喫茶リコリコの裏庭。午後の陽射しが降り注ぐ中、柚葉の言葉が鋭く空気を切り裂いた。
「大統領……ボッカ・ジャルダック。あいつが人間界を"闇菓子専用牧場"にする計画を立ててるのよ」
傘をくるりと回しながら柚葉は続けた。
「すでに大量の捕獲施設が建設されてる。人間を効率よく飼育し、絞り尽くすための施設よ。もし完成すれば……」
ショウマは息を呑んだ。
脳裏に映るのは、かつて母のような"闇菓子の原材料"となる人間たちの悲惨な運命だった。
「それだけじゃない」
柚葉の声がさらに低くなる。
「大統領はその成果をグラニュート界に持ち帰り、自らの権威を絶対的なものにするつもり。反対派を完全に排除するためにね」
夕焼け空が陰鬱な雰囲気を一層深めた。
「つまり……グラニュート界も人間界も、二つの世界が滅びるってこと?」
「そういうこと。だからこそショウマくんには動いてほしいのよ」
突然の提案にショウマは混乱した。
「だったら、すぐにでも「けど」っ」
ショウマがすぐに動こうとした矢先に柚葉は制止した。
「今の君じゃ、ボッカ・ジャルダックには勝てない」
その言葉は氷の刃のようにショウマの胸を刺した。
「どういう意味だ?」
「簡単な話よ」
柚葉は薄笑いを浮かべながら説明した。
「グラニュートの大統領がわざわざ人間界に来る理由。それは、それだけの力を持っているという事よ」
それと共に柚葉は、ショウマを見つめる。
「ショウマ君の強さは噂で聞いていた。けれど、それでも、まだ勝てない」
「だったら、どうすれば」
それに対して、柚葉が。
「だからこそ、私がここに来た。あなたに強くなって貰う為に」
「強くなるって」
柚葉からの言葉に困惑した。ボッカ・ジャルダックの計画を止めるには力が必要。それは理解できた。しかし……
「どうすればいいんだ?」
「簡単さ」
柚葉はくるりと傘を回し。
「雲嶽山に行けばいい」
「雲嶽山?」
初めて聞く単語に首を傾げる。柚葉は口角を上げた。
「グラニュート界でも狭間に存在する特別な場所」
「そこで何ができる?」
「君自身の潜在能力を引き出す」
その言葉にドキリとした。ショウマはグラニュートと人間のハーフ。
両者の血が流れる特性を持つ一方、どちらの世界でも中途半端な存在だった。
「ショウマ君は今、人間として生きている。
そのためグラニュートとしての本能や力が抑制されているんだ」
柚葉が傘の柄を地面にトンと叩く。
「そのおかげで、君は確かに仮面ライダーとしての力を持つ事が出来た。けれど、それはグラニュートとしての力を十全に引き出している訳じゃないの」
「それは」
その言葉に否定する事は出来なかった。
「これまでの君だったら、グラニュートの力も弱かった。けれど、数多くの戦いを乗り越えて、グラニュートとしての力もかなり成長したと思う。だから」
「俺に、それを完全に引き出すって事」
それに対して、柚葉は、頷く。
「どうするの、君は強くなって人間界もグラニュート界も守るのか。それとも、このまま何もせずに全てを諦めるのか」
ゼンゼロから出る陣営は
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邪兎屋
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白祇重工
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ヴィクトリア家政
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特務捜査班
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カリュドーンの子