グラニュート界の空は相変わらず紫黒く澱み、巨大な水晶柱のような建造物群が歪な幾何学模様を描いて天高くそびえていた。その中央に位置するストマック社本社──紫色の靄が渦巻く異形の建築物が、今日も異様な威圧感を放っていた。大理石の廊下を磨かれた革靴が叩く音が響く。
「大統領閣下、お待たせしました」
低い声音とともに現れたのは、豪奢な刺繍入りのガウンを纏った巨躯の男。複数の白い触腕が蠢く背筋がピンと伸びたその男──ボッカ・ジャルダックは、緩慢に手を挙げて出迎えた三人を迎え入れた。
「久しぶりだな、ニエルブ君。それに……ジープ君にグロッタさんも相変わらずといったところか」
三人のストマック家幹部が深々と頭を下げる。
「パパ!」
突然、廊下の奥から軽快な足音が近づき、リゼルが飛び出してきた。
宝石のように輝く瞳が期待に潤む。
「遅かったわね!人間界の珍しい"お土産"は持ってきただよぉ」
「それは嬉しいねぇ、人間界には、私も興味深いコレクションがあってねぇ」
ボッカは細長い白髪交じりの髭を撫でながら、大きな掌でリゼルの頭を慈しむように撫でる。
「あそこは良い『観察地』だよ。脆弱で短命で、実に弄り甲斐のある生命体揃いでねぇ」
その言葉の端々に潜む危険な愉悦に気づきながらも、リゼルは無邪気な笑顔でボッカを見上げていた。
謁見室。円卓を囲む五人のシルエットが紫の照明に長く伸ばされている。
ボッカは重々しい咳払いを一つ落とすと、鋭い眼光で室内を睥睨した。
「さて諸君。今日私が直接ここに赴いたのは、他でもない」
低く威圧感のある声が空気を震わせる。
「そろそろ“本格稼働”の時期と判断したのだ」
机上に広げられた人間界の地図。赤いペンで幾つもの都市が×印で塗り潰されていた。
「──人間界全土を、の“闇菓子専用牧場”として掌握する準備が整ったとな」
その言葉にグロッタの切れ長の眼が微かに痙攣した。
「・・・まさか、本当に実施するんですか」
その呟きに対して、ボッカは笑みを浮かべる。
「あぁ、勿論だ。闇菓子を本格的にグラニュート界に広げる為には、今のままではあまりにも少なすぎるだろ」
「・・・それは」
その言葉と共に、3人は何も言う事は出来なかった。
「グラニュートハンターがいる事もあるけど、これではグラニュート界に闇菓子を広げる事は出来ないからね」
「だぁかぁら、その為の計画でしょ。それぐらいにしないと、ストマック社、潰れちゃうでしょ」
そうしながら、2人の言葉に、既に止められない事を察する。
ゼンゼロから出る陣営は
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邪兎屋
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白祇重工
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ヴィクトリア家政
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特務捜査班
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カリュドーンの子