている。
艦娘は気分が高揚するとキラキラ輝いた状態になることは良く知られている。
しかし今の鳳翔はキラキラではなく、なんだか艶っぽくてテラテラと表現するほかない。
鳳翔は少し調理の手を止め、にんまりと微笑み、手で口元を覆うと、
「そうですか。ええ、そうかもしれませんね」
そう答えると、再び包丁を動かし始めた。
日向は思わず言ってしまった。
「そ、そうなのか。一体奥で何があったんだ?」
「奥で秘め事、ふふっ、なんだかいやらしい響きですね」
「鳳翔?」
「ああどうしましょう。今なら環礁空母泊地棲姫でも一撃で始末出来そうです」
「あ、ああ。なぜか同意出来る」
「日向さん」
「ああ」
「ちょっと遠くても構いませんので、厄介な敵さんは居ませんか?スッキリしたいので」
「すぐ確認する」
日向は躊躇うことなく非常ボタンを押した。
「こちら日向。長門、大淀、金剛。聞こえるか?」
すぐに返答があった。
「何だというのだ日向。執務室で非常警報が鳴り響いているぞ。解除するから手を放せ」
「違う。本物だ」
「食事を摂りに行ったのではなかったのか?」
「どうでもいい。大至急、鎮守府から行ける最大の敵拠点座標を教えてくれ」
「一体どうしたというのだ」
「鳳翔が、ヤる気だ。冗談ではない。繰り返す。鳳翔が、殺る気だ」
数秒間、インカムからは小さく低いノイズしか聞こえなかった。