昼下がりの海岸。夏が終わり、秋の風が吹き始める頃合い。
日差しは柔らかく、海の色も落ち着いた青色をしている。潮騒が耳に心地良く響き渡る。
砂浜はまだ暖かさを残しているが、海からは冷たい風が吹きつけている。
そんな中、千束とショウマは、秋の海を散策していた。
「秋の海もなかなかに風情だよね、人もいないし、静かで落ち着くね〜」
「うんっ、秋はこういうのはなかなか」
千束は砂浜を軽やかに歩き、ショウマもその後に続く。
二人は海を見ながら、穏やかな時間を過ごしていた。千束は時折、砂浜に落ちている貝殻や流木を拾い上げ、興味深そうに眺めていた。
「あー、これはなかなかの宝物だね〜」
「それはいいね!」
千束は微笑んで、貝殻をショウマに手渡す。ショウマはその貝殻を受け取り、嬉しそうに眺めていた。
「こんな静かな海は久しぶりだね」
「うんっ、夏は人が多かったからね」
千束とショウマは、海辺に腰を下ろして、ゆっくりと景色を眺めていた。海は穏やかで、遠くに見える船がゆったりと揺れている。
「あっ、なんだかあそこに大きなのがあるよ」
「あれは一体」
ショウマは目を輝かせて、千束に向かって指をさす。千束もその方向を見て、驚きの声を上げる。
「あれ、なにか大きいのがあるね!」
二人はその黒いものを確認するため、近づいていった。すると、その黒いものは人間だった。黒ずくめの衣装をまとった男性が、倒れているのである。
「おおっ、これは大変だね!」
「うんっ、大丈夫かな?」
ショウマと千束は、男性の様子を確認する。男性は気絶しているようで、動く気配がない。千束は慌てて、男性の体を揺すりながら声をかける。
「おーい、大丈夫ですか?」
「ううっ……」
男性は微かにうめき声を上げた。千束は男性の様子を確認して、ショウマに向かって声をかける。
「大丈夫そうかな?」
「うんっ、とりあえず目を覚まそう」
千束は男性の体を起こし、顔を近づける。男性はゆっくりと目を開け、千束を見つめた。
「……ここは……?」
「大丈夫ですか?」
「あぁ、なんとかっ…」
男性は立ち上がり、千束とショウマに向かって礼を言った。男性は黒ずくめの衣装を身にまとっていたが、その格好には違和感があった。ロングコートにボタンを開けたシャツ、ダメージデニムといったファッションは、まるで悪役のような雰囲気を醸し出していた。
しかし、男性は頭を抱える。
「ここは一体、何よりも」
すると、男は言葉を続ける。
「俺は一体、誰なんだ」
「…まさかの記憶喪失!?」
「俺と同じ」
千束は思わず驚きの声を出し、ショウマは興味深そうに頷いた。男は頭を抱えて、記憶を思い出そうと必死になっているようだった。
「駄目だ……何も思い出せない……」
「うーん、これは困ったね」
千束は腕を組んで考え込んだ。ショウマも心配そうな顔で男を見つめる。
「とりあえず名前だけでも聞いてみよう」
「……俺は一体誰なんだ?」
男はそう問いかけると、千束とショウマは顔を見合わせた。そして同時に答える。
「それは私たちにも分からない」
「うんっ、でも困っているみたいだから助けてあげないと!」
千束とショウマの言葉に男は少し驚いた様子だった。
「良いのか、その俺のような奴を」
「困った人を助けるのが、私達だからね」
「そうだねって」
すると、男性の腹部には何か膨らみがあった。
それをめくると、そこには口があった。
驚きを隠せずにいて、そのまま、そこにある物を取り出すと。
「えっ、グラニュートなの」
長く伸びた4つのツノのような突起が特徴的な、ヤギにも悪魔にも見えるゴシック調の頭部をしていた。
「グラニュート、俺が?」
疑問に思いながらも、男は自分の顔を当てる。
「さっきまでとは違う、俺は一体」
「…とにかく、今は人間の姿に戻っておこう」
「あっあぁ」
男もまた、自分の姿を戻した。
「それにしても、俺は一体」
「あっ、なんか名前があるけどえっと」
そこにあったのはハンカチ。
そこには、名前が刻まれていた。
「なんだか、あんまり書いていないけどRAGO?」
「ラゴ?いや、ラーゴさんなのかな?」
「ラーゴ、それが俺の名前なのか」
ゼンゼロから出る陣営は
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邪兎屋
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白祇重工
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ヴィクトリア家政
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特務捜査班
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カリュドーンの子