研究室の重厚な扉が閉まる音が静かに響き、外界との遮断が完了する。室内は無機質な照明に照らされ、壁一面を覆う巨大なマルチディスプレイには、先刻のショウマこも、仮面ライダーガヴとの戦闘データが次々と投影されていた。数値、グラフ、立体映像が目まぐるしく切り替わる中、酸賀は椅子に深く腰掛け、ニエルヴは複数のサブディスプレイを操作している。
「予想はしていたけど……データをこうして客観的に見るだけでも、あの姿のショウマ君の完全再現はやはり容易ではないねぇ」
酸賀がディスプレイに表示された「マスターモード」の文字列と、その隣に映る戦闘中のショウマの姿を見ながら、ため息混じりに呟いた。その言葉には純粋な驚嘆と、科学者としての探求心が混じっている。
「ええ、酸賀さん。以前の『オーバーモード』であれば、単純な攻撃力と防御力のブーストゴチゾウの特性を高濃度で注ぎ込むという比較的シンプルな機構でしたからね。我々にもある程度の再現や干渉の余地がありました」
ニエルヴは冷静な声で同意しながらも、キーボードを操作し続ける。画面にはマスターモード時のショウマのバイタルデータや武装パターンが詳細に表示され始めた。
「だが今回は違う。単なる身体能力の底上げだけではない。あの多種多様なゴチゾウの武装……ワカメブレード、ブンボーグハンマー、ニマイガイシールド……それらが独立して存在しつつも、一つの強大な武装へと自己最適化し、連携するという複雑怪奇な挙動。特にあの『フルコース・スマッシュ』の出力と精度は異常だ。単なる力任せではない。まるでゴチゾウたちがそれぞれ意志を持ち、最善のタイミングと配置を選択しているかのようだ」
ニエルヴの指が止まり、画面に映る「統合制御システム」の項目を拡大する。そこには解析不能とされるエラー表示が多数含まれていた。
「ゴチゾウ同士の相互作用……いや、むしろ協調? ショウマ君の体内で何が起きているのか……それを完全にブラックボックス化しているのが最大の問題ですよ」
酸賀はモニターを睨みつけながら唸る。
「ゴチゾウ一個体の再現ですら我々は手を焼いているのに、複数のそれらが自律的に連携し、なおかつ人体という極めて繊細な基盤上で完璧に動作している。これを外部からコントロールする……あるいは同様のシステムを擬似的に作り出すのは……」
酸賀はそこで一度言葉を止める。
「興味は、確かに尽きないね、実に面白い。この不可解な現象の鍵が、一体どこにあるのか。それが解ければ……」
酸賀の独り言に呼応するように、ニエルヴが静かに口を開いた。
「ただし、現時点ではいくつかの仮説が立てられます。例えば……ショウマ君自身が持つ潜在意識による無意識下での制御パターンの生成。あるいはゴチゾウ同士の集合的な意識フィールドの形成。これらの可能性を潰していく必要がありますね」
ニエルヴは冷静に分析を続け、画面に新たな仮説モデルを表示した。
「それにしても……」
酸賀は顎に手を当て、考え込むように天井を見上げる。
「ショウマ君とこれから戦う以上は今以上の力が必要だけど」
「まぁ、それに関しては見てよ」
そう、ニエルヴが見せたのは。
「へぇ、これは」
「新しいライダーだよ」
そう、見せてきたのは、白い仮面ライダーがそこに立っていた。
ゼンゼロから出る陣営は
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邪兎屋
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白祇重工
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ヴィクトリア家政
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特務捜査班
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カリュドーンの子