「さすがに、これを私一人で解決するのは無理だわ」
なぜ、ここにいるのか。
それ自体、自分でも分からない状態のショウマをさすがに放っておけないと判断した千束は彼を連れて、ある場所へと向かう。
「千束、どこに行くの?」
家から出てきたショウマは、とことこと、まるでカルガモの子供が親のカルガモの後ろについてくるように、後ろを歩いていた。
「んっ、私が働いているお店、ショウマ君の事を色々と相談しようと思って」
そんなショウマに、千束は笑みを浮かべながら、これから向かう先の事を言うと共に、目的の場所へと辿り着く。
そこは、小さな和風喫茶店であり、そこは千束がアルバイトをしている場所でもある。
「ここが、そうなんだ……」
その店の外見を見て、ショウマは感心した様子で声を出す。
「えぇ、そうよ」
その言葉を聞きながらも、千束はドアを開ける。
カランコロンという鈴の音と共に、店内に入る二人。
そして、店員である女性の声が聞こえてくる。
「千束が出勤しまし「千束が男を連れて来たぁぁ!!」うわぁっと」
「おぉ」
千束とショウマが喫茶店を入ると共に、大声が響き渡る。
それに対して、千束もショウマの二人はすぐに手を耳を抑える。
「もぅ、朝から酔っぱらっているのミズキィ」
その言葉と共に千束はジト目で、店内にいる眼鏡をかけた緑色の着物を着ている女性が、そこにいる。
「千束、この人は?」
「あぁ、中原ミズキ、私と同じ喫茶店の従業員なんだけど……ちょっと酒癖が悪くてね……まぁ、気にしないで良いと思うよ」
「そっか、分かった」
「そんな紹介をするなぁ!」
そう、ミズキは、千束に対して突っ込むと共に。
「千束、来たか」
「あぁ、先生!」
すると、そんな店奥から現れたのは黒人だと思われる人物であり、眼鏡をかけた男性が現れる。
その人物を先生と呼んだ千束の言葉に、ショウマは首を傾げる。
「先生という名前?」
「あぁ、違う違う、この人は店長のミカで、まぁ私のお父さんな感じ」
千束が、そのままミカの事を紹介すると共に、ミカもまた頷くと共に、ショウマの方を見つめる。
「ミカだ、それで、君が千束の言っていた」
「ショウマです!」
そう、元気よく、挨拶をする。だが、ミカは、少しばかり思う所があるのか、口を開く。
「ふむ、しかし、千束から聞いた話だと、君は千束のベランダにいたと聞くがそれ以外の記憶は」
「それが、ないんです」
ショウマがそう言うと。
「なんだよ、それ!ラピュタかよ!」
「らぴゅた?」
「あぁ、気にしないで、ミズキの悪い癖だから」
ミズキの声を聞いて、ショウマは疑問符を浮かべるが、千束はすぐにミズキを止めるように促す。
「…とりあえず、君の事は色々と詳しい事を知りたいが、その腹部のは」
「これですか?」
そう、ショウマはお腹を見せる。
そこには、やはり、独特な赤い口があった。
「何回、見ても、驚きしなかいよね、しかも、身体と一体化しているし」
そう、千束は、ショウマと一体化している腹部を指さして言う。
それは、明らかに人体ではあり得ないような金属。
しかし、無理にくっついた感じではなく、元々、身体の一部であるように思えた。
「でも、なんで、こんな事に?」
「いやぁ、それが、僕にも分かりません」
「そっか…………」
「どうしたんだ?千束」
すると、そこで、ミカが尋ねる。
「ううん、なんでもない、それよりも、先生!そのショウマ君をしばらく家で預けられないかな」
「それは、またなんでだ?」
「いや、だって、こんな事を言っても、誰も信じないでしょ」
「まぁ」
既にミカもある程度事情は聴いている。
記憶喪失で、いきなりベランダにおり、さらには腹部には謎の赤い口。
それらを聞いて、ふざけていると言われて、もおかしくはないのだ。
(それに、この男の子の様子を見る限り)
少なくとも噓をつくような感じではない為、信じるしかないだろうと思うのだった。
そして何より……。
(この子からは危険な物を感じる……まさかとは思うが……)
そんな事を考えている間にも話は進んでいたようで。
「まぁ、別に良いけど、それとチョコレート食べる?」
「あっ、お菓子!」
そうしていると、ミズキは呆れながらも、そのままショウマに近くにあったチョコを渡した。
特に大きな意味もなく、ただ単に自分が食べたいだけであるのだが……それを気にせず受け取ると早速食べ始めるのだった。
そんな光景を見て、本当に子供みたいだなと思いながら見ていると。
「んっ?」
「なっなんだ、口がなんか動き出した」
それは、ショウマの腹部にある口に動きがあった。
困惑する二人を他所に、飛び出してきたのは。
「~~」
「あっ、また増えた!」
そこにいたのは、チョコの絵柄のある謎の妖精。
既に千束は家で、グミに似たのを見た為、少しリアクションは淡泊ではあったが、ミカとミズキは驚きを隠せなかった。
「まさか、これが」
「そぅ、謎の妖精!けど、なんで」
「チョコを食べたから?」
「チョコを、そう言えば」
千束は思い出してみれば、ショウマが妖精を出したのは、グミを食べた時。
その時に飛び出したのを考えれば、確かにショウマが妖精を生み出したのは、お菓子を食べた時。
「お菓子の妖精なの?」
「いや、これ、お菓子の妖精というよりもモンスターじゃないの?」
そう、ショウマから生まれた彼らは、その特徴はむしろモンスターであった。
彼らは、そのままショウマの周りをぐるりと踊っていた。
「さすがに、このような事態は初めてだ、だが」
「先生?」
そうしていると、ミカは、何か覚えがあったのか、腕を組む。
「いや、なんでもない、そうだ、ショウマ君。少し着替えてきてくれないか。少し仕事を手伝ってもらいたくね」
「分かった!それじゃ、どこに行けば」
「少し奥にね、私も着物の着方を教えるから、すぐに向かうよ」
「分かった!」
そうミカの言葉を受けて、ショウマは、そのまま奥へと向かう。
それを見届けると共に。
「千束。今夜、仕事がある」
「仕事って、例の誘拐事件の?」
「あぁ、これまでの事を考慮しても、やはり被害を広げない為にも、向かう必要がある」
「…本当、あそこって、どうなっているんだろうねぇ、文月学園って」
そんな会話を行っていた。
決して大きくなく、聞こえるはずはなかった。
ショウマに聞かせないように最善の注意を行いながら。
しかし。
「文月学園?」
その声は、ショウマに、確かに聞こえていた。
ゼンゼロから出る陣営は
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邪兎屋
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白祇重工
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ヴィクトリア家政
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特務捜査班
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カリュドーンの子