怪盗は窓から来る。   作:Raitoning storm

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わりとほのぼの回です。

次回から物語にアクセントを加えるので


新しい日常

 

 

 

アキラさんと暮らし始めて一週間が経った。

最初は一緒にアジトを転々とする生活のつもりだったけど、まだこの家で過ごしたいという僕の要望に応えてくれて、バレるまではこの家でということになった。アキラさんはすごい不満そうだったけど

 

「‥ただいま戻りました。」

 

「おかえり。すぐご飯作るから待っててね」

 

「…はい!」

 

アキラさんはそういうとキッチンで料理する僕のことをじっと見ている。

 

「…僕が料理する姿なんて見て楽しい?」

 

「?あなたのことより大事なものなんてありませんよ?」

 

「‥そっか」

 

正直アキラさんがそこまで僕に執着する理由がわからない。いやまあ、最初に会ったときに話してもらったことを疑っているわけではないんだけど、彼女の語る僕の素晴らしさというのが分からなくて‥

 

話は変わるけど僕はミレニアム生だ。学校には行けてないけど‥。理由は大したことないよ。周りの人との違いに耐えられなかっただけ。努力はしてなかったわけではないけど、それでも足りなかった。昔の偉い人も言ってたけど、神様は人の上に人を作らない。その中で人の間に出来る格差は学問だ。努力だけでは語れないものがそこにはある。いわゆる『才能』ってやつ。よくも悪くもミレニアムは結果主義だ。その過程にあるものは関係ない。それが僕にはとても息苦しくて

 

だから僕は学校に行ってない。まあほんっとうに行かないといけない時はちゃんと行ってるし、作品も提出してるから文句は言われてない。僕なんかを気にかけてる暇もないだろうしね。

 

だからアキラさんに初めて言われたあの言葉が、自分でも可笑しいと思うけど、すごくうれしかった‥気がする。なんかね、学校に行かなくなってから自分のことがよくわからなくなってさ。自分が何を思ってるかも考えれば考えるほどわからなくなってく感じ。わかってくれるかな?何をしても感情のベクトルが変わらないんだ。心が動かない。目の前のものに一切の感情を抱かない。心臓の鼓動も感じない。自分の意識がずっと深く下の方にあるような、

 

話を戻すね。アキラさんに自分を理解してるって言われたとき、久しぶりに自分に心臓があることを知ったんだ。この人なら…って。この感情が愛なのか、恋なのか、依存感情なのかわかんないけど、一緒にいて心地よい気分になる。

 

「アキラさん」

 

「どうなさいました?」

 

「‥僕と一緒にいるのは、楽しい?」

 

「‥いまさら語る必要がありますか?」

 

「‥そっか。」

 

「‥僕もね。アキラさんといて楽しいよ。」

 

「…!」

 

「この感情の名前はわからないけど、僕はアキラさんともっと一緒にいたい。」

 

彼がそういうと、彼女は一瞬目を大きく開き、すぐに優しく微笑んだ。

 

「…ふふっ。言われずとも、そのつもりですよ。」

 

「うん。ありがとう」

 

少年はそういうと、頬を少し紅く染めながら微笑んだ。




次回、波乱の予感。


あ、別に二人が別れたりするわけではないよ。
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