艦娘可愛いです。   作:銀匙

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【その55】

 

 

「べっ、別にそこまで説明してくれなくて良かったのですヨー・・」

比叡と鳳翔から昨夜の顛末を聞かされた金剛は、カウンター席で小さくなっていた。

比叡はぶるぶると首を振った。

「今の司令が知らないのは仕方ないにせよ、功績をチャラにしていいわけではありません!」

「うー」

「それに金剛お姉さまは知ってほしいと仰いました!それならこれも知っておいてもらうべきです!」

「・・比叡」

「はいっ!」

「私はその、テートクの期待と違う事が怖かったんデース」

「違う?」

「私はゲームの金剛を知りまセーン」

「ええ」

「ですので、私は普通に振舞ったつもりでも、テートクがそれはイメージと違うと言われたらと思ったら怖かったのデース」

「・・」

「な、なので、ゲームの私で見てほしくないと言いマシタ」

金剛が上目遣いで鳳翔を見上げたので、鳳翔は大きく頷いた。

「金剛さん」

「ハーイ・・」

「杞憂です」

「What?」

「提督は仮に自分のイメージと貴方が違ったら、貴方に合わせる。それだけなんですよ」

「えっ」

「私は確実にその証拠をお見せできますよ」

「みっ、見せてくだサーイ。本当に不安なんデース」

「私です」

「?」

「建造したての初心な鳳翔と、今の私が一緒だと思いますか?立ち居振る舞いも、言葉遣いも、思考もです」

「NO」

「・・言下に否定されるとそれはそれでイラっとしますが」

「ひいっ!ごめんなさいごめんなさい!」

「まぁそこは不問としましょう。ですが如何ですか?これだけ違っても、私は提督から拳の1つどころか罵詈雑言の1つも頂いていませんよ」

「・・・そう、ですネ」

「比叡さんもそうですが”案ずるより産むが易し”ですよ」

「・・」

「提督は別にケッコンカッコカリを解消しても良いと言っています。どこまでも一致点が無ければ解消してしまえば良いのです」

「・・でも」

「ええ」

「私は提督と、ケッコンカッコカリというか、結婚したいデース」

「・・」

「だから変なことで嫌われたくないのデース」

「変な事とは、ゲームの金剛との違いですか?」

「それもそうなのですが・・」

「是が非でも結婚したいという事に縛られすぎですよ」

「あう」

「提督は好きだから結婚するんだと仰います」

「ハイ」

「結婚するから好きでなければならないんだ、とは言いませんよね?」

「あ・・」

「金剛さんも、まずは好きかどうか実際に付き合って確かめてみる事です」

「・・YES」

「頭は整理出来ましたか?金剛さん、比叡さん」

少しの沈黙の後、

「「はい」」

と、揃った声を聞き、鳳翔は笑顔で頷いた。

 

 

-----

 

 

「おはよー」

「ああ、おは・・どうした提督、大淀に迫られて徹夜でもしたか?」

長門がジト目で大淀を見ると、

「違います!ご主人様は昨晩お戻りになりませんでした。ずっと居酒屋鳳翔にいらしたんですよ」

と、大淀が返したので、今度はげんなりした顔になった。くるくる表情が変わるね。

「まさかとは思うが、比叡の金剛苦労話を聞かされたのか?」

「それもべろんべろんに酔った状態で」

「ああ最悪だ。比叡は絡み酒だからな」

「うん。かなり。その話が始まると解った途端、店内にいた全ての客が席を立った」

「だろうな。皆聞き飽きている」

「足柄さんには1度は聞いといた方が良いと言われたんだけど、解ったよ」

「あの辛さは比喩表現として用いられるからな」

「どういう?」

「この徹夜哨戒と比叡の金剛話聞かされるのとどっちが酷いか、とか」

「あーそれは今なら悩む」

「だろう?だから価値はあるんだ」

「まぁ実際金剛さん苦労してきたんだね」

「世間で言うところの第1夫人役を、結婚枠が埋まってない状態でずっとやってきた訳だからな」

「今は収まったのかな」

「格段に減ったぞ」

「まだ言ってくる人がいるの?」

「単純に枠が埋まったことを知らぬ者と、強引にねじ込んでくる者だ」

「後者って例えば?」

「全国寺社協会会長、皇族の鷹角家、ええとあとは」

大淀が小さく首を振った。

「先日OO大臣は灰になりましたよ」

「ああ、そうだったな。となるとその2人かな」

「ええと、どちらもご高齢の脂ぎった干物?」

「いや。両家とも曾孫との縁談を望んでいる」

「曾孫っていくつ?」

「大淀」

「17歳と19歳です・・ご興味が?」

「いや。なんでそんな有名どころがわざわざ一般人の私に?」

「前者の場合は単純だ。提督は寺のオーナーだからな」

「あー」

「後者は何だろうな。何か知っているか大淀」

大淀は溜息をついた。

「何故か写真を見て一目ぼれしたと。なぜ写真を手にしているのかは知りませんが」

「えっ?写真くらい盗撮とかされたんじゃないの?」

長門は肩をすくめた。

「男性の盗撮は懲役25年と全財産没収だぞ?」

「うわそれはひどい」

「当該法律の制定でパパラッチという職業が一瞬で消えたんだ」

「だろうね・・・えっじゃあどうやって」

「写真1枚の為に誰か1人の人生を引き換えにした、ということだろうな」

「ふうん。前者の方の理由は?」

「適齢期同士で寺社関係者という事を強調しているが、それ以上は憶測でしかない」

「いいえ、情報があります」

私と長門の視線を受け、大淀のメガネがきらりと光った。

「全国寺社協会会長の孫、つまりお見合い希望者のお母上には大変な借金があるのです」

「結婚して、孫には財産、曾孫には性玩具をよこせと」

「大体そうなります」

「二度と言って来るなって言えないの?」

「金剛さんでは無理ですね」

「私の署名入り公文書なら?」

「言えます」

「大淀」

「作成に・・1時間ほどお待ちを」

「いいよ。金剛の負担を減らしてあげないとね」

 

それから2時間後。

 

「じゃ、ここに署名で良いかな」

「はい。あとこちらと、こちらと、こちらに捺印を」

「相手にはどうやって届けるの?」

「電子公文書配送ですね。費用はかかりますが改変出来ない絶対唯一の証明が付きますので」

「なるほどね」

「まぁ改変してくださった方がそれを証拠に抹殺出来るので好都合ですが」

「やりそうだし同情出来ないのが何とも言えないね」

「マザーAIに頼んでおいたと鳳翔さんが仰ってましたね」

「どういうこと?」

「常時監視かと思いますが」

「ま、いいや。大淀、すまないけど手続き頼むね」

「お任せください」

「到着はいつくらいなのかな」

「1時間以内には」

「早いね」

 

 

 

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