艦娘可愛いです。   作:銀匙

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【その59】

 

 

「干からびてないだと!?」

「私はサバか何かなの!?」

翌日。

私は加賀と手を繋いで普通に執務室の前まで行き、どちらともなく手を放してから執務室に入ったんだ。

そしてごく普通に朝の挨拶をしようと思ったのにこれである。なんでやねん。

「そして加賀も・・いや、加賀は違うな」

「どこがでしょうか」

「なんというか・・・うーんなんだろう。陸奥辺りならうまく表現するのだろうが・・違うんだ」

「それはともかく、今日は海底資源調査に行ってくればいいのよね」

「ああ。東の海域を頼む。特に海図でいうこの辺りを中心にな」

「ええ、任せて」

「メンバーは誰にする?」

「そうね。榛名と那智で」

「・・ああ、問題ない。準備が出来たら出航してくれ」

「承りました。あ、ダーリン」

「うん?」

「行ってきます」

「気を付けてね。とにかく必ず帰ってくるんだよ?」

「ええ」

 

執務室から加賀が出ていくと、長門と大淀が一斉にこちらを向いた。

「え?なに?」

「さぁ言え。一体何十回絞られた?」

「へ?」

「今朝に関しては例外扱いで鹿島と二人で突撃しようかと相談までしてたんですよ?」

「えっ」

「なのにどうして干からびてない?」

「加賀さんからなにか怪しい液体とか飲まされてないですよね?」

「飲んでないし、おせっせの回数も2回だよ」

「まさか!」

「ご主人様?どこか記憶の無い時間帯はありませんか?」

「何をそんなに心配してるの?ほんと大丈夫だって」

そんなやり取りがしばらく続いたため、仕事開始が普段より30分くらい遅くなったのである。

 

 

-----

 

 

「よーし、今日はこれで皆終わりかな?」

「ああ、全員揃って終わりだな」

「じゃあさ、今日はケア日だし、たまにはこの3人でご飯食べない?」

「・・良いのか?大淀」

大淀は頷いた。

「ご主人様がお望みであれば。昨夜は本当に大丈夫だったようですし」

「確かに今に至るまで普通に過ごしているしな」

「二人してどれだけ加賀を疑ってるのさ」

「・・」

二人ともばつが悪そうに目を逸らすので、私は肩をすくめた。

「昨日は鳳翔に言われた事を守っただけで、特に」

 

「「それは何だ(ですか)?」」

 

一瞬で距離を詰めてきた二人を見て、私はのけぞるしかなかったんだ。

 

 

「なるほど、3倍満、言いえて妙だな」

「恋人つなぎ=役満はその通りかと」

「私としてはそもそも私が話しかけた時点で満貫だっていうことに驚いたんだよね。それは当たり前でしょって思ってたし」

「だが、その認識を改めたと」

「うん。それだけで結構舞い上がってしまうなら、その先はもっと少しずつ確かめていった方が良いかなって」

「それでそんな一夜だったんだな」

「今までのご主人様から考えると凄まじい違いですね」

「二人から見るとどれくらい違うの?」

長門は顎に手を当てて考える仕草を続けた後、ぽつりと言った。

「そうだな。バンジージャンプと紐無しバンジーくらいか?」

「似てるけど致命的に違うって言いたい?」

「王水と紅茶くらいでしょうか」

「一緒なの見た目だけじゃん!って結局同じこと言ってるよね!?」

二人は互いに顔を見合わせ、ホッとしたような表情をした。

「そうか。提督が即死毒ガスから極めて高い依存性のある媚薬くらいには弱まった」

「とりあえず死者は出さずに済みそうです」

「言いぐさがあまりにもひどい。もうご飯行こうよ」

 

 

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「ですから、この鎮守府にとって大きな前進となったと申し上げたではありませんか」

居酒屋鳳翔に辿り着き、奥座敷に通される間に私がポロリと漏らした言葉への反応である。

鳳翔さん鋭すぎる。

「いや、鳳翔、本当に助かった。この長門、心から御礼申し上げる」

「鳳翔さんはこの鎮守府の救いの神です」

「まるで私が破壊の権化みたいじゃない」

「違うぞ提督」

「違いますよご主人様」

「なにさ」

「「破壊の権化そのものです」」

「ハモらなくていいじゃない!」

鳳翔が軽く手を叩いた。

「お芝居はその辺で。長門さんが居らっしゃるのでお酒抜きのご飯ですね?」

「あぁ」

「あれ?長門って酒ダメなの?」

「ああ。すぐ頭痛がするんだ」

「そりゃ本格的にダメな人だね。飲まない方が良いよ」

「というわけで大淀もすまないが」

「問題ありません。3人で仲良くご飯にしましょう」

「では、コースがよろしいですか?」

「そうだね。皆はそれで良い?」

「ああ。鳳翔のコースは久しぶりだから楽しみだ」

「私もそれで良いです」

「ではコース3人前、ご用意いたしますね」

 

 

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「失礼します。デザートの水ようかんになります」

「あーデザートになってしまうー」

「鳳翔さんのコースは美味しいからあっという間だよね~」

「とはいってもこれ以上は入りませんし」

「「「絶妙だよね~」」」

「ふふ、そんなにおだてても何も出ませんよ。ではごゆっくり」

 

水ようかんを黒文字で切り分けながら、私は長門に話をふった。

「そういえばさ、昨日金剛の負担を減らしてあげようってことで2通公文書作ったじゃない?」

「ん?ああ、やっていたな」

「あの片方、昨日の晩には捕まったらしいよ」

「なんだ?公文書偽造か?同行使か?」

「偽造だったみたいだけど」

大淀がくすっと笑った。

「それには続きがありまして」

「えっと?」

「なんともう片方も公文書偽造で逮捕されていました」

「え゛」

「つまり両方片付いたという事です」

「あー報道されなかったのは」

「やんごとなき一族がなにやってんのという国民からの批判を避ける為にマスコミを、です」

「うんざりだよもう」

「まぁまぁ。金剛も喜ぶのではないか?」

「じゃあ明日、金剛との一夜だから手土産にしてみるよ。口頭で伝えれば良いよね」

「伝え方はお任せします」

「解った。よっし、皆ようかん食べた?」

「ああ」

「おいしかったです」

「じゃあ私の奢りでいいよ。二人にはいつも世話になってるからね」

「・・槍が降るか?」

「そこまで?」

「ご主人様、ご馳走様です♪」

「大淀は可愛いなあ」

「くっ」

こうして私達3人は鳳翔の店を後にしたのである。

 

 

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「で、聞きたいんだけどさ」

「何でしょうかご主人様」

「何ですかてーとくさん」

「部屋が片付いてるのは鹿島、よくやった!」

「えへへ」

「でもテーブルの上のこれは何!」

「「トランプです」」

「一昨日あんな危ない事になったんだからダメですっ!」

「耳かきしなければ良いんですっ!」

「・・・そ、そうか・・・そういえば」

「「ですよね?」」

「じゃあ、まぁ、良いか。またポーカー?」

「ポーカーで!」

 

「なんでまた最下位かなあ・・」

「勝ち!私の勝ちです!」

「あー」

「はいどうぞ大淀さん。ちなみにエラーになったら以降は握手1回にします」

「「スカ以下じゃないですか!」」

「スカって言うな」

「大淀先輩!ここはシミュレーションを最高精度で行きましょう!」

「ギリギリでないと面白くないですからね!」

「だからAIDBの限界を試すなって言ってんでしょうが!」

 

 

 

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