かんぱにのSS置いてくだけ   作:イイワカハルミ

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地の文ありの奴は8月31日以降に投稿します


クラーラは期待外れ

 

クラーラ

「……ナギ~」

 

ナギ

「ぬわあ! クラーラ、何かと肩を掴むのは止めなさいと言ったでしょうに」

 

クラーラ

「……えへへ、ごめんなさいですぅ」

 

ナギ

「クラーラ?」

 

ナギ

「どうも今日は元気がないように見えますが、何かあったのですか?」

 

クラーラ

「解っちゃいますか」

 

ナギ

「友人ですからね」

 

クラーラ

「その、ちょっと色々ありまして~」

 

ナギ

「色々、ですか……」

 

ナギ

「話してみてはくれませんか? 誰かに話す事で楽になる事もある筈ですし、私で力になれるなら力になりましょう」

 

クラーラ

「ナギ……」

 

クラーラ

「その、この前、研究協力という形で魔法学校の生徒のレポートに着いていった話をしましたよね」

 

ナギ

「ええ。有名な魔法の研究家や博士が来ていたと話していたヤツですね」

 

クラーラ

「その時の話をオーサさんに頼まれた資料を持っていった時に偶然聞いちゃったんです。そしたら――」

 

 

クラーラ

「とうちゃく~。思ってたより本が重くて時間掛かっちゃいましたね、待たせてないといいんですけどぉ」

 

「…………」

 

クラーラ

(どうも中でお話中みたいですねぇ~。どうしよう、終わってからの方がいいのかなあ)

 

アウロラ

「マリア先生、そちらの方はどうですか? 候補は決まりました?」

 

マリア

「チラホラと気になる子は居るけれど、ほとんど駄目ね」

 

マリア

「成長曲線を見ても何を目的に魔法を学んでいるのか、何がしたいのかが見えてこない。ただ教科書に書いてある事をなぞっているだけというのが丸解かり」

 

マリア

「もう少し自分の意志や目標というものを持ってもらわないと、推薦なんて出来ないわ」

 

アウロラ

「手厳しい物言いですね」

 

マリア

「事実でしょう? それともアウロラ先生は違う意見かしら?」

 

アウロラ

「まあ確かにそうです。授業以外で意欲的に勉強している生徒は少ない気がします」

 

クラーラ

(はっ! 有名なお二人の会話だから思わず聞き耳立てちゃったけど盗み聞きはよくないですよね。まだ掛かりそうですし、ここは失礼して……)

 

アウロラ

「それで思い出したのですがアリシアさんのレポートの時に図書館の方と会ってたそうですね。確か司書のバイトをしている……」

 

マリア

「クラーラの事?」

 

アウロラ

「そうそう。実際に会ってみてどうでしたか? 熱心に戦闘記録などを見ていたような気がしたのですが……」

 

クラーラ

(ま、マリア先生が私の事を熱心に?)

 

クラーラ

(うぅ、盗み聞きは良くないですけど続きが聞きたいというか……)

 

クラーラ

(ごめんなさい。私の評価だけ聞いたらすぐにノックしますので)

 

マリア

「期待外れね。がっかりしたわ」

 

アウロラ

「あれ? 予想外に厳しい評価ですね。参考までに理由をお聞かせして頂いても?」

 

マリア

「個人的な理由だから駄目」

 

アウロラ

「ああ、なるほど。それだと確かに聞いても意味なさそうですね」

 

クラーラ

(そんな興味なさそうにあっさり!)

 

マリア

「それよりそっちの方はどうなのよ? 魔科学の研究、進んでいるのかしら?」

 

アウロラ

「よくぞ聞いてくれました! それなのですけれどね――」

 

クラーラ

(そっか。私って期待外れって思われてたんだ……)

 

 

ナギ

「なるほど。そのような事があったのですか」

 

クラーラ

「そりゃあマリア先生やアウロラ先生に比べたら至らない部分が多いのは解ってます」

 

クラーラ

「お二人は魔法界隈では大物中の大物、それに比べて私は学校にも通ってない司書のアルバイト」

 

クラーラ

「二人からすれば今の私じゃ取るに足らないと思われるのは当然です」

 

ナギ

「では何故、それ程落ち込んでいるのです?」

 

クラーラ

「そんな私の事を折角マリア先生が期待してくれてたのにそれに応えられなかったのが凄く申し訳なくて……」

 

ナギ

「それは些か気にし過ぎではないですか? 期待は際限無く出来るものですが応える方には限度というものがあります」

 

クラーラ

「そんな事ありません。マリア先生が根拠の無い期待をする訳ないです」

 

ナギ

「そこまでいくと妄信し過ぎなように思えますが……」

 

クラーラ

「ナギはマリア先生の事を知らないからですよ」

 

クラーラ

「いいですか、マリア先生といえば魔法世界で言えば知らない人が居ないという程の偉大な魔法研究家です」

 

クラーラ

「学会への論文の量・質共に最高峰でその功績は計り知れず――」

 

クラーラ

「その一方で専門的なものから、入門的なものまで。数多くの魔法辞典を執筆していてその本に助けられた魔法士の数は数知れない」

 

クラーラ

「その上、魔術学校では臨時講師として自ら教鞭を取り人材育成に励む」

 

クラーラ

「現在、最も魔法発展に尽力している魔法使いと言えば絶対に名前が挙がるような人です!」

 

クラーラ

「それだけじゃなくて本人も魔法士として超一流で闇魔法や召喚術に関して言えば、マリア先生以上の使い手を知りません」

 

ナギ

「それはまた凄い方なのですね。研究に指導、実技全てに精通しているとは……」

 

クラーラ

「そう、とにかくすごい人なんです!」

 

クラーラ

「そんな人が期待してくれるだけの何かがあった事は嬉しいです」

 

クラーラ

「けどその期待に届かなかったのなら、まだまだ勉強が足りてないのかなって思って」

 

ナギ

「クラーラ……」

 

クラーラ

「ふふ、話したら元気出てきましたよ~。落ち込んでばかりじゃ何も変わりません。もっと頑張りますです!」

 

ナギ

「ええ、その意気です」

 

ナギ

(とは言ったものの、気落ちしているのは事実)

 

ナギ

(魔法学校のマリア先生ですか……)

 

ナギ

(会う予定はありませんが、その名前、気に留めておきましょう)

 

 

ナギ

「――如何でしょう? 」

 

アウロラ

「困りましたね……」

 

マリア

「珍しいわね。アウロラ先生が窓口に居るなんて」

 

アウロラ

「ああ、マリア先生。実はですね……」

 

ナギ

(この方が噂のマリア先生ですか……)

 

ナギ

(意図せずに出会ってしまうとは、これも縁というものでしょうか……)

 

アウロラ

「臨時で来て頂いた警備の方に今後もイベントなどがあれば警備として雇って頂きたいと申し出がありまして」

 

マリア

「それで何に困っているのよ? 能力や信用に問題があるのなら引き取ってもらえばいいでしょう?」

 

アウロラ

「いえ、実績的にも金額的にも破格なので困っています」

 

アウロラ

「この機会を逃すのは惜しいように思えますので」

 

マリア

「そうなの? それじゃあ担当の人間に引き継いではどうかしら? 貴女が担当じゃないのでしょう?」

 

アウロラ

「それが今外に出ているようでして」

 

マリア

「あらそう。それは面倒ね」

 

ナギ

「お話中のところ申し訳ありません。貴女がマリア先生ですか」

 

マリア

「そうよ。見たところ刀士のようだけど、刀士が私に何か用かしら?」

 

ナギ

「私、実戦剣法を旨とする今久留主流にて師範代を勤めさせて頂いているナギ・イマクルスと申します」

 

ナギ

「ですが、今日は今久留主流の刀士としてではなくクラーラの友人として貴女に話があります」

 

マリア

「クラーラの友人が私に?」

 

マリア

「司書の仕事に関する苦情なら私に言っても無駄よ。図書館の方は管轄外だから」

 

アウロラ

「ええ。そちらの件で何かあればオーサさんの方に掛け合わないと無理ですね」

 

ナギ

「いえ、違います。司書のアルバイトに関しては満足しているそうです」

 

マリア

「そう。それはよかった」

 

マリア

「それ以外でクラーラの友人が私に何か用があるとは思えないのだけれど……」

 

ナギ

「貴女のクラーラに対する評価について、物申したく」

 

マリア

「クラーラの評価について?」

 

ナギ

「ええ。貴女のクラーラに対する評価が低過ぎるように思えます」

 

マリア

「ふむ」

 

ナギ

「確かにクラーラは図書館で司書のアルバイトをしているだけで、立場的には学者でも研究者でもありません」

 

ナギ

「貴女のような高名な方には彼女の魔法や研究など児戯のように見えるのでしょう」

 

マリア

「……ほう」

 

アウロラ

(マ、マリア先生の声が低い……)

 

ナギ

「ですが仕事ではあえてミミックの棚卸しなど危険な仕事を選ぶ事で、実戦経験を積む機会を出来るだけ作り――」

 

ナギ

「ジャンル問わずあらゆる魔法の本を読み、己を高めようとする志は魔法の事を知らない私から見ても立派に思えます」

 

マリア

「黙りなさい」

 

ナギ

「必要以上に評価しろとまでは言いませんが、もう少しクラーラの努力と苦労を考えて――」

 

マリア

「黙りなさいと言ったのが聞こえなかったかしら」

 

ナギ

(くっ。凄い迫力。道場で他の刀士と向き合った時でさえ、これほどの気迫を感じた事はほとんどない)

 

マリア

「いいわ。今来栖流だったかしら? 契約、考えてあげてもいいわよ」

 

アウロラ

「ちょ、マリア先生。学園の許可無しに勝手に話を進められては困ります」

 

マリア

「誤解しないで。学園としてじゃなく、私が個人で契約する分には構わないでしょ? 素材はいくらあっても足りないし、人手が欲しいとは前から思ってたのよ」

 

アウロラ

「まあ、それでしたら……」

 

マリア

「既定の契約金と長期の契約保障、内容によっては危険手当を付けてもいいわ。下手な場所と契約するより、よほど好待遇を約束しましょう」

 

マリア

「成果次第だけど望むなら学園への紹介状も書くわ。ここで担当を待ってから営業を掛けるより、余程効果的だと思うわよ」

 

ナギ

「それはこちらとしては願ってもない申し出ではありますが……」

 

マリア

「解っているようね。勿論即決という訳にはいかないわ」

 

マリア

「雇うかどうかは報酬に見合う働きが出来るかどうか、確かめさせてもらいたいの」

 

マリア

「実戦剣法と言っていたわね? ちょっと表に出て腕前を見せてもらえるかしら?」

 

ナギ

「それなら望む所です。今久留主流の力、お見せしましょう」

 

 

アウロラ

「遅くなってスミマセン。少々、手続きに戸惑いまして」

 

マリア

「いえ、こちらこそ悪いわね。急に外部の人間と演習なんて許可取るの大変だったでしょう?」

 

ナギ

「申し訳ありません。日を改め、都合の良い日にこちらから出向くべきでした」

 

アウロラ

「あー、いえいえ。その辺はお気になさらず」

 

アウロラ

「最近は決闘を挑む生徒も少なくて、学園側としても高レベルの魔法使いの実戦を生徒に見せる機会を待っていたみたいでして

 

アウロラ

「許可自体はすぐに下りたのでそれ程手間ではなかったです」

 

マリア

「ああ。だから随分人が集まってるのね。弱ったわ、そこまで大事にしたくはないのだけれど」

 

ナギ

「私としては良い宣伝になるので構わないですが……」

 

マリア

「それは良い所を見せられればの話でしょう。ここにはいわゆる、良い所のお嬢さんも通っているのよ」

 

マリア

「何も出来ないまま倒された時の事は考えているのかしら?」

 

ナギ

「その時は私の腕がそれまででしかなかった、という事です」

 

マリア

「勇ましい事ね」

 

マリア

「とりあえず説明させてもらうわ」

 

マリア

「魔法研究家である私が求める素材である以上、それを狙う者も必然と魔法使いが多くなってくる」

 

マリア

「採取の時に鉢合わせになるだけならまだしも、中には採取後に強奪を図る者。あるいは既に保存してある物を倉庫から盗み出そうとする者も出てくるでしょうね」

 

マリア

「私が求めるのは、そういう場面で相手の魔法使い達を追い払うだけの能力がある人材よ」

 

マリア

「その自慢の刀で一撃、私に打ち込んで来なさい。勿論、その間に私は魔法を唱えさせてもらう」

 

マリア

「その結果次第で契約するかどうか決めるわ」

 

ナギ

「この距離から始めるのですか……」

 

ナギ

(これは完全に弓師か魔法士の間合いですね。接近するまでの間にどれだけ頑張ったとしても一度は魔法を唱えられるでしょう)

 

マリア

「逃げるなら今の内よ? やるからには本気でやらせてもらうわ」

 

ナギ

「御冗談を。ここで止めるようでは実戦を想定した剣などと名乗りません」

 

マリア

「そう……。治療費くらいは出して上げる。それじゃアウロラ、合図。お願いするわね」

 

アウロラ

「えー、それでは準備はお互い出来ているようですし……」

 

アウロラ

「始めて下さい」

 

ナギ

「推して参る!」

 

マリア

(始まった瞬間、躊躇う事無く距離を詰めてきた。魔法士相手には良い判断ね)

 

マリア

(想像より動きも速い、けど――)

 

マリア

(魔法を唱えられない程じゃないわ!)

 

マリア

「私の魔法に耐えられる? 喰らいなさい!」

 

ナギ

(これが闇の魔法! 意識がもっていかれそうです……)

 

ナギ

(が、まだ何とか耐えられる!)

 

ナギ

「この程度!」

 

マリア

「へえ、やるじゃない。けど――」

 

ナギ

(もう一度詠唱! ですが、ここまで来ればその前に!)

 

マリア

「速い!」

 

ナギ

(期待外れとクラーラを罵倒したのです。みね打ちとはいえ、少々痛い目を見て頂きます!)

 

ナギ

「っ――」

 

ナギ

「……」

 

マリア

「…………」

 

マリア

「どうして外したのかしら? あのまま振り抜いていれば私に一撃入れられたでしょう?」

 

ナギ

「解りません。ですが嫌な予感がしたのです」

 

マリア

「嫌な予感?」

 

ナギ

「まるで私の放った刃が私自身に向いているような。振り抜くと同時に私が私に斬られる」

 

ナギ

「そんな姿が頭の中に浮かんできたのです」

 

ナギ

「いえ、申し訳ありません。臆しただけでしょう。見苦しい言い訳でした」

 

マリア

「いいえ。その予感とやらは正解よ。貴女には私の魔法で呪いが掛かっている」

 

マリア

「もしそのまま振り抜いていれば、呪いのダメージで今頃貴女は医務室にでも運ばれているでしょうね」

 

マリア

「そんな無様な姿を見せていたなら契約は考えざるを得なかったわ」

 

ナギ

「なっ! 貴女に打ち込めば良いと言ったではないですか。騙したのですか!?」

 

マリア

「人聞きの悪い事を言わないでくれるかしら。私は結果次第で契約するかどうか決めると言った筈よ」

 

マリア

「私に打ち込む事が出来れば合格だとも不合格だとも言わなかったわよ」

 

ナギ

「そういえば――」

 

マリア

――その自慢の刀で一撃、私に打ち込んで来なさい。勿論、その間に私は魔法を唱えさせてもらう

 

マリア

――その結果次第で契約するかどうか決めるわ

 

ナギ

「……確かに。思い返せばその通りですね。失言でした」

 

マリア

「意地悪なようだけど魔法士との戦いは単純な力だけではどうにもならない時があるわ」

 

マリア

「師範代だったかしら? それなら力自体は量るまでもない」

 

マリア

「後は未知の魔法使いと戦うに足るモノを持っているかどうか。それが見たかった」

 

ナギ

「なるほど。それでは私は合格という事でよろしいでしょうか?」

 

マリア

「ええ、そうね。私の魔法に耐えて攻撃してきただけでも本来なら及第点」

 

アウロラ

(マリア先生の本気の魔法なんて、下手な兵士や魔物より魔法に強い筈の生徒達ですら大体失神ものですからね……)

 

マリア

「それだけじゃなく咄嗟の判断力にも優れている」

 

マリア

「認めるわ。貴女は契約に値する優秀な刀士だとね」

 

マリア

「研究室の方に移動するわ。そこで契約とクラーラの話をしましょう」

 

ナギ

「解かりました」

 

アウロラ

「それでは書類の方は私が用意しましょうか? 研究室の方で話した後に書類を準備するのは手間でしょう?」

 

マリア

「そこまでしてもらうのは悪いわ」

 

アウロラ

「いえ。私もクラーラさんの件は気になっているので出来ればお話を聞きたいと思いまして」

 

マリア

「そう……。それならお願いするわ」

 

アウロラ

「解かりました。それでは書類の準備をしてくるので先に研究室の方で待っていて下さい」

 

マリア

「ええ、ありがとう」

 

 

マリア

「契約内容はこれでいいかしら?」

 

ナギ

「条件には問題ないと言いますか、むしろ金額が高過ぎる気が致しますが……」

 

マリア

「貴女の腕にそれだけの価値があると判断したと思ってくれればいいわ」

 

ナギ

「それは光栄です。しかし私一人だけの契約とはどういう事でしょうか?」

 

マリア

「私が知っているのは貴女一人。他の人間に関しては、近い内に道場の方で確認させてから改めて契約させて頂くわ」

 

マリア

「悪いわね。そちらとしては一括で契約した方が都合良いんでしょうけど、貴女と門下生との間にどの程度の差があるか。確認しない事には仕事内容も報酬も決められないわ」

 

ナギ

「いえ。そういう事でしたら構いません。道場の方には連絡しておきますので、存分に確かめて下されば幸いです」

 

マリア

「意外と冷静で話が解るのね。これなら変に意地の悪い事なんかしないで話し合ってばよかったわね」

 

ナギ

「それは私に無様な姿を晒させる為、先程の戦いを設けた、と取っても?」

 

マリア

「ええ、そうよ。まあ貴女が思いの外、優秀だったからそうはならなかったけれどね」

 

ナギ

「随分はっきり言うのですね」

 

マリア

「事実だもの。貴女があまりにクラーラを馬鹿にするものだから少し痛い目を見てもらおうと思っていたわ」

 

ナギ

「なっ!」

 

ナギ

「言うに事を欠いて私がクラーラの事を馬鹿にしていると?」

 

マリア

「そうよ。それ以外の意味に聞こえたかしら?」

 

ナギ

「どうして私が友人を馬鹿にしなければいけないのですか!」

 

マリア

「貴女の立場や素性なんてどうでもいいわ」

 

マリア

「ただ無知は罪になり得る。魔法の事、何も解らないなら無理に話さない方がいいわよ」

 

ナギ

「……解せません。確かに私は魔法の事は解かりませんが、それでどうして私がクラーラの事を馬鹿にしている事になるのです」

 

マリア

「貴女、自分が言った言葉の意味さえ解らないのかしら?」

 

マリア

「努力をしている、立派な志を持っているから少しは認めろだったわよね?」

 

ナギ

「ええ、そうです。それの何がおかしいのです?」

 

マリア

「貴女の言葉ではまるで、クラーラが努力はしているけど何も成し得ていないみたいじゃないの」

 

ナギ

「なっ!」

 

マリア

「黙って聞きなさい」

 

マリア

「努力や苦労、志を持つ事が悪いとは言わないわ。むしろ人としては貴くすらあるでしょう」

 

マリア

「それらを認めてもらいたいという欲求も解らなくはない」

 

マリア

「けれどそれと実際の成果は別問題」

 

マリア

「少ない労力で要領よく成果を出す者も居れば、それこそ直感的に答えを見付け出す天才も確かに存在する」

 

マリア

「逆に要領が悪くて人の何倍も苦労する者も居れば、どれだけ努力しても求めるモノに届かない者も居る」

 

マリア

「志においてもそう」

 

マリア

「清く正しい志が必ずしも成功に繋がっているとは限らない」

 

マリア

「残酷だけどそれは事実。そこまでは解るわね?」

 

ナギ

「……はい」

 

マリア

「それで貴女はクラーラの事を努力はしていて立派な志を持ってはいるけど何の成果も出してない人間だと思っている。違うかしら?」

 

ナギ

「そ、そんなつもりは……」

 

マリア

「つもりがなかった? 本当にそう?」

 

マリア

「それじゃあ貴女はクラーラがどの程度の成果を出しているのか、魔法使いとしての価値がどれくらいあるのか把握しているのかしら?」

 

マリア

「その上で私に物を言いに来た。そう自信を持って言える?」

 

ナギ

「…………」

 

ナギ

(言われてみれば私は期待外れだと言われたクラーラには大した成果がないものだと決め付けていたかもしれない)

 

ナギ

(実際にクラーラの魔法や研究にどの程度の価値があるのか。あるいは、ないのかさえ私には解らない……)

 

マリア

「確かに私は友人じゃない。貴女ほどクラーラに詳しいとは言えないわ。普段どんな会話をしているのか、どんな食べ物が好きなのかなんて事は解らないわね」

 

マリア

「けどね、ヒルダから話は色々聞いて魔法使いとして彼女の事は調べた事があるのよ。星に詳しい独学の魔法使いの事をね」

 

マリア

「衝撃的だったわよ、彼女の戦闘記録や研究論文は」

 

マリア

「魔法学校に居る教科書をなぞるだけ、指導を待つだけの生徒ばかり見慣れてきている私には驚きの連続だったわね」

 

マリア

「教本やセオリーなどに捉われない自由な発想。ジャンル問わず貪欲に知識を求めようとする姿」

 

マリア

「誰かに習うのを待つでも先人の後を追うでもない。自ら知識を切り開き努力する探求者。魔法使いらしい魔法使いを久しぶりに見付けた気がしたわ」

 

マリア

「これ程の逸材が世にもっと知れ渡ってないのが驚きなくらいね」

 

ナギ

「……私がクラーラの知り合いだからといってお世辞で誤魔化す気ですか」

 

マリア

「私は世辞は言われるも言うのも嫌いよ。悪口だろうが何だろうが嘘偽りない評価にしか興味ないわ」

 

ナギ

「しかし――」

 

マリア

「はっきり言わないと解らないのかしら? 何をどう勘違いしているのか知らないけれど、一人の魔法使いとして見た場合、クラーラは素晴らしいわよ」

 

マリア

「それこそ権威だの利益だのの話しかしないお偉方に比べれば、彼女の方が何百倍も価値がある」

 

マリア

「彼女が研究している星振を利用した魔法。まだ未完成で粗削りな部分はあるものの、既に内容は一つの研究として発表しても十分な域にまで達している」

 

マリア

「もし彼女が望むなら私が信用している学会や研究機関への紹介文を書いてもいいくらいよ」

 

マリア

「戦闘記録の方も素晴らしかったわ」

 

マリア

「教科書を読んで戦い方を知った気になっている頭でっかちな魔法使いとは比べ物にならない、実戦を考慮したスタイルを模索する姿が記録からすら感じるほどよ」

 

ナギ

「ですが私は知っているのです。貴女がクラーラの事を期待外れだと罵っていたという事を」

 

マリア

「どこで聞いたのよ、そんな事」

 

ナギ

「クラーラが図書館から資料を届けに行った時、貴女とアウロラさんが話しているのを聞いたと……」

 

アウロラ

「あー。あの時ですか……」

 

マリア

「何よ、心当たりあるの?」

 

アウロラ

「ほら、マリア先生。生徒の推薦を決める話をしてた時、クラーラさんの話題がチラっと出たじゃないですか」

 

マリア

「……ああ、あの時ね」

 

マリア

「……確かに期待外れだったとは言ったけど罵ってなんていないわ」

 

ナギ

「白々しい! それが罵倒でなくて何だと言うのです!」

 

アウロラ

「マリア先生。偶々聞かれてしまったとはいえ本人を傷付けてしまっているんです。本当の事を話してあげてくれませんか?」

 

マリア

「……嘘は吐いてないわよ」

 

アウロラ

「ええ、解ってます。けど個人的な理由だから話せないとマリア先生は言ってましたよね?」

 

マリア

「よく覚えてるじゃない……」

 

アウロラ

「けれどクラーラさんもナギさんも魔法の事だと思っています。その影響でクラーラさんの魔法の研究が滞るのはマリア先生としても残念なのでは?」

 

マリア

「解ってるわよ、そう急かさなくてもちゃんと話すわ」

 

マリア

「……のよ」

 

ナギ

「? すみません、良く聞こえないのですが?」

 

マリア

「もっと魔法の事色々話してみたかったのよ」

 

ナギ

「はい?」

 

マリア

「魔法を学んでない貴女にはピンと来ないかもしれないけどね、魔法理論は既に広く研究されていて新しい発見なんて滅多にないわ。それこそ新しい発見なんてすれば学会や研究機関がすぐにでも目を付けてくるくらいにね」

 

マリア

「だからと言って研究を辞める理由にはならない。新しい本や論文が発表される度、資料を取り寄せたわ」

 

マリア

「けれどどれもこれも似たようなものばかり。退屈感を覚える事もあったし、何も見付けられない自分に苛立ちや焦りを覚える事もあった」

 

マリア

「そんな中で見たあの子の戦闘記録や論文は今までにない視点に満ち溢れていた。学校に通わず独学で身に付けてきたからなのでしょうね。既存の理論体系に捉われない発想は粗削りで洗練こそされてないものの、既に独自のスタイルを築き始めていたわ」

 

マリア

「そう遠くない未来。新時代の魔法の担い手として活躍する姿が浮かぶほどにね」

 

マリア

「知識や経験で言えば私の方が上になるでしょう。けれど、その知識や経験こそが逆に思考を縛り、新しい発想を難しくしている」

 

マリア

「ある一面では私に勝り、ある一面では私に劣っている。そういう意味では彼女の事を対等な魔法士だと思っているわ」

 

マリア

「そんな相手と話してみたい。彼女の目には私の研究がどう見えるのか聞いてみたい。逆に私の意見をぶつければどう考えるのか見てみたい」

 

マリア

「そう思うのは普通でしょ」

 

ナギ

「は、はあ……」

 

アウロラ

(気持ちはよく解りますが、研究者どころか魔法使いでもない相手に同意を求められても困ると思いますよ……)

 

マリア

「そんな時、偶然アリシアのレポートに彼女が同行してきた」

 

マリア

「だったら期待するでしょう? ああ、どんな話をしてくれるのかしらって」

 

マリア

「ヒルダから明るくて話好きで、星とか魔法の話を色々してくれるって聞いてたしね」

 

マリア

「それなのにガチガチに緊張してばかりで何も話してくれなくて……」

 

マリア

「クラーラが上位魔法士に憧れているって話は聞いていたわ。奇しくも私も上位魔法士。全く緊張するなとは言わない」

 

マリア

「けどね、上位魔法士である前に私は一人の魔法研究家、マリア・ヤーデルードなの」

 

マリア

「そこに私と同じく魔法の謎に挑もうとする魔法士が居たのに何も話せなかったのよ? 残念に思って何が悪いのよ」

 

ナギ

「申し訳ありません。その、少し話を整理させて頂いてよろしいですか?」

 

マリア

「どうぞ」

 

ナギ

「えーと、その。つまり期待外れというのは……」

 

アウロラ

「楽しくお喋り出来ると期待してたのに当てが外れた。という事ですね」

 

ナギ

「な、なるほど……」

 

マリア

「だから話したくなかったのよ。個人的な理由でしかないんだから」

 

アウロラ

「あくまでマリア先生個人の欲求が満たされなかっただけであって、クラーラさん本人の能力や研究とは関係ないですものね」

 

マリア

「そうよ。私の問題で彼女の魔法士としての評価が左右されてはいけない。それが解ってたから貴女も聞き返さなかったのでしょう?」

 

アウロラ

「ええ。そもそも魔法の件で何かあればマリア先生が言葉を濁すとは思えませんので」

 

アウロラ

「まあ今回はそのせいで逆に、本人と友人に誤解されてしまった訳ですけれど」

 

マリア

「まさか誰か聞いているとは思わないじゃない。たった数言よ。タイミングが悪いにも程があるわ」

 

ナギ

「それでは本当にマリア先生はクラーラの事を評価して下さっている、と?」

 

マリア

「ええ。そもそもね――」

 

マリア

「私が気にもしてない人間が何を研究しているのか。何の仕事をしているのか。細かく把握しているような暇人とでも思っているのかしら?」

 

ナギ

「そういえば――」

 

ナギ

(私はクラーラの友人と言っただけでクラーラの事は何も話していない)

 

ナギ

(それなのにこの方は資料一つ読む事なく、クラーラの事をすらすらと話していた)

 

ナギ

(本当に期待外れだと思っていたなら、ここまで正確に記憶しているでしょうか?)

 

ナギ

「申し訳ありません。早とちりだったようです」

 

マリア

「別にいいわよ。誤解されるような事を言ったこちらの落ち度でもあるわ」

 

マリア

「それよりクラーラね。こんな下らない誤解で彼女の歩みを鈍らせるなんてあってはならないわ」

 

マリア

「早く誤解を解きに行かないと……」

 

アウロラ

「その必要はないと思いますよ」

 

アウロラ

「ちょっとあちらの方を見て頂けますか?」

 

クラーラ

「…………」

 

ナギ

「クラーラ! いつから……」

 

クラーラ

「その、ナギとマリア先生が戦っていた時からです。二人が揉めているから来てほしいとアウロラ先生が……」

 

マリア

「アウロラ先生、貴女……。変に手続きが長かったり、書類の準備をしてくれると思ったらこういう事ね」

 

アウロラ

「あははは。こういうのは本人も居た方がいいと思いまして」

 

マリア

「けど、どうして……。私の魔力感知には何の反応もないわよ」

 

アウロラ

「星はいつでも空にあるのに昼間は見えない。その認識を応用した彼女オリジナルの隠蔽魔法だそうです」

 

マリア

「そう……。私の知らない術式だから反応しないのね。ヒルダなら気付けるのかしら……」

 

マリア

「悪かったわね。私に配慮が足りなかったせいで貴女を傷付けてしまって」

 

マリア

「けど誤解しないで頂戴。話せなかったのが残念だっただけで、貴女には多くの期待を――」

 

クラーラ

「う……」

 

クラーラ

「うわーん!」

 

アウロラ

「逃げた!」

 

ナギ

「ま、待ちなさい、クラーラ!」

 

アウロラ

「え、え? 何でです? 誤解が解けて一件落着じゃないんですか?」

 

マリア

「とりあえず追うわ。後は任せたわよ」

 

アウロラ

「って、ちょっと。マリアセンセー!」

 

 

ナギ

「ようやく追い付きましたよ」

 

クラーラ

「ナギ……」

 

ナギ

「どうして急に逃げ出したのです? 誤解は解けたのでしょう?」

 

ナギ

「向こうから話したいと言っているのですから、クラーラには喜ばしい事なのでは?」

 

クラーラ

「それはそうなのですけどぉ……」

 

ナギ

「それとも緊張のし過ぎですか?」

 

クラーラ

「それも無いとは言いません」

 

クラーラ

「その、私が見た目のせいで皆とあんまり話してもらえなかったって事は知ってますよね」

 

ナギ

「ええ。その事で随分悩んでいた事も寂しい想いをしていた事も知っています」

 

ナギ

「全く。少しでも話せば解るでしょうに」

 

クラーラ

「そう、ですよね。少しでも話せば解る事ですよね」

 

ナギ

「クラーラ?」

 

クラーラ

「私もその人と同じなんじゃないかって思ってしまって」

 

ナギ

「どこがです?」

 

クラーラ

「私もマリア先生の肩書や研究家としての功績ばかり見て、マリア先生本人を全く見てませんでした」

 

クラーラ

「マリア先生が私を評価してくれてた事も、話したいと思っていた事も」

 

クラーラ

「きっと少しでも話していれば解ったと思うんです」

 

ナギ

「まあ、その可能性は無きにしも非ずと言いますか……」

 

クラーラ

「それって私を見た目で判断した人と何か違うでしょうか?」

 

ナギ

「うぐ、それは……」

 

ナギ

(慰めようにも、的確過ぎて言葉の一つも出てきません……)

 

クラーラ

「そう思ったら急に居たたまれなくなったと言いますか、申し訳なくなったと言いますか」

 

クラーラ

「自分が凄く身勝手な人間に思えてしまって……」

 

マリア

「全く。何かと思えばそんな事を気にしてたの」

 

クラーラ

「マリア先生……」

 

マリア

「随分と足が速いのね。追い付くのに思ったより時間が掛かってしまったわ」

 

クラーラ

「それはその、魔法使いだからって動かなくていい訳じゃないですから身体は鍛えているので……」

 

マリア

「そう。良い心掛けね」

 

クラーラ

「その、ごめんなさい」

 

マリア

「何に対して謝っているのかしら?」

 

クラーラ

「緊張し過ぎてしまった事とか、逃げ出してしまった事とか色々……」

 

マリア

「そう。なら気にしてないから謝罪は不要よ」

 

マリア

「それよりさっきも言ったけれど悪かったわね。私が配慮ない言葉を言ってしまったせいで傷付けて」

 

クラーラ

「そんな! それだって誤解ですしそもそも私が盗み聞きしたのが悪くて……」

 

マリア

「それじゃあお互い悪かったという事で水に流さないかしら?」

 

クラーラ

「でも……」

 

マリア

「ふむ。そう簡単に納得出来ない、と」

 

クラーラ

「はい……」

 

マリア

「ねえ、クラーラ」

 

マリア

「魔法を研究する者は皆、結果の解り切った実験を繰り返している訳じゃない。どれだけデータを集め確率を低く出来ても、失敗はするわ」

 

マリア

「それは私やアウロラ、ノーリーンだって変わらない」

 

マリア

「それでも私達は研究を止めない」

 

マリア

「そんな失敗以上に、求めるモノがそこにあるから」

 

マリア

「取り返しのつかないような致命的な失敗だけは起こさないよう気を付けて、未知へと挑戦していく」

 

マリア

「人付き合いも同じようなものじゃないかしら」

 

マリア

「今回の出会いでは私と貴女はいくつか失敗をしたわ」

 

マリア

「貴女は肩書に目を囚われ過ぎてしまったし、私は配慮がない物言いをしてしまった」

 

マリア

「けどその失敗は致命的だったかしら」

 

マリア

「もう二度と交わらないくらい私と貴女との関係はこじれてしまったように思う?」

 

クラーラ

「そんな事はないとは思います……」

 

マリア

「でも、自信がない」

 

クラーラ

「はい……」

 

クラーラ

「その、マリア先生が評価して下さっていたのは解かりました」

 

クラーラ

「私と話したいと思ってくれたのも素直に嬉しいです」

 

クラーラ

「それは本当です」

 

クラーラ

「けど、お話している内にマリア先生の言う致命的な失敗をして怒らせたり傷付けたりしないかって思うと怖いんです」

 

クラーラ

「その、私はずっと一人で過ごしてきていましたし、魔法学校にも通った事ないですし」

 

マリア

「ふむ」

 

マリア

「そうね……」

 

マリア

「例えば貴女が不確かな実験にヒルダを協力させて大怪我させたとしましょう」

 

クラーラ

「そんな実験に誰かを巻き込んだりしません! そういうのは一人でします!」

 

マリア

(そういう実験をしないと言わない辺り、やっぱり彼女も根幹から魔法士ね)

 

マリア

「例えばの話よ。そうしたら私は絶対に貴女を許さないでしょう。顔すら見たくなくなるわ」

 

マリア

「貴女がその後、どれだけ偉大な魔法使いになろうともね」

 

マリア

「そういうのを致命的な失敗だと私は思っている」

 

マリア

「貴女は誰かの人生を台無しにしたりする予定でもあるのかしら?」

 

クラーラ

「そ、そんな事は……」

 

マリア

「それじゃあ失敗してしまうくらいなら私と交流する方が嫌かしら?」

 

クラーラ

「そんな事ありません! 出来るならいっぱいお話したいです!」

 

ナギ

(先程の言葉に比べて随分力強いですね)

 

マリア

「それなら答えは出ているじゃない」

 

マリア

「きっと付き合っていく内に、お互い傷付けたり怒らせたり色々と失敗を繰り返していくと思うわ」

 

マリア

「でも、それでいいのよ」

 

マリア

「ただ傷付け合わないだけの場当たり的な付き合いじゃなく、お互い魔法に付いて思う事を語り合う」

 

マリア

「その結果ぶつかり合ったとしても、お互いを高め合える」

 

クラーラ

「うう、でも出来たらぶつかり合わない方がいいです」

 

マリア

「それは当然よ。無駄にいがみ合いたい訳じゃないんだから」

 

マリア

「だから私はデータを集める訳だし、相手の言葉にだって耳を傾けるわ」

 

マリア

「それでも譲れない時だけぶつかり合えばいい。そういう付き合いは嫌かしら?」

 

クラーラ

「それなら嫌じゃないです! むしろ歓迎です!」

 

マリア

「それはよかった」

 

マリア

「なら魔法学校に通った事がないだとか下らない事で悩むのは止めなさい」

 

マリア

「対等な魔法士として付き合っていきましょう」

 

クラーラ

「いえいえ。そこまで急には無理です!」

 

マリア

「そう。まあ追々でいいわ」

 

クラーラ

「あの、その、マリア先生」

 

マリア

「何かしら?」

 

クラーラ

「さっきの話を聞いて、お聞きしたい事が出来たのですけど」

 

クラーラ

「アウロラ先生やノーリーン博士を怒らせたりした事ってあったりするんでしょうか?」

 

マリア

「ええ。調べたい事が出来たから掃除の監督をボイコットして調べてたらアウロラもノーリーンも物凄く怒っていたわ」

 

ナギ

(それはどう考えても貴女が悪いです)

 

クラーラ

「い、いけませんよ。お仕事には責任を持たないと」

 

マリア

「そうね。ただどうしても気になって気付いたら身体が動いていたの」

 

マリア

「後は合宿の監督を任命された時も、結界を壊して脱走しようとしたら怒っていたわね」

 

クラーラ

「そんな事しちゃ駄目です!」

 

マリア

「目ぼしい研究材料もない場所に閉じ込められたのがどうにも我慢出来なかったのよ」

 

クラーラ

「だからってそれは、やり過ぎですぅ!」

 

マリア

「悪かったとは思っているわ。ただ次同じ事があった時、我慢出来る自信はないわね」

 

クラーラ

「そこは我慢しないと駄目ですよ!」

 

ナギ

(気後れせずに話せているようで、そこは何よりなのですが……)

 

ナギ

(この方と付き合う事になるのはクラーラにとって本当に良い事なのでしょうか)

 

ナギ

(魔法に対して真摯で凄い方なのは解ったのですが……)

 

ナギ

(思った以上にハチャメチャ過ぎると言いますか)

 

ナギ

(少々不安になってきました……)

 

 

この中で何か言いたい事でもあれば

  • あの背の高い子か
  • ナギって侍の子か
  • 実質マリアSS
  • こんなにかんぱにSSあったんだ
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