艦娘可愛いです。   作:銀匙

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【その62】

 

 

「おはよう、長門、大淀」

「Goodmorningデース!」

「ああ、おはよう。提督、金剛」

「おはようございますご主人様、金剛さん」

朝の挨拶をかわしつつ、長門はじっと私達、というか金剛を見ていた。

「ドーかしましたカ?」

「・・提督との夜は、幸せだったか?」

「Yes!あれだけ悩んだのがウソみたいデース!」

「・・・だ、そうだ。良かったな比叡」

長門が自分の背後に声をかけると、長門の椅子の後ろから比叡がそっと立ち上がった。

金剛が目を丸くした。

「比叡!?どーしたのデース?」

「あ、や、金剛姉さまがやっぱり心配で」

「とっても楽しいNightでしたヨ!」

比叡はその場で金剛をじっと見て、目を離さずそろそろと金剛に近づいていった。

「も、元の金剛お姉さまと、あんまり違わない・・」

「Yes!比叡は良く見てマース!間違いないネー!」

比叡の目に涙が浮かんだ。

「よ、良かった。みんな榛名みたいになってしまうんじゃないかって心配で心配で」

えっと、ここまで言われる榛名って今どうなってるの?

 

 

「では私達は哨戒任務に行ってきマース!頑張るネー!」

「司令、あの、き、霧島の時にもよろしくお願いしますねっ!ではっ!」

 

賑やかな二人が執務室を出ていくと、長門と大淀がこちらを向いた。

「え、なに?」

「提督・・」

「ご主人様・・」

「うん」

「普通のお付き合いが出来たのか?」

「そうなるね。まぁおせっせしたけど」

「何セットくらいですか?」

「2サイクルだけだね」

大淀が心配そうな目つきになった。

「・・あの、ご主人様」

「うん」

「・・溜まってませんか?」

「いや、そんなこと無いんだけど、絞りつくした感もないなあ」

「なるほど」

「とりあえず仕事しよっか」

「ああ」

「・・・・」

 

 

-----

 

 

「よっし、今日も一日お疲れさん、と」

「ああ、お疲れ」

「お疲れ様でしたご主人様」

「大淀は支度出来た?」

「はい、大丈夫です」

「じゃ大淀、行こうか。長門、お疲れ」

「またな」

 

執務室を出た時に、私は大淀に声をかけた。

「ちょっと酒保冷やかしに行って良いかな」

「何かご入用ですか?」

「無いんだけど、何か無いかなって」

「良いですよ」

 

「らっしゃー・・あっ提督お疲れ様です!」

「こんばんは。ちょっとお邪魔します」

「あははは!はい!どうぞ!」

私が店内を歩き出した時、大淀は明石に近づいて行った。

「明石さん」

「なんでしょ?」

「先程後ろ手に隠したものは何ですか?」

「なんにもありませんよ?」

「私は常時視界を録画しているのですが?」

「くっ!」

「さあ出しなさい」

 

 

一方その時、私は店の隅に妖精さんが並んで手招きしているのが見えたんだ。

「どしたのこんなとこで?金平糖食べる?え?これくれるの?吸わないんだけど・・まぁ貰っておくよ。ありがと」

ふいっと3人の妖精さんは消えてしまって、私の手元にはタバコと灰皿、ライターが残された。

「なんだったんだろう・・そういえば普段の妖精さんと服が違ったような・・うーん」

 

 

そしてその頃、大淀と明石はヒートアップしていた。

「なっなんですかこのハレンチ極まりない商品は!」

「だから見せたくなかったのにぃ」

「“提督をにぎり!たい 味”ってどう考えても猥褻物ですよね!“味”の字がパッケージ回り込んで見えないですし!」

「ちっ違いますよ?ただのおにぎり弁当じゃないですか!包装はたまたまズレただけです!」

「真ん丸のおむすび2つの間に極太ソーセージって絶対そういう事ですよね!」

「ただそういう配置のお弁当です!ご飯とソーセージなんて普通じゃないですか!」

「じゃあこのおむすびのどこに鯛味があるんですか!」

「原材料表示をよく見てください!」

「・・・むっ」

「ほらここ!“だし(一部に鯛原料を含む)”って書いてあるでしょ!だしで炊いたご飯なんです!」

「それでここまで堂々と鯛味をうたうのは過剰宣伝です!」

「ちゃんと使ってるだけマシじゃないですか!」

「やっぱりタイトルありきの猥褻商品じゃないですか!だいたいなんで“お”が“を”なんですか!」

「別におにぎりを何と書こうが自由ですぅ」

「じゃーそもそもなんで最初に提督を付けるんですか!」

「提督とつけると皆の目を引いて売れるからです!何らやましいところはありませーん!」

「最初に隠した時点でやましいところありまくりでしょうが!」

「逮捕できますか?容疑は何ですか?“お”が“を”と書いてある罪ってなんですかー?」

「良いでしょう。出来れば使いたくありませんでしたが」

「なっなんですか」

「鳳翔さんにお越し頂いてこの場でジャッジしていただきます」

「すいません明石会で絶対売れると盛り上がって商品化されました。もう金型作っちゃったんで見逃してください」

「・・まったく。あまり過激になったら鳳翔さん呼びますからね?」

「ありがとうごぜえます」

 

特に買う物もなかったので大淀達に合流すると、大淀が私が持つ物に気が付いた。

「あら?ご主人様、それを買うんですか?」

「いや、妖精さんに渡されたんだけど・・ねぇ明石、これ商品なの?」

「いいえ、それはうちの商品ではありませんが・・」

「が?」

「少し確認したいので、預かっても良いですか?」

「良いよ」

「確かに。確認が済んだらお返ししますか?」

「いや要らないよ。どうせ私タバコ吸わないから」

「そうですか。では」

大淀は普段と違う明石の振る舞いに違和感を覚えたが、黙っていた。

「ところで提督は奥様方に宝石とかご興味は」

「帰りますよ提督。明石も売りつけようとしない」

「ちぇー」

「あはは。ごめんね明石。そうだ。ケッコンカッコカリの指輪手配してくれたんでしょ?ありがとね」

「あれは特急という事で実にボロ儲けさせて頂き・・ああいやこっちの話です」

「ははは・・じゃあ今日は帰ります」

「ありがとうございました!」

 

酒保を出た時、大淀が私に振り返って言った。

「ご主人様、今日は間宮さんのご飯にしませんか?」

「いいよ、お部屋でゆっくり食べようか」

「ではお持ちしてから部屋に戻りますね」

「解った。先に帰ってるからね」

「はい。それでは」

 

大淀は提督が角を曲がるのを見届けてから、再び酒保へと入った。

 

「らっしゃーせー・・って大淀かぁ」

「態度が変わりすぎよ。で、あれはなに?」

「んー・・多分なんだけどね」

「ええ」

「“神隠しのタバコ”って呼ばれてる、妖精の悪戯の品」

「神隠しのタバコ?」

「1箱吸いきると神隠しに遭うんだって。つまり提督が行方不明になるわけ」

「・・先程の弁当の件は不問といたしましょう」

「ありがとうごぜえますだ大淀上級捜査官殿」

「その代わり」

「明石会できっちり処分しておくだでな。ただ捨てるだけでねぐで身代わりが必要だっつぅ説もあるだでな」

「先程から何故そんな口調なのです?」

「なんとなく」

「まぁ良いです。しっかり頼みましたよ」

大淀と明石は小さく頷きあい、大淀は急ぎ足で食堂へと向かった。

 

 

 

 

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