変身を完了すると共に、千束はヴラムブレイカーを振りかぶり、たきなはヴァレンバスターを構え、ベイクに向けて牽制射撃を放つ。
「おっと、これは確かに厄介だねぇ。けど……」
ベイクはニヤリと笑いながら、軽く右腕を振るった。
たったそれだけの動作で、千束とたきなが放った攻撃は空中で爆散し、霧散する。
「なっ……!?」「攻撃が……消えた?」
二人が驚愕する間にも、ショウマは既に行動を開始していた。
ブリザードソルベフォームの特徴である氷。
その氷を生かし、地面を凍らせると共に、ガヴブレイドを構えながら一直線にベイクへと突進する。ブレイドを上段から袈裟懸けに振り下ろす。
「おやおや、血気盛んだねぇ」
ベイクは余裕の表情で、その右腕を軽く振り上げた。
ガキンッ!
金属同士が激しくぶつかるような鈍い音が響き渡る。
ショウマの氷刃の一撃と、ベイクの異形の右腕が真正面から激突した。
一瞬、力と力の拮抗が生まれる。
「……っ!?」
ショウマはその時、確かな違和感を感じた。
(軽い……?いや、重い……? 何だこの感覚は……)
ベイクの腕の感触は、これまでの敵とは明らかに異質だった。硬い装甲のようでいて、しなやかな弾力も感じる。まるで複数の異なる性質が混ざり合っているかのようだ。
「千束!たきなさん!」
ショウマは一旦距離を取るために、ガヴブレイドに冷気を纏わせ、斬撃と共に冷気を叩きつける。
「オッケー!」
「了解!」
千束とたきなが即座に応じ、ベイクの注意を分散させるように連携攻撃を仕掛けようとする。
「ふむ……なかなか息が合っているねぇ」
ベイクは感心したように呟くと、その背中から突如として何かが飛び出した。それは鱗を持つ無数の小さな魚のような生物たち。それらがベイクの周囲を旋回し始める。
次の瞬間、魚たちはベイクの身体に吸収されるように集まり、そして――新たな形を形成した。
もう一人の「ベイク」が、ショウマ達の前に立っていた。
「っ!?増殖した!?」
「あれって、以前、倒した事のあるグラニュートの能力でしょ」
千束が警戒しながら言う。
「それだけじゃない」
ショウマはベイクの新たな姿を凝視し、その身体から感じ取れる微細な気配の違いを分析していた。
ショウマの言葉に、ベイクは大仰に拍手をした。
「ご名答!さすがは混血児君だ。私の身体はね、様々なグラニュートの肉体の一部を接ぎ木して作られているのさ。君達がこれまで戦ってきたバイト君達の能力、その全てをね!」
ベイクは挑発するように両腕を広げた。
「つまり、私は君達が経験してきたあらゆる戦術を再現できるってわけだ。面白いだろう?これから始まるのは、君達自身の過去との再戦だ!」
ベイクの言葉は狂気に満ちている。だが、その言葉には紛れもない事実が含まれていた。
ショウマの脳裏に、これまで戦ってきたグラニュート達の姿が次々と浮かぶ。そして同時に、これから始まる戦いの過酷さを予感していた。
ゼンゼロから出る陣営は
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邪兎屋
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白祇重工
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ヴィクトリア家政
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特務捜査班
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カリュドーンの子