文月学園にあるとある小さな部屋。
そこは宿泊室。
学園の教職員のみが利用可能な部屋であり、
藤堂はその扉を叩く。
すると、
「どうぞ」
「入るよ」
藤堂は扉を開けると共に室内へ入っていく。
そこには一つの大きなテーブルがあり、
その上には大量のお菓子が置かれている。
そして、その傍には西村が座っていた。
「全く、あんたはそんだけの量の菓子を一人でよく食べるねぇ」
「教育には頭を使いますので。何よりも糖分が命ですよ」
西村は答えると。
「そうかい、それで聞くんだが」
「なんでしょうか?」
「あんた、何時になったらショウマに正体を明かすんだい」
その言葉を聞いた西村は少し黙る。
同時に、西村は腹部に手を伸ばす。
そこにあったのは、グラニュートの特徴的なもう一つの口。
その口から取り出したのはミミックキー。
グラニュートが人間に化ける為のアイテムである。
それを取り出すと共に、西村の姿は一変。
「全く、カオルちゃんは相変わらずじゃのぅ」
その言葉に反応した西村――いや、デンテ・ストマックは満面の笑みを浮かべる。
デンテの姿はまるでクジラとカエルの中間のような顔立ちの大柄な男性だ。後頭部からは長く白い髪を二つに編んで垂らし、首元は大きめの襟巻きで覆っている。見た目は厳ついが、その態度は柔らかく親しみやすい。
「はぁ、何時までもあんたを隠せるとは思わない方が良いよ。たぶん、あんたと私が一緒にいる事も奴らは気づくだろうね」
藤堂が眉をひそめる。
「まぁね。まぁ、その時はその時に覚悟はしておる」
デンテは口元に軽く笑みを浮かべながら、お菓子の山から一つを手に取る。
「それよりもカオルちゃん、何か用かい? 」
「・・・さっきも言っただろ、あんた、ショウマに会うつもりはないのか?ショウマにとって、あんたは叔父さんになるんだから。あんたが助けてくれたおかげで生まれてこれた命なんだからさ」
「そうじゃね、わしもショウマ君とお話ししたいわい。でもね」
「でも?」
藤堂が怪訝そうな表情を浮かべる。
「わしに、その資格はあるのか?あの子を置いて、出て行ったからのぅ」
「それを言うならば、あんただけじゃないだろ」
「それでもじゃよ」
デンテは小さくため息をつく。
「デンテ」
「どうしたんじゃい?」
「そりゃ、あんたも心配なの分かるよ。だけど、もういい加減、ショウマにも向き合うべきじゃないの?」
「それは……」
デンテが言いよどむ。
「あたしはね、あんたの事は心配してないよ。だけどさ、あの子はまだ子供なんだ。大人の事情なんかで傷ついてほしくないんだよ」
藤堂の言葉に、デンテは肩を落とす。
「わかっとるよ。でもね……」
「でも?」
「怖いんじゃよ。わしにとって、あの子は家族じゃ。会えばきっと泣いてしまうかもしれん。だから……」
「だったら、会いに行けばいいじゃない。あの子が望むなら」
藤堂がデンテの手を取る。
「あんたが今すべきことは、ショウマに会ってあげることじゃないの?」
「だとしても、その資格はない。だからこそ、今のワシが出来るのは、この学園であの子が幸せな学園生活を陰から支える事」
「・・・そうかい」
藤堂は納得したように頷くと。
「本当に、頭が固い奴だねぇ」
ゼンゼロから出る陣営は
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邪兎屋
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白祇重工
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ヴィクトリア家政
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特務捜査班
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カリュドーンの子