艦娘可愛いです。   作:銀匙

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【その19】

 

 

私は建物の角を曲がり、執務室のある棟を見上げた。

また長門にうっとうしがられるだろうし、迷惑をかけてしまうけど。

あ、そういや長門言ってたな。大淀さんに相談するって。

なんか良い知恵持ってるかもしれないな。

というか持ってて欲しいなあ。

 

「大淀さん、いないかな・・・」

「お呼びでしょうか?」

「うわああああ!」

「えっ!?あっ、すっすみません提督」

「お、大淀さん!?びっくりしたー」

「私が居ないか、と聞こえたものですから」

「どこに居たの?」

「ほんのすぐそこを歩いていましたので」

「あーびっくりした。偶然だったんだね」

「(偶然と言いますか治安維持と言いますか)」

「え、なんか言った?」

「いえ何も。それよりお探しでしたか?」

「あーえっと・・」

私が周囲をきょろきょろしたからか、大淀は小首を傾げ、ポンと手を打った。

「誰かに聞かれたくないお話なのですね?」

「うん」

「でしたら私の部屋が近いですから、どうぞ」

「えっ良いの?」

「構いませんよ」

「・・うん、お願いするよ」

「ご案内します」

 

大淀さんは真面目可愛いなあ。委員長って感じ。

何であんなとこにスリット入ってる制服なんだろう。

いやとっても眼福なんですけど、スリットに手を入れたいとか考えちゃうんだよね。

我ながらサルみたいで嫌だ。落ち込むなあ。

 

「如何なさいましたか?」

「あ、うん、なんでもないよ。ちょっと自分が情けなくなっただけ」

「?」

「ほんと気にしないで」

「あ、えっと、こちらが私の部屋になります。どうぞ」

「お邪魔します」

 

その時になって、私は大淀がAIだという事を思い出した。

AIの、部屋?

・・全く想像がつかん。

補修部品とかパーツがいっぱい置いてあるのかな?

 

「へっ!?」

「ど、どうされました提督?」

「いや、ごめん。物凄く普通というか、女の子の部屋だなあって」

「・・・あ、なるほど。パーツとか置いてあると思いましたか?」

「・・ごめんね」

「いえいえ、良いんです。でも私はAIであることを極力隠蔽する設計なので」

「だから部屋は普通なんだね・・まさか偽装だったりするの?」

「いえ、普通の支給品ですよ。偽装するとバレた時に発覚してしまうので」

「じゃあ修理とかメンテナンスはどうするの?」

「基本的にドックで行います。艦娘でもあるので」

「あ、艦娘ではあるんだ」

「はい。正確には、特殊兵装なんです」

「・・つまり連装砲ちゃんとかそういう」

大淀は視線をそらし、ぽりぽりと首筋を掻いた。

「えっとまぁ、そういう感じです」

「良く分かったよ。で、ヒミツだよね。解ってる」

「長門さん、金剛さん、日向さんはご存じですよ」

「そうなんだ・・」

 

数秒の沈黙を察した大淀が、ささっとテーブルに案内してくれる。

下にピンクの柔らかいラグが敷かれた、可愛らしい木のテーブルだった。

 

「お茶淹れますね。お湯を沸かしてきますのでお待ちください」

「ありがとう」

私はテーブルの木目を何気なく追いながら、どこから話したものかと思案していた。

 

 

-----

 

 

「どうぞ、玄米茶を淹れてみました」

「あ、嬉しい。ありがとう」

「いえいえ」

 

テーブルを挟んで向かい合う位置に座った大淀から、香ばしい香りがする湯呑を受け取る。

一口すすると頭がすっきりしてきた。

 

「ええとね、大淀」

「はい」

「長門から、その、私に関して昨日か今朝、相談されていないかな」

大淀はくすっと笑うと

「はい、ええと、ほぼ毎日沢山相談されています」

「え」

「あのバカどうしてくれようとか、またからかわれたとか、砂糖を吐きそうな内容ばかりですので、その都度早くご結婚願いますとお答えしてます」

「そ、そう・・」

「でも、提督もお悩みというと・・」

大淀が少し身を乗り出してきて小声で囁いた。

「性欲の件、ですよね?」

「うん、そうなんだけど、それだけじゃなくてね」

「お聞かせください」

 

私は情けないとは思ったのだけど、もう長門みたいに苦労させたくなかったから全部話したんだ。

男は逮捕されないって言ってたけど、こんな可愛い子にどエロい感情を暴露するのは勇気がいったよ。

 

「それはお辛かったのでは?」

「正直そうなる。ついさっきで言えばさ」

「はい」

「大淀のスカートってスリットあるでしょ?」

「・・これですか?」

「あーいやいや摘まんで見せないで大丈夫大丈夫だから」

「はあ」

「そのスリットにね、手を入れたくて仕方なくて」

「手、ですか?」

「それでその、お尻を撫でまわして大淀があんあん言ってるのを想像しちゃって」

「・・」

「「提督のエッチ」「そういう生き物なのさ」みたいなアホな会話を想像してさ」

「・・」

「もうほんとサルみたいだよね。でもさ、そんな調子で皆とえちちな事をしてたら」

「・・」

「あっという間に肉体の方が限界を迎えると思うんだ」

「いわゆる赤玉放出ですね?」

「うん」

「ちなみにですが、赤玉という物体そのものは存在していないんです」

「えっ」

「ただ、泌尿器学的には前立腺の炎症によって引き起こされる出血により、EDになるケースが類例かとは思います」

「そうか。使いすぎで出血しても無視してると炎症が悪化してEDになると」

「はい。それが赤玉と呼ばれる物の正体かと思います」

「なるほど・・とすると事態はより深刻でさ」

「どういうことでしょう」

「要は奥さんに、今日は炎症で痛いから無し、あるいは行為の途中でダメって言わなきゃいけないんだけど」

「はい」

「絶対誘惑に負けると思うんだよ。皆魅力的で私が意志薄弱だから」

「・・」

「寂しそうにする奥さんに強く言えないと思うんだよ」

「・・提督は、本当にお優しいのですね」

「ううん。図々しくスケベなだけだよ」

「いいえ。っと、ここで堂々巡りしても仕方ないですね」

「あ、うん。だからどうしたものかって、赤玉が出る前に誰かに相談したくて」

「それで私を頼って頂けたのですね」

「うん。長門もこの件は大淀に相談するって言ってたし」

「(超ナイスです長門さん。コード抵触カウントを0に戻しておきますね)」

「何かいった?」

「ナニもイってませんよ?」

「それで、どうしたら良いと思う?」

「万事、この大淀にお任せください。ご提案を用意しています」

「提案?」

「披露させて頂いてもよろしいですか?」

「もちろん」

「解りました。では始めます」

 

私は大淀の、淀みないプレゼンに聞き入ってしまった。

本当に彼女の提案は様々な医学的洞察が含まれていて。

それでいて奥さん達の行動まで予測したルールを示してくれて。

 

「こちらのルールを鎮守府内に徹底させれば、提督は奥様方との生活を安心してお楽しみ頂けると思います」

 

そう、言いきってくれたんで、私は涙ぐんでしまったよ。

 

「ありがとう大淀。本当にありがとう。凄く安心できる提案だよ」

 

でも大淀は、そこまで言って急にもじもじし始めたんだ。

 

「た、ただですね。まだこのプランは未確定部分があるんです」

「うん」

「その確定にはどうしても提督にお力添えを頂かねばならなくて、本当に心苦しいのですが」

「気にしないで。私の為にこんなに考えてくれたんだから」

「(考えたのはAI演算センターのサーバ群なんですけどね)」

「何か言った?」

「いいえ。そ、それでその」

「うん。何を協力すれば良いの?何でもやるよ」

「連続射精です」

「れんぞくしゃせい」

 

大淀は何を言ってるんだろう?

 

 

 

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