そして、まもなく夕方という時。
軽やかなノックの音と共に、加賀が執務室に入ってきた。
そしてまっすぐ長門の前に向かうと綺麗に敬礼をした。
「第2艦隊、旗艦加賀、帰還しました。問題なく護衛対象を指定先まで送り届けました。詳しくはこちらに」
「ああ。加賀がそう言うのなら間違いあるまい。よくやってくれた」
「鎧袖一触よ、心配いらないわ」
「・・・ん?どうした。何をそわそわしているんだ?」
「仕事は終わりですよね?」
「あ、ああ。加賀の仕事は終わったぞ」
「ダ・・提督の仕事は?」
「当然まだ執務中だぞ?あの書類の束が終われば終わりだが」
加賀の視線がこっちを向くのが解ったけど、私は大淀と書類の確認を進めていたのでちょっと応えられなかった。
「手伝って構いませんよね」
「え?あ、ああ、別に構わんが」
そして私が大淀と話し終えた時には既に同じ机に向かう加賀さんが隣に居て。
「あ、加賀、お疲れ様ね」
「手伝います」
「へ?」
「ダーリンが書かねばならないのはこれとこれとこれ。こっちは捺印だけだからやっておきます」
「え?」
「さぁ早く署名して」
「はい」
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「ダ・・提督の作業完了いたしました。私がチェックしています」
「あ、ああ、手伝い感謝す」
「ダ・・提督も上がりで良いわね?」
「あ、ああ、上がって良いぞ」
「ありがとうございますでは失礼いたします」
私は何が何やら解らないまま加賀に抱えられて執務室を後にしたんだ。
「ちょ、ちょい待ち加賀!自分で歩けるから」
「そうね。下ろします」
「ありがと・・・えっと、そっか。今夜は加賀との一晩だったね」
「そのとおりです」
「とりあえず晩御飯は居酒屋鳳翔で食べるか食堂のご飯を持ってきて自室で食べるんだけど・・」
「自室でもいいかしら?」
「もちろん良いよ。でも加賀に運んでもら・・って居ない!?」
いつの間にか遠くに見えていた加賀の背中をぱちぱちと瞬きしながら見送り、私は自室に向かって歩き出した。
「なんでまっすぐ帰った私より夕飯セットを受け取った加賀の方が早いのかと」
「いいからドアを開けてください。荷物が重いので」
「はいよ」
というわけで加賀と共に自室に入る。
鹿島が片付けてくれてるから難なく夕食セットをテーブルに並べられた。
ありがたいです・・・というかいつの間に夕食の配膳終わったの!?
「ダーリン、さあ早く手を洗ってきて」
「え、あ、うん」
手洗いうがいは基本だよね。
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「夕食のごちそうさまをまだ明るいうちに言うとはなあ・・」
私は素早く食器を片付けて食堂に返しに行った加賀に驚いていた。
そして、皆が言っていたことを思い出す。
「今夜は寝かさないぞって感じかなあ・・」
これまた本当に食堂に行ってきたのかというくらい素早く帰ってきた加賀に、私は腹を決めた。
「おかえり、加賀」
「ただいま・・ダーリン」
「今日を楽しみにしてくれてたみたいだね」
「ええ」
「ありがとね。それで加賀は、どんな夜にしたいかな?」
「それが・・」
そう言って加賀は軽く頬を染めると動きを止めてしまった。
私が待っていると、しばらくして続きを言ってくれた。
「その、素敵な一夜にしたいとは思っているの。でも何をどうすればいいのか解らなくて」
「そっか」
「あ、あの、この間のチューチューさわさわでも幸せなのだけど」
「うん」
「ほっ、他にも幸せになれることがあるのなら試してみたいわ」
「なるほどね。興味はあるけど具体的には解らない、ってことか」
頷く加賀に、私はベッドを指さした。
「じゃあまずは、一緒に座ろうか」
「一緒に?」
「どうかな」
「はっ、始める前は、たったそんな事って思ったのだけど・・」
「うん」
「おっ、同じベッドに、ぴったり並んで座るのって、幸せね」
「手も繋いでるしね」
「ええ。なんだかポカポカしてきます」
加賀の反応を見ながら私も同じことを内心思っていた。
多分少し前の私なら既に押し倒してるかお風呂に誘ってあんあん言わせてたかもしれない。
でも鳳翔の説明を聞き、もしかしてもっとずっと前の段階を皆は求めてるのかなって。
私は加賀の太ももをそっと撫でてみた。
加賀は時折ぴくりと反応するが、撫でられている所をじっと見ているだけで気を失ったりする気配は無い。
今度は加賀とつないでいた手を放し、加賀の肩を抱き寄せる。
私の腕の中にすっぽり収まる加賀の上半身はとっても華奢で、女の子を感じさせた。
「どうかな、加賀。急すぎたら言ってね」
「・・心がとても満たされていく感じがします」
「うん」
ちょうど夕日が赤みを増してきて綺麗に部屋が染まるころ。
「加賀、キスをするよ」
「ええ」
ついばむように、唇を重ねるように、舌を擦り合わせるように、口の中をなぞるように、舌を吸うように。
目を瞑って、少しずつ、少しずつ。
気づいたら空はすっかり青紫色になっていて、目を潤ませた加賀がそこに居て。
「えっと、一緒にお風呂に入る?別々にする?」
「きょ、今日は恥ずかしいから、別々でお願い」
「解った。じゃあ用意してくるから待っててね」
「はい」
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で。
それぞれお風呂に入ったら、お互い裸な訳です。
私は加賀に改めてお胸様のすばらしさを説明し褒め称え、具体例として騎乗位でとっくりとご説明しました。
加賀は疑いと興味の入り混じった表情をしていたし、除幕式がまだだったのに私がすっかり勘違いしていて。
騎乗位で除幕式というかなり荒っぽい事になってしまったのだけど、たまたまあまり痛くなかったみたいで。
二人でどんどん上り詰めていって。
最後は私がお胸様をお支えしつつ彼女のぎこちない上下運動に適切な回転や角度を加えていって。
カウントダウンの頃には彼女と両手をしっかりつなぎあって。
汗だくで加賀が果てる頃には、しっかり気持ち良くなってもらえたと思うんだ。
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「少しは痛みは引いたかい?」
加賀にそう尋ねると、加賀は小首を傾げた後に頷いた。
「弱い痛みと、下半身に何か入ってるような感覚、それだけよ」
「そっか。あまり痛くない人で良かったよ」
「ダーリン」
「うん」
「男女の営みって、本当に幸せね」
私が加賀の方を見ると、加賀はとても柔らかな微笑みをたたえていて。
このアプローチが間違ってないんだっていう確かな証明のような気がしたんだ。
「ありがとう、加賀。自信がついたよ」
「何の事かしら」
「こういう方法で接するのが、相手と幸せを育むのに正しいんだって」
「ダーリン」
「うん」
「確かに今夜は幸せでしたけど、それでダーリンが窮屈になってほしくないわ」
「んー」
「もし仲良く過ごすためにとダーリンがいつも黙って我慢するくらいなら、ちゃんと言ってください」
「そっか」
「加古も言っていたけれど、私達はダーリンに私達と夜を過ごすこと自体を嫌いにならないでほしい」
「・・うん」
「多少アプローチが違っても私達は合わせていけます。だから変えたければ変えていいのだけど」
「けど?」
「そこに事前に一言相談があれば、私達も応じやすいわ」
「うん、解った。心がける」
「ダーリンを支えていけたら私も幸せよ」
「あ、えっとね」
「ええ」
「ケッコンカッコカリを続けるか判断してもらう為にお付き合いって形にしたでしょ?」
「ええ」
「どの時点で判断するのが良いと思う?」
加賀はゆっくりと半身を起こし、ふいに私の上に斜めに覆い被さってきた。
加賀の顔が間近に迫る。
「えっ?えっと?」
「ケッコンカッコカリを認めたら、私はダーリンと呼んではいけないのかしら?」
「好きに呼んでいいよ」
「そう。なら今この時点で続けることに問題ありません。カッコカリではなく早く結婚したいけれど」
「・・そっか。認めてくれてありがとう」
「こちらこそ。私が判断するのを待ってくれて嬉しかったわ」
夜の青い空間の中で、加賀と1度だけしたキスは、まさに誓約のキスって感じがしたんだ。