艦娘可愛いです。   作:銀匙

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【その30】

 

 

「以上だ。日は落ちてしまったが、まぁまぁいつもの範囲だろう」

「始めた時間を考えれば上等だよ。長門の説明が的確なおかげだね」

「ふふ。仕事で褒めてもらえるのは嬉しいな」

「えっと、今日は長門との夜だよね?」

「そうだが・・」

「どうしたの?」

「その、大丈夫なのか?朝はずっと大淀に絡まれたんだろう?」

「絡まれたって単語に新たな意味が追加された」

「茶化すな」

「冗談はともかく、それはそうなんだけど、長門とはお話もしたいんだよ」

「まぁそれなら構わんか」

「えちちな事もしたいです」

「お前は底なしか」

 

 

-----

 

 

そんなこんなで、夕食も済ませまして。

「なんだかんだで初めてだよね、長門と二人きりの夜は」

「そうなる・・な」

「えっとね」

私は姿勢を正して座り、両手を膝の上に置いて頭を下げた。

「な、なんだ提督」

「まず御礼言っておくね。ありがとう、長門」

「どういうことだ?」

「だって私が来た時、話を信じてくれたじゃない」

「・・」

「後から考えれば気が触れたと本営に通報されて精神病院送りでも仕方なかったなと思ってさ」

「・・」

「でも、長門は話を聞いてくれたし、こうして我儘も聞いてくれる」

「・・」

「だから一度きちんと御礼言っとこうと思って」

「そっ、そうか・・提督の方も、その、あれだ」

「ん?」

「始めは随分騒がせてくれたが、最近はそうでもない・・気もする」

「うん。色々解ってきたってのもあると思う。まだ色々騒がせてるのも自覚してる」

「それに、提督は我儘と言ったが、我々所属艦娘の願いでもあった」

「ん?どれが?」

「提督が感情を取り戻し、願わくば我々を慈しんでくれれば、とな」

「あー」

「正直、今の世で女に希望や人権は無い」

「男も変な権利で縛られてる気がするよ?」

「大義はご立派なものが掲げられていても、結局は欲が絡む」

「男は権力者で独占だ!みたいなね」

「ああ。それを保護区と呼んでいるがな」

私と長門は互いに見合って頷き、苦笑した。

「そういうのって隠してもなぜか解るよね」

「ああ。とはいえ、前の提督だって好きで感情を失ったわけでもあるまい」

「そりゃあれだけ被害に遭ってればね」

「提督に限らず、実は男の市民は大体似たり寄ったりの経過を辿る」

「え゛」

「一般市民に24時間警護を雇える金は無いし、狙う側は大勢いるからな」

「大勢いるんだ」

「普通に街を歩いている女の市民が突然こらえきれずにヒャッハアしてくるからな」

「それもうゾンビ映画並み・・」

「ん?なんだそのゾンビというのは」

「死んでるのにウイルスとかに乗っ取られて、人を襲ってくる死体。空想の怪物だよ」

「そんな映画があるのか」

「うん。周りがゾンビだらけの中で何日生き残れるか、みたいなね」

「突然豹変するから周りのどの女も信用できないという意味ではもっと酷いかもしれないな」

「確かにね」

「ちなみに男性が気が触れた場合は精神科ではなく、なぜかもれなく保護区送りだ」

「搾精所送りなの?」

「表向きは無償警護付きの治療だが、ベッドに縛り付けて死ぬまで搾精し続ける」

「容易に想像がつくよ」

「そしてこれは当然の話だが、医師や保護区職員とて女だ。つまり解るな?」

「隠蔽されたヒャッハーがあるわけね」

「そうだ。そしてそれは保護区の裏の顔でもある」

「政治家とか絡んでるの?」

「当然だな。でなければ揉み消せる規模ではない」

「ねえ長門」

「ああ」

「一度長門達の試験を通った艦娘が突然ヒャッハーすることあるの?」

「過去にはあった。だが、我々に限れば無い・・いや、この間の陸奥は危なかったな」

「あれは陸奥に悪いことしたよ」

「陸奥も褒めてくれたことだけは解っているのだがな」

「今度順番の時に謝っておくよ」

「大丈夫ではないか?」

「どうしてさ」

「今度は交わることが前提なんだ。堂々と行えばいい」

「いやまぁ一応先に謝っておくよ。けじめとして」

「誤解されるなよ?」

「言い方とか鳳翔辺りに相談した方が良いかな」

「ああそれが良い。私では無理だ」

「私お茶飲むけど、長門もどう?」

「もらおうか」

 

私は長門と茶をすすりながら、何とはなしに長門を見た。

間違いなく凄い美人さんである。

大柄なイメージがあるが姿勢が良く凛々しいだけで、立っても私と似たような背丈だ。

そしてえちちな雰囲気を醸さず延々と話し続けられるこの空気が実は心地よかったりする。

 

「長門」

「ああ」

「ほんと、長門が居てくれて良かった」

「どうした」

「普通に普通の話をし続けられるのが、幸せだなあって」

「おかしなことを言う。別に何もしていないぞ。業務連絡とか日常会話をありがたがるとはな」

「まぁまぁ。私は長門とそういう話が出来る事にも価値を見出してるってことだよ」

「そうか。まぁ、普通にしているだけで好かれるのは嬉しいがな」

「ところで長門さん」

「ああ」

「いつ乳繰り合う?」

「舌の根も乾かぬうちからお前という奴は!」

 

それはそれ、これはこれ。

長門と会えるのは1ヶ月後だもん。

 

「ねぇねぇ、くのいちと女騎士と町娘どの役がいい?」

「物凄く嫌な予感しかしないんだが他の選択肢はないのか?」

「後は新米警官、見習い看護師、ええと」

「なぜそんなラインナップばかりなんだ!そもそも何をさせるつもりだ!」

「嫌がる女の子を無理矢理」

「それは根本的に無理がある」

「なんでさ」

「女が男とイタすのに嫌がるわけが無かろう。飛びついてくるぞ?」

 

貞・操・逆・転!くそっ!

 

「時に長門さん?」

「ああ」

「他人の奥さんとかは?」

「すっ、既に男と結婚していながら他の男と、ということか?」

「そう」

「男に二人同時に会える状況が思い浮かばん。あまりにも現実感が無さ過ぎる」

 

男女比!畜生!

 

「そっかぁ。この世界でヘンタイを満たす状況は作りにくいんだね」

「いや知らないが」

「じゃあ長門」

「ん?」

「普通にしよっか」

「ああ、それがいい」

 

 

-----

 

 

長門はちゃんと展開を分かってて、だから艤装とか置いてきてくれてたんだけど。

なんだろうね。お互いぎこちなかったんだろうね。

もちろんイタしましたよ。

前戯をしすぎないように、かといってがっつかないように。

あーだこーだ心配しながら、様子を見ながら。

除幕式の時はとっても痛そうだったしね。

横で眠る長門を眺めていたら、ふっと長門が目を覚ました。

「・・・提督」

「うん」

「あ、その、すまぬ」

「なんでさ?」

「提督はちゃんとイッてないだろう?」

「出したじゃん」

「私にすごく気を使っただろう?」

「だって長門が一生懸命痛いの我慢してるから」

「・・・ふっ」

「ははっ」

「あはははっ。お互い様というわけか」

「だね」

長門は私の胸に顔を押し付けた。

「何度かするうちに、お互い心地よくなれると良いな」

「そうだね。沢山しようね」

「・・ああ。どろどろに溺れるのも良いか」

「どろどろの大淀さん本気で怖かったんですが」

「他の女の名前を出すな」

「本気で怖かったんだって!」

「私はあの時の陸奥ほど怖いものは無かったがな」

「あれより怖いんだってば、だってさあ」

 

目が覚めた長門との会話は、沢山笑いがあって、ノリとツッコミまであって。

ピロートークっていうにはサバサバしすぎな気もするんだけど。

こういうのが長門のノリなら、それでいい。

奥さんごとに違うのも楽しみだよね。

 

 

 

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