「本当に本当に申し訳ありませんでした」
「許さん」
「あうぅ」
「私が突撃する時間を予測してその30秒前までコトに及ぶとは悪質極まりないだろうが」
「あまりにも快適極まりないリソース状態に我を忘れまして」
長門が私を見たので、私は肩をすくめた。
「膝枕禁止した方が良いかな?」
「「そんなっ」」
大淀と鹿島が同時に声を上げたので、長門は再び溜息をついた。
「ちっともストッパーになっていないではないか。鹿島が隣で傍観してどうする」
「あ、あの、長門さん違うんです」
「じゃあなんだ」
「応援してました」
「余計悪いだろうが」
「ごめんなさい」
「さて、どうしてくれようか」
考え込む長門に、私は声をかけた。
「いやまぁ、二人の話を聞いてるとなんか通常体験出来ない経験で浮かれてたみたいだしさ」
コクコクと頷く二人、ジト目になる長門。
「だからといってだな」
「いや、それで提案なんだけどさ」
「ああ」
「大淀の夜の順番、一回パスって事にしようよ」
「なるほど?」
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「ご主人様ぁ、それはあんまりですぅ。重すぎますぅ」
「さすがに大淀先輩が可哀想だと思います!」
「えぇ・・」
床に伏せてさめざめと泣きながら私のズボンの裾をつまむ大淀と、ぷくりと頬を膨らませて抗議する鹿島。
長門はと見ると、両手で頭を抱えていた。
「あーっと長門どうしようか」
「・・私に振るな」
「えっでも」
「本件は裁定を含め提督に一任する。以上」
「えっ長門さん?」
「さて、仕事するぞ仕事。あぁ日向に進捗を聞かねばならなかったんだ」
「ちょっと!?」
「ご主人様ぁ」
「てーとくさん?」
あーもう滅茶苦茶だよ・・よし。
「解った。解ったから大淀」
「はいっ」
「ケアタイムにおせっせ無し3回ね」
「いっ、一回というのは」
「一晩でしょ普通に考えて」
「100万μ秒ではダメですか?」
「それ1秒じゃない。合計3秒しか我慢してないじゃんよ」
「で、でで、ですが禁断症状が」
「この前3300分行けたんだから大丈夫。というか少しは罰を与えないと示しがつきません」
そっと鹿島が手を挙げたので、私は指差した。
「はい鹿島さん」
「と、なるとですよ」
「うん」
「ケアタイムは2日に1回ずつですよね」
「奥さんの夜が入るからね」
「すると3回で合計6日、解禁まで最短7日ですよ?」
「そうだね」
鹿島はそっと私に耳打ちした。
「今の大淀さんを1週間も禁欲させたらどうなると思いますか?」
「大淀、ケアタイム1回おせっせなし。決定ね」
「そっそんなぁ」
「大淀先輩、これが最大限の譲歩だと思いますよ」
「鹿島さん・・他人事だと思って・・」
「では鹿島はお部屋の片付けに戻りますね」
「あうー」
鹿島とやり取りをする大淀の目から少しどろりとしたものが減ったのを見ながら思った。
減刑は決して1週間後に身の危険を覚えたからじゃないよ、と。
大淀と鹿島に膝枕はやめたほうがいいかも。うん。
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カチャッ
「失礼いたします。あの、提督はご在室でしょうか?」
「おっ、榛名いらっしゃい。あと数枚だからそこにかけて待っててくれるかな」
「はいっ!」
「後この2枚だよね、署名はこことここで良い?」
「・・あぁ、それでいい。追記補足等は無いか?」
「うん、無いよ。海域制圧も順調だね」
「少し凪が長すぎるから1度鳳翔に見てもらった方が良い気もするがな」
「凪が長すぎる?」
「敵の侵攻が無さすぎるという事だ」
「あぁなるほどね。その辺の勘所は長門に任せるよ・・・これでいい?」
「ああ。では提督は業務終了だな。榛名、提督をどこへなりと連れて行って良いぞ」
「なんか投げやりじゃない?長門さん」
「槍でも衾でも投げてやる。毎日毎日飽きもせずトラブルばかり持ち込みおって」
「ぐうの音も出ない」
「・・もういい。榛名!ほら!」
長門が促すジェスチャーをすると、榛名が私の左腕に絡まって来た。
「えへへ・・榛名、幸せですっ」
「おっけ。んじゃお疲れね、長門、大淀、また明日」
「ああ」
「お疲れさまでした、ご主人様」
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「提督と二人で歩けるなんて、榛名感激ですっ」
私はそう言ってぎゅっと腕に抱き着いてくる榛名の頭を撫でた。
「榛名は可愛いなあ」
「はうっ!」
「うん。良い子良い子。えっと、部屋でご飯食べる?鳳翔さんとこ行く?」
「あっあのですね」
「うん」
「はっ、榛名が・・夕飯を作ってはダメでしょうか」
「おっ良いね。メニューは考えてる?」
「榛名特製チーズ入りハンバーグです!」
「良いじゃん良いじゃん、採用!どこで食べる?」
「食堂の調理場で作った後、提督の部屋にお持ちします!」
「じゃあ部屋で待ってれば良いかな」
「はいっ。それでは榛名、行ってきます!」
うん、私が悪いんだけど、榛名が初々しくてすごく良い。
いや別に大淀が悪いとは言ってないんだけどさ。どろりとした目より初々しい目で見て欲しいなって。
贅沢だね。うん。部屋片づけよ。
私はぽかりと自分の頭を叩くと、小走りに部屋へと戻った。
「さぁどうぞ、め、召し上がってくださいっ♪」
「いただきまーす!」
ワンプレートにハンバーグとサラダ、お茶碗に盛られたご飯、お味噌汁。
それらをお箸で頂く。うん間違いなく家庭のご飯。こういうので良いんだよこういうので。
「うま~い♪榛名美味しいよ?」
「ありがとうございます!(はっ、榛名も召し上がりませんか、と、とか!とかっ!)」
「どしたの榛名?後ろに何かある?」
「なんにもありませんっ」
「・・やー美味しかったぁ。ごちそうさまでした」
「あの、そちらの台所で食器を洗ってしまって良いですか?」
「ああうん、大丈夫だよ。皆使ってるし。洗剤とかスポンジもあるよ」
「お借りしますね」
私の自室は籠ってもそれなりに生活できるようにとの配慮なのか、マンションの1室って感じ。
散々使ってるお風呂やトイレ、寝室のほか、小さいけど居間とか、台所とかもある。
台所というほど部屋にはなってないんだけどね。
ただ、ドアを開けるといきなり寝室ってのが普通のマンションと違う。
あるんだから居間とか廊下に繋げれば良かったんじゃないかなあ。
「~♪」
榛名が鼻歌を歌いながら洗い物をしている。
ふと歌声につられてそちらを向くと、部屋の配置上、榛名がエプロン姿で後ろを向いて洗い物をしている。
私はふるふると首を振った。
いや、もしあれが大淀だったら、つかつかと歩いて行ってそのままバックの体勢に入る。
それくらいエロい光景だった。
榛名はさすがに尊過ぎてこうして理性で押しとどめられたけど。
・・鼻歌に合わせてお尻フリフリしてるのがたまんないけどさ。
あれだけされてるのに溜まってんのか私。
いやいかん、女の子は男の視線に敏感なんだ。
揺れるお尻をガン見してたなんて気づかれたら口きいてもらえなくなるかもしれない。
冷静に。冷静に。
新婚ほやほやの奥さんとして扱わないとね!
「すみません、榛名、食器を食堂に返してきますね」
「むしろ謝るのはこっち。何から何まで頼んでごめんね?」
「いえ!あ、あの、間宮さんが怯えてらっしゃるのは皆知ってますので」
「そっかぁ・・」
「あのっ!決して提督が悪い訳ではないので!」
「うん・・ま、とにかく行ってらっしゃい。重いから気を付けてね」
「平気ですっ」
榛名が行ってしまうと、私は腕を組んだ。
そういえば、間宮さんはなんで私を、いや多分男を、怖がるのだろう?