フルコースとライダーと学園生活   作:ボルメテウスさん

298 / 366
夏の雪/アイスイカ

プール掃除が終わると、子どもたちは「早く変身見せて!」とショウマに詰め寄った。その熱狂ぶりに園長先生も微笑んで言う。

 

「ショウマさん、もしよろしければ園児たちに少しお時間いただけませんか?」

 

ショウマはため息をつきながらも頷いた。

 

「わかった。でも……変身したら何か食べさせてくれる?」

 

子どもたちが一斉に笑い出す。

 

「お兄ちゃん、おなかペコペコなんだね!」

 

「ショウマ君が変身する仮面ライダーはね、なんと食べたお菓子によって変わるんだよ」

 

「えっ、そうなの!」

 

「だったら、どんなお菓子を食べたらどんなライダーになるの?」

 

子供たちの質問攻めにショウマは困惑する。

 

「あははぁ、どうしよう」

 

そう悩んでいる時だった。

 

「そう言えば、スイカはどう?スイカのガヴとか見てみたいし!」

 

「・・・いや、千束、そもそも、ここには包丁がないですから、スイカは食べれませんよ」

 

「あっしまった!」

 

それと共に、千束は失念したように呟く。

 

すると、千束は少し考えて。

 

「そうだ!ショウマ君!」

 

「どうしたの?」

 

「暑い夏にぴったりな、あの姿になろう!」

 

それと共にショウマに渡したのは、ブリザードソルベゴチゾウ。

 

「えっと、これに?」

 

「さぁ!」

 

笑みを浮かべた千束。

 

それと共に周囲にいる子供も、仮面ライダーに変身するのを期待して見ていた。

 

「それじゃ」

 

それと共にショウマもまた、ゆっくりと構え。

 

「変身」『ブリザードソルベ! ヒエヒエ!』

 

「わぁー!お兄ちゃん、氷みたい!」

 

「かっこいい!」

 

子どもたちの歓声が響く中、千束が満面の笑みで言った。

 

「さあ、ショウマ君!そこのスイカを凍らせて切っちゃって!」

 

「えっ?そんなことできるの?」

 

ショウマが戸惑いながら質問すると、千束はウインクして答えた。

 

「できるよね!」

 

「じゃあ……やってみる」

 

ショウマは少し自信なさげに答えながらも、ガヴホイッピアを構えた。クルミが素早く動き出し、子どもたちを安全な場所に誘導する。

 

「みんな、少し離れて見ててね」

 

子どもたちは不思議そうな顔をしながらも、素直に従った。たきなは小さな冷蔵庫から取り出したスイカを中央に置き、準備を整える。

 

「行くよ……」

 

ショウマは深呼吸をして集中すると、ガヴホイッピアから冷たい風が吹き始めた。風は次第に強くなり、スイカの周りに白い霧が立ち込める。そして—

 

「よっ!!」

 

ガヴホイッピアから鋭い氷の刃が飛び出し、スイカを綺麗に真っ二つに切断した。断面はまるで鏡のように滑らかで、周囲には美しい氷の結晶が舞い散った。

 

「わぁー!すごい!」

 

「スイカが凍ってる!」

 

子どもたちは目を輝かせて歓声を上げた。ショウマは照れくさそうに頭を掻きながら言った。

 

「これでお腹いっぱいになりそうかな……」

 

「もちろん!」

 

千束が嬉しそうに言うと。

 

「それじゃあ、もう一つやってみようか!」

 

千束が目を輝かせる。

 

ショウマは少し考え込んだ後、手をかざした。

 

「ガヴホイップ!」

 

すると、何とホイップクリームのような頭部の前垂れがアイスコーン柄になっている兵士が現れる。

 

「おぉぉぉ!!」

 

それを見て、子供達はさらに大興奮。

 

「これ何のヒーロー?!」

 

「おじさんのケーキの騎士みたい!」

 

「アイスクリームの王さまだ!」

 

ショウマは少し恥ずかしそうに笑いながら言った。

 

「えっと……『ホイップ兵』って言ってね。みんなが美味しいスイカを食べるお手伝いをするんだ」

 

ホイップ兵は無言だが、両手を高く挙げて嬉しそうなポーズを取る。そして子供たち一人ひとりに向かって歩いていくと、片手で「何か欲しい形はある?」とジェスチャーする。

 

「うさぎさんがいい!」

 

「星型がいいな!」

 

「三角!」

 

子供たちの様々な要望に応えようと、ホイップ兵は器用に手を動かし始める。その指先から出てくるのは小さなカッターナイフのような道具。あっという間にスイカがうさぎや星の形にカットされていく。

 

「すごい!魔法みたい!」

 

「私の分もお願い!」

 

「僕も!」

 

順番待ちをする子供たちの列ができ始める。ホイップ兵は一つ一つ丁寧に形を作りながら、時には子供たちと一緒に笑い合い、時には真剣な表情で細かい部分に挑戦する。

 

「こんなこともできるよ!」

 

たきなが子供たちの前に小さな箱を持ってくる。そこには色とりどりのデコレーションシートやチョコペンが入っていた。

 

「これを好きなように飾ってみて」

 

「わぁ!可愛い!」

 

「ケーキみたい!」

 

子供たちは自分のカットしたスイカに一生懸命デコレーションを施していく。チョコペンで絵を描いたり、カラフルなシートを貼ったり。完成したスイカアートはどれも個性的で楽しいものばかり。

 

「できた!」

 

「見て見て!猫ちゃんだよ!」

 

「僕のは……ドラゴン!」

 

それぞれのスイカアートを見せ合いながら子供たちは大盛り上がり。ホイップ兵も一緒に手を叩いて喜ぶ。

 

「ホイップ兵さんもありがとう!」

 

「また出てきてね!」

 

子供たちからの温かい言葉に、ショウマは胸がいっぱいになる。

 

「良かったね、ショウマ君」

 

「・・・うん」

 

その光景と共に、こんな使い方を続けたい。

 

ショウマの心は、そう考えられた。

ゼンゼロから出る陣営は

  • 邪兎屋
  • 白祇重工
  • ヴィクトリア家政
  • 特務捜査班
  • カリュドーンの子
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。