フルコースとライダーと学園生活   作:ボルメテウスさん

296 / 366
幽霊

「ショウマ君?どうしたの?私達のそんなに怖かった?」

 

千束の着ぐるみが両手を挙げて降参のポーズを取る。だが、ショウマは震える指でPCの画面を指差した。

 

「ねっねぇ、たきなに聞きたいんだけど、さっきまでこれを動かしていたのって、誰?」

 

その質問に全員が首を傾げた。

 

「何を言っているんですか、ショウマさん。クルミですよ」

 

たきながジト目で答える。その目に映る画面には、確かに着ぐるみの映像が再生されている。しかし……

 

「クルミだったら、今朝から出掛けていたぞ」

 

ミカの着ぐるみが落ち着いた声で言い切った。

 

一瞬の沈黙。

 

「え……?」

 

千束の声が裏返った。

 

「いや、いましたよね、クルミ」

 

たきなが不安そうに目を泳がせる。その手はまだ銃を握ったままだ。

 

「いや、いなかったよ」

 

千束の着ぐるみが首を横に振る。

 

「いやいやいや」

 

「いやいやいや」

 

二人の「いやいやいや」が重なり合う中、ショウマが震える声で言った。

 

「その、さっきまでパソコンを動かしていたの、俺、たきなの知り合いだと思っていたけど、さっき、すっと消えたんだけど」

 

「えっ、どういうこと?」

 

千束の着ぐるみが混乱した様子で周囲を見回す。

 

「いやいやいや、待って待って!クルミは本当に朝からいないんだってば!」

 

ミズキの着ぐるみも両手を振りながら抗議する。

 

「じゃあ……」

 

たきなが震える声で言いかける。

 

「さっきまで、私達と一緒に見ていたのって」

 

「・・・本物の幽霊」

 

そのショウマの一言に、室内が凍り付いた。

 

「幽霊は何ができるんですか?」

 

ショウマの質問に千束の着ぐるみが震えながら答える。

 

「ホラー映画によれば……透けて見えるとか、壁を通り抜けたり、突然目の前に現れたり……」

 

「それから?」

 

「あと……人を怖がらせたり……」

 

「怖がらせる……」

 

「どうかしたの、ショウマ君」

 

「いや、なんだか、幽霊って言っても、グラニュートよりも怖くないような」

 

「えっ、いや」

 

それと共に、全員がこれまで戦ってきたグラニュートを思い浮かべる。

 

そのどのグラニュートも、簡単に幽霊を越えるような化け物ばかり。

 

しかも、ショウマもまた、ハーフグラニュート。

 

それらを冷静に振り返った一同が頭に思い浮かんだのは。

 

『あれ、幽霊って、意外と怖くない?』

 

その結論に至ると共に、先程までの怖さが嘘のように。

 

「・・・とりあえず、皆、何か食べるか?」

 

「賛成!たきな達を驚かすのに、体力を使ったから」

 

「本当に、何を下らない事をしていたんですか」

 

「えぇ、たきなは結構ビビったじゃないの」

 

「千束だって」

 

そうしながら、先程までの事などなかったように、全員が夜食を作り始める。

ゼンゼロから出る陣営は

  • 邪兎屋
  • 白祇重工
  • ヴィクトリア家政
  • 特務捜査班
  • カリュドーンの子
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。