艦娘可愛いです。   作:銀匙

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【その6】

「川内参上、夜戦なら任せておいて!」

「おー川内だー」

「川内・・だけど・・」

 

私は川内の第一声にぱちぱちと拍手したが、陽炎は眉をひそめている。

 

「どしたの陽炎?」

「貴方・・改2よね?」

「へっ?」

 

なるほど。陽炎の指摘通り川内の外見とちょっと違うか。

川内は自身の服や装備を腕を上げ下げして見ていたが、

 

「まぁ私に変わりはないし!」

 

と、すぐに興味を無くしたようである。

 

「ねぇ陽炎さんや」

「なに?」

「改2状態で建造されることって」

「少なくとも私は初めて見たわよ?」

「ちなみにさ、ここに川内が居たら他所には居ないの?」

「普通に居るわよ?だからOO鎮守府の陽炎とか識別するわ」

「ほー」

 

陽炎と向き合って会話していると、川内が期待の眼差しで問いかけてきた。

 

「ところで今夜は夜戦するんだよね?」

「しないわよ?」

「しないの!?」

「するほど遠くに行かないというか、行けないから」

「えー」

「鎮守府の目の前の海でイ級相手に夜戦までしないと決着つかないってことないでしょ?」

「確かに・・」

 

川内が解りやすいくらい萎れてしまったので、私から声をかける。

 

「川内は神通のお姉ちゃんだよね?」

「そうだよ。この鎮守府に居るの?」

「いんや、でも半日くらい海路を行った所の鎮守府に居るよ」

「お隣さんじゃん!行ってきていい?」

「今はちょっと問題があるんだ」

「何々?夜戦なら任せてよ!」

「燃料が無いんだ」

「そりゃ問題だね・・」

「でももう1回建造したいんだ」

「ますます無くなるじゃん」

「だからちょっと取ってきてくれないかな」

「遠征?良いけどどこへ行けばいいの?」

「目の前の海だよ。結構いるでしょ」

「何が?」

「イ級が」

 

川内が一旦海を見て、訝しげな表情でゆっくりとこちらに振り返った。

 

「いるけど・・・イ級をどうするの?」

「絞ってみようかなと」

「なんで?」

「鯨油って知ってる?」

「・・・あれ鯨なの?」

「似てない?」

「イ級ってデカいけど、どうやって絞るつもり?」

「ねぇねぇ妖精さん、イ級絞る製油機作れる?OK?余裕?さっすがー!」

「えっ本当にイ級絞って燃料取れるの!?」

「資材全く無いんだけど大丈夫?・・イ級の?装備で?作る?助かるよー!」

「なんかグロそう・・」

「というわけで初任務ですよ川内さんに陽炎さん」

それまで苦笑して様子見していた陽炎がぎょっとした表情になった。

「えっ私も?」

「えっこんな変なことが初任務なの?」

「私もこれが初任務よ?」

「陽炎・・」

「川内・・」

「「私達・・ヤバい鎮守府に来ちゃった?」」

「綺麗にハモってるところ悪いけど出航準備に入ってね?あ、皆さんには金平糖です。先渡しという事で」

 

妖精達に働いてもらう時には定期的に金平糖を渡すといいって七條司令官にも言われたしね。

まぁやってみましょうという事で。

 

 

-----

 

 

「てっ、提督・・取ってきたよ・・」

「良かったな川内!待望の夜戦だったね!」

「こんなの・・夜戦じゃない」

「イ級を攻撃して捕獲して神経絞めて鎮守府に曳航して製油機に搬入する、立派な夜戦ですよ?」

「いやなんかおかしい・・気がする・・疲れて頭回んないけど・・」

「あ、ほら、陽炎も帰ってきたよ。日も登ったし終わりにしようか」

 

川内と陽炎の頑張りのおかげで、夜が明ける頃にはイ級を50体捕獲できていた。

片っ端から妖精印の製油機に放り込んでるのでどんどん燃料が生成されている。

出撃分を差し引いても在庫が2000を超えたよやったね!

ちなみに例の部分は上質な金属らしく、鋼材も800程度溜まった。

そして兵器内に弾薬が残ってればこれも加工して使えるようにしてくれる。

なので弾薬も500程度になった。ボーキサイトは1つも増えてないけど。

妖精さん総出の作業である。渡しておいてよかった金平糖。

無くなる前にまた仕入れておかないと。

 

「ところで川内さんや」

「・・なに?」

「そこは元気よく「何?夜戦?」って返してくれないと」

「夜が明けたからもう夜戦じゃない。で、なに?」

「輸送用ドラム缶1つで燃料250入るじゃない」

「そうだね」

「仮眠取ったら1つ手土産にして、神通の鎮守府行ってきていいよ」

「・・・えっ良いの?」

「移動で半日かかるから泊ってきていいよ?」

「えっほんと!」

「向こうも資源カツカツで運営してるから喜んでくれると思うよ」

「提督・・私が好印象になる為に手土産を徹夜で準備してくれたんだ・・良い人だったんだ・・誤解してたよ」

「いやーはっはっは。崇めていいよ?」

 

涙目で感激する川内と司令官のやり取りをジト目で見ていた陽炎は思った。

ホントにそれだけが目的なのかなあ?

まぁこれまで補給船が持ってきた物ってほぼ食料で、資源は全然持ってこなかった。

あれを頼ってたら昨日の夜半には資源が尽きてたはず。

妖精達と仲が良いから悪人ではない・・と・・思いたいなあ・・

 

 

-----

 

 

「行ってきます!」

「気を付けていくんだよ!浅瀬で座礁しないようにね!」

「しっかり仮眠取ったから大丈夫!」

「なんなら帰りがけにイ級捕まえてきてもいいよ?2匹」

「戦って良いってこと?!」

「あっ、必要のない夜戦突入は禁止です。資源的に」

「ちぇー。じゃ行ってきます!」

 

そうして川内を岸壁で見送っていると、ズボンの裾を引っ張られた。

見ると自分と同じくらいの大きさの球を掲げた妖精さんと、隣にもう1体の妖精さんが付き添っている。

 

「ん?なんだい妖精さんや?手に持ってるの何?」

 

二人の妖精さんは一生懸命ジェスチャーをしているが、何をぶっ叩いているんだろう?

「・・もしかして・・建造すればいいの?」

満面の笑みで「〇」と大きく両腕で描いてくれたので、二人を左腕に載せて工廠へと向かった。

 

「えっと、この球を建造マシーンに入れれば良いの?資材は?要らない?へー」

 

完全に妖精さんの操り人形と化しつつ、球を機械にセットして蓋を閉じる。

スタートボタンを押すと、22分と出た。

 

「この時間だと駆逐艦かな。それにしても資源不要で艦娘建造が出来るなんてすごいねえ」

妖精さんを指先で撫でまわすときゃっきゃと喜んでくれる。実に面白い。

 

「あっ司令居た!」

「おや、どうした陽炎」

「どうしたじゃなくて、始業時間とっくに過ぎてるわよ?」

「もうそんな時間か。昨日徹夜したから今日は休みにしない?」

「構わないわよ・・あっ建造したの?弾薬とかまだ少ないんだから・・って減ってないわね」

「妖精さんに球を貰ってね」

「球?」

「ええと説明が・・おおそうだよ妖精さんこれこれ、こういう球を建造マシーンに放り込んで建造してるの」

「その球は何なの?どっから持ってきたの?」

「そういやどこからだろう?」

「知らずに放りこんだんかい!」

「だって妖精さんがくれたものだし大丈夫かなと。変な物入れたら自分達が困るんだからさ」

「まぁ・・ね」

「でもほんとどこから持ってきたの?え?あっち?」

 

複数の妖精達が一斉に指さしたのは精油機のある方角。

他にあると言えば鋼材にするために積み上げてるイ級の兵装か、その奥に見える広大な裏山である。

初めて知ったのだけど昇天前に外しておいた兵装や武器は消えないらしい。

本体は消えちゃうのにね。というかどうして妖精さんはそれを知ってたんだろう。不思議。

 

「あっちに何があるんだろう?」

「さぁ?」

「・・まさか山の幸?」

「おかしくない?」

「考えても仕方ないか。それより弾薬貯めたいんだけど良い方法ない?え?何?何この絵?陽炎解る?」

「・・・深海棲艦のヘ級かリ級の兵装じゃないかしら」

「へ級?リ級?あっどっちでも正解みたい。え?まだあるの?これワ級?こっちは?二重丸?」

 

大きく丸の字を腕で描く妖精さんはいつ見てもかわいい。

 

「何体絞ればいいの?え?絞るんじゃなく?武器を?奪う?ワ級は?そのまま持って来い?なるほど?」

陽炎は実に嫌な予感がしてきた。

 

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