砂嵐に巻き込まれた私は路頭に迷う。コンパスを忘れた私にはどこへ向かえばいいかなんて分からない。いつしか歩く力はなくなりその場に倒れ込む。
ホシノちゃんは持っていくように言ってくれていたのに...最後までこんな先輩でごめんね...
心の中でそう思った時、わずかに見えた光さえも砂で遮られ私の意識はぷつりと途切れた。
「...ロコ...せ...ぱい」
ん...あれ
途切れたはずの意識がふと覚める。
誰かの声?
意識をその声に向けてみる
「シロコ先輩、やけに使い慣れてない?」
「前に一度使ったことあるから」
「それは知ってるけど...一度使っただけで使えるものなの?」
「ん、私はずっとホシノ先輩を見てきたから。それに使えると思ったから先輩も貸してくれたんだと思う」
ホシノちゃん!?
その声に私は飛び起き...ることはなかった。
あれ?体が動かない。ってそれどころかそもそも腕も足もない!?なんなのこれ!?
よくみると今の姿は私が使っていた盾そのものだ。
私の意識が盾に移ったってこと?さすがにありえないかなって思うんだけど。と言うかこの子達は一体...私の盾を持ってるのもそうだしホシノちゃんの名前を呼んでるし
「シロコ先輩、後ろ!」
「まかせて」
(うわっ!痛い痛い痛い)
ぐいぐい引っ張られたかと思うと次の瞬間弾丸が当たる。盾になっているおかげか普段撃たれるよりは痛くないがそれでも嫌な感覚に変わりはない。
「ふぅ、これで最後みたいね。まったく、いつの間にアジトを作ってたの?ヘルメット団の連中」
「土地だけはあるから作りやすいんだと思う」
「...て」
「ん?」
「どうしたのセリカ」
「今声がしたような」
痛いよぉ、私はホシノちゃんみたいに頑丈じゃないんだよ?いや、今は盾だから関係ないよね。とりあえず気づいてもらわなきゃ。
とはいっても声なんてどう出せば...強く願ったりすればいけるかな?
「...い」
「ほらシロコ先輩、絶対声してるってば」
「聞こえない」
だめみたい。だったらもっと強く
「おーい!」
「シロコ先輩?」
「今のは聞こえた」
「ここだよ〜!」
「シロコ先輩の近くじゃないですか?」
2人ともあたりをキョロキョロして私に気づいてくれない。こうなったら
「盾を見て!」
「盾?ってなんかロゴが光ってる!?」
「ほんとだ」
「というかシロコ先輩。私疲れちゃったみたいなので帰ってもいいですか?」
「急にどうしたの、セリカ」
「声が盾から聞こえてくる気がして...」
「ん、大丈夫。私も盾から声が聞こえてくるから」
「正解だよ♪」
「うわ!?」
黒髪の子が驚きのあまり尻餅をついて倒れる。もう1人の子は冷静に盾を見つめていた。
「ど、どうして盾が喋るの!?」
「...ホシノ先輩は言ってなかった。こんな機能があるなんて」
「シロコ先輩はどうしてそんなに冷静なのよ!」
「お、落ち着いてくれると助かるかな」
「落ち着けるわけないでしょ!って盾と会話しちゃった!?」
「セリカ落ち着いて。深呼吸」
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「気づいたら盾に意識が移ってた?」
「そういうことになるかな」
私にも分からないことだらけだったからどうなるかと思ったけどなんとか状況を伝えることができたみたい。
「砂漠に向かっていたのは覚えてるんだけどね。それ以降は何も...」
意識を失う直前の記憶がないみたい。忘れてもいいようなことだといいんだけど...
「盾になったなんて信じられないけど今こうして話してるのよね...」
「先生が言ってた、事実は小説よりも奇なりって」
「奇にもほどがあるでしょ!?」
なんて会話を聞いているとホシノちゃんのことを思い出す。
...喧嘩して飛び出して行ったけど、また仲直りできるのかな。なんてことを
「とりあえず元の体を探すってことでいい?」
「そうだね、いつまでもこんな姿じゃいられないよ」
「とりあえず学校に戻って報告しよう」
「ありがとう、えっと、なんて呼べばいいのかな?」
「ん、そういえばまだ自己紹介してなかった」
「確かに、よく考えたら私も名乗ってなかったね。状況説明だけ急ぎすぎちゃった」
「私は砂狼シロコ、アビドス高等学校の2年生」
「1年生の黒見セリカよ」
「アビドスの子だったんだね。通りで私の...あれ?」
まって、アビドスに所属してる子たちは覚えてたと思うんだけど、こんな子達いたっけ?
「2人ともアビドスにいつ入学してきたのか覚えてる?私が把握しきれてないみたいで」
「どうしてあなたが把握する必要があるのよ」
「私は梔子ユメ、アビドス高等学校の生徒会長してるんだ」
《!?》
名乗った2人の雰囲気が少しだけ変わった気がした。
「あれ、2人ともどうしたの?」