艦娘可愛いです。   作:銀匙

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【その56】

 

 

そして、その日の夕方。

「長門、今日の書類はこれで最後かな」

「ああ・・っと、そうだ提督」

「なに?」

「今夜は鳳翔の店は臨時休業だそうだ。理由はわかるな?」

「・・あーそっか、鳳翔さんまで徹夜で付き合わせちゃったから」

「その後もあったようだが。とにかくそういう事だ。大人しく大淀と自室で喫食してくれ」

「まぁ大淀さんと部屋で晩御飯デートしてくるよ」

そう言って大淀さんを見たら、大淀さんは照れ照れと頬を染めていた。かわいいです。

そのまま長門に視線を返したら砂糖を吐きそうな顔をしていた。すいません。

「じゃ、じゃあ書類書いたから渡すね」

「ああ。お疲れ」

「長門さん、お疲れ様でした。行きましょうご主人様♪」

「うん。帰ろうか大淀」

 

自室に向かって歩いていると、ちょうど水平線に沈む夕日が見えたんだ。

「だいぶ日が長くなったよね」

「そうですね。綺麗な夕日です」

「大淀の方がもっと綺麗だよ」

「・・」

返事が無いので嫌な予感がした私は、そっと隣を見ると。

「・・・深刻なエラーが発生しました。コード0h4d8dffe。再起動プロセスに移行します」

これも3倍満なの?まいったなぁ・・

 

「っはっ!?わ、私は何を!?」

「ごめんね大淀、私が余計なこと言って負荷かけちゃったみたい。最後の記録見る時は慎重にね」

「・・あう」

「ごめんね」

「・・いいえ。ご主人様は褒めてくださって、私はあまりにも嬉しかっただけなので、良いんです」

「えっとさ、大淀」

「はい」

「どうすればその、大淀を褒めてもエラーにならずに済むかなあ」

「いっぱい褒めてください」

「ん?」

「私も鹿島も学習します。言い換えれば慣れていきます」

「うん」

「そのうち、そっそのうち!ご主人様に褒めて頂いても照れるくらいで耐えられるAIになれると!」

「なれると?」

「おっ・・おも・・うんです」

「そっか。じゃあとりあえず控えめに褒めていくね?」

「あ、あの、ありがとうございます。それと窮屈な思いをさせてしまってすみません」

「ううん。仲良くなりたいからね」

「ご主人様・・あ、あの、食堂寄ってからお部屋に行きますね」

「うん。じゃあ待ってるね」

「行ってきます!」

大淀が小走りに去っていくのを見送ると、私は自室へと足を運んだ。

 

 

-----

 

 

「そういえばさ、マスメディアというか、テレビとかラジオってあるの?」

「テレビはありませんがラジオはありますよ。ニュースと天気予報だけですけど」

「・・この部屋にはそういう機械ないね」

「Webラジオの形ですからパソコンでも良いですが、私も確認できますよ」

「なんか面白いヘッドラインある?」

「・・・ああ、あらら、うふふふ」

「えーなになに大淀、一人で笑ってないで教えてよ」

「では、申し上げますね」

大淀は咳払いすると、アナウンサーのような口調で話し始めた。

 

”本日午後4時過ぎ、全国寺社協会の各支部に警官隊が突入、一斉捜査が行われました。

 その場で逮捕されたのは全国寺社協会会長のOOOO氏、専務理事のOOXX氏です。

 容疑は見合い相手からの公文書変造、ならびに不明瞭な投資と発表がありました。”

 

「・・・まさか」

「ここまであっさり引っかかってくるとは思いませんでしたが」

「公文書変造って罪重いでしょ?」

「しかも男性関係ですから一律刑期25倍、執行猶予無しが確定です」

「うわ」

「ですので懲役150年ですね」

「普通生きてないでしょそんなに」

「・・それがですね」

「えっ」

「大変高価ですが、延命手術というのがありまして」

「・・・」

「艦娘の長寿命特性を人体に応用するものと、AI化するものがありまして」

「うおわ」

「ですが今回でその芽は絶たれました」

「どういうこと?」

「人体応用の方は10年毎に再手術が必要なんですが犯罪歴が無い事が前提なんです。懲役刑が無意味になってしまうので」

「だろうね」

「そして現時点で肉体があるのでAI化はされてませんし、犯罪者はAI化出来ない処置が施されます」

「同じ理由か」

「はい。ですので今人体応用術を施工していても、最長10年後からは人間の寿命です」

「そっか」

「さすがに鷹角家は皇族だけあって手を出さなかったのか、ニュースになってませんね」

「あれじゃない?財産目当てじゃないからそこまで逼迫してなかったとか?」

「それはそうかもしれませんね」

「あー・・とりあえず晩御飯食べようか」

「はい」

私は鹿の赤ちゃんが生まれたとか花が咲いたとかそんなニュースないかなって思っただけだったんだけど。

随分ヘビーなのが来たもんだよ・・

 

 

------

 

 

夕食を食べ終えた私は、食器を下げて戻ってきた大淀ととりとめのない会話をしていたのだけど、ふと思った。

「そういえば、トランプとかボードゲームってあるの?」

「酒保でトランプは扱いがあったと思いますよ」

「もう閉まったかなあ」

「聞いてみますね」

 

大淀がインカムで問い合わせてくれたところ、2組あるというので1つ買ってきてもらった。

 

「折角だから鹿島も呼んで遊ぼうよ」

「3Pですね」

「・・それだとなんかいやらしい方向にならない?普通のトランプ遊びだからね?」

 

大淀は涼しい顔をしてインカムを押さえた。

 

「鹿島さん鹿島さん、提督が3Pをご所望です」

 

きっちり43秒後。

 

ガチャッ!

 

「げほっ・・ぜー・・はー・・おっお待たせしまし・・・あれぇっ!?」

私はぜーぜー息を切らせて駆け付けた鹿島を見てから、ジト目で大淀を見た。

「ほら御覧よ、鹿島が思いっきり勘違いしてるじゃないか」

「私は3Pとしか申し上げていませんよ」

「鹿島?」

「はいっ!」

「3Pといえば?」

「と、とと、とんでもなく贅沢な方で言いますと」

「言いますと?」

「漢字で言うと男女男となりまして、それはそれはマニアックでドエロイ世界です」

「贅沢じゃない方で言うと?」

「漢字で言うと女女男となりまして、それはそれは背徳的でドエロイ世界です」

「つまり簡単に言うと?」

「ドエロイ世界です」

「ほらー!」

二人で大淀を見ると大淀は最初視線を逸らしていたが、

「てへっ♪」

てへぺろ可愛いけど鹿島さん全速力で来るくらい期待させちゃったからなあ・・

「えっと、とりあえずポーカーやろっか。ルール解る?」

「「大丈夫です」」

「折角だから賭けようか。10回勝負して最下位の人は最上位の人のお願いを1つ聞くとか」

「「・・なんですと?」」

「タメまで息ピッタリだったね二人とも。ああ嫌なら別の」

「「誰がダメなんて言いました?」」

「近い近い怖い怖い解ったよそれでやろう」

AIロボットなのにどうして目が血走るのかなあ。ほんとこのロボットの設計者おかしいよ。

 

 

 

 

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