「ちょっと休憩〜」
そう言いながら、宮古島の青い海が見える小さな喫茶店で働いていた千束が店の裏口から出てくる。
一ヶ月前の大事件から一転、千束の元気な姿がそこにあった。
「…千束はいつも通りで良かった」
そうしながらも、ショウマは店内から窓越しに見える千束の姿を眺めている。
あれから一ヶ月。
宮古島での生活は順調に進んでいる。
あの日、ライカンから受け取った人造心臓のおかげで千束は命を取り留めた。
けれど、すぐに千束の体調も安定せず。
だからこそ、宮古島を選んだのだ。
沖縄本島から離れた場所にある宮古島なら、人も少なく静かに過ごせるだろうと。
そう思って宮古島にやってきた二人だったが。
「ショウマくん〜!休憩行っていいよ〜」
「あっ……はい」
千束からの声掛けにショウマはすぐに返事をする。
そして、店内の仕事を終えると、すぐに千束の元へと向かう。
「お疲れ様」
「ありがとう……それで?」
「うん?何が?」
「なんか用事があったから呼び出したんでしょ?」
そうして尋ねると千束は少し考え込むような素振りを見せるものの。
「いやぁ?特にないよぉ〜?」
そんな言葉と共にニコニコとした表情で誤魔化す千束。
「……」
しかし、ショウマには分かっていた。
これは何かあるなと。
だが、問い詰めても答えないと悟ったショウマはそのまま立ち上がり千束の手を掴む。
「えっ!?ちょっと!!」
驚きながら抵抗しようとする千束だったが、その手を引いて無理やり連れて行く。
そして向かった先は海岸沿いにある小さな砂浜だった。
そこには。
「…待っていましたよ、ショウマさん」
「あっ、たきなぁ」
そこには、仁王立ちをしていたたきなが、こちらを見ていた。
すると、千束は。
「ごめん、見つかっちゃって」
「そうみたいです」
千束はショウマに向かって言うと。
「まぁ、いつかは見つかると思っていたけど……思ったより早かったね」
「ええ……まったくです」
「……あのさ……その前に聞いていい?」
「なんですか?」
「なんでそんなに怒ってるの?」
「貴方たち二人とも全然連絡してこないからですよ!」
たきなの言葉を聞きショウマと千束は顔を見合わせる。
「えっ、千束は連絡していなかったの」
「いやぁ、それがあの後、連絡しようと思ったら、ちんすこうにすっかりと夢中になっちゃって、さっき会うまですっかり忘れていた」
その言葉にショウマはため息をつく。
「つまり……何も考えていなかったわけですね」
「うっ……その通りです」
「まったく……今回はたまたま私が見つけましたが」
「でも見つけられなくてもきっと大丈夫だよ!」
「どうしてです?」
「だってショウマくんは私を守ってくれるんだから!」
その言葉を聞いたショウマは照れくさそうな表情になる。
「まぁ……それはそうですけど」
「あーー!今照れましたね!!」
「べっ別に照れてないし!」
「嘘だね〜絶対照れてる〜」
「うるさいなぁもう!」
二人のやり取りを見ていたたきなは呆れたようにため息をつくと。
「もういいです……とりあえず無事で何よりでした」
「たきなちゃん……」
「ただ……これからのことはちゃんと考えてくださいね」
「わかった……」
その言葉に千束とショウマは頷く。
「…とにかく、二人を心配で、皆、待っていましたよ」
「…ごめん」
「特にエレンはかなり不機嫌でしたよ」
「あぅ」
「学校に帰ったら、補修も沢山あるみたいですよ」
「あぁ、鉄人のがぁ!」
そうしながら、千束は思わず、頭を抑える。
「…けれど、それは沢山の人が、二人の帰りを待っているという意味ですから」
「うん、わかっているよ」
「……はい」
そうしていると共に、僅かな沈黙はあった。
やがて。
「…それで」
「えっ?」
「これから、どうします?やりたい事は」
そうして、尋ねたたきなの表情は、どこか懐かしさがあった。
それを見たショウマと千束は。
「それじゃ、色々と」「うんっ、行こう!」
ゼンゼロから出る陣営は
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邪兎屋
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白祇重工
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ヴィクトリア家政
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特務捜査班
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カリュドーンの子