霧島が持ってきたお茶を受け取り、二人でそっと啜っていると霧島が口を開いた。
「想像していた時間とは全然違いました」
「随分心配かけてしまったみたいだね。ごめんね」
「あ、いえ。その」
「まぁ無理もないよね。こういう時間にし始める前はおせっせ一辺倒だったしさ」
「どうして変えたのですか?」
「最初から私は一貫して皆に喜んでほしいと思ってるんだよ」
「ええ」
「ただ、私は奥さんとして見た時に、最初はスッキリさせてあげたいって思ったんだ」
「スッキリ?」
「女ばかりの世界なら性欲が溜まってないかなって」
「あー」
「ただ、鳳翔からそもそも男が居ないのが普通で、居る時点で非日常なんだって言われてさ」
「はい」
「長門からも癒しが嬉しいとか言われたんで、ならそっちにしようって」
「・・」
「私個人は皆美人だし、触れ合う事とかえちちな事とか望んではいるから、将来的にはしたいなと思うよ」
「・・そっ、そうですか」
「でも今夜だって霧島の色々な話を聞きながらご飯食べて、パチパチとリバーシ打つのだって楽しいよ」
「・・」
「二人で色々な事をやってみて、塩梅が良い所で落ち着けば良いんじゃないかなって」
「・・司令は、お優しいんですね」
「だって結婚する奥さんだよ?大事にしたいんだよ」
「・・えっと」
「ん?」
「あ、あの、先程はあのように申し上げましたけど」
「うん」
「そ、その、私も全くおせっせに興味が無い訳ではないんです。ただ」
「一晩で変わりすぎることが怖い?」
「怖いと言いますか・・そうですね、二の足を踏みます」
「じゃあ服を脱がない所までってしてみる?」
「服を・・脱がない?着たまま連結するのですか?」
「違う違う。手を繋いだりチューしたりってところまでで、まずは様子見ってこと」
「・・あんまりえちちじゃなさそうですね」
「うん」
「・・そっ、それ、なら」
というわけで霧島さんの両方の頬に手を添えて。
「あ、あのっ、しれ・・んっ、んっ!んんっ!んっ!・・・あっ」
「こんな感じだけど、続けていい?」
「あ、もう、なんかふわふわします。続けてもらって良いですか?」
「解った」
なので、私はついついガッツキそうになるのをちょいちょい堪えながらキスを続けてたんだけどさ。
「あ、あの、し、司令」
「うん」
「も、もう十分なので、あの」
「どうする?お開きにする?」
「・・意地悪言わないでください」
「ごめんね。じゃあ手を繋ぎながら繋がろっか」
「お、お願いします。司令」
「大好きだよ、霧島」
「私もです、司令」
そんなわけで、無事霧島とも連結出来ました。
「・・・」
真夜中に目が覚めた霧島は、視線を隣で眠る司令へと向けた。
“テートクとの一晩デートはとっても楽しかったデース!負けて脱ぐ時はゾクゾクするねー!”
“榛名、もう提督の事しか見えません。考えられません。ああ早く抱かれたい”
“司令は懐の深い方です。つっ、次は、その、おせ・・おせ・・・いやなんでもないです”
3人の姉がそれぞれ放った司令への評価。
そして比叡を除く二人は一緒に過ごした夜、その嬌声が寮まで届いた。
一人の評価としてはあまりにもバラバラで、気分の浮き沈みが激しい人なのかと疑いもした。
“いや?あれはいつもおバカで単純だぞ。深読みしすぎではないか霧島?”
長門に相談した時に返されたセリフはあまりにも予想と違った。
ただ、直前の金剛との過ごし方を聞き、それくらいなら大丈夫かと希望を持ったのも事実だった。
そして自分が体験した一晩は、予定していなかったおせっせまでおねだりしてしまった。
霧島は少し頬を染めると、司令にちゅっとキスをした。
「今夜はとっても楽しかったですよ、司令。おやすみなさい」
そう囁くと、霧島は再び目を瞑った。
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「おはよう大淀、長門」
「おはようございます、ご主人様」
「おはよう提督・・あぁそうか、霧島は今日は休みだったな。揃って来るものだと思っていた」
「うん、特にこっちに用はないっていうから寮の前で別れたよ」
「昨日は随分シンプルだったじゃないか」
「どういう意味で?」
「喘ぎ声は控えめで短い時間。目が覚めるような絶叫もなし」
「あー」
「おかげで実によく眠れた」
「この場合は声と想像で寝不足にしちゃってごめんねと言えばいいのかな?」
「そこまで露骨にならなくていい」
ふと隣を見ると大淀が私をじっと見ていた。
「どしたの?」
「あ、いえ、ご主人様としてはあまりおせっせのない一晩の方が楽しいですか?」
「なんで?」
「それでしたら、そっ、それで・・したら・・お、おお、大淀も」
「おせっせした方が楽しいに決まってるでしょ。ただそうじゃない日もあって良いよって話」
「よっ、良かったです。おせっせなしが一番楽しいとか言われたらどうしようかと」
「今更だよね」
「3日と耐えられる自信がありません」
「鹿島もそうかな?」
「より酷いかと思います」
「どういうこと?」
「2日くらいごく普通に生活していて」
「うん」
「そのままナチュラルに押し倒しておせっせに入るかと」
「いきなり限界迎えるんだ」
「多分お目めはグルグルです」
「ぐるぐるドロドロだよね。簡単に想像がつくよ」
「ですよね」
「でも多分大淀もそうじゃないかなと思うんだけど」
「わっ私は最後の最後に“ご主人様失礼いたします”くらいは言える理性が残るんじゃないかなあと」
「それあんまり頼りにはならないよね」
「ですので自信がありませんと」
「正しい自己分析だね」
長門が首を振った。
「他の治安維持AIが見たら速攻逮捕案件ではないのか?」
「いえ、搾精作業に入りますと通知するだけなので」
「さすが治安維持部隊だ、犯罪回避方法は一流だな」
「失礼な」
「まぁいい、今日も仕事だ」
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「捕れるもんなんだねえ」
「まぁこういう日もあるのよ」
その日の夕方、伊勢が帰還報告と一緒に執務室に持ち込んだのはよく肥えたサンマ。
それも50匹はあろうかというほどの大漁である。
私は伊勢に聞いた。
「こんなに兵装に飛び込んできて平気なもんなの?」
「今日はたまたま格納庫に飛行機積んでなかったから何ともないけど、積んでると普通に困るわよ?」
「発艦できなくなるもんねえ」
「そもそも格納庫から出せなくなるわね」
「まぁ無事で何よりだよ。それよりこういうのってどうするの?」
「間宮さんと鳳翔さんに渡しちゃって、あとよろしく~って」
「確かにそれが良いんだろうね」
「ってことで長門、食堂と鳳翔さんとこに回ってくるから」
「ああ、頼む」
そんな事があった日の夜。
私と大淀は鳳翔さんの店に着いたんだけどね。