ショウマは窓際の席に座り、グラスの中の氷が溶けていく音を聞きながら、窓の外で舞う桜の花びらに見入っていた。
窓の外には、そんな桜の木の下で騒いでいる人々の声が聞こえてくる。この喫茶店の周りにも桜の木があり、毎年この季節になると人々が集まってくる。それはショウマにとって不思議な光景であった。妖精界にも美しい花々はあったが、花を愛でるために人々が集まるという習慣はなかったのだ。
「ショウマ君、花を見ているのも良いけど、仕事もしようねぇ」
突然、後ろから声をかけられた。
振り返るとそこにはたきなが立っていた。
いつものように冷静な表情をしているが、今日はどこか嬉しそうだ。
「ああ、ごめんね、たきな」
ショウマはゆっくり立ち上がり、たきなの後について喫茶店の外へ出た。
外に出ると一気に暖かい空気が身体を包み込んだ。そして目の前に広がる景色に言葉を失った。
青い空と白い雲の下で、満開の桜が咲き誇っている。風が吹く度に淡いピンク色の花びらが舞い散り、まるで雪が降っているようだった。そしてその桜並木の下には、楽しそうに笑い合う人々の姿があった。
足元には既に散った花びらが敷き詰められ、まるでピンク色の絨毯のようだ。
「こんなに美しいものを毎年楽しめるなんて……人間界はすごいところだな」
「…そうですね、けれど、もう一年ですか」
そのたきなの言葉を聞いて、ショウマは首を傾げるが。
「あっそうか、たきなと会って、もう一年」
「そして、ショウマ君が来て、もう二年だよね」
「あっ千束!」
ショウマが振り返ると、千束がそこにいた。
「それにしても、こうして季節を巡ると、色々と変わるねぇ。3年前なんて、こんな事、考えられなかったからね」
「私もですよ、ショウマ君は」
「…そうだね、俺も」
そうして、取り戻した記憶。
そこには、桜の記憶など、なかった。
「…そうですね、では、少し掃除しましょうか」
「そうだねぇ」「俺もって」
たきなの掃除を手伝おうと、ショウマが立ち上がる。
その時、見てしまった。
「ちょいちょいちょい!!」
千束は思わず叫んだ。
その意見に、ショウマも同意見だった。
なぜならば、たきなの後ろの帯には、ヴァレンバスターが隠されていた。
「…」
一瞬、ぽかんとした表情で見ていたたきな。
だが、特に気にした様子もなく、たきなは店の中に入ろうとした。
「待てぇい!ショウマ君!確保!」
「ちょっ、ショウマさん、危ないですよ」
「危ないのは、お前だ!」
「大丈夫ですよ、上手に当てますから」
「うわぁ、怖い言い方する!?」
たきなの言葉に対して、千束は思わず呟いてしまう。
そんな景色を見ながら、ショウマは思わず笑みを浮かべる。
いつも通りの日常に。
ゼンゼロから出る陣営は
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邪兎屋
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白祇重工
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ヴィクトリア家政
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特務捜査班
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カリュドーンの子